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サブタイトルにゾッ…暗雲立ち込めた吉高由里子“まひろ”と佐々木蔵之介“宣孝”の夫婦仲|大河ドラマ『光る君へ』26回

女子SPA! 2024年7月7日 15時45分

都を襲う天災。その天災の原因として考えられるのは一条天皇の心の乱れだった。

都を守るため、道長が晴明から受けた助言は「娘の彰子を入内させること」。娘の入内に道長は苦悩する。

一方、夫婦となったまひろと宣孝だが、順風満帆とは言い難い。

◆危機を救うのは自分の娘だったとしたら?

今回のサブタイトルは「いけにえの姫」。なんとも禍々しい。

まひろ(吉高由里子)と宣孝(佐々木蔵之介)が夫婦となり、仲睦まじく過ごしていたころ、都を地震と日食が襲う。

陰陽師・安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)は一条天皇(塩野瑛久)に天文密奏を届ける。これは、異常な天文気象があったときに、観測記録と占星術による解釈をしたもので、天皇しか見ることができない。

天文密奏を見た一条天皇は「朕のせいなのか……」と沈痛な面持ちを見せる。帝のお心が乱れているから、地震と日食が起こった。天皇の責任、重い……。

道長(柄本佑)は晴明に「天変地異はいつまで続くのか」と問う。一条天皇の心の乱れが収まれば、天変地異も収まる。その心の乱れとは定子(高畑充希)に寄せる思いだった。いまは昼でも定子のもとへ通い詰めていること。道長が諫めても、一条天皇が変わる様子はない。

そんな道長に晴明は「左大臣はよきものをお持ちと申しました」と切り出す。それは、道長の娘・彰子(見上愛)のことだった。彰子を入内させれば事態は好転すると言うが、道長は強い拒否感を示す。彰子はまだ子どもで、おとなしく無口な娘だ、と口調を荒げる。パッと彰子についてこういうコメントが出てくるということは、きちんと子どもたちのことも見ているんだろうな、と分かる。道長としては、彰子を入内させたくない。そんな道長が相談しに行った先は詮子(吉田羊)だった。

◆姉の壮絶人生に対し、弟は……

自分の姉であり、一条天皇の母である詮子。「道長もついに血を流すときがきたということよ」と彰子の入内に賛成する。

これまで道長は自分の手を汚すことなく、運よく今の地位を手に入れたと言う彰子。いや、そんなことは……と思ったけれど、確かにそうだ……。そもそも道長本人が自分の手を汚してまで地位を得たいと思っているタイプではないのだから。

ここでの詮子のセリフが強烈だ。

「私は父に裏切られ帝の寵愛を失い息子を中宮に奪われ、兄上に内裏を追われ、失い尽くしながら生きてきた」

なんと凄まじい人生なのか。詮子の人生を考えれば、道長はまだまだ……という話である。

道長は姉にそんなふうに見られていたのかとちょっとしょげるが、大事な弟だからちゃんと見ていたのだとフォローするところも姉らしさ、かもしれない。

しかし、彰子の入内は内々の話の時点でなかなか進まない。倫子(黒木華)が反対しているのだ。入内すれば彰子は不幸になる。大事に育てた娘をどうして、と表情を歪ませる倫子に「これはいけにえだ。手塩にかけた尊い娘ならばこそ、値打ちがある」と道長。

娘を入内させるとなると、自分が権力を得るため、と思ってしまうが、道長が優先しているのはあくまで「国のため」「都のため」だ。その気持ちがやがて倫子を動かすこととなる。

もしかして、道長はずっと国を第一に、自分の地位のことは二の次、三の次で……というスタンスを守り続けるのだろうか。逆に、望んで今の地位に就いたわけではないから、そんなふうに欲がない状態でいられるのかもしれない。

◆一方、まひろと宣孝は……。

最初こそ仲睦まじく過ごしていたまひろと宣孝。しかし、あることをきっかけにふたりの間に暗雲が立ち込める。

宣孝がまひろからの文を持ち歩いてあちこちで見せている、と言い出したのだ。学に優れた女を妻にしたことをみんなに自慢したい、と宣孝は言うが、まひろとしては恥ずかしい話だ。これまでに送った文を返してほしい、それができないなら別れる、と。

怒ったまひろは宣孝を追い返し、ここから宣孝がまひろのもとを訪れることが減った。

さらに、弟の惟規(高杉真宙)から、清水の市でまひろよりもずっと若い女に絹の反物を買ってあげていたという話を聞く。

宣孝は……そういう人だから仕方がない……と思うが、まひろがそれを受け入れられるかというと話は別だ。自分に夢中でいるときはいいが、その心がほかの女に向いたときの気持ちたるや。

別れる別れない、許す許さないという文のやりとりのあとに、宣孝が絹の反物をおみやげに持ってくるが、まひろはつれない。

若い女の子に買ったついでに私にもどうも、と皮肉たっぷりだ。怒っている。それも宣孝は笑って、自分が悪かった、久しぶりなんだからもっと甘えてこないか、と言うが、まひろは「私は殿に甘えたことはございませぬ」とぴしゃり。これに宣孝はカッチーン、ときたようだった。

そういうかわいげのないところに道長も嫌気がさしたのではないか、と意図して地雷を踏みに行く。カッとなったまひろは香炉の灰を投げつけた。宣孝としては「甘えたことがない」という言葉に対してやり返しただけだったのだけれど、まひろにとってそこは触れてほしくはないところだろう……。

◆心が疲弊したときに出会ってしまうふたり

宣孝はすっかりまひろのもとから足が遠のいてしまった。そんなまひろにいと(信川清順)はわびの文を書いてはどうかという。己を貫くばかりではなく、相手を思いやることも大事だと。そうでないと誰とも寄り添えない、と。

そんな話をしたあとに、まひろは石山寺に行くことをいとたちに提案をする。かつて、藤原兼家の妾であった藤原寧子と会った場所だ。そこで妾としての日々を聞いていた。自分の状況を鑑み、考えるところがあったのだろう。

石山寺で、まひろは熱心にお経を唱える。お経を終えて、ホッと息をついたときに人影が。――道長だ。

どうしてこのタイミングで会ってしまうのか!ほんとうにもう!

<文/ふくだりょうこ>

【ふくだりょうこ】
大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ

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