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『虎に翼』の“絶対選挙に行きたくなる”「3つの名言」。知事選で本当に大切なことは

女子SPA! 2024年7月6日 15時46分

 7月7日に東京都知事選挙、鹿児島県知事選挙の投開票日が控えており、選挙に対する有権者の熱が高まっている。とはいえ、政治への期待感や興味関心が薄れ、投票場に足が向かない人も少なくない。ただ、NHK連続テレビ小説『虎に翼』(月~金曜あさ8時~ほか)の7月1日から始まった第14週「女房百日 馬二十日?」を視聴すると、いかに投票することが必要なのかを感じざるを得なかった。

 日本初の女性弁護士・三淵嘉子氏が主人公のモデルになっており、佐田寅子(伊藤沙莉)が法曹界で奮闘する姿を描いた本作。今週の「女房百日 馬二十日?」では、寅子は初代最高裁長官・星朋彦(平田満)の著書の改稿作業を手伝うことになり、星の息子・航一(岡田将生)と一緒に作業に取り組んだ。

 2日に放送された第67話で、星長官が寅子の恩師・穂高重親(小林薫)に最高裁判事就任を依頼した時の会話を、航一から聞かされる寅子。星長官は「出がらしにだからこそできる役目や、若いやつらに残せることがあるんじゃないかい?」と穂高を説得していたという。それを聞いた寅子は「その時の自分にしかできない役目みたいなものは、確かにあるのかもしれないわ」と話した。

◆「おかしい」と上げた声は、決して消えない

 3日に放送された第68話では、日常的に暴力を振るっていた父親に反撃した結果、父親を殺してしまった男性の判決が話題に。寅子はこの件について弟・直明(三山凌輝)とともに、義姉で親友の花江(森田望智)とその息子直人(琉人)と直治(楠楓馬)、そして寅子の家で一時期お世話になっていた道男(和田庵)へ説明する。

 被告人は一審で情状酌量を汲まれて執行猶予がついたものの、検察は裁判のやり直しを求めて上告。15人中2人の最高裁判事しか裁判のやり直しに反対しなかったため、裁判をやり直す方向に進んでいると話す。直治は裁判のやり直しに違和感を覚えるが「2人なんて、それっぽっちじゃ何も変わらないよ」と不満を口にする。

 ただ、寅子は「そうとも言い切れない」と返答。続けて、「判例は残る。たとえ2人でも、判決が覆らなくても、『おかしい』と声を上げる人の声は決して消えない」「その声がいつか誰かの力になる日がきっと来る。私の声だってみんなの声だって、決して消えることはないわ」と語った。

◆「若いやつらに残せること」投票という役目

 候補者の主張を吟味して投票することは、今若い人たちのためにできる役目と言って良い。そのため、星長官の「若いやつらに残せることがあるんじゃないかい?」というセリフ、寅子の「その時の自分にしかできない役目みたいなものは、確かにあるのかもしれないわ」というセリフは、選挙期間中に聞くと胸に深く刺さる。

 そもそも、『虎に翼』の時代では女性のみに姦通罪が適用されていたり、女性に参政権が与えられていなかったりなど、令和の常識では考えられないいくつもの理不尽があり、それに言及されるシーンが多かった。今では男女関係なく当たり前に参政権が与えられ、姦通罪はそのものが廃止されているが、それは、今ある権利や安全を先人たちが“若いやつら”のために勝ち取ってくれたからに他ならない。寅子たちの奮闘を見ていると嫌というほどわかる。寅子や星長官がそうしてくれたように、より豊かに暮らせる未来を残すため、投票という今できる役目をより一層全うしたくなった。

◆誰かの力になる「はて?」を無視しない

 最期にもう一つ、寅子の口癖「はて?」に触れたい。寅子たちが生きていた時代から約100年経った現在でも、「はて?」と言いたくなることは多い。とりわけ政治に対しては「はて?」が止まらない。とはいえ、“たかが1票”と考え、投票という行為を無駄と考える人は一定数いる。

 それでも、国民は国をより良い方向に進めるように監視して、「おかしい」「はて?」という気持ちは無視せずに声を上げ続けなければいけない。幸いなことに日本では「はて?」を投票という形で表現できる。仮に自分が投票した人が落選したとしても、寅子の言う通りその1票は誰かの力になる日が来るはずだ。

 若い人たちに何かを残すため、「はて?」を政治家に届けるため、いろいろな思いを背負って清き1票を投じたい。

<文/望月悠木>

【望月悠木】
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki

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