家事をすべて整えようとがんばると長続きしなかったり、途中で疲れてしまったり。だからこそ、3つだけ「わが家の収納の軸」を決めるのがおすすめです。
生活雑貨店「mikke」店主の田辺理絵さんは、小学生の長男と夫との3人暮らし。極端にものが少ないわけではなく、子どもの遊び道具もありますが、ものの並べ方が美しく、眺めていて気持ちいいオープン収納を実践しています。そんな田辺さんが大事にしている、収納の3つの軸についてお聞きしました。
◆視覚的に気持ちがいいと、家事のやる気もアップ
福井県敦賀市の、昔から変わらない街並みが残る住宅街。子どものころの通学路だったという通りに立つ、古いマンションに、田辺理絵さんは、絵描きの夫、小学3年生の長男と、5年前から暮らしています。
どの部屋も、オープン収納に心地よくものが並んでいて、生活道具ひとつひとつへの愛着や、小さなアップデートを繰り返しながら暮らしを楽しむ様子が伝わってきます。
「毎日の家事に関わる場所が整っていないと、家事をするのが億劫になってしまうので、視覚的にも自分が気持ちいいように、すっきり整えるようにしています。暮らしながら、こうしたらもっと使いやすいかもと考えて、日々ちょこちょこ整えていくのが好きで、模様替えもしょっちゅう」と笑います。
◆整理整頓のコツは「好きなものでそろえること」
整えることを習慣づけるコツは、「部屋に置くものや使うものを、好きだと思えるものでそろえること。たとえば、ふきん一枚、洗濯ばさみひとつでも、自分の好きなデザインや手触りのものを選んでみるといいかも」と話してくれました。
昔からインテリアや雑貨が好きで、若いころから、「服より雑貨にお金を使ってきたほう」という田辺さん。お姉さんと一緒に営んでいる生活雑貨店「mikke」で扱っているものも、ふたりが暮らしのなかで実際に使ってよかったものばかりです。
「使い勝手や美しさはもちろん、ふたりとも主婦なので、買いやすい値段という基準も大切に選んでいます。いいものみっけ!と、お客さまと共感し合えることがうれしい」
◆すっきりにこだわりずぎず、散らかっても時間があるときに片づければOK
一時はミニマリストのようにものを減らし、何もない部屋で暮らしていたこともありました。
「でも、続けるうちになんだか味気なく、窮屈で楽しくなくなってしまって……。いまは、すっきりにこだわりすぎず、家族みんなが一緒に過ごすリビングでは、それぞれの『好き』を尊重するように。息子が好きなキャラクターものも、いとおしく感じるようになりましたね」と心境の変化を語ってくれました。
家具やカーテンなど、部屋の中で大きな面積を占めるものは無地を選んだり、自分たちにとって心地よい物量を考えたりと、程よいすっきり感はキープしながら、リビングは、家族のお楽しみを第一優先。
子どもが思いきり遊んで散らかしても、イライラすることなく、気になってきたときや時間があるときに片づけられればOK。ものの帰る場所が決まっているので、気持ちがラクです。
「電車が大好きな長男は、学校から帰ってひと息つくと、ダイニングテーブルの上に電車の図鑑やパンフレットを広げて、絵を描いたり、工作したり」
機嫌よく好きなことに集中できるのも、すぐ手が届く場所に、必要なものがスタンバイしているからこそ。その間に、田辺さんはキッチンに立ち、夕食の支度を始めます。
すっきりにこだわりすぎない、時間と気持ちにゆとりをもてるよう、家も暮らしも完璧を求めない。整える軸を守りながら、変化していく家族や暮らしの形に合わせて、ゆるやかにアップデートしていく田辺さんの暮らしがこれからも楽しみです。
◆1の軸:洗濯物は、押し入れ⇔物干しと、同じ部屋で平行移動させるだけ
まず整えたのは、毎日する家事に関わる収納。洗濯の一連の作業を、滞りなく気持ちよく回せるような動線を考えました。
●服の持ち数を少なくする
服は増やしすぎず、必要な数だけ持つことが第一歩。さっと時間をかけずに整えられるよう、ゆとりをつくることが「きれい」をキープするポイントです。
●取り込み、しまう作業をいっぺんに
ピンチハンガーを押し入れの鴨居にかけ、真下の収納ケースを開けて、ポイポイ放り込む。洗濯物を取り込み→たたんで→仕分けて→しまうという動作がここで完結する。
●かごや紙袋で、ラクにすっきり
パジャマや部屋着は、朝ここで着替えたらかごにポン。子どもの靴下や下着などの収納は、「セリア」の茶色の紙袋を仕切り代わりに使うと、収納ケースの見た目もすっきり。
◆2の軸:好きな道具を、調理~片づけと気持ちよく流れるように配置
一日に何度も使うキッチンは視覚的な心地よさも大切にして、取りかかりの「面倒くさい」を減らしています。
●道具ひとつひとつに定位置を
調理中にすぐ取れるように、小さなフックを貼って、計量スプーンやピーラーにも指定席を。元の場所に戻すのもラク。
●食器は白とガラスをメインに
昔の「無印良品」のコンパクトなワイヤーシェルフに食器を収納。色や質感の違う和食器や汁椀などは、かごにまとめている。
●ほしい場所に収納を作る
フックやかごを使って、「あったら便利」な場所に収納をプラス。シンク横の上のかごにははさみやペン、下のかごにはごみ袋が。
◆3の軸:子どもがしたいことにすぐ取りかかれるシンプルな仕組みを
ダイニングテーブルのそばに絵や工作の道具を配置。子どもの機嫌がよいと、親は家事に集中できます。
●机に向かったまま片手でスイ~!
アルミのバットによく使うカラーペンをまとめて。片手で引いて取り出せて、しまうのも簡単。
●ファイルボックスを横にして
「無印良品」のファイルボックスを横に2つ並べて、真っ白のコピー用紙と描いた絵を分けて収納。
●テストや新聞はざっくりかごに
「フォグリネンワーク」のワイヤーかごに、学校から持ち帰ったプリント類、子ども新聞などを入れて。
※この記事は、『暮らしのまんなかvol.39』より一部を抜粋し、再編集しています。
<撮影/津久井珠美 取材・文/新沼涼子>
【田辺理絵】
5年前、田辺さんが地元、福井県敦賀市で暮らしはじめたのをきっかけに、姉妹で生活雑貨店「mikke」を始める。「暮らしになじむ素朴な日用品」をテーマに、主婦の目線でセレクトされたいいものがたくさん。夫、小学校3年生の長男と3人暮らし。インスタグラム@nabe_ie
生活雑貨店「mikke」店主の田辺理絵さんは、小学生の長男と夫との3人暮らし。極端にものが少ないわけではなく、子どもの遊び道具もありますが、ものの並べ方が美しく、眺めていて気持ちいいオープン収納を実践しています。そんな田辺さんが大事にしている、収納の3つの軸についてお聞きしました。
◆視覚的に気持ちがいいと、家事のやる気もアップ
福井県敦賀市の、昔から変わらない街並みが残る住宅街。子どものころの通学路だったという通りに立つ、古いマンションに、田辺理絵さんは、絵描きの夫、小学3年生の長男と、5年前から暮らしています。
どの部屋も、オープン収納に心地よくものが並んでいて、生活道具ひとつひとつへの愛着や、小さなアップデートを繰り返しながら暮らしを楽しむ様子が伝わってきます。
「毎日の家事に関わる場所が整っていないと、家事をするのが億劫になってしまうので、視覚的にも自分が気持ちいいように、すっきり整えるようにしています。暮らしながら、こうしたらもっと使いやすいかもと考えて、日々ちょこちょこ整えていくのが好きで、模様替えもしょっちゅう」と笑います。
◆整理整頓のコツは「好きなものでそろえること」
整えることを習慣づけるコツは、「部屋に置くものや使うものを、好きだと思えるものでそろえること。たとえば、ふきん一枚、洗濯ばさみひとつでも、自分の好きなデザインや手触りのものを選んでみるといいかも」と話してくれました。
昔からインテリアや雑貨が好きで、若いころから、「服より雑貨にお金を使ってきたほう」という田辺さん。お姉さんと一緒に営んでいる生活雑貨店「mikke」で扱っているものも、ふたりが暮らしのなかで実際に使ってよかったものばかりです。
「使い勝手や美しさはもちろん、ふたりとも主婦なので、買いやすい値段という基準も大切に選んでいます。いいものみっけ!と、お客さまと共感し合えることがうれしい」
◆すっきりにこだわりずぎず、散らかっても時間があるときに片づければOK
一時はミニマリストのようにものを減らし、何もない部屋で暮らしていたこともありました。
「でも、続けるうちになんだか味気なく、窮屈で楽しくなくなってしまって……。いまは、すっきりにこだわりすぎず、家族みんなが一緒に過ごすリビングでは、それぞれの『好き』を尊重するように。息子が好きなキャラクターものも、いとおしく感じるようになりましたね」と心境の変化を語ってくれました。
家具やカーテンなど、部屋の中で大きな面積を占めるものは無地を選んだり、自分たちにとって心地よい物量を考えたりと、程よいすっきり感はキープしながら、リビングは、家族のお楽しみを第一優先。
子どもが思いきり遊んで散らかしても、イライラすることなく、気になってきたときや時間があるときに片づけられればOK。ものの帰る場所が決まっているので、気持ちがラクです。
「電車が大好きな長男は、学校から帰ってひと息つくと、ダイニングテーブルの上に電車の図鑑やパンフレットを広げて、絵を描いたり、工作したり」
機嫌よく好きなことに集中できるのも、すぐ手が届く場所に、必要なものがスタンバイしているからこそ。その間に、田辺さんはキッチンに立ち、夕食の支度を始めます。
すっきりにこだわりすぎない、時間と気持ちにゆとりをもてるよう、家も暮らしも完璧を求めない。整える軸を守りながら、変化していく家族や暮らしの形に合わせて、ゆるやかにアップデートしていく田辺さんの暮らしがこれからも楽しみです。
◆1の軸:洗濯物は、押し入れ⇔物干しと、同じ部屋で平行移動させるだけ
まず整えたのは、毎日する家事に関わる収納。洗濯の一連の作業を、滞りなく気持ちよく回せるような動線を考えました。
●服の持ち数を少なくする
服は増やしすぎず、必要な数だけ持つことが第一歩。さっと時間をかけずに整えられるよう、ゆとりをつくることが「きれい」をキープするポイントです。
●取り込み、しまう作業をいっぺんに
ピンチハンガーを押し入れの鴨居にかけ、真下の収納ケースを開けて、ポイポイ放り込む。洗濯物を取り込み→たたんで→仕分けて→しまうという動作がここで完結する。
●かごや紙袋で、ラクにすっきり
パジャマや部屋着は、朝ここで着替えたらかごにポン。子どもの靴下や下着などの収納は、「セリア」の茶色の紙袋を仕切り代わりに使うと、収納ケースの見た目もすっきり。
◆2の軸:好きな道具を、調理~片づけと気持ちよく流れるように配置
一日に何度も使うキッチンは視覚的な心地よさも大切にして、取りかかりの「面倒くさい」を減らしています。
●道具ひとつひとつに定位置を
調理中にすぐ取れるように、小さなフックを貼って、計量スプーンやピーラーにも指定席を。元の場所に戻すのもラク。
●食器は白とガラスをメインに
昔の「無印良品」のコンパクトなワイヤーシェルフに食器を収納。色や質感の違う和食器や汁椀などは、かごにまとめている。
●ほしい場所に収納を作る
フックやかごを使って、「あったら便利」な場所に収納をプラス。シンク横の上のかごにははさみやペン、下のかごにはごみ袋が。
◆3の軸:子どもがしたいことにすぐ取りかかれるシンプルな仕組みを
ダイニングテーブルのそばに絵や工作の道具を配置。子どもの機嫌がよいと、親は家事に集中できます。
●机に向かったまま片手でスイ~!
アルミのバットによく使うカラーペンをまとめて。片手で引いて取り出せて、しまうのも簡単。
●ファイルボックスを横にして
「無印良品」のファイルボックスを横に2つ並べて、真っ白のコピー用紙と描いた絵を分けて収納。
●テストや新聞はざっくりかごに
「フォグリネンワーク」のワイヤーかごに、学校から持ち帰ったプリント類、子ども新聞などを入れて。
※この記事は、『暮らしのまんなかvol.39』より一部を抜粋し、再編集しています。
<撮影/津久井珠美 取材・文/新沼涼子>
【田辺理絵】
5年前、田辺さんが地元、福井県敦賀市で暮らしはじめたのをきっかけに、姉妹で生活雑貨店「mikke」を始める。「暮らしになじむ素朴な日用品」をテーマに、主婦の目線でセレクトされたいいものがたくさん。夫、小学校3年生の長男と3人暮らし。インスタグラム@nabe_ie