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朝ドラ『虎に翼』に登場した23歳俳優の“リアル父親”に驚きの声。お父さん以上に強烈かも

女子SPA! 2024年7月28日 8時46分

『虎に翼』(NHK総合)で、主人公・佐田寅子(伊藤沙莉)の父・猪爪直言を演じたのは、岡部たかしだった。

 新潟に異動になった寅子は、家庭裁判所の同僚判事・入倉始に出会う。新潟編の新キャラを演じるのが、岡部たかしの実の息子である岡部ひろきということで話題になっている。

 イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、父親以上に十分強烈な岡部ひろきの存在感を読み解く。

◆声だけによる親子の演技談義

 夜空の下、ある一組の俳優親子が、とても愉快に語り合う。岡部たかしに密着した『情熱大陸』(MBS、4月28日放送)のカメラが、その瞬間を捉えた。息子の岡部ひろきと岩谷健司の3人。

 話題は、3人が共演する、山内ケンジ作・演出の舞台『萎れた花の弁明』について。ひろき扮する大学生の好きな相手が、自分の父親と深い仲にあることを知る。父親役がたかし。芝居の中でもリアルな父子を演じる。

 事実を知った大学生が、思わず「かあ」という声を発する。それが感嘆なのかどうか。稽古の休憩時間に、岩谷も交えた3人が外に出てひたすら話し合うのだ。暗闇の中、3人の姿は写らない。ただ声だけによる演技談義が聞こえてくるだけなのだ。

◆さりげなく息子を紹介した岡部たかし

 姿が見えず、声だけというのがいい。自分たちにカメラが向けられていること意識した上で、演技談義をしてるんだというあからさまな感じが全然ない。とても自然なやり取り。

 カメラが回っていないところでも、きっと毎日時間があれば、こういう自由な会話を父子の間で繰り広げていることが容易に想像できる。『情熱大陸』では、他の場面でも同様に自然な瞬間があった。

 たかしが岩谷と結成した演劇ユニット「切実」の稽古中。ちらっとカメラに写り込んだのが、同番組に初登場したひろきだった。たかしはさりげなく「息子」 と紹介する。いやらしさが微塵もない。一緒に芝居をする仲間をせっかくだから紹介しますよ。みたいな軽いノリ。

◆ひょっこり出現する人

 この紹介のおかげで、ひろきの顔をしっかり覚えた人は多いと思う。同番組放送以降、意識しなくてもさまざまなドラマ作品で自然と目に立つようになった。一番の話題は、伊藤沙莉主演の朝ドラ『虎に翼』での出演。

 伊藤扮する佐田寅子が、東京から新潟地家裁に異動し、水曜日だけ家庭裁判所で判事を務めることになった第16週第80回。寅子が初出勤すると、彼女を誘ってくれた判事・星航一(岡田将生)の他にもうひとり男性が。

 深々と快活に頭を下げる寅子に対して、何ともやる気なく、「お願いします」とボソボソ答える。手鏡を見つめ、しきりに櫛(くし)で髪型を整えてばかりいる判事・入倉始(岡部ひろき)。初登場にしては影が薄い。でも独特な存在感はある。『情熱大陸』の稽古中の場面同様に、岡部ひろきは画面上にひょっこり出現する人でもある。

◆父親以上に強烈

 第17週第81回で再登場。機械的な口調でどこか投げやりだが、ここでもやっぱり髪型だけはしっかり気にしている。仕事中でもお構いなしに櫛を手にする習性がある。何をそんなに気にする必要があるんだか。

 1980年代くらいの(あるいは1950年代を舞台にした)アメリカ映画に出てくる若者たちは、油で固めた髪を整えるためによく櫛を取り出す。入倉もたぶんアメリカ人の若者に負けないくらいの頻度で髪に櫛を入れると思う。

 髪型を整えるために櫛を取り出す人物としてここまで執拗に描かれると、寅子の父・猪爪直言を演じていた俳優が、岡部たかしだったことをうっかり忘れそうになる。父親以上に息子も十分強烈な俳優ということだろうか。

◆感嘆しておきたくなる長台詞

 石橋静河主演の『燕は戻ってこない』(NHK総合、2024年)第3話にひろきがゲスト出演したことも記憶に新しい。大石理紀(石橋静河)から卵子を提供されることになった草桶悠子(内田有紀)が、春画を描く友人・寺尾りりこ(中村優子)と飲み会をする場面。

 周りに聞こえる大声でセクシャルなワードを連発するりりこに対して、後ろの席に座るサラリーマンの一団が聞き耳を立てる。結局合同で飲むことになった酒席で、ひろき扮するサラリーマンが、うんうんとうなづきながら、「伺って安心しました」と一言。

 ある程度まとまった台詞を吐くひろきを筆者は初めて見た。何せ『虎に翼』では、まだ印象的な言葉を発していなかったのだから。第83回でひろきがやっとまとまった長さの台詞を話す。

 担当する刑事事件について話し合う寅子と航一の間に割って入ったわりには、「考え過ぎと言うか、そもそもその子が関係してるかなんてどうでも良くないですか」と拍子抜けする意見。思わず「はて」を発した寅子。ちらっと見ただけで特にコメントをしない航一。ここで視聴者は、「かあ」と感嘆しておけばいいだろうか?

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu

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