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コンビニ大手「スイーツ部門」で“圧倒的に強い2社”。かつてのヒットメーカーが劣勢なワケ

女子SPA! 2024年7月6日 8時44分

 デパ地下レベル、発見。

 食文化研究家のスギアカツキです。『食は人生を幸せにする』をモットーに、食トレンド、スーパーマーケットやスタバ、ダイエットフード、食育などの情報を“食の専門家”として日々発信しています。

 もっとも身近なお菓子屋さんと言えば、コンビニ。毎週新作デザートが登場し、どこに住んでいても季節感やご当地ものなどを手軽に楽しめるようになっていますよね。

 コンビニの業績を見ていくと、2024年2月に発表された各社の決算報告ではいずれも絶好調。その人気を引っ張る存在として、コンビニスイーツはますますレベルアップを重ねています。その実力は、有名パティシエも絶賛するほどの商品まで出てきているようで……。

 そこで今回は、コンビニ大手3店(セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン)の2024年夏の最新コンビニスイーツを徹底的にリサーチ&実食。デパ地下レベル、専門店レベルと言っても過言ではないアイテムがどの店にあったのかご案内してみたいと思います。

◆和菓子は、セブンが圧倒的に強い

●セブンイレブン「あずき香る 水ようかん」213円

 まず和菓子を見ていくと、バリエーションや素材力など総合的に強いのが、セブンイレブン。

 大福、まんじゅう、羊羹、どらやきなど、和菓子の王道アイテムがずらりとそろい、どれも専門店に匹敵するようなおいしさを誇ります。

 中でも驚いたのが、「あずき香る 水ようかん」(213円)。つるりとなめらかな食感や口当たりと小豆本来の香りが際立ち、みずみずしい食べ心地に感動してしまいました。

◆セブンの和菓子は価格もカロリーも控えめ

●セブンイレブン「白きなこの甘み広がる もっちりわらび」(226円)

●セブンイレブン「ひとくちずんだ団子」(181円)

 その他、老舗甘味処に出てきそうな「白きなこの甘み広がる もっちりわらび」(226円)や、東北土産として人気の「ひとくちずんだ団子」(181円)は、コンビニという気軽さを忘れてしまうような特別感を味わえるでしょう。

 食べたときのもっちり感やくちどけ、餡の粒々感まで徹底的に追求している開発姿勢が、圧倒的な強さにつながっています。

 また洋菓子に比べると和菓子の価格帯は、100円台から200円台が主流。価格もカロリーも控えめですから、罪悪感も少なめ。とりあえずセブンに行って、今日はどれにしよう? という悩む楽しさまで体験できるでしょう。

◆洋菓子は、“クリーム”にこだわるファミマが優勢

 洋菓子ジャンルを厳しく見ていくと、セブン以上のハイレベル感に感動したのが、ファミリーマート。

 洋スイーツに欠かせない「生クリーム」のクオリティを上げるべく開発されたのが、「こいうまクリームシリーズ」。専門店品質のクリームを目指して研究を重ね、2種類の生クリームとホイップクリームを独自の配合でブレンド。甘さを控えることですっきりとした味わいのクリームに仕上がっています。

 食べてみると、確かに濃厚さの後にありがちな甘ったるさや重さがありません。

◆ファミマのおすすめ洋菓子3選

●ファミリーマート「クリームがおいしい サクッとみるくクッキーシュー」220円

 同シリーズ3種をすべて実食して一番気に入ったのが、「クリームがおいしい サクッとみるくクッキーシュー」(220円)。コンビニのシュークリームは来店客の心をつかむ王道スイーツであるがゆえに、各店ともに超ハイレベル。

 どのお店であっても満足度の高い味わいは保証されていますが、その先を行く極上感ある食べ心地。生クリームが好きな人はもちろんですが、これまで苦手意識があった人の価値観を揺るがす軽やかさを味わうことができるでしょう。

 そしてもう一つ、コンビニならではの強みとして“ワンハンドで手軽に食べられる”カジュアルさを武器にしているのが、「クリームがおいしい ふわもちクレープ」(338円)。

●ファミリーマート「クリームがおいしい ふわもちクレープ」(338円)

 単に専門店の味を目指すだけではなく、コンビニらしい世界観を生み出して提案することで、おいしさの尺度を広げることに成功しています。

 最後に、洋菓子の中で最近人気になっている「ティラミス」のおいしさを比較してみたところ、ファミマに軍配が上がりました(個人的な好みも含まれます)。

●ファミリーマート「とろけるティラミス~北海道マスカルポーネ使用~」(328円)

 こちらも、濃厚なのに軽やかという、常識を覆すバランス感が見事に表現されています。専門店で500円以上するティラミスが300円台で味わえると思うと、コスパ感は大アリです。

 ちょっと前までは、ファミマのスイーツは“ボリューム勝負”の印象が強かったものの、それを見事に進化させていることに驚きを隠せませんでした。程よいボリューム感の中に本格感が宿るファミマの洋菓子、気になる方はチェックしてみてくださいね!

◆なぜローソンが入らなかったのか?

 最後に、ローソンのスイーツが今回ラインナップされなかった理由についてです。

「ふわ濃チーズケーキ」や「Uchi Café×Milk MILKぎゅっと練乳ロールケーキ」など、もちろん実食しました。

 しかしながら、多くの商品においてローソンでしか味わえない唯一感が薄かったのが正直なところ。プレミアムロールケーキやバスチーなど、コンビニスイーツのヒットメーカー的存在であったにも関わらず、その名残りを継承しすぎるのか、その先の斬新さや勢いを発見することはできませんでした。

 今後はこの状況を覆すような逆転ホームランに期待をしていきたいと思います。

<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>

【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12

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