毎週水曜日よる10時から放送されている『新宿野戦病院』（フジテレビ）に出演する仲野太賀が、過去最高にイケてる。
何せ本作は仲野にとって、朝ドラ『虎に翼』（NHK総合）後一発目の作品なのである。そりゃ注目が集まるのは当然。
イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、本作の仲野太賀について解説する。
◆贅沢な声だけの出演
気象研究官とSDM（特別災害対策本部）の奮闘を描いた『ブルーモーメント』（フジテレビ、2024年）最終話ラスト、山下智久扮する主人公たちが屋上に集まる。本部からの情報をキャッチ。何だか聞き覚えがある声。よーく耳を澄ませると……。
小池栄子と仲野太賀だ。何でまたこのふたりなのかと思ったら、『ブルーモーメント』の次クールに同じ水曜日10時枠で放送される『新宿野戦病院』のW主演が、仲野と小池だから。
次回放送作品へのちょっとした目配せ的なギミックとしてはなんとも贅沢な声だけの出演。でもそれだけに『新宿野戦病院』への期待値は、おのずと高まってくる。
◆仲野太賀と岡部たかしの組み合わせ
歌舞伎町で三代続く聖まごころ病院には、毎晩ワケありな人々が担ぎ込まれてくる。それこそ山下智久主演の代表作『コード・ブルー-ドクターヘリ救急救命-』シリーズ（フジテレビ）のような救急救命医の物語かと想像するが、この病院の医師たちは揃ってろくでもない。
決して人命を軽く扱っているわけではないのだけれど、外科医不在の同院の医師たちは、とにかくやる気がない。美容皮膚科医・高峰享（仲野太賀）は、院長・高峰啓介（柄本明）の甥で、愛車は自慢のポルシェ。港区女子とのギャラ飲みとビジネスにしか興味がない人。
内科・小児科医の横山勝幸（岡部たかし）も享のギャラ飲み話に興味津々。ヤブどころかバカ医者の集まり。でも待てよ、仲野太賀と岡部たかしの組み合わせだと、朝ドラ『虎に翼』でついこの間まで共演していた。
◆『虎に翼』後一発目の作品
そう、『新宿野戦病院』は、仲野にとっては大健闘した『虎に翼』後一発目の出演作品なのだ。同作の主人公・佐田寅子（伊藤沙莉）の父・猪爪直言（岡部たかし）、夫・佐田優三（仲野太賀）を演じたふたりが、早くも再共演した作品でもある。
もっと言うと、寅子が法律を学んだ明律大学の学友・竹原梅子を演じている平岩紙が、『ブルーモーメント』から2クール連続で出演してもいる。『虎に翼』メンバーがうまい具合に揃うというのは、目配せを超えてるんじゃないか？
ともあれ、期待値はさらに高まる。するとちゃんと仲野が視聴者を第1話冒頭から魅了してくれる。享と彼の父・高峰啓三（生瀬勝久）が、院内で朝食をとる場面。濃紺シャツをパリッと着こなす仲野が何だかやけにカッコいい……。
◆過去最高にイケてる瞬間
『虎に翼』の優三役が周囲を和ませるためにおどけ倒していたように、仲野は基本的に三枚目が似合う俳優だと思う。もちろん本人は二枚目だが、そこはあえて三枚目に寄せながら、ときにちょっとだけ二枚目にもなったり。
微調整を繰り返す揺れ動き方が仲野の演技の特徴なのだが、『新宿野戦病院』の朝食場面での彼は、胡散臭い美容皮膚科医というコミカルな役柄自体は完全に三枚目、でもはっきり二枚目感を打ち出してもいる。
前夜に担ぎ込まれてきた謎の元軍医・ヨウコ・ニシ・フリーマン（小池栄子）が目を覚ましたと聞いて「あの野郎」と動き出した瞬間、二枚目モードがバチッと入ったような気がした。それは、仲野太賀が過去最高にイケてる瞬間だと思う。
◆仲野太賀・第3期の幕開け
仲野太賀、31歳。俳優としてほんとうに脂がのってきた頃合い。2019年、太賀から仲野太賀への改名のタイミングが第2期だったとするなら、『虎に翼』を経た『新宿野戦病院』は、新たに第3期として区分出来る。
三枚目成分を煎じ詰めて飲み干したような二枚目の時期とでも言えばいいだろうか？ 二枚目と三枚目をうまく使い分けながら、過去一イケてる仲野の姿は、第3期の幕開けに相応しい。
公式サイトによると7月17日放送の第3話では、病院の権利を狙う啓三と結託して、享は月曜日限定の美容整形クリニックを開業する。啓三の財力を駆使して派手な宣伝。歌舞伎町らしいアピールポイントなのか、ホストクラブに体験入店まで。今の仲野太賀にはこれくらいぶっ飛んだ役柄がちょうどいいのかもしれない。
＜文／加賀谷健＞
【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter：@1895cu
何せ本作は仲野にとって、朝ドラ『虎に翼』（NHK総合）後一発目の作品なのである。そりゃ注目が集まるのは当然。
イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、本作の仲野太賀について解説する。
◆贅沢な声だけの出演
気象研究官とSDM（特別災害対策本部）の奮闘を描いた『ブルーモーメント』（フジテレビ、2024年）最終話ラスト、山下智久扮する主人公たちが屋上に集まる。本部からの情報をキャッチ。何だか聞き覚えがある声。よーく耳を澄ませると……。
小池栄子と仲野太賀だ。何でまたこのふたりなのかと思ったら、『ブルーモーメント』の次クールに同じ水曜日10時枠で放送される『新宿野戦病院』のW主演が、仲野と小池だから。
次回放送作品へのちょっとした目配せ的なギミックとしてはなんとも贅沢な声だけの出演。でもそれだけに『新宿野戦病院』への期待値は、おのずと高まってくる。
◆仲野太賀と岡部たかしの組み合わせ
歌舞伎町で三代続く聖まごころ病院には、毎晩ワケありな人々が担ぎ込まれてくる。それこそ山下智久主演の代表作『コード・ブルー-ドクターヘリ救急救命-』シリーズ（フジテレビ）のような救急救命医の物語かと想像するが、この病院の医師たちは揃ってろくでもない。
決して人命を軽く扱っているわけではないのだけれど、外科医不在の同院の医師たちは、とにかくやる気がない。美容皮膚科医・高峰享（仲野太賀）は、院長・高峰啓介（柄本明）の甥で、愛車は自慢のポルシェ。港区女子とのギャラ飲みとビジネスにしか興味がない人。
内科・小児科医の横山勝幸（岡部たかし）も享のギャラ飲み話に興味津々。ヤブどころかバカ医者の集まり。でも待てよ、仲野太賀と岡部たかしの組み合わせだと、朝ドラ『虎に翼』でついこの間まで共演していた。
◆『虎に翼』後一発目の作品
そう、『新宿野戦病院』は、仲野にとっては大健闘した『虎に翼』後一発目の出演作品なのだ。同作の主人公・佐田寅子（伊藤沙莉）の父・猪爪直言（岡部たかし）、夫・佐田優三（仲野太賀）を演じたふたりが、早くも再共演した作品でもある。
もっと言うと、寅子が法律を学んだ明律大学の学友・竹原梅子を演じている平岩紙が、『ブルーモーメント』から2クール連続で出演してもいる。『虎に翼』メンバーがうまい具合に揃うというのは、目配せを超えてるんじゃないか？
ともあれ、期待値はさらに高まる。するとちゃんと仲野が視聴者を第1話冒頭から魅了してくれる。享と彼の父・高峰啓三（生瀬勝久）が、院内で朝食をとる場面。濃紺シャツをパリッと着こなす仲野が何だかやけにカッコいい……。
◆過去最高にイケてる瞬間
『虎に翼』の優三役が周囲を和ませるためにおどけ倒していたように、仲野は基本的に三枚目が似合う俳優だと思う。もちろん本人は二枚目だが、そこはあえて三枚目に寄せながら、ときにちょっとだけ二枚目にもなったり。
微調整を繰り返す揺れ動き方が仲野の演技の特徴なのだが、『新宿野戦病院』の朝食場面での彼は、胡散臭い美容皮膚科医というコミカルな役柄自体は完全に三枚目、でもはっきり二枚目感を打ち出してもいる。
前夜に担ぎ込まれてきた謎の元軍医・ヨウコ・ニシ・フリーマン（小池栄子）が目を覚ましたと聞いて「あの野郎」と動き出した瞬間、二枚目モードがバチッと入ったような気がした。それは、仲野太賀が過去最高にイケてる瞬間だと思う。
◆仲野太賀・第3期の幕開け
仲野太賀、31歳。俳優としてほんとうに脂がのってきた頃合い。2019年、太賀から仲野太賀への改名のタイミングが第2期だったとするなら、『虎に翼』を経た『新宿野戦病院』は、新たに第3期として区分出来る。
三枚目成分を煎じ詰めて飲み干したような二枚目の時期とでも言えばいいだろうか？ 二枚目と三枚目をうまく使い分けながら、過去一イケてる仲野の姿は、第3期の幕開けに相応しい。
公式サイトによると7月17日放送の第3話では、病院の権利を狙う啓三と結託して、享は月曜日限定の美容整形クリニックを開業する。啓三の財力を駆使して派手な宣伝。歌舞伎町らしいアピールポイントなのか、ホストクラブに体験入店まで。今の仲野太賀にはこれくらいぶっ飛んだ役柄がちょうどいいのかもしれない。
＜文／加賀谷健＞
【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter：@1895cu