冬場に流行するイメージが強い感染症ですが、夏にも猛威を振るっています! 最近、ニュースで取り上げられることが多い手足口病は、そもそも夏に流行しやすいウイルス性の感染症。新型コロナウイルスも実は感染拡大の傾向にあります。
「子どもが通う保育園で手足口病が流行して心配…」「職場で新型コロナの感染者が出て大変!」といった方も珍しくないようです。今回はそんな感染症の実態と予防法を解説します。
◆短期間に複数回感染する「感染症ドミノ」に要注意!
まずは、こちらのデータをご覧ください。
Q.診察した患者さんの中で、同一患者さんが3か月間(3か月以内)で複数回感染症にかかったケースについてお伺いします。このケースで一番多く感染症にかかった方の回数はどれくらいですか。(n=544)
このデータは、同一の患者が3か月以内で複数回感染症に罹ったケースで、最も多く感染症に罹った回数を医師に聞いたもの。生活者の“健康と暮らし”に関する情報を発信するヒューマン・データ・ラボラトリが実施した、医師544名を対象に「感染症流行の実態」に関するアンケート調査から抜粋しました(※以下のデータも同様です)。
【調査概要】
調査対象者:全国の医師(内科、小児科、耳鼻咽喉科) 544人
調査手法:インターネット調査
調査時期:2024年5月17日~5月22日
短期間での複数回感染は、どのようなパターンが考えられるのでしょうか。アンケート結果で最も多かったのは、「新型コロナ→インフルエンザ」(36.9%)のパターン。次いで「インフルエンザ→新型コロナ」(13.6%)のパターンも多く、「新型コロナ→新型コロナ」(7.4%)、「インフルエンザ→インフルエンザ」(3.9%)と続きます。
このように、短期間に複数回感染する状況は「感染症ドミノ」と呼ばれており、「免疫力の低下が主な原因だと考えられる」そうです。内科医の五藤良将先生が解説します。
「免疫力が低下することで病原体に対抗する力が弱まり、『感染症ドミノ』に陥るリスクが高まります。免疫力が低下する要因としては、過度なストレスが挙げられます。ストレスホルモンであるコルチゾールの増加が免疫機能を抑制し、感染症に対する抵抗力を低下させます。
また、免疫系の調整には睡眠が重要な役割を担っているため、睡眠不足も免疫機能の低下につながります。このほかに、栄養バランスの乱れもビタミンやミネラル、抗酸化物質の不足を招き、免疫機能の低下を引き起こします」
今年は、夏本番になる前から暑くて寝苦しい夜も多く、睡眠時間も短くなってしまいがち。知らず知らずのうちに免疫機能が落ちてしまっているかと思うと恐ろしい……。
◆感染症ドミノのリスクが高まるのは…
そして、感染症の流行は冬に多いイメージがありますが、夏にも「感染症ドミノ」のリスクはあります! 実際、五藤先生も「夏だからといって油断は禁物です」と警告します。
「『感染症ドミノ』は、気温が下がって空気が乾燥し、インフルエンザが流行する冬の時期に最もリスクが高まります。しかし、近年は感染症の流行パターンも変化しており、夏に流行するプール熱や手足口病が5月や6月に増加するなど、季節に関係なく感染症が広がっています。また、直近では、夏を前に沖縄で新型コロナの感染が拡大しています」
たしかに冬に比べて、夏は手洗いやうがいといった感染症対策はつい手を抜きがち……ですが、油断は大敵ですね!
◆医師が考える「感染ドミノを防ぐ有効な手段」
感染ドミノを予防するためには、どのような方法が考えられるのでしょうか。「感染症ドミノ」を防ぐ方法について聞いたところ、62.7%の医師が回答した「免疫機能の維持」が1位に!「睡眠時間の確保」(56.6%)や「バランスのよい食事」(46.3%)、「小まめな手洗い・手指消毒」(36.2%)なども上位にあがりました。
Q.同一患者さんが短期間に複数回感染症に罹患することを防ぐ方法を3つまで教えてください。 (n=544)
五藤先生も「『感染症ドミノ』を予防するためには、何よりまず免疫機能を維持することが重要」と指摘したうえで、こう語ります。
「普段の生活習慣を見直し、バランスの良い食事、十分な睡眠、ストレス管理を心掛けましょう。また、こまめな手洗いや手指消毒も、感染症の拡散を防ぐために大切です。そして、これから迎える暑い夏には、脱水症状によって免疫力低下を招く恐れもあるため、特に水分補給を怠らないようにしてください」
◆免疫機能維持におすすめの食材1位は「ヨーグルト等の乳製品」
五藤先生が教えてくれた通り、免疫機能を維持する方法はバランスの良い食事、十分な睡眠、ストレス管理が考えられます。まずはこれらを見直すといいですが、バランスの良い食事と言っても、何を食べればいいのかがわからない……。
そこで免疫機能を維持するためにおすすめの食材を医師に教えてもらいました。圧倒的な人気で1位に輝いたのは、「ヨーグルト等の乳製品」(59.9%)。なんと、約6割の医師が推奨する結果に! 次いで、「納豆等の発酵食品」(43.8%)、「野菜・果物類」(42.3%)、「肉類」(26.5%)、「きのこ類」(25.7%)、「魚介類」(22.6%)の順となっています。
Q.免疫機能を維持するためにおすすめの食材を教えてください。(複数回答可) (n=544)
「ヨーグルト等の乳製品」は、免疫機能維持のために医師自身が摂ることを心がけている食材の質問でも、72.0%の医師に選ばれてダントツの1位となりました。五藤先生も「ヨーグルト等の乳製品」に太鼓判を押します。
「免疫機能を維持する食材としては、今回の調査結果の通り、私も『ヨーグルト等の乳製品』『野菜・果物』『納豆等の発酵食品』を摂ることを意識しています。特にヨーグルトには、乳酸菌等のプロバイオティクスが含まれており、腸内環境を整え、免疫力を高めます。また、野菜・果物は、ビタミンやミネラル、食物繊維、抗酸化物質が豊富で、免疫機能の維持をサポートします。
バランスのよい食事を意識しながら、先にあげた食材を積極的に摂取することで、免疫機能を維持し、『感染症ドミノ』の予防に努めましょう」
ヨーグルトや納豆など手軽に食べられる食品も積極的に取り入れることも有効な感染症対策のよう。まずは取り入れやすいところから「感染症ドミノ」予防、始めたいと思います!
【医療法人社団五良会 理事長 五藤良将先生】
日本内科学会認定内科医。防衛医科大学校卒業後、防衛医科大学校病院や千葉中央メディカルセンターなどでの勤務を経て、’19年に東京都大田区の竹内内科小児科医院を継承し院長に就任。さらに、横浜のセンター南(五良ファミリークリニック センター南)、’23年には白金高輪(五良会クリニック白金高輪)をオープンし、医療機関のマネジメントにも手腕を振るう。近著に『内臓脂肪 中性脂肪 コレステロールがみるみる落ちる 血液と体の「あぶら」を落とすスープ』(アスコム)がある。
<文/女子SPA!編集部>
【女子SPA!編集部】
大人女性のホンネに向き合う!をモットーに日々奮闘しています。メンバーはコチラ。X:@joshispa、Instagram:@joshispa
「子どもが通う保育園で手足口病が流行して心配…」「職場で新型コロナの感染者が出て大変!」といった方も珍しくないようです。今回はそんな感染症の実態と予防法を解説します。
◆短期間に複数回感染する「感染症ドミノ」に要注意!
まずは、こちらのデータをご覧ください。
Q.診察した患者さんの中で、同一患者さんが3か月間(3か月以内)で複数回感染症にかかったケースについてお伺いします。このケースで一番多く感染症にかかった方の回数はどれくらいですか。(n=544)
このデータは、同一の患者が3か月以内で複数回感染症に罹ったケースで、最も多く感染症に罹った回数を医師に聞いたもの。生活者の“健康と暮らし”に関する情報を発信するヒューマン・データ・ラボラトリが実施した、医師544名を対象に「感染症流行の実態」に関するアンケート調査から抜粋しました(※以下のデータも同様です)。
【調査概要】
調査対象者:全国の医師(内科、小児科、耳鼻咽喉科) 544人
調査手法:インターネット調査
調査時期:2024年5月17日~5月22日
短期間での複数回感染は、どのようなパターンが考えられるのでしょうか。アンケート結果で最も多かったのは、「新型コロナ→インフルエンザ」(36.9%)のパターン。次いで「インフルエンザ→新型コロナ」(13.6%)のパターンも多く、「新型コロナ→新型コロナ」(7.4%)、「インフルエンザ→インフルエンザ」(3.9%)と続きます。
このように、短期間に複数回感染する状況は「感染症ドミノ」と呼ばれており、「免疫力の低下が主な原因だと考えられる」そうです。内科医の五藤良将先生が解説します。
「免疫力が低下することで病原体に対抗する力が弱まり、『感染症ドミノ』に陥るリスクが高まります。免疫力が低下する要因としては、過度なストレスが挙げられます。ストレスホルモンであるコルチゾールの増加が免疫機能を抑制し、感染症に対する抵抗力を低下させます。
また、免疫系の調整には睡眠が重要な役割を担っているため、睡眠不足も免疫機能の低下につながります。このほかに、栄養バランスの乱れもビタミンやミネラル、抗酸化物質の不足を招き、免疫機能の低下を引き起こします」
今年は、夏本番になる前から暑くて寝苦しい夜も多く、睡眠時間も短くなってしまいがち。知らず知らずのうちに免疫機能が落ちてしまっているかと思うと恐ろしい……。
◆感染症ドミノのリスクが高まるのは…
そして、感染症の流行は冬に多いイメージがありますが、夏にも「感染症ドミノ」のリスクはあります! 実際、五藤先生も「夏だからといって油断は禁物です」と警告します。
「『感染症ドミノ』は、気温が下がって空気が乾燥し、インフルエンザが流行する冬の時期に最もリスクが高まります。しかし、近年は感染症の流行パターンも変化しており、夏に流行するプール熱や手足口病が5月や6月に増加するなど、季節に関係なく感染症が広がっています。また、直近では、夏を前に沖縄で新型コロナの感染が拡大しています」
たしかに冬に比べて、夏は手洗いやうがいといった感染症対策はつい手を抜きがち……ですが、油断は大敵ですね!
◆医師が考える「感染ドミノを防ぐ有効な手段」
感染ドミノを予防するためには、どのような方法が考えられるのでしょうか。「感染症ドミノ」を防ぐ方法について聞いたところ、62.7%の医師が回答した「免疫機能の維持」が1位に!「睡眠時間の確保」(56.6%)や「バランスのよい食事」(46.3%)、「小まめな手洗い・手指消毒」(36.2%)なども上位にあがりました。
Q.同一患者さんが短期間に複数回感染症に罹患することを防ぐ方法を3つまで教えてください。 (n=544)
五藤先生も「『感染症ドミノ』を予防するためには、何よりまず免疫機能を維持することが重要」と指摘したうえで、こう語ります。
「普段の生活習慣を見直し、バランスの良い食事、十分な睡眠、ストレス管理を心掛けましょう。また、こまめな手洗いや手指消毒も、感染症の拡散を防ぐために大切です。そして、これから迎える暑い夏には、脱水症状によって免疫力低下を招く恐れもあるため、特に水分補給を怠らないようにしてください」
◆免疫機能維持におすすめの食材1位は「ヨーグルト等の乳製品」
五藤先生が教えてくれた通り、免疫機能を維持する方法はバランスの良い食事、十分な睡眠、ストレス管理が考えられます。まずはこれらを見直すといいですが、バランスの良い食事と言っても、何を食べればいいのかがわからない……。
そこで免疫機能を維持するためにおすすめの食材を医師に教えてもらいました。圧倒的な人気で1位に輝いたのは、「ヨーグルト等の乳製品」(59.9%)。なんと、約6割の医師が推奨する結果に! 次いで、「納豆等の発酵食品」(43.8%)、「野菜・果物類」(42.3%)、「肉類」(26.5%)、「きのこ類」(25.7%)、「魚介類」(22.6%)の順となっています。
Q.免疫機能を維持するためにおすすめの食材を教えてください。(複数回答可) (n=544)
「ヨーグルト等の乳製品」は、免疫機能維持のために医師自身が摂ることを心がけている食材の質問でも、72.0%の医師に選ばれてダントツの1位となりました。五藤先生も「ヨーグルト等の乳製品」に太鼓判を押します。
「免疫機能を維持する食材としては、今回の調査結果の通り、私も『ヨーグルト等の乳製品』『野菜・果物』『納豆等の発酵食品』を摂ることを意識しています。特にヨーグルトには、乳酸菌等のプロバイオティクスが含まれており、腸内環境を整え、免疫力を高めます。また、野菜・果物は、ビタミンやミネラル、食物繊維、抗酸化物質が豊富で、免疫機能の維持をサポートします。
バランスのよい食事を意識しながら、先にあげた食材を積極的に摂取することで、免疫機能を維持し、『感染症ドミノ』の予防に努めましょう」
ヨーグルトや納豆など手軽に食べられる食品も積極的に取り入れることも有効な感染症対策のよう。まずは取り入れやすいところから「感染症ドミノ」予防、始めたいと思います!
【医療法人社団五良会 理事長 五藤良将先生】
日本内科学会認定内科医。防衛医科大学校卒業後、防衛医科大学校病院や千葉中央メディカルセンターなどでの勤務を経て、’19年に東京都大田区の竹内内科小児科医院を継承し院長に就任。さらに、横浜のセンター南(五良ファミリークリニック センター南)、’23年には白金高輪(五良会クリニック白金高輪)をオープンし、医療機関のマネジメントにも手腕を振るう。近著に『内臓脂肪 中性脂肪 コレステロールがみるみる落ちる 血液と体の「あぶら」を落とすスープ』(アスコム)がある。
<文/女子SPA!編集部>
【女子SPA!編集部】
大人女性のホンネに向き合う!をモットーに日々奮闘しています。メンバーはコチラ。X:@joshispa、Instagram:@joshispa