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39歳女優の“壊れっぷり”が心臓に悪すぎる。「不倫された妻の復讐ドラマ」異様な盛り上がりのワケ

女子SPA! 2024年7月29日 15時45分

 7月から放送が始まった、松本まりか主演『夫の家庭を壊すまで』(月曜よる11時6分~)は、実にテレビ東京らしいドラマになっている。本作は赤石真菜氏が原作・脚本、MUGEN FACTORYが作画制作を手がけた同名漫画が原作。

◆“不倫”と“復讐”、テレ東の得意ジャンルを掛け合わせ

 専業主婦の如月みのり(松本まりか)は高校時代から付き合っている勇大(竹財輝之助)と結婚して、一人息子・翼(湯本晴)を授かり、3人で幸せな家庭を築いていた。しかし、夫ががシングルマザー・三宅理子(野波麻帆)と長年にわたって不倫していたことを知るみのり。そして、夫だけではなく不倫相手の理子にも復讐することを誓う、というのが本作のあらすじ。“不倫”と“復讐”というテレビ東京が得意とするジャンルを掛け合わせた内容になっている。

 本作はゴールデンタイムではない遅い放送時間のドラマではあるが、大きな反響を集めており、無料動画配信サービス「TVer」での第1話の見逃し配信再生数が200万回を記録。やはり復讐・不倫という人気ジャンルをセットで楽しめるというだけあり、異例の盛り上がりを見せている。

◆従来の不倫ドラマとは一線を画す衝撃の切り口

 とはいえ、不倫ドラマだから注目されているわけではなく、『夫の家庭を壊すまで』だからこそ注目されているように思う。勇大は理子と10年以上も不倫関係にあり、理子の高校生の一人息子・渉(野村康太)とも交流がある。“夫の家庭”とタイトルに入っている通り、勇大はみのりと翼の3人家族とは別に、理子と渉の3人家族にも属しているのだ。もちろん、理子と婚姻関係は結んでおらず、渉は勇大と理子が不倫関係であることを知らない。それでも“三宅家”の3人は10年以上も仲睦まじく信頼関係を深めていた。

 勇大に不倫されていただけではなく、よそで家庭を築いていたことに長年気付かなかったみのりの鈍感さにツッコミを入れたくなる。ただ、そこに引っ掛かることが野暮に思えるくらい“不倫夫の家庭を壊す”という切り口はインパクトが大きい。従来の不倫ドラマとは一線を画す、大胆な設定になっていることが本作の期待感を生んでいるのかもしれない。

◆松本まりかの“壊れサレ妻っぷり”がホラーすぎる

 また、松本の“サレ妻っぷり”も人気に拍車をかけている。第1話で理子が働く美容院に勇大が訪れ、2人で仲良く話している様子を遠目で見つめて絶望するみのり。その後、渉を交えて3人で理子の家に入っていく一部始終を、目元も感情もぐちゃぐちゃになりながらスマホで撮影する姿は、良い意味で見ていられない。

 極めつけは、勇大のスマホのパスワードを解読して不倫の決定打となる無数の写真を見つけた瞬間。“何か”が爆ぜ飛んでしまったように高らかに笑うみのりは、ホラーすぎて夏にピッタリだった。

 2話以降は、快活で、清楚で、家族想いで、可愛らしいみのりが、瞬く間に鬼神化していく様子が実に痛快。3話では理子が勤める美容院に予約をせずに乗り込み、理子に「私の夫は2週間に1回(髪を)切るんです」といろいろ牽制(けんせい)するシーンは心拍数が上がって仕方ない。理子はみのりの来店に動揺して一度はバックヤードに逃げ込むが、みのりは追跡して「もしかして、つわりですか?」と無表情で心配する姿は心臓に悪い。さらには、『部屋とYシャツと私』を歌い、「毒入りスープで一緒にいこう」という歌詞を口ずさみながらパスタソースをかき混ぜるシーンも飛び出し、みのりの覚醒が止まらない。

◆歯止めの効かない復讐心と躊躇ない手口

 不倫を含めた復讐ものでは、登場人物が敵役に同情してしまい、踏ん切りがつかずに躊躇するケースは珍しくない。しかし、みのりに迷いは一切ない。不倫が決定的になったことを弁護士の友人・堀紗良(太田莉菜)に伝えた際は、「本当の意味で罪を償わせたいの」と口にするみのりに、「もう1回向き合ってみたら? ちゃんと話し合うの」「みのりのためだけじゃないからね。翼くんだっているんだよ」と制止を促されるほどハイになっていた。

 歯止めの効かない復讐心に駆られているみのりは、不倫相手の息子というだけで一切罪のない渉にまで近づいて篭絡(ろうらく)しようとするほど暴走している。その思い切りの良さも面白さにつながっているように思う。

 みのりがどこまで暴れ狂ってくれるのかに注目しつつ、どのように復讐を完結するのかも今から楽しみに待ちたい。

<文/望月悠木>

【望月悠木】
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki

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