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人間の都合で妊娠・出産を繰り返してきたシーズーを保護。現在の“安心しきった表情”にホッ

女子SPA! 2024年7月17日 15時46分

 ペットショップに並ぶ、無垢な瞳のかわいい子犬たち。しかし、この裏には「繁殖犬」という存在があります。

 人間の商売のために望まない出産を何度も強いられた挙げ句、出産ができなくなった後は「あなたの仕事は終わった」とばかりに放置。満足な世話を受けることなく、何の愛情も感じぬまま過酷な晩年を送るワンちゃんも少なくありません。

 長崎県の繁殖場から2024年5月に保護されることになった1匹のメスのシーズーも、そんな過酷な犬生を強いられていた元繁殖犬です。

 複数回の妊娠・出産を繰り返していたメスのシーズー。ボランティアさんが保護した際、このシーズーはボロボロの毛並みで舌を出しながら思いっきり尻尾を振って、笑顔を見せてくれました。

 しかし、その動作が少し変。後ろ脚を「ヨイショ、ヨイショ」と引きずるようにしながら移動します。

◆動かない後ろ脚でも痛みはない様子

 この「ヨイショ、ヨイショ」の動作から「ヨイちゃん」と名付けられました。しかしその原因はなんなのでしょうか。痛みはなさそうですが、とにかく心配です。

 引き取ることにした福岡県の保護ボランティアチーム、わんにゃんレスキューはぴねすの中村さんは、まずはヨイちゃんを動物病院へ。健康診断を受け、その結果次第では適切な医療処置を施すことにしました。

◆くったくのない笑顔とボロボロの肉体のアンバランスさ

 現在、その診断結果待ちですが、この間もヨイちゃんは中村さんの前でニコニコで甘えてきます。

 くったくのない笑顔を前にすると、人間のほうもつい顔が綻んでしまうほど。でも、ヨイちゃんは薄汚れた毛とボロボロの肉体です。このアンバランスさがなんとも切なくさせます。

「こんなに良い子が、人間の都合で酷使され続けてきたなんて」

「ヨイちゃんの性格の良さに付け込んで、望まぬ出産を強いられたなんて」

 ヨイちゃんが嬉しそうに甘えてきてくれる様子を前に、中村さんは胸が苦しくなりました。

 そこで診断結果を前に、ヨイちゃんのボロボロの毛も綺麗さっぱりトリミング。ヨイちゃんの屈託のない笑顔に負けないくらい綺麗な毛にしてあげました。

◆「良かったらヨイちゃんに」と車椅子が送られた

 中村さんが、ヨイちゃんのエピソードをブログに書いたところ「がんばって生き抜いて」「幸せな余生を送ってほしい」と多くの応援の声が寄せられました。

 そして、その中には後ろ脚の動かないヨイちゃんを思い「良かったら使ってもらえませんか」と、ワンちゃんの車椅子を贈ってくれた人もいました。

 過酷な犬生をおくっていたヨイちゃんですが、中村さんの思いが多くの人たちに伝わり、少しずつ幸せへと向かっていきました。

◆「動かない後ろ脚」も含めて世話してくれる新しい家族に繋ぎたい

 幸いヨイちゃんは、トイレの際、自分でお尻を浮かせ上手に用を足すことができます。

 そして、いかにもシーズーらしい人懐っこい性格。中村さんにだけでなく、どんな人の前でも「遊んで遊んで」「撫でて撫でて」と尻尾を振って甘えてきます。

 中村さんはこんなにかわいいヨイちゃんを救い出せたことを改めて「本当に良かった」とし「後ろ脚は動かないけれど、こんなにかわいいヨイちゃんを幸せへと繋いであげたい。動かない後ろ脚のことも含めて、ヨイちゃんの生涯のお世話をしてくれる人と繋げたい」と言います。

 優しい人間たちの応援を前に、今日も笑顔を浮かべるヨイちゃん。中村さんはその笑顔の時間がさらに長くなるようヨイちゃんをお世話をし続け、里親さんとの出会いを待ち続けています。

<取材・文/デコ女子部>

【デコ女子部】
編集プロダクション・decoの女子部門。30~40代の男女の編集・ライターにより執筆

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