こんにちは。これまで1000人以上の男女の相談に乗ってきた、恋愛・婚活コンサルタントの菊乃です。
私自身が髪もボサボサで化粧もしない“完全なる非モテ”から脱出した経験から、多くの方々の「もったいない」をご指摘してきました。誰も言ってくれない「恋愛に役立つリアルな情報」をお伝えします。
◆婚活歴6年の35歳女性「今の結婚相談所は物足りない」
ご相談にやってきた35歳の玲さん(仮名)にお会いした時、婚活漫画『婚活バトルフィールド37』(猪熊ことり/新潮社刊)の青島みたいな女性だなと思いました。青島は婚活歴8年、婚活のベテランで、知識はものすごいけれどまったくモテないこじらせ女性です。
玲さんは入会している大手結婚相談所に物足りなさを感じ、他社への乗り換えを検討していました。ところが別の結婚相談所の無料相談会に行くと、「乗り換えなくても、今のところで頑張ったらいいんじゃないでしょうか? 弊社も同じプラットフォームを使っていますし、出会える男性は同じですから」と言われたそうです。
私はその話を聞いて内心、「手に負えないし結婚も無理そうな人だから、入会させなかったんだろうな」と想像しました。
◆あなたは婚活業界の人? 婚活用語にも詳しすぎ
「今の相談所って申込枠が30人しかいないんですよね。だから“新規刈り”があんまりできないんです。他社は申込枠が200人だから、乗り換えた方がいいかなって思ったんですけどね」
結婚相談所というのはシビアな世界で、20代女性が10人の男性にお見合いの申し込みをしても、1件成立するかどうかぐらいです。お見合いのお茶代は基本的に男性負担ですし、デートしている女性が複数人いる男性は、新規のお見合いを入れる余裕がありません。
その点、新規登録したばかりの会員は自分の相場も分からないし、デートの予定もなく出会うモチベーションが高いので、申し込みが通りやすいのです。新規登録した会員を狙って申し込みすることを業界では“新規刈り”と呼んでいますが、そのワードを知っている女性はあまりいません。
積極的なことは良いと思いますが、そもそも申し込み自体、女性はあまり自分からはしません。
◆マッチングアプリは10個以上使ってみた
玲さんは、マッチングアプリも並行して出会い探しをしていました。使っているアプリが、利用者が多いPairsやwithやタップルではなく、Omiaiであることが意外でした。
「マッチングアプリは10個以上使ってみましたよ。もちろんParisも使ったことあります。Omiaiって人気ユーザーに『いいね』をするとポイント消費が多いので、一部のユーザーに人気が集中しないんですよね。20代も少ないし、私でもマッチングしやすいんです」
「そんな機能を知ってる人、ほとんどいないですよ。どこで知ったんですか?」
「いろいろ調べてますから」
玲さんはリリースされたばかりの割とニッチなアプリも使っていて、各アプリのユーザー層も独自で分析し、もうマッチングアプリの達人です。
マッチングアプリでは、登録したばかりの3日間が“新規登録会員”として目立ち「いいね」が殺到するモテ期です。それを利用し、アプリに入会してモテ期が過ぎるとやめて、違うアプリに乗り換える、というテクニカルな使い方をしていました。新規登録するタイミングはもちろん、モテ期を有効に使うため「金曜日の夜」です。こんなにもマッチングアプリを駆使している人はなかなかいません。
でも一方で、アプリで出会って交際に発展するユーザーの平均利用期間は3~4カ月程度だと各アプリが謳っています。ましてアプリで結婚できる人たちは、アプリに詳しくはならないのではないでしょうか。また、そもそも結婚する人の約7割*は、マッチングサービスを含む婚活サービスの利用経験すらありません(*リクルートブライダル総研「婚活実態調査2023」より)。
◆「45歳なのに子どもを欲しがる男性なんて……」
玲さんが会っている男性は、そこそこ人気がありそうな男性ばかりです。そのためなのか、アプリで会おうと言われても約束が具体化しないままデートが流れることや、結婚相談所でお見合いが成立しても距離が縮まらないまま交際終了になることが多いとか。人気がある男性は当然、ライバルも多いものです。他の女性と比較検討して、玲さんは優先順位が低いのでしょう。
玲さんに「申し込みが来たけれど断った」という男性のプロフィールを見せてもらいました。断った理由も説明してもらいます。
「この人は45歳なのに『子どもを希望する』って書いてるんです。最速で子どもを授かったとしても46歳ごろだし、子どもが就職する頃に自分は退職しているのに、何も考えてなさそう。
この男性は希望欄に『話し合いができる人』って書いてるから断りました。こんな風に書く人は、モラハラ率高いって言われますよね。
この人は前に別の相談所に登録していたと思うんです。その時に1回申し込みが来て、お見合いして断った記憶があります。多分、4年前ぐらいかな。その時は私も別の相談所にいたし、気が付かずに申し込みしていると思うけど、顔に見覚えがありますね。自分も人のこと言えないけど、4年も婚活しているって何かありそう」
そんな玲さんへ、私は次のように伝えました。
「自分のこと客観的に見てみてね。相手の男性も結婚相談所の人も、玲さんのこと『この人ずっと婚活しているな』って分かるんですよ。もしかしたら乗り換えを勧めてこなかった結婚相談所の人だって、そんな理由で入会を断ったのかもしれない。
人を信じられなくてジャッジが厳しすぎる評論家になっちゃったら、まともな男性はみんな去るよ。コミュニケーション力が高い男性ほど、品定めされている空気に敏感ですからね」
◆マッチングアプリ中毒者は結婚から一番遠い
私はいったん、婚活から離れることを玲さんにお勧めしました。
玲さんの休日は婚活でほとんど潰れています。これまでに会った男性は3桁を超え、会う男性が増えるほど「きっとこういう人だろうな」と憶測し、本音も言えずに会うことだけを続けていました。
何もしないで年齢を重ねることが不安で、新しいサービスができると試しに登録するという、もはや婚活中毒者です。
「そうですよね。他の恋愛コンサルからもお休みした方がいいって言われたんですよ」と、どうもコンサルまで渡り歩いているようでした。
後日玲さんからは、結婚相談所の休会手続きをしたと連絡がありました。
婚活中毒者と生活を共にしたい人はいません。探すことが手段ではなく目的化したら危険と思っておいてください。
※個人が特定されないよう一部脚色してあります。
<文/菊乃>
【菊乃】
恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:@koakumamt
私自身が髪もボサボサで化粧もしない“完全なる非モテ”から脱出した経験から、多くの方々の「もったいない」をご指摘してきました。誰も言ってくれない「恋愛に役立つリアルな情報」をお伝えします。
◆婚活歴6年の35歳女性「今の結婚相談所は物足りない」
ご相談にやってきた35歳の玲さん(仮名)にお会いした時、婚活漫画『婚活バトルフィールド37』(猪熊ことり/新潮社刊)の青島みたいな女性だなと思いました。青島は婚活歴8年、婚活のベテランで、知識はものすごいけれどまったくモテないこじらせ女性です。
玲さんは入会している大手結婚相談所に物足りなさを感じ、他社への乗り換えを検討していました。ところが別の結婚相談所の無料相談会に行くと、「乗り換えなくても、今のところで頑張ったらいいんじゃないでしょうか? 弊社も同じプラットフォームを使っていますし、出会える男性は同じですから」と言われたそうです。
私はその話を聞いて内心、「手に負えないし結婚も無理そうな人だから、入会させなかったんだろうな」と想像しました。
◆あなたは婚活業界の人? 婚活用語にも詳しすぎ
「今の相談所って申込枠が30人しかいないんですよね。だから“新規刈り”があんまりできないんです。他社は申込枠が200人だから、乗り換えた方がいいかなって思ったんですけどね」
結婚相談所というのはシビアな世界で、20代女性が10人の男性にお見合いの申し込みをしても、1件成立するかどうかぐらいです。お見合いのお茶代は基本的に男性負担ですし、デートしている女性が複数人いる男性は、新規のお見合いを入れる余裕がありません。
その点、新規登録したばかりの会員は自分の相場も分からないし、デートの予定もなく出会うモチベーションが高いので、申し込みが通りやすいのです。新規登録した会員を狙って申し込みすることを業界では“新規刈り”と呼んでいますが、そのワードを知っている女性はあまりいません。
積極的なことは良いと思いますが、そもそも申し込み自体、女性はあまり自分からはしません。
◆マッチングアプリは10個以上使ってみた
玲さんは、マッチングアプリも並行して出会い探しをしていました。使っているアプリが、利用者が多いPairsやwithやタップルではなく、Omiaiであることが意外でした。
「マッチングアプリは10個以上使ってみましたよ。もちろんParisも使ったことあります。Omiaiって人気ユーザーに『いいね』をするとポイント消費が多いので、一部のユーザーに人気が集中しないんですよね。20代も少ないし、私でもマッチングしやすいんです」
「そんな機能を知ってる人、ほとんどいないですよ。どこで知ったんですか?」
「いろいろ調べてますから」
玲さんはリリースされたばかりの割とニッチなアプリも使っていて、各アプリのユーザー層も独自で分析し、もうマッチングアプリの達人です。
マッチングアプリでは、登録したばかりの3日間が“新規登録会員”として目立ち「いいね」が殺到するモテ期です。それを利用し、アプリに入会してモテ期が過ぎるとやめて、違うアプリに乗り換える、というテクニカルな使い方をしていました。新規登録するタイミングはもちろん、モテ期を有効に使うため「金曜日の夜」です。こんなにもマッチングアプリを駆使している人はなかなかいません。
でも一方で、アプリで出会って交際に発展するユーザーの平均利用期間は3~4カ月程度だと各アプリが謳っています。ましてアプリで結婚できる人たちは、アプリに詳しくはならないのではないでしょうか。また、そもそも結婚する人の約7割*は、マッチングサービスを含む婚活サービスの利用経験すらありません(*リクルートブライダル総研「婚活実態調査2023」より)。
◆「45歳なのに子どもを欲しがる男性なんて……」
玲さんが会っている男性は、そこそこ人気がありそうな男性ばかりです。そのためなのか、アプリで会おうと言われても約束が具体化しないままデートが流れることや、結婚相談所でお見合いが成立しても距離が縮まらないまま交際終了になることが多いとか。人気がある男性は当然、ライバルも多いものです。他の女性と比較検討して、玲さんは優先順位が低いのでしょう。
玲さんに「申し込みが来たけれど断った」という男性のプロフィールを見せてもらいました。断った理由も説明してもらいます。
「この人は45歳なのに『子どもを希望する』って書いてるんです。最速で子どもを授かったとしても46歳ごろだし、子どもが就職する頃に自分は退職しているのに、何も考えてなさそう。
この男性は希望欄に『話し合いができる人』って書いてるから断りました。こんな風に書く人は、モラハラ率高いって言われますよね。
この人は前に別の相談所に登録していたと思うんです。その時に1回申し込みが来て、お見合いして断った記憶があります。多分、4年前ぐらいかな。その時は私も別の相談所にいたし、気が付かずに申し込みしていると思うけど、顔に見覚えがありますね。自分も人のこと言えないけど、4年も婚活しているって何かありそう」
そんな玲さんへ、私は次のように伝えました。
「自分のこと客観的に見てみてね。相手の男性も結婚相談所の人も、玲さんのこと『この人ずっと婚活しているな』って分かるんですよ。もしかしたら乗り換えを勧めてこなかった結婚相談所の人だって、そんな理由で入会を断ったのかもしれない。
人を信じられなくてジャッジが厳しすぎる評論家になっちゃったら、まともな男性はみんな去るよ。コミュニケーション力が高い男性ほど、品定めされている空気に敏感ですからね」
◆マッチングアプリ中毒者は結婚から一番遠い
私はいったん、婚活から離れることを玲さんにお勧めしました。
玲さんの休日は婚活でほとんど潰れています。これまでに会った男性は3桁を超え、会う男性が増えるほど「きっとこういう人だろうな」と憶測し、本音も言えずに会うことだけを続けていました。
何もしないで年齢を重ねることが不安で、新しいサービスができると試しに登録するという、もはや婚活中毒者です。
「そうですよね。他の恋愛コンサルからもお休みした方がいいって言われたんですよ」と、どうもコンサルまで渡り歩いているようでした。
後日玲さんからは、結婚相談所の休会手続きをしたと連絡がありました。
婚活中毒者と生活を共にしたい人はいません。探すことが手段ではなく目的化したら危険と思っておいてください。
※個人が特定されないよう一部脚色してあります。
<文/菊乃>
【菊乃】
恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:@koakumamt