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不倫相手の息子を誘惑「松本まりかにあんなふうに近づかれたら、男子高校生は…」“狂気”に期待の復讐劇『夫の家庭を壊すまで』

女子SPA! 2024年7月22日 15時45分

 2018年1月期のテレビ朝日系深夜ドラマ『ホリデイラブ』で主人公の夫の不倫相手役を務め、その“あざとかわいい”悪女ぶりで一躍脚光を浴びた松本まりか。

 あれから6年、すっかり人気俳優のひとりとなった松本が今度は“サレ妻”を演じるのが、テレビ東京の月曜夜23時台「ドラマプレミア23」の新作『カテコワ』こと『夫の家庭を壊すまで』だ。

◆TVer再生回数200万回突破、ゴールデン・プライム帯連ドラ並

 同作は、無料見逃し配信サービス「TVer」で第1話の再生回数が200万回を突破。これはゴールデン・プライム帯の連ドラにも匹敵する反響だ。

 お気に入り登録者数も、同時期にスタートした日本テレビ系『降り積もれ孤独な死よ』などを上回る58.1万(7月19日時点)と、深夜帯ながら存在感を見せている。

 テレビ東京の無料見逃し配信「ネットもテレ東」の週間ランキング(7月6日~12日)では堂々の1位だ。この松本まりか主演ドラマが話題になっている理由について迫ってみたい。

◆15年不倫夫のクズっぷりが際立つ復讐ドラマ

 アミューズが共同製作したウェブトゥーン(縦読みのネットマンガ)の実写化となる本作は、不倫夫に鉄槌(てっつい)を下す復讐モノ。

 高校時代からずっと交際していた2つ上の勇大(竹財輝之助)と結婚し、息子も生まれて幸せな家庭を築いているつもりだったみのり(松本まりか)。しかし、みのりはある日、勇大の不倫に気づく。

 しかも、夫の裏切りは15年にもわたっており、さらには相手の女性=理子(野波麻帆)には高校生の息子までいて、“もうひとつの家庭”では幸せそうな笑顔を見せていた――。

 この作品の特色は、夫の裏切りが15年もの長期間に及び、二重生活を送り続けていたという点。よほどのことがないかぎり誰もが許しがたい、最悪すぎる行いで、主人公が復讐に走るのも無理はないと納得感がある。

 加えて、ドラマは夫のクズっぷりがより際立つ演出になっていることもあり、主人公を応援したくなる構図が成立している。

 また、不倫相手・理子の息子の父親は誰なのか、結婚前から裏切っていたのならなぜ勇大は理子と結婚しなかったのか、みのりの生い立ちに何があったのか……といった謎も多く、それが少しずつ紐解かれていくのもおもしろい。

◆不倫相手の息子を誘惑「松本まりかに近づかれたら男子高校生は…」

 純愛だと信じていたみのりは、夫・勇大の裏切りを最初はにわかに受け入れられない。

 だが、結婚するよりはるか前から理子とも交際していたこと、みのりとの息子には無関心気味なのに、理子の息子=渉(野村康太)は可愛がっていることを知り、目が覚める。

 そして離婚してわずかな慰謝料を求めるより、自ら罰を与えることを心に決めるのだ。そこで思いついた手が、渉の誘惑。

 みのりは渉の通う塾のバイト講師となり、憎き不倫相手の愛する息子に近づく。ここで松本まりかの本領発揮だ。『ホリデイラブ』で演じた悪女・里奈さながらに“あざとかわいい”妖艶な魅力で渉の心を奪っていく。

 視聴者から「松本まりかにあんなふうに近づかれたら男子高校生は絶対落ちるだろ」といった声も上がっていたように、主人公が松本だからこそ、不倫相手の息子を誘惑するという展開に説得力が生まれる。

◆「松本まりか劇場きた!」“狂気”に期待したくなるホラー演出

 『カテコワ』はホラー色のある演出手法もおもしろい。復讐劇をハラハラ見守っているところに、ゾクっとする瞬間が時折はさまれる。

 たとえば第1話、寝室で夫・勇大の携帯電話の通知をのぞき見ようとする場面では、みのりの表情のアップ、洗濯機が回る様子、携帯電話の画面が交互に入れ替わりながら不穏なBGMが響く。

 このちょっと視聴者を不安にさせるような演出は、やはり同局で放送された“ホラーサスペンス純愛不倫”ドラマ『シジュウカラ』(22年)を思い出したりもしたが、同作の演出にも関わった上田迅が監督を務めていて納得。

 第1話では、夫がずっと前から自分を裏切っていたことを知ったみのりが怒りと悲しみのあまり家族写真にフォークを突き立てていく場面もあったが、こうしたホラー色のある演出と相まって「怖すぎる」といった声とともに「この笑い方!まりか劇場きた!」という声も。

 純愛を信じていた頃の無垢そうな笑顔、相手を誘惑する際のしっとりとした色気、そして“闇堕ち”した人間の狂気……まさに「松本まりか劇場」をたっぷり堪能できそうなドラマになっている。

◆テンポのよさとツッコミどころを兼ね備えた展開もクセに

 原作とは少々雰囲気が異なるドラマ版『カテコワ』だが、展開の速さも印象的だ。

 たとえば、復讐を決意したみのりが塾の講師として渉の前に現れるまでは一瞬で、その過程は省略される。「もう相手の息子の塾に潜り込んだの?」と驚かされるが、このスピーディな展開が視聴者を飽きさせない。

 とはいえ、「展開が速すぎる」というツッコミも生まれかねない脚色だが、このドラマはむしろ、率先してツッコミどころをつくっている。その最たるものが、主人公・みのりのバレバレすぎる行動だ。

 特に第2話、理子が倒れて入院した後、「今日は遅くなる」と連絡してきた勇大が見舞いに行くのでは?と疑い、思わず自分も病院へ向かうシーン。

 当然、勇大とバッティングしてしまうのだが、ニアミスどころではない急接近ぶりに「なんでこれでバレないの笑」とツッコミが殺到した。

 原作ではみのりはもっと慎重で、こんな展開にはならない。ドラマはあえて思わず笑ってしまうようなトンチキな展開を加えることで、重くなりすぎる復讐劇にエンタテインメント性を加えているのではないだろうか。

 こうした要素は、松本のドラマティックな芝居と化学反応を見せ、だんだんクセになってくるのだ。

 7月22日放送の第3話では理子との“直接対決”が控えており、「まりか劇場」はさらに盛り上がりそう。

 見逃したという人もTVerでまだまだ追いつくことのできるドラマ『夫の家庭を壊すまで』。主人公の復讐は果たされるのか。松本まりかの演技とともに注目してほしい。

<文/新城優征>

【新城優征】
ドラマウォッチャー。俳優インタビュー、Netflix配信の海外ドラマの取材経験などもあり。

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