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春ドラマ俳優ベスト5。“泣かせまくり”仲野太賀も凄かったけど、今クールのダントツNo.1は

女子SPA! 2024年6月26日 15時44分

梅雨というか真夏?! という暑さのなか、春クールのドラマが続々最終回を迎えています。この3カ月間の春ドラマで、私たちを楽しませてくれた俳優たちをご紹介します。

※以下、紹介する各ドラマの最新話までのネタバレを含みます。

◆眞栄田郷敦/『366日』

記憶障害をテーマにしたドラマが多かった今期ドラマのなかで、繊細な表現が秀逸だと感じたのが『366日』(フジテレビ系)の眞栄田郷敦です。高校時代に恋に落ちた主人公・雪平明日香(広瀬アリス)と12年ぶりに再会。交際することになったのに、不慮の事故により高次脳機能障害になった青年・水野遥斗(はると)を演じました。

高校時代から事故に遭うまでは、活発で優しい好青年だった遥斗。しかし事故で記憶を失ったことに戸惑い、自分に自信がもてず、人が変わってしまったように大人しくなった遥斗。彼の根本にある優しい人柄を感じさせながらも、場面に合わせて完璧に演じ分けた眞栄田の手腕が素晴らしかったです。

ドラマ『エルピス-希望、あるいは災い-』(2022年)における若手ディレクター役の際にも感じましたが、眞栄田は不安定な心情を表現するのが上手い! 特に意識を取り戻して困惑していたなかで、父親とキャッチボールをしながら「お父さん……」と口にしたシーンは印象的でした。8月9日より公開予定の映画『ブルーピリオド』では、1枚の絵に魅せられて国内最難関の美大を目指す主人公を演じます。眞栄田の新たな一面が観られると思うと、今から楽しみです。

◆赤楚衛二/『Re:リベンジ-欲望の果てに-』

『Re:リベンジ-欲望の果てに-』に主演した赤楚衛二の“闇落ちっぷり”も凄まじかった。これまでの出演作では、朝ドラ『舞いあがれ!』で見せた心優しく温和なヒロインの幼馴染役や、『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』での役柄などで、真っ直ぐな好青年のイメージが強かった赤楚。今回は、まったく違う一面を見せてくれました。

巨大な天堂記念病院における権力争いを勝ち抜き、理事まで上りつめた赤楚演じる天堂海斗。理事として病院を守ろうと尽力するも、徐々にその歯車は狂いはじめます。医療過誤を隠ぺいしたり、若手の医師を脅したり、記者時代の後輩の好意を利用したり――正義感の強かった海斗の顔が、どんどん歪んでいくのが分かるほどの豹変ぶりです。こんなにも悪い顔ができたのか! と驚かされました。

7月26日から公開の映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』では、坂本龍馬役で出演。過去の偉人たちが現世で政権を担うという奇抜な設定で、どんな風雲児を赤楚が演じるのか、ワクワクします。

◆中川大志/『95』『滅相も無い』

深夜ドラマでの名演が光ったのは中川大志。1995年の渋谷をがむしゃらに駆け抜けた高校生の物語を描いた『95(キュウゴー)』(テレビ東京系)では、祖父は政治家、父は大病院の経営者という高校生・鈴木翔太郎(通称・翔)を演じました。

主人公・広重秋久(通称:Q/髙橋海人)に大きな影響を与えるカリスマ的存在を、中川は見事に体現。本人はまだ生まれていなかった1995年の空気を確かに纏って、画面のなかでキラキラと輝いていました。第8話ではヒロイン・セイラ(松本穂香)との過去も明かされ、強さだけでなく高校生らしい未熟さや弱さも垣間見せたシーンは印象的。余すところなく翔という人物の魅力を表現していました。

ドラマ『滅相も無い』(MBS毎日放送・TBS系)では一転、怒れない大学生・川端を演じました。日本に突如現れた巨大な“穴”。“穴”に救済を求めて入ろうとする人々が、“穴”に入る前に、互いの人生を語り合うという物語です。中川が演じる川端は、幼少期から周囲に対して「違和感」は覚えるものの、「怒る」に至れない。怒り方がよく分からないという葛藤を吐露します。『95』とは一味違う、中川の繊細な心情表現に引きこまれました。

◆仲野太賀/『季節のない街』『虎に翼』

4人目は、テレビ東京系で放送された宮藤官九郎氏脚本『季節のない街』(昨年ディズニープラスで先行配信)の仲野太賀。

本作は12年前に被災して仮設住宅に身を寄せる人たちを描く群像劇。豪華キャスト陣のなかでも、仲野太賀の演技はひときわ涙を誘いました。仲野が演じたのは、母や幼い姉弟を支えながら暮らす与田タツヤ。タツヤには、お金の無心だけしにくる疫病神のような兄がいます。しかし母はそんな兄を溺愛。第2話で、タツヤが家族のためにコツコツ貯めてきたお金を兄に渡してしまうのです。

母と家族のことを想ってしたことが、母からは受け入れてもらえない。その哀しみと絶望を伝えた“泣き”の感情表現は、まさに仲野の真骨頂! 胸が張り裂けそうになったあのシーン。仲野とともに涙した視聴者は多いのではないでしょうか。

現在放送中の朝ドラ『虎に翼』(NHK総合)でも、ヒロインの夫となる青年・優三を愛らしいキャラクターに仕上げた仲野。いまだに“優三ロス”という方も多いことでしょう。でも大丈夫! 『季節のない街』と同じくクドカン脚本のドラマ『新宿野戦病院』(7月3日スタート/フジテレビ系)では、小池栄子とともに主演を務めるから! 金儲け主義の美容皮膚科医で“チャラくていけすかない典型的な気取り屋”という新タイプの仲野に、期待が高まります。

◆若葉竜也/『アンメット ある脳外科医の日記』

5人目は、この春もっとも話題を集めたといえる俳優・若葉竜也。これまで数多くの映画やドラマに出演してきた若葉ですが、意外と知られていなかったのか「ついに世間に若葉竜也が見つかった」という声も多く聞かれました。『アンメット ある脳外科医の日記』においては、主人公・川内ミヤビ(杉咲花)の同僚で、謎多き脳外科医の三瓶友治を演じました。

若葉は、役の“人間らしさ”を引き出しながらも、主張しすぎず、役を作品に溶け込ませることが秀逸な役者さんです。「医師として優秀だがマイペースの変わり者。謎だらけの男(ドラマ公式サイトのキャラクター解説より)」である三瓶は、一歩間違えると“変人”として目立ちすぎてしまいます。しかし若葉は絶妙なさじ加減で“三瓶先生”の個性を表現し、作品の調和を保っていました。

三瓶は何を考えているのか分からない無表情な場面が多い人物。でも若葉は、その無表情にもシーンによって感情をこめているのが分かります。だからこそ、私たち視聴者は彼に惹きつけられる。何を考えているのか、感じているのか。彼が抱えているであろう孤独や使命感を受け取りたくなるのです。

そして第9話で、自身の兄が重度の障がい者であることを話したとき。泣きながら声を震わせた三瓶の姿に、多くの人が涙したはず。素晴らしい演技で、「春クールのNo.1はやはり若葉」と確信した瞬間でした。「世間に見つかってしまった」若葉ですが、これからも若葉は若葉らしく作品のなかで輝いていくことでしょう。

◆番外編:鈴木亮平/『シティーハンター』

春クールという括りのドラマではありませんが、この春話題を集めたもうひとりの俳優にも触れずにはいられません。それは、同名漫画の実写映画として話題を集めた映画『シティーハンター』(4月25日からNetflixで配信中)で主役・冴羽獠を演じた鈴木亮平です。

原作ファンだけでなく、マンガやアニメを観たことがない人たちからも多くの支持を得た本作。満足度の高い仕上がりになったのは、主演の鈴木の力によるところが大きいと感じます。

もともと徹底した役作りで、カメレオン俳優として名高い鈴木。そして彼は、いつも期待をはるかに上回る完成度で登場するのです。今回の冴羽獠も、まさしく! 息を呑むほど美しいガンアクションに、マッチョ過ぎず原作再現度の高い筋肉。それでいてコミカルな演技は恐ろしいほどハマっている。彼が素晴らしい俳優であることはもちろん知っているのですが、それでも毎回驚かされてしまいます。今回の獠にハートを鷲づかみにされたのは、筆者だけではないはずです。続編やってくれないかな。

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地上波だけでなく配信系のドラマや映画も数多く制作されている昨今。そこで光り輝く名優たちを見逃さないように、これからも俳優ウォッチングを続けていきたいと思います。

<文/鈴木まこと(tricle.ltd)>

【鈴木まこと】
tricle.ltd所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201

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