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「別に46歳に見えていいじゃん!」釈由美子、ネット記事の見出しへの“違和感”を明かす

女子SPA! 2024年7月23日 8時46分

 俳優の釈由美子さん(46歳)が、日本のアニメや特撮への愛情が炸裂したアメリカのファンタジー映画『Iké Boys イケボーイズ』に出演しました。釈さんの過去作を観た監督が、「一緒に仕事をしたい!」とラブコールを送り、釈さん自身もその縁に感謝していると言います。

 私生活では男の子の一児の母でもあり、子育てに奮闘するなか、50代を前に“ゆらぎ世代”(主に女性において、ホルモンバランスの変化などの影響を受けて心や体の不調が起きやすい40代、50代の世代)として、今改めて思うこともあるという釈さん。

 インタビュー前半では今回の作品のこと、後半では子育て中の釈さんに、今現在の胸中や50代をどう迎えるかなど、本音に迫りました。

◆『ゴジラ×メカゴジラ』を観た監督からのオファー

――本作への出演へのきっかけは、監督・脚本を務めたエリック・マキーバーさんが、釈さん主演の『ゴジラ×メカゴジラ』(2002)の大ファンだったからだそうですね。

釈:監督がわたしが出演している『ゴジラ×メカゴジラ』のDVDを買って観て大ファンになって、わたしが作中で演じた家城茜といつか一緒に仕事をしたいと思ってくださっていたそうなんです。これまでの自分の歩み、ご縁がこうしてつながることは、本当にありがたいなと素直に感動しました。

――完成した映画は、日本のアニメや特撮への愛情があふれている印象でした。

釈:日本のオタクカルチャー、アニメや特撮への愛が深い監督だったので、それとアメリカの高校生の青春物語がどうミックスされていくのか、わたしもわくわくしながら撮影に入りました。実際に、愛に溢れた現場でした。

――お芝居のパートはアメリカで撮影され、特撮シーンは日本のスタジオで撮影したそうですが、その見学に行かれたそうですね。とても勉強熱心だなと思いました。

釈:単純に特撮が好きなだけなんです。わたしも『ゴジラ×メカゴジラ』以来、特撮が好きになり、ちょうどその頃子どもが3、4歳で怪獣やゴジラが大好きだったこともあり、「一緒に観に行く?」という感じで、子どもを連れて出かけました。なのでわたしよりも子どものほうが興奮していました(笑)。

◆8歳の息子は母の仕事を理解

――今はもう7~8歳になるかと思いますので本作を含め、お母さんの仕事内容も理解しているのではないでしょうか?

釈:もちろん理解しています。自分が出た作品をいつか観るだろうなと思っていて、ちょうどコロナ禍の頃に自宅にいたじゃないですか。なので、恐竜好きだからたぶんゴジラも好きだろうなと思って、平成ゴジラシリーズを一気に見せたんですよ。『ゴジラ×メカゴジラ』まで来たときに目が「え!?」となり、わたしのことを二度見して「ママでしょ!?」と。

それ以来、『ゴジラ×メカゴジラ』を大好きになってくれて、ラストシーンでは毎回泣くんですよね。自分が出ている作品に感情移入して泣いてくれるなど、これはもう本当に幸せなことだなと思います。

――それは誇らしいですね。

釈:ただ、こういう役のときもあれば、2時間モノで悪役や犯人役もあるので、シリアスな役を演じたときはちゃんと切り替えて家では普通のお母さんに戻らなきゃと思うようにしています。ちょっと前にバズった“マンホール女優”という『仮面ライダージオウ』でマンホールを投げる役柄は悪役だし、マンホール投げているお母さん「怖い!」と思っていたようです(笑)。

◆旬や若さが亡くなったとき、過去の仕事が新たな役に

――過去の仕事が突然ネットでバズって新たなファンも増えたり、特殊な仕事ではありますよね。

釈:そうですね。特殊だと思います。でもありがたく思っています(笑)。

――特に今回の『Iké Boys イケボーイズ』では、海外ファンに届いてアメリカ映画に出ることとなり、俳優冥利に尽きるのではないでしょうか。

釈:一番うれしいことだと思います。デビューしたての若い頃は時代の流れに乗せていただき、恵まれた環境にいて、お仕事を順調にいただいていたのですが、その後のことは自分が歩いてきた証だと思うんですよね。

旬や若さがなくなったとき、自分の過去の作品がご縁となって新たな役につながっていると思うと感謝の気持ちしかありません。

◆「わたしじゃなければダメな仕事は一つもない」

――芸歴は20年以上となり、今は子育て中心の生活にしているそうですが、今現在の仕事のモチベーションは何でしょうか?

釈:出産・結婚する前は自分の軸が分からず、よく言う自分探しではないのですが、もっと認められたい、必要とされたいという承認欲求がとても強くて、それが仕事に向かっていたと思うんです。

わたしみたいなものがここにいていいのものか? というコンプレックスがどこかにあったんですね。だからファンの方が「釈ちゃん!」と喜んでくれることだけが、仕事のモチベーションだったと思います。

今も声援が糧になっていることはもちろん変わらないのですが、この世界に長くいて感じたことは、わたしじゃなければダメな仕事は一つもないということ。

そのときどきで必要とされて自分が一生懸命に取り組めた証が、今回のような縁をつなぐ作品として残っていくと思うのですが、そこへの未練や執着はないんです。今はもうまっさらな気持ちで、今回のエリック監督みたいにわたしとお仕事したいと言ってくださる監督がいたら、それには精一杯答えたい、それだけです。

――自分が動くことで喜んでくれる人がいれば、という動機なのですね。

釈:なので次はこういう役を演じたい、ハリウッドでデビューしたいということはまったくなくて、むしろ欲がなくなってしまったというか(笑)。これでオファーが来なかったら、わたしはそれまでの存在だということ。賞味期限が切れて必要とされていない人間だったということだと思うので、仕方がないことだと思うんです。

でもわたしじゃないとダメということはあって、家庭においての自分、子どもの母親としての自分は変わりがきかないと思うので、子どもに全力投球したいと思っているんです。

ただ、子どもだけとなってしまうと、今度は子どもに対してプレッシャーを与えてしまい、押しつけがましくなってしまうとも思います。なので子どもに自分の親が生きがいを持って働いている姿を見せることは、いいことかなと思っています。

――あくまでも今は子育てに集中する時期ということなのですね。

釈:いずれ子どもが育ち、親離れしていってひとりになったとき、仕事がなかったら何しようかと思うことはあります。そのときはそのときで、好きな山登りに没頭したり、趣味を見つければいいのかなと思っています(笑)。

◆「別に46歳に見えていいじゃん!」

――そして来たる50代、どのように迎えるか考えていることはありますか?

釈:46歳になりました。息子と誕生日が一緒なのですが、子どもが生まれてからは毎年自分の誕生日を忘れて、子どもの誕生日会ばかりに集中しているから「わたし今何歳だっけ?」となっています。もうすぐ50代ですね。50代に片足を一歩踏み出しているのでつくづく感じることは、「自然に歳を取ろう」ということですかね。年齢にあらがおうということもなくて。

わたしだけじゃないですが、最近、普通にプライベートでSNSに上げた写真が「40歳には見えない!」みたいなネット記事になったりすることがよくあるじゃないですか。これって私たち“ゆらぎ世代”への挑戦状かなって思っちゃう(笑)。その年齢に見えないほうがいいのかなという違和感があるというか、「別に46歳に見えていいじゃん!」って思うんです。まるで30代って言われても、いやいや見えないですし(笑)。年相応だしって。

――現状をそのまま受け止めることを大切にしていきたいということですね。

釈:そうですね。あとは見た目よりも、いかに心と体が健やかにいられるかということも大切にしています。食べものに気をつけ、睡眠をちゃんと取り、いつも笑っていられるかどうかが大事かなと思います。

でも、健康健康言いすぎて、アンチエイジングのために大好きなお酒を我慢することも嫌ですし、ストレスを溜めないことが大事かなと思います。

――そして自分らしく生きましょうと。

釈:一周まわると人にどう思われても関係ないと思えるので、開き直っているわけでもなく、ずっとポジティブでいたいと思います。同年代で集まると、子どもの教育とかの話のほかに、最近疲れやすいよね、なんだか朝どんよりする、絶好調で起きれる日なんてないよね、という話題で持ちきりです(笑)。でも、みんなこれまでの先輩たちが通って来た道なんだと思うと、ゆらいでいる自分も愛おしく感じると思います。

<取材・文/トキタタカシ 撮影>

【トキタタカシ】
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。

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