『わたし史上最高のおしゃれになる!』『お金をかけずにシックなおしゃれ』などの著書があるファッションブロガー小林直子さんが、愛用しているアイテムをご紹介します。
◆ファッション情報が無料で見放題の今
インターネットに簡単にアクセスできる前、各都市のコレクション情報はファッション誌や繊研新聞を買わないと部外者が知ることはできませんでしたが、今はYouTubeやインスタグラムにおいて、ほぼ無料で見放題。
ことファッションの情報に関して言えば、昔と比べて大変アクセスしやすくなりました。しかもアクセスしやすくなったのは情報だけではありません。なんと大学のファッション関連の講座までネットで、しかも無料で受講できるのです。
去年、たまたまハーバード大学とマサチューセッツ工科大学が共同で設立したedXという、オンライン上で学べる教育プラットフォームを見つけました。コースを眺めてみると、数多くはありませんが、ファッションのコースもあるではないですか。
私はその中でも特に興味があった、オランダの大学が提供するサーキュラーファッションのコースを受講することにしました。受けるだけで、修了証が要らないのなら無料です。
◆捨てるのではなくリサイクルする循環作り
内容は、現在のファッション産業の現状と問題点、リニアファッション(線型ファッション)からサーキュラーファッション(循環型ファッション)への転換の必要性と、ファッション産業全体の具体的な取り組み、個人としてどのようにサーキュラーファッションに取り組めばいいのか、というものでした。
リニアファッションとは、原材料から製品になり、消費者にわたって、最後捨てるという一方通行で終わるもの。それに対してサーキュラーファッションとは、原材料から製品、消費者にわたり、捨てるのではなくリサイクルする循環を作るファッションです。
このコースでは、現在、ファッション業界の大量生産、大量廃棄、そして特に近年では1枚の服が短い期間ですぐに捨てられることが大変問題になっていること、そしてこれらは気候変動や労働環境に悪影響をもたらしているという現状から、サーキュラーファッションへの転換が急務であるということが統計を使って明らかにされます。
受講生はまず、モジュールごとに講義の動画を見たり、資料を読みます。その後、出された質問に答えたり、自分の現在の状況を振り返ったり、サーキュラーファッションへどのように関与していけばいいのかについて、アイデアを記入しなければなりません。
その中で、「自分のワードローブを点検してみましょう」という課題がありました。自分が現在持っているワードローブの枚数や、どのような経緯で手に入れたかの点検です。
この課題、私は一枚を長く大切に着ているし、自分では着られないほどたくさん持っているわけでもないし、楽勝ね、などと考えていたのですが、記入欄を見て、はっとしました。自分が手に入れた経緯に関するチェック欄は「新品」と「セカンドハンド(中古品)」に分かれていたのです。
◆ラルフ・ローレンの素敵なチュニックが!
新品とセカンドハンドに分けて自分のワードローブを記入していくと、まだまだ私のセカンドハンド率が低いことは歴然としていました。
そのときまでの私は、新しくワードローブに何かを付け加えるときは「まずはセカンドハンドから選ぶ」という行動までには至っていなかったのです。このコースでは、すべて新品で買う人よりも、セカンドハンドを多く取り入れている人のほうが高く評価されます。
コースの受講が終わって反省した私は、これからはまず、「セカンドハンドでないか探してみてから新品を選ぶ」を徹底することを決心。とりあえず欲しかったチュニックを、近所のセカンドハンドのショップで探しました。
そうしたら、あるではないですか、素敵なラルフローレンの白いチュニックが!
◆マーガレット・ハウエルもセカンドハンドを取り扱い
引き続きセカンドハンドについて調べてみると、もう既にセカンドハンドを取り扱っているブランドがあることもわかりました。
パタゴニアは昔から有名ですが、現在、衣料ではマーガレット・ハウエル、そして靴ではJ.M.WESTONが、セカンドハンド品を実店舗や通販で扱っています。さすがに世界的なブランドです。最先端の考えを取り入れています。
また同時に、私の周囲の方々にもブログやレッスンを通して、より一層、セカンドハンドの取り入れを呼びかけました。その結果、何が起こったのか。
◆新品では手に入れられないような憧れのブランドが…
それは私が毎年11月に開催する絵画鑑賞会でのことでした。そこに集まったメンバーがすごかった。ほかでは見ないような、それぞれ違う格好の素敵なメンバーが集まったのです。
参加者の皆さんに聞くと、新品では手に入れられないような憧れのブランドのセカンドハンドを探して手に入れたとのこと。
皆さん、古びれていないデザインのセカンドハンドと、新しいものとをうまく組み合わせて着る、まるでVogue誌でヴィンテージについての記事も書いている、イラストレーターのジェニー・ウォルトンのようでした。
サーキュラーファッション実践のためにセカンドハンドを取り入れること。それは地球環境のためにもいい、そしてみんなも素敵になれる。今すべての人にお勧めできることなのです。
<文/小林直子>
【小林直子】
ファッション・ブロガー。大手ブランドのパターンナー、大手アパレルの企画室を経て独立。現在、ファッション・レッスンなどの開催や、ブログ『誰も教えてくれなかったおしゃれのルール』などで活躍中。著書『わたし史上最高のおしゃれになる!』など。
◆ファッション情報が無料で見放題の今
インターネットに簡単にアクセスできる前、各都市のコレクション情報はファッション誌や繊研新聞を買わないと部外者が知ることはできませんでしたが、今はYouTubeやインスタグラムにおいて、ほぼ無料で見放題。
ことファッションの情報に関して言えば、昔と比べて大変アクセスしやすくなりました。しかもアクセスしやすくなったのは情報だけではありません。なんと大学のファッション関連の講座までネットで、しかも無料で受講できるのです。
去年、たまたまハーバード大学とマサチューセッツ工科大学が共同で設立したedXという、オンライン上で学べる教育プラットフォームを見つけました。コースを眺めてみると、数多くはありませんが、ファッションのコースもあるではないですか。
私はその中でも特に興味があった、オランダの大学が提供するサーキュラーファッションのコースを受講することにしました。受けるだけで、修了証が要らないのなら無料です。
◆捨てるのではなくリサイクルする循環作り
内容は、現在のファッション産業の現状と問題点、リニアファッション(線型ファッション)からサーキュラーファッション(循環型ファッション)への転換の必要性と、ファッション産業全体の具体的な取り組み、個人としてどのようにサーキュラーファッションに取り組めばいいのか、というものでした。
リニアファッションとは、原材料から製品になり、消費者にわたって、最後捨てるという一方通行で終わるもの。それに対してサーキュラーファッションとは、原材料から製品、消費者にわたり、捨てるのではなくリサイクルする循環を作るファッションです。
このコースでは、現在、ファッション業界の大量生産、大量廃棄、そして特に近年では1枚の服が短い期間ですぐに捨てられることが大変問題になっていること、そしてこれらは気候変動や労働環境に悪影響をもたらしているという現状から、サーキュラーファッションへの転換が急務であるということが統計を使って明らかにされます。
受講生はまず、モジュールごとに講義の動画を見たり、資料を読みます。その後、出された質問に答えたり、自分の現在の状況を振り返ったり、サーキュラーファッションへどのように関与していけばいいのかについて、アイデアを記入しなければなりません。
その中で、「自分のワードローブを点検してみましょう」という課題がありました。自分が現在持っているワードローブの枚数や、どのような経緯で手に入れたかの点検です。
この課題、私は一枚を長く大切に着ているし、自分では着られないほどたくさん持っているわけでもないし、楽勝ね、などと考えていたのですが、記入欄を見て、はっとしました。自分が手に入れた経緯に関するチェック欄は「新品」と「セカンドハンド(中古品)」に分かれていたのです。
◆ラルフ・ローレンの素敵なチュニックが!
新品とセカンドハンドに分けて自分のワードローブを記入していくと、まだまだ私のセカンドハンド率が低いことは歴然としていました。
そのときまでの私は、新しくワードローブに何かを付け加えるときは「まずはセカンドハンドから選ぶ」という行動までには至っていなかったのです。このコースでは、すべて新品で買う人よりも、セカンドハンドを多く取り入れている人のほうが高く評価されます。
コースの受講が終わって反省した私は、これからはまず、「セカンドハンドでないか探してみてから新品を選ぶ」を徹底することを決心。とりあえず欲しかったチュニックを、近所のセカンドハンドのショップで探しました。
そうしたら、あるではないですか、素敵なラルフローレンの白いチュニックが!
◆マーガレット・ハウエルもセカンドハンドを取り扱い
引き続きセカンドハンドについて調べてみると、もう既にセカンドハンドを取り扱っているブランドがあることもわかりました。
パタゴニアは昔から有名ですが、現在、衣料ではマーガレット・ハウエル、そして靴ではJ.M.WESTONが、セカンドハンド品を実店舗や通販で扱っています。さすがに世界的なブランドです。最先端の考えを取り入れています。
また同時に、私の周囲の方々にもブログやレッスンを通して、より一層、セカンドハンドの取り入れを呼びかけました。その結果、何が起こったのか。
◆新品では手に入れられないような憧れのブランドが…
それは私が毎年11月に開催する絵画鑑賞会でのことでした。そこに集まったメンバーがすごかった。ほかでは見ないような、それぞれ違う格好の素敵なメンバーが集まったのです。
参加者の皆さんに聞くと、新品では手に入れられないような憧れのブランドのセカンドハンドを探して手に入れたとのこと。
皆さん、古びれていないデザインのセカンドハンドと、新しいものとをうまく組み合わせて着る、まるでVogue誌でヴィンテージについての記事も書いている、イラストレーターのジェニー・ウォルトンのようでした。
サーキュラーファッション実践のためにセカンドハンドを取り入れること。それは地球環境のためにもいい、そしてみんなも素敵になれる。今すべての人にお勧めできることなのです。
<文/小林直子>
【小林直子】
ファッション・ブロガー。大手ブランドのパターンナー、大手アパレルの企画室を経て独立。現在、ファッション・レッスンなどの開催や、ブログ『誰も教えてくれなかったおしゃれのルール』などで活躍中。著書『わたし史上最高のおしゃれになる!』など。