30代以降の水着選びってなかなか難しいですよね。体型も気になるし人前であまり露出はしたくない。かといって全身タイツのような水着だとテンションが上がらない……。体型カバーとおしゃれ、両方叶えてくれる水着はないの?
そんな風に思っていたら見つけたのが、フェリシモの“服みたいな水着”。大人女性の「欲しい」を形にしたこの水着はSNSでも話題になっています。女性たちの声をもとに生まれたという、フェリシモの開発担当者・藤原 香さんにお話を聞いてみました。
◆二の腕やお腹が気になるけど、何もかも覆いたいわけじゃない
――“服みたいな水着”を作ったきっかけを教えてください。
藤原香さん(以下、藤原)「“服みたいな水着”は、スタイリストの福田麻琴さんとのコラボレーション商品で、『リブ素材のスイムウェア3点セット』として販売しています。毎年とても好評をいただいているシリーズなんです。
コラボしている福田さんもママ世代です。福田さんとの会話の中で『30代以降になると、水着を着る時に体型が気になるよね』という話になりました。実際にお客様アンケートを見ても、体型が気になるから露出をしたくない、という声はとても多いんです。特に二の腕とお腹周りを気にされている方が多いですね。
気になるところを隠したい、という気持ちはとてもよくわかります。でも、隠したいけど何もかも覆いたいわけではないよね、というところから水着の開発が始まりました」
◆30代~50代女性が本当に欲しい水着って何だろう
――たしかに、体型をカバーするためにほぼ全身を覆う水着なら、たくさんありますね。
藤原「はい。体型をカバーするだけであれば、とことん露出をなくすなど、やりようはあると思うんです。でも、せっかく海やプールに行くのだから、ある程度の華やかさは欲しいですよね。なんでもかんでも隠すのではなく、ほどよい肌見せとおしゃれさを大事にした水着を目指しました。そのこだわりを叶えるべく、開発を進めました。
商品を購入してくださるお客様は30代~50代と幅広い年齢層の女性です。お子さんがいる方も多いので、その方たちが本当に欲しい水着ってなんだろうと考えたんです」
――気になるところは隠しつつ、おしゃれさを出すというのは難しそうですね。
藤原「年齢を重ねるにつれてライフステージも変化して、似合うものや着るシーンも変わっていきますよね。女友達やママ友と海やプールに行くのであれば、お気に入りの水着を自由に着ればOKだと思うんです。でもお子さんがいる場合、子どもの付き添いで海やプールに行くことも増えます。その場合、例えば子どもの友達のママだけではなく、パパがいることもあります。
福田さんからは『友達家族のパパが見ても違和感を覚えない水着にしたい』という意見をいただきました。
隠しすぎるとおしゃれさはなくなるけど、露出しすぎるとパパたちもビックリしてしまいます。さらに、子どもの付き添いであれば、デザイン以外に動きやすさも大事ですよね。お客様が着用するシーンを考え、細部までこだわってデザインをつめていきました」
◆水着っぽく見えないのに動きやすい理由
――水着を見るとたしかに、ほどよい露出ですね。毎年出ているシリーズとのことですが、今年は去年までと違う部分などありますか?
藤原「今年、大きく変えたのは素材です。今年の水着はリブ素材(編集部注:デコボコした“うね”のある素材)になっています。より洋服感があり、水着を着ているという感じがありません。サラサラで接触面が少ないので肌への張り付きも少なく、着心地も良いです。水着素材としてのリブなので、もちろん快適に泳げます。
キャミトップ、ショーツ、ショートパンツの3点セットで、全てがリブ素材です。ショーツの裏地はツルッとしているので、着心地が良く、透け感もありません」
――ぱっと見、お洋服のように見えます! 3点セットの他に別売りでレギンスもあるのですが、レギンスも販売した経緯は?
藤原「去年までレギンスはなかったのですが、『せっかく形にこだわって水着を作ったのに、市販によくあるツルツルのレギンスをあわせてしまうと、全体のデザインに合わなくなってしまう……』という意見が出たんです。
日焼け対策や体型のお悩みで、脚を出したくないというお客様も多く、となるとどうしても市販のレギンスを重ねることになります。そこで、トータルでバランスよくコーディネートできるようにレギンスを作り、お客様には大好評でした」
◆ジャケットのインナーにもなる“洋服見え”デザイン
――この水着で一番こだわった部分はどこですか?
藤原「今年はリブ素材の水着ということで素材にこだわったのですが、キャミトップの形にもかなりこだわりました。普段の生活の中でも、水着としても、両方使えるデザインです。実際にブラキャミとして、普段使いしているというお客様もいらっしゃいます。
キャミトップの前の部分のカットを真っ直ぐにして、高めの位置に設定しているので、かがんだ時に胸元が見えにくくなっています。下着っぽさや水着っぽさも出ません。また、前の横幅を広めにとっているので、ジャケットなどはおりものの中に着てもラインがきれいです。紐にもこだわっていて、チラッと見えても水着や下着に見えないデザインにしています」
――子どもを抱っこする時など、胸元に安心感があるのもいいですね。
藤原「ストラップの位置にもこだわっていて、例えば同じMサイズでも、ふくよかなMの方も痩せ型のMの方もいらっしゃいます。ふくよかな方が着てもきつくならず、痩せ型の方が着てもブカブカにならないように、ストラップの位置を何度も何度も調整しました。実際に社員や取引先の方と試着をして、水の中にも入って……と、一番良い位置を決めていきました。
また年齢を重ねるにつれて、サイズの合うものが見つけづらいというお悩みも増えるため、Sサイズから4Lサイズまで幅広いサイズで展開しています」
◆水中だけじゃなく、レジャーや旅先での食事でも活躍
――レギンスの他に、リブ素材のフレアーパンツやラッシュガードカーディガンも出ているんですね。シーンに合わせてトータルでコーディネートできそうです。
藤原「ビーチやリゾート地に行った時に、ホテルの朝食会場に行くこともあると思います。そのままビーチに行けるように水着で行きたいけど、あまりにも水着っぽすぎると気になりますよね。そんなときに、ラッシュガードカーディガンをさらっと重ねたり、フレアーパンツを合わせたりすれば、違和感なく朝食も楽しめますし、朝食後はそのままビーチやプールにも行けます。
お子さんの付き添いでプールサイドに行く時に着てもいいですし、BBQなど濡れたり汚れたりしやすい場所でも、気にせず着用できます。
ラッシュガードカーディガンやフレアーパンツも水着素材なのでそのまま泳げますが、丈が長いので普通の水着よりは泳ぎにくいかもしれません。でも、服のようにさらりと着てプールサイドやビーチも実用的に華やかに楽しめます」
――泳ぐだけじゃなくて、旅行先やシーンにあわせて組み合わせられるのがいいですね。
藤原「水着に合わせて、おしゃれに着られるリゾートワンピースも出しているので、ぜひチェックしてください! 私もすでに買いました(笑)」
◆ライフステージの変化とともに増える悩みに寄り添いたい
――フェリシモさんには水着の他にも、女性の声に寄り添ってアイディアでお悩みを解決する商品が多いですよね。皆さんどのようなモチベーションで商品を企画されているのでしょうか。
藤原「女性の場合、結婚や出産など、ライフステージが変わるごとに、シーンも増えて、お悩みも増えていきますよね。体型の変化もあります。若い時はかわいいデザインだったらとりあえずよかったものでも、必要とする内容が変わってきます。
社員にもいろんな世代の女性が多くいるので、お客様のお悩みに共感しながら自分自身の悩みを通してアイディアを出すことが多いです。一人の生活者として、お客様と同じ目線でいます。私たちはクリエイターでもないし、デザイナーでもない。だけど、お客様より1つ先を見据えて、日々の困りごとを解決したいという気持ちと情熱で商品を制作しています」
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気になるところは隠したいけど、全部覆いたいわけじゃない。今の自分にとって必要な水着を探すのはなかなか大変ですが、探せばいろんな水着があることに驚きます。夏本番にむけて、お気に入りの一枚を見つけてはいがかでしょうか。
<取材・文/瀧戸詠未>
【瀧戸詠未】
大手教育系会社、出版社勤務を経てフリーライターに。教育系・エンタメ系の記事を中心に取材記事を執筆。Twitter:@YlujuzJvzsLUwkB
そんな風に思っていたら見つけたのが、フェリシモの“服みたいな水着”。大人女性の「欲しい」を形にしたこの水着はSNSでも話題になっています。女性たちの声をもとに生まれたという、フェリシモの開発担当者・藤原 香さんにお話を聞いてみました。
◆二の腕やお腹が気になるけど、何もかも覆いたいわけじゃない
――“服みたいな水着”を作ったきっかけを教えてください。
藤原香さん(以下、藤原)「“服みたいな水着”は、スタイリストの福田麻琴さんとのコラボレーション商品で、『リブ素材のスイムウェア3点セット』として販売しています。毎年とても好評をいただいているシリーズなんです。
コラボしている福田さんもママ世代です。福田さんとの会話の中で『30代以降になると、水着を着る時に体型が気になるよね』という話になりました。実際にお客様アンケートを見ても、体型が気になるから露出をしたくない、という声はとても多いんです。特に二の腕とお腹周りを気にされている方が多いですね。
気になるところを隠したい、という気持ちはとてもよくわかります。でも、隠したいけど何もかも覆いたいわけではないよね、というところから水着の開発が始まりました」
◆30代~50代女性が本当に欲しい水着って何だろう
――たしかに、体型をカバーするためにほぼ全身を覆う水着なら、たくさんありますね。
藤原「はい。体型をカバーするだけであれば、とことん露出をなくすなど、やりようはあると思うんです。でも、せっかく海やプールに行くのだから、ある程度の華やかさは欲しいですよね。なんでもかんでも隠すのではなく、ほどよい肌見せとおしゃれさを大事にした水着を目指しました。そのこだわりを叶えるべく、開発を進めました。
商品を購入してくださるお客様は30代~50代と幅広い年齢層の女性です。お子さんがいる方も多いので、その方たちが本当に欲しい水着ってなんだろうと考えたんです」
――気になるところは隠しつつ、おしゃれさを出すというのは難しそうですね。
藤原「年齢を重ねるにつれてライフステージも変化して、似合うものや着るシーンも変わっていきますよね。女友達やママ友と海やプールに行くのであれば、お気に入りの水着を自由に着ればOKだと思うんです。でもお子さんがいる場合、子どもの付き添いで海やプールに行くことも増えます。その場合、例えば子どもの友達のママだけではなく、パパがいることもあります。
福田さんからは『友達家族のパパが見ても違和感を覚えない水着にしたい』という意見をいただきました。
隠しすぎるとおしゃれさはなくなるけど、露出しすぎるとパパたちもビックリしてしまいます。さらに、子どもの付き添いであれば、デザイン以外に動きやすさも大事ですよね。お客様が着用するシーンを考え、細部までこだわってデザインをつめていきました」
◆水着っぽく見えないのに動きやすい理由
――水着を見るとたしかに、ほどよい露出ですね。毎年出ているシリーズとのことですが、今年は去年までと違う部分などありますか?
藤原「今年、大きく変えたのは素材です。今年の水着はリブ素材(編集部注:デコボコした“うね”のある素材)になっています。より洋服感があり、水着を着ているという感じがありません。サラサラで接触面が少ないので肌への張り付きも少なく、着心地も良いです。水着素材としてのリブなので、もちろん快適に泳げます。
キャミトップ、ショーツ、ショートパンツの3点セットで、全てがリブ素材です。ショーツの裏地はツルッとしているので、着心地が良く、透け感もありません」
――ぱっと見、お洋服のように見えます! 3点セットの他に別売りでレギンスもあるのですが、レギンスも販売した経緯は?
藤原「去年までレギンスはなかったのですが、『せっかく形にこだわって水着を作ったのに、市販によくあるツルツルのレギンスをあわせてしまうと、全体のデザインに合わなくなってしまう……』という意見が出たんです。
日焼け対策や体型のお悩みで、脚を出したくないというお客様も多く、となるとどうしても市販のレギンスを重ねることになります。そこで、トータルでバランスよくコーディネートできるようにレギンスを作り、お客様には大好評でした」
◆ジャケットのインナーにもなる“洋服見え”デザイン
――この水着で一番こだわった部分はどこですか?
藤原「今年はリブ素材の水着ということで素材にこだわったのですが、キャミトップの形にもかなりこだわりました。普段の生活の中でも、水着としても、両方使えるデザインです。実際にブラキャミとして、普段使いしているというお客様もいらっしゃいます。
キャミトップの前の部分のカットを真っ直ぐにして、高めの位置に設定しているので、かがんだ時に胸元が見えにくくなっています。下着っぽさや水着っぽさも出ません。また、前の横幅を広めにとっているので、ジャケットなどはおりものの中に着てもラインがきれいです。紐にもこだわっていて、チラッと見えても水着や下着に見えないデザインにしています」
――子どもを抱っこする時など、胸元に安心感があるのもいいですね。
藤原「ストラップの位置にもこだわっていて、例えば同じMサイズでも、ふくよかなMの方も痩せ型のMの方もいらっしゃいます。ふくよかな方が着てもきつくならず、痩せ型の方が着てもブカブカにならないように、ストラップの位置を何度も何度も調整しました。実際に社員や取引先の方と試着をして、水の中にも入って……と、一番良い位置を決めていきました。
また年齢を重ねるにつれて、サイズの合うものが見つけづらいというお悩みも増えるため、Sサイズから4Lサイズまで幅広いサイズで展開しています」
◆水中だけじゃなく、レジャーや旅先での食事でも活躍
――レギンスの他に、リブ素材のフレアーパンツやラッシュガードカーディガンも出ているんですね。シーンに合わせてトータルでコーディネートできそうです。
藤原「ビーチやリゾート地に行った時に、ホテルの朝食会場に行くこともあると思います。そのままビーチに行けるように水着で行きたいけど、あまりにも水着っぽすぎると気になりますよね。そんなときに、ラッシュガードカーディガンをさらっと重ねたり、フレアーパンツを合わせたりすれば、違和感なく朝食も楽しめますし、朝食後はそのままビーチやプールにも行けます。
お子さんの付き添いでプールサイドに行く時に着てもいいですし、BBQなど濡れたり汚れたりしやすい場所でも、気にせず着用できます。
ラッシュガードカーディガンやフレアーパンツも水着素材なのでそのまま泳げますが、丈が長いので普通の水着よりは泳ぎにくいかもしれません。でも、服のようにさらりと着てプールサイドやビーチも実用的に華やかに楽しめます」
――泳ぐだけじゃなくて、旅行先やシーンにあわせて組み合わせられるのがいいですね。
藤原「水着に合わせて、おしゃれに着られるリゾートワンピースも出しているので、ぜひチェックしてください! 私もすでに買いました(笑)」
◆ライフステージの変化とともに増える悩みに寄り添いたい
――フェリシモさんには水着の他にも、女性の声に寄り添ってアイディアでお悩みを解決する商品が多いですよね。皆さんどのようなモチベーションで商品を企画されているのでしょうか。
藤原「女性の場合、結婚や出産など、ライフステージが変わるごとに、シーンも増えて、お悩みも増えていきますよね。体型の変化もあります。若い時はかわいいデザインだったらとりあえずよかったものでも、必要とする内容が変わってきます。
社員にもいろんな世代の女性が多くいるので、お客様のお悩みに共感しながら自分自身の悩みを通してアイディアを出すことが多いです。一人の生活者として、お客様と同じ目線でいます。私たちはクリエイターでもないし、デザイナーでもない。だけど、お客様より1つ先を見据えて、日々の困りごとを解決したいという気持ちと情熱で商品を制作しています」
========
気になるところは隠したいけど、全部覆いたいわけじゃない。今の自分にとって必要な水着を探すのはなかなか大変ですが、探せばいろんな水着があることに驚きます。夏本番にむけて、お気に入りの一枚を見つけてはいがかでしょうか。
<取材・文/瀧戸詠未>
【瀧戸詠未】
大手教育系会社、出版社勤務を経てフリーライターに。教育系・エンタメ系の記事を中心に取材記事を執筆。Twitter:@YlujuzJvzsLUwkB