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映画『キングダム』に女性もハマる「4つの理由」。“人気俳優の出演”だけじゃない

女子SPA! 2024年7月20日 8時44分

7月12日の公開から3連休を含めた4日間で、興行収入22億円を突破した映画『キングダム 大将軍の帰還』。2019年から始まった劇場版『キングダム』の第4弾であり〈シリーズ最終章〉です。筆者もさっそく公開日に鑑賞して、大号泣。

実はもともと、原泰久氏の原作漫画『キングダム』の人気を知っても「歴史が苦手で、中国の歴史にも興味がない自分にはどうせ楽しめない」「春秋戦国時代とか戦闘ものとか共感できなそう」などと思っていた筆者。

しかし第1弾の映画『キングダム』でその世界に魅了され、第2弾の鑑賞後に我慢できず漫画を全巻大人買い。昔の自分を殴りたくなるほど、面白くてハマりました。

筆者のように映画から入った人からもともとの原作好きまで、女性のファンも多くもつ『キングダム』シリーズ。実際、筆者の訪れた映画館では幅広い年齢層の女性が観客の3分の1を占めており、グッズ売り場も盛況でした。登場人物にまつわる会話が盛り上がっていたグループには、つい話に入りたくなるほど!

今回は『キングダム』がどうしてここまで女性の心を掴むのか、その理由を考察してみました。

※本記事には、劇場版『キングダム』第1~3弾の内容と、第4弾「予告編」の範囲までのネタバレを含みます。

◆逆境に立たされた少年たちの成長を目の当たりに

舞台は紀元前の中国・秦。天下の大将軍になることを夢見る主人公・信(山﨑賢人)と、中華統一を目指す若き王でのちの始皇帝・嬴政(吉沢亮)が、敵国や政敵と戦いながら邁進していく物語です。もちろん敵国と戦争する中でもの凄い数の人間が殺し合いますが、物語の主軸は戦のみにあらず。ふたりの少年が、周囲の人たちに多くの影響を受けながら、切磋琢磨していく姿こそが本筋だと筆者は捉えています。

戦争孤児で下僕だった信。そしてもう一人の主人公・政も、王でありながら生まれながらにして敵国の人質という過酷な運命を背負い、異母弟や政敵に王の座を奪われそうになるなど、逆境に立たされています。しかし、信は持ち前の真っ直ぐな前向きさで、政は王としての自覚とカリスマ性、そして中華統一への確固たる意志をもって、それぞれの道を切り拓いていくのです。

そんなふたりが着々と力をつけて、戦闘能力だけでなく人間としても強く逞しくなっていく姿は、とても眩しい。少年期から描かれているからこそ――そこが女性の母性をくすぐるのか――ふたりの成長を目の当たりにする度、まさに感無量なのです。

◆漢気あふれる魅力的なキャラクターたち

魅力的な人物は、信と政だけではありません。本作には数えきれないほどのキャラクターが登場し、ファンからそれぞれに愛されています。なかでも絶対的な人気を誇るのは、今回の劇場版第4弾でも圧倒的存在感を放っていた王騎(大沢たかお)。

信にも政にも大きな影響を与える伝説の大将軍ですが、個性的すぎる見た目と「ムフフフ」「ココココ」という独特な笑い方、そして一見ふざけているかのような言動に、登場したときは度肝を抜かれました。王騎は大将軍としての戦術の巧みさ・戦力の強さだけでなく、周囲の人たちを惹きつける人間としての強さとチャーミングさを持ち合わせています。

他にも、政・信と出逢い軍師を目指す河了貂(橋本環奈)、剣術を極める暗殺一族の末裔・羌瘣(清野菜名)や飛信隊の仲間たち。軍略家として名高い秦軍総司令の昌平君(玉木宏)や、王騎軍の副官である騰(要潤)、政と同盟を結ぶ山界の王・楊端和(長澤まさみ)などなど――挙げれば本当にキリがありません。

どのキャラクターもそれぞれに“漢気”を持ち合わせています。それは、ただ強いだけではありません。キャラが抱える想いや紡いできた時間を感じさせるエピソードが巧妙に作品内で描かれているのです。その人物の背景を知り、想いに触れるからこそ、一本筋の通ったキャラの“漢気”は、女性をも魅了してしまうのです。

◆良質な実写映画化により、キャラが立体的に!

もともと大人気の原作でしたが、さらなる女性ファンを生んだのは映画化の功績も大きいでしょう。観客を一瞬にして『キングダム』の世界へ惹きこむ劇場版。俳優たちが演じるどのキャラクターも興味をそそり、戦争シーンだけでなく、人の想いが紡がれていく展開に感動。楊端和を演じた長澤まさみの脚線美と強くクールな戦いぶりにも魅せられて、筆者も一気に本作のファンとなりました。

そして映画を観てから原作漫画を読んだからこそ、一人ひとりのキャラが立体的に感じられるようになり、物語にのめり込むことができました。何より紀元前の中国、そして剣で相手と殺し合う戦争という想像しにくい世界を、リアルにイメージできます。

他の実写化と同様、原作ファンからは反対の声もあったという劇場版『キングダム』ですが、公開以降は「原作ファンも納得!」の声が多く聞かれました。それほどに映画『キングダム』は、日本映画の最高峰にいます。実写化にあたり、スタッフも役者も原作『キングダム』に惚れ込んで、全身全霊をかけて制作された本気度をひしひしと感じる作品です。

すでに72巻まで刊行されている原作ですが、映画4作品で描かれるのはわずか16巻分。丁寧に、丁寧にその物語を紡いでいます。また、山﨑賢人・吉沢亮の若手実力派両名に加え、大沢たかお・小栗旬・玉木宏など女性人気の高い俳優陣が、『キングダム』の世界へと多くの女性を誘い、そのまま引き込んでくれたことも事実としてあるでしょう。

◆戦でぶつかる“人間”の想いや熱さを描いている

漫画でも映画でも、『キングダム』は戦を戦としてのみ描くのではなく、そこにいる“人間”、そこにある”想い“のぶつかり合いを描いています。公開中の『キングダム 大将軍の帰還』は、シリーズ最終章と銘打たれているだけあって、“人間”も“想い”も受け止めきれないほどの熱量。冒頭から、涙なくしては観られませんでした。

戦闘シーンも圧巻ですが、やはり心を動かされるのは登場人物たちの“想い”の強さ。原作キャラたちの想いに、演者たちの想いが重なり、より強く、美しく映りました。これまで戦いから離れていた王騎がなぜ総大将として、再び戦場に戻ったのか。王騎と龐煖(吉川晃司)が交える刃の意味とは。信の大きな夢を、目標へと変えていく王騎の姿。映画館でしか愉しむことのできない、圧倒的な迫力映像で『キングダム』の世界を堪能できることは、大きな喜びです。

<文/鈴木まこと(tricle.ltd)>

【鈴木まこと】
tricle.ltd所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201

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