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『寄生獣』作者の“超能力マンガ”実写化!熱狂的ファン多数でプレッシャーの中、22歳主演俳優の自信のほどは?

女子SPA! 2024年7月18日 15時45分

4歳から活動をはじめ、19年の映画『町田くんの世界』の主演で、一気に注目と評価を受けた細田佳央太さん(22歳)。

2021年の日曜劇場『ドラゴン桜』(TBS)で昆虫が大好きな原健太役も印象に残しました。昨年のNHK大河ドラマ『どうする家康』や、放送中のドラマ『あの子の子ども』(関西テレビ・フジテレビ)も話題を集めるなど、順調にキャリアを歩んでいます。

7月4日からは、主演ドラマ『七夕の国』(ディズニープラス)の独占配信がスタートした細田さんにインタビュー。誠実な細田さんの人柄が伝わってきました。

◆熱狂的ファンがいる原作の実写化にも自信は「ちゃんとある」

――『七夕の国』の原作は、『寄生獣』で知られる漫画家・岩明均さんが、1996年から1999年にかけて不定期連載した伝説の同名SFコミック。細田さんは、物に触れずにあらゆるものに、小さな穴をあけるという“超能力”を持った大学生・南丸洋二(ナン丸)を演じています。原作の熱狂的なファンも多い作品ですが、細田さんは2001年生まれ。プレッシャーもあとからじわじわきているのでは。

細田佳央太さん(以下、細田さん)「オファーをいただいてから原作と脚本を読ませていただきました。映像化する際には、舞台を現代に移していますが、原作の内容に沿っているので、脚本を読んでも違和感はありませんでした。実写化の情報解禁が撮り終わった後だったので、プレッシャーに関しては、その時に実感しましたね。

撮影中に情報解禁されていたら、もしかしたら緊張することもあったかもしれないです。でも少なくとも、できたものに対して、自信があるかと聞かれたら、ちゃんとあるので。それだけ素晴らしい監督やキャストのみなさん、スタッフのみなさんに囲まれてできた作品。それだけで大丈夫だと思っています」

◆撮影初日から、主人公の特徴的な雄叫びを20回

――序盤からナン丸の「ちょわああ!!」が飛び出しました。※ナン丸が物体に小さな穴を空ける“超能力”を使う際に発する渾身(こんしん)の雄叫び。

細田「“ちょわああ!!”(笑)に関しては、原作から口の形を真似しました。最初の本読みのときは、もっと声を高めにして、周りがビックリして引くくらいの感じでやっていたんです。でも監督から“普通でいいんじゃないかな”とアドバイスをいただいて、普通の声で全力を出して、ガソリンが切れるみたいな感じにしました。

最初の“ちょわああ!!”をやった日がクランクインで、テストを含めて20回くらいの“ちょわああ!!”をやりました(笑)」

◆人は能力を手に入れたときに本質を問われる

――ナン丸はやがて怪奇事件の真相解明に巻き込まれていきますが、彼のことを「強い人」だと感じますか?

細田「思います。間違いなく。人は、こうした“使い方によってはどうにでもなる能力”を手にしたときに、本質が問われるというか、追い込まれたときに本音が出ると思うんです。そうしたなかで、最終回であの選択ができたナン丸はすごく強いと思います。でもそれもきっと、彼がいったんつまずいたから気づけたのだとも思います」

――細田さん自身の“強み”を教えてください。人から言われて嬉しかった強みでも。

細田「僕は自分に“強み”を感じたことはないです。シンプルに、“不器用”というのは、言われて嬉しかった言葉ではありますけど」

◆自分は不器用。でも器用じゃなくてよかった

――「不器用」と言われて嬉しかった?

細田「はい。自覚しているのですが、僕は器用な人間じゃないんです。事務所のレッスンも、小学校とか小さいころからずっとやってきていて、ずっと“不器用だね”と言われてきました。

自分の性格上、器用だと、いろんなことを“こなして”過ごしていきかねないんです。それは危ないなと。天狗になりやすい危険性があるというか。器用だったら、8割程度でもいろんなことをできちゃって、それを繰り返して、結局は成長しなくなってしまうんじゃないかなと」

――不器用だからこそ、こつこつと成長していけると。

細田「そうですね。だから自分の性格としては、器用じゃなくてよかったと。だから“不器用だよね”と言われて嬉しかったんです。不器用だからこそ、一生懸命やらないとスタートラインにも立てなかったんですが」

◆世の中に当たり前ってない。この取材だって当たり前なことじゃない

――そこで腐らないのが偉いです。

細田「そもそも役者というのは人それぞれ。もちろん負けたくないという思いはあります。ライバル意識だってある。でも僕はほかの人より自分ができると思ったことはないし、基本、自分より芝居がうまい人しかいないと思っている。そこで卑屈にならなかったのは強みかもしれませんが、それは出会いに恵まれているからだと思います。人にしても作品にしても」

――不器用だとのことですが、細田さんは、いつもしっかりしている印象です。合同でお話を聞く際には、わざわざ体の向きを変えて、取材相手の目をまっすぐ見てお話する姿がとても印象に残っています。それは細田さんにとって当たり前なこと、無意識の行動なのでしょうか。

細田「世の中に、当たり前はないと思います。たとえばこうした取材も、わざわざ聞きに来てくださっているんですよね。それって当たり前のことじゃない。それに対して、ひとつの姿勢としてちゃんと向き合ってお答えしたいんです。背もたれに寄りかかって足を組んでとかって、ないですよね。僕はそういうのは、自分として好きじゃないんです」

◆大きな影響を与えられた出会い

――自分の考えがしっかりあって、分析もできているんですね。

細田「自分を俯瞰で見られるようにはしています。お芝居がどうこうの前に、自分がどういう人間なのか。それから、人の感情というものは、どう変わっていくのか。いま何が必要とされていて、それはなぜ必要とされているのか。そういったことを、自分のなかでちゃんと考えて、答えを持っていたいと思っています」

――そうしたことを考えるようになったきっかけは、何かありますか?

細田「『町田くんの世界』で石井裕也監督と出会ったことだと思います。何かを言われたというより、石井監督と過ごした時間ですね。なぜいま『町田くんの世界』が必要なのか、必要とされているのか。意味や意義、熱量も含めて、石井監督が、そういったことをすごく大切にされているのを、感じられたのがすごく大きかったです」

――最後にあらためて、『七夕の国』のような大作の主演を務めたことへの思いをひと言お願いします。

細田「間違いなく恵まれていると思います。22歳という年齢で、大きなプラットフォームのひとつであるディズニープラスで、CGやVFXをたくさん使った映像のなか、ステキなキャスト、スタッフ、監督のみなさんと一緒にお仕事ができた。しかも真ん中に立たせてもらったというのは、本当に恵まれた経験をしている自信があります。出来上がった作品を、早くみなさんに楽しんでもらいたい気持ちです」

(C)2024 岩明均 / 小学館 / 東映

原作:岩明均「七夕の国」(小学館刊)

『七夕の国』(全10話)はディズニープラス「スター」で独占配信中

【作品概要】

「寄生獣」岩明均の怪作を、『ガンニバル』のディズニープラスが実写化。ある日、ビルや人が、謎の“球体”にまるくエグられた——。この怪事件の真相を追い、役に立たない“超能力”をもつ平凡な大学生ナン丸は閉鎖的なある町を訪れるが、そこで自分がこの町に先祖をもつ “球体を操る能力者”だと知る。町に隠された3つの謎〈季節はずれの七夕祭り 町民だけが見る悪夢 丸神一族の掟〉は何を意味するのか? さらに、巨大な球体を操る男が、ナン丸の運命を大きく狂わせ、すべての謎は一つの衝撃的な答えに導かれていく…。この夏、日常をエグる、不気味な超常ミステリーが始まる。

<取材・文・撮影/望月ふみ>

【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi

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