女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「びっくり体験」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2029年7月13日 記事は取材時の状況)
==========
痴漢はまぎれもなく犯罪。さらに、それにまつわる男性の言動も、女性の心を大きく傷つけていることがあるのです。
現在は結婚して一児の母となっているT美さん。笑顔の明るい穏やかな雰囲気の女性ですが、学生時代は意外にも非常にボーイッシュな服装を好んで着ているタイプだったとか。
「胸が大きいことがコンプレックスで、女性らしいファッションが苦手だったんです。服はダボダボのトレーナーにジーンズばかりでしたね。化粧もほとんどせずにすっぴんでしたし、髪もかなり短いショートカット。どこからどう見ても色気皆無な女子大生でした」
◆ガラガラの電車でも痴漢の被害に…
そんなT美さんを悩ませていたもの。それは痴漢でした。満員電車に乗れば、密着されてお尻を触られることはしばしば。
それどころか、ガラガラの電車で眠っている時に気が付いたらジーンズの上から股間を触られたり、ドアにもたれかかってぼんやりしていたら、トレーナーの下からずぼっと手を入れられたり。通りすがりの男からすれ違いざまに胸を揉まれたこともあるそうです。
「そういえば、電車の座席に座ってる時に、隣に来た男の人が局部を見せつけてきたこともありました。上手いこと手荷物で周囲からガードしてたんで、絶対常習犯だと思います。そういう感じで色んなパターンの痴漢にあってました。毎日というわけではないにしろ、けっこう頻繁(ひんぱん)で辛かったですね」
◆周囲の男性に浴びせられた「絶対に嘘」「ミエを張るなよ」
ですが、T美さんの心を傷つけたのは痴漢だけではありませんでした。T美さんは一切男性受けを意識しないファッションだったせいか、同じサークルの男性たちからも女性として扱われることが少なかったそう。
たまたま、別の女の子が飲み会で痴漢にあった話をした時、T美さんも自分の体験を話したところ、かなり冷ややかな言葉を浴びせられたそうです。
「『それは絶対に嘘』『お前みたいな女に痴漢の食指が動くはずないだろ』って言われたんですよ。まあ、確かに自分は可愛くもキレイでもなかったので、モテない自覚はありましたけど、それとこれとは話は別ですよね。
『ミエを張るなよ』なんて言ってくる人もいました。それ以降、なんだか男の人と話すのが怖くなってしまって男性不信気味になりました」
その男性たちの頭には「痴漢される=女として魅力がある」、なんて図式が存在しているのでしょうか。T美さんはそれ以降、痴漢の被害にあったことを誰にも打ち明けることが出来なくなりました。またあの時のように嘘つき呼ばわりされてしまうのではないかという恐怖心とともに、女性を見た目だけで判断するような言動への嫌悪感もあったと言います。
しかし、それから数年後。T美さんに転機が訪れました。
◆痴漢の話をしたら、怒って心配してくれた男性も
「就職をして仕事関係で知り合った男性とすごく仲良くなったんです。最初は仕事に関する相談をする相手だったんですけど、雑談の中で好きな映画の話でも盛り上がったりして、私としては珍しく2人で飲みに行けるような男友達になりました」
その彼にふと話の流れで、昔痴漢にあった話をしてみたT美さん。すると、彼は痴漢への怒りをあらわにし、T美さんのことを心から心配してくれたそうです。
「ああ、この人は受け流したり茶化したりすることもなく、私のことを考えてくれるんだなって嬉しくなって。結果として、彼とお付き合いすることになりました。2年前に結婚もして子どもも生まれています」
T美さんは痴漢の話を打ち明けられる相手に出会えましたが、今でも一人で悩み苦しみ続ける女性も数多くいると思います。
痴漢は決して許すことのできない犯罪。そのことを忘れず、被害にあった女性をケアできる社会であって欲しいと願います。
<文/もちづき千代子>
【もちづき千代子】
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:@kyan__tama
==========
痴漢はまぎれもなく犯罪。さらに、それにまつわる男性の言動も、女性の心を大きく傷つけていることがあるのです。
現在は結婚して一児の母となっているT美さん。笑顔の明るい穏やかな雰囲気の女性ですが、学生時代は意外にも非常にボーイッシュな服装を好んで着ているタイプだったとか。
「胸が大きいことがコンプレックスで、女性らしいファッションが苦手だったんです。服はダボダボのトレーナーにジーンズばかりでしたね。化粧もほとんどせずにすっぴんでしたし、髪もかなり短いショートカット。どこからどう見ても色気皆無な女子大生でした」
◆ガラガラの電車でも痴漢の被害に…
そんなT美さんを悩ませていたもの。それは痴漢でした。満員電車に乗れば、密着されてお尻を触られることはしばしば。
それどころか、ガラガラの電車で眠っている時に気が付いたらジーンズの上から股間を触られたり、ドアにもたれかかってぼんやりしていたら、トレーナーの下からずぼっと手を入れられたり。通りすがりの男からすれ違いざまに胸を揉まれたこともあるそうです。
「そういえば、電車の座席に座ってる時に、隣に来た男の人が局部を見せつけてきたこともありました。上手いこと手荷物で周囲からガードしてたんで、絶対常習犯だと思います。そういう感じで色んなパターンの痴漢にあってました。毎日というわけではないにしろ、けっこう頻繁(ひんぱん)で辛かったですね」
◆周囲の男性に浴びせられた「絶対に嘘」「ミエを張るなよ」
ですが、T美さんの心を傷つけたのは痴漢だけではありませんでした。T美さんは一切男性受けを意識しないファッションだったせいか、同じサークルの男性たちからも女性として扱われることが少なかったそう。
たまたま、別の女の子が飲み会で痴漢にあった話をした時、T美さんも自分の体験を話したところ、かなり冷ややかな言葉を浴びせられたそうです。
「『それは絶対に嘘』『お前みたいな女に痴漢の食指が動くはずないだろ』って言われたんですよ。まあ、確かに自分は可愛くもキレイでもなかったので、モテない自覚はありましたけど、それとこれとは話は別ですよね。
『ミエを張るなよ』なんて言ってくる人もいました。それ以降、なんだか男の人と話すのが怖くなってしまって男性不信気味になりました」
その男性たちの頭には「痴漢される=女として魅力がある」、なんて図式が存在しているのでしょうか。T美さんはそれ以降、痴漢の被害にあったことを誰にも打ち明けることが出来なくなりました。またあの時のように嘘つき呼ばわりされてしまうのではないかという恐怖心とともに、女性を見た目だけで判断するような言動への嫌悪感もあったと言います。
しかし、それから数年後。T美さんに転機が訪れました。
◆痴漢の話をしたら、怒って心配してくれた男性も
「就職をして仕事関係で知り合った男性とすごく仲良くなったんです。最初は仕事に関する相談をする相手だったんですけど、雑談の中で好きな映画の話でも盛り上がったりして、私としては珍しく2人で飲みに行けるような男友達になりました」
その彼にふと話の流れで、昔痴漢にあった話をしてみたT美さん。すると、彼は痴漢への怒りをあらわにし、T美さんのことを心から心配してくれたそうです。
「ああ、この人は受け流したり茶化したりすることもなく、私のことを考えてくれるんだなって嬉しくなって。結果として、彼とお付き合いすることになりました。2年前に結婚もして子どもも生まれています」
T美さんは痴漢の話を打ち明けられる相手に出会えましたが、今でも一人で悩み苦しみ続ける女性も数多くいると思います。
痴漢は決して許すことのできない犯罪。そのことを忘れず、被害にあった女性をケアできる社会であって欲しいと願います。
<文/もちづき千代子>
【もちづき千代子】
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:@kyan__tama