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イギリス人に「揖保乃糸そうめん」を振る舞ったら“意外な反応”。イギリス旅で感じた和食の進化とは

女子SPA! 2024年8月10日 8時46分

 イギリスの和食に、進化あり。

 食文化研究家のスギアカツキです。『食は人生を幸せにする』をモットーに、食トレンド、スーパーマーケットやスタバ、ダイエットフード、食育などの情報を“食の専門家”として日々発信しています。

 コロナ規制がなくなり、再び海外旅行ができるようになった今、私は先日、コロナ後のリアルな食文化をリサーチするために、イギリスを訪れました。

 イギリスにはコロナ問題が漂い始めた2019年3月から4年ぶり。どのような変化を遂げたのか、自分の目と舌と心で体験することにしました。

 レストランやホテル、スーパー、マーケット、イギリス家庭などを回り、リアルな状況を確認できました。その中で特に印象的だったのが、“和食の進化”でした。

 世界的な和食ブームが始まる前から、イギリスではすでに日本食が定着していますから、時代を経た変化には、日本人の私にも新しいヒントになるような斬新さが発見できたのです。

 そこで今回は、「和食の進化や未来」をテーマに、最新のイギリスで発見したトピックスを紹介していきたいと思います。「海外でこんなのがウケるんだ!」、「いつもの和食をこうやってアレンジすると新しいのか!」といった視点で気軽に楽しんでいただければ嬉しく思います。

◆①たこ焼きが大人気

 まずは、今どんな和食メニューが人気か?というところから。

 ロンドンだけでなく大都市には日本料理専門店が必ず存在し、地元民や世界中の観光客から人気を集めています。実際に好きなメニューを聞いてみると、多く出てきたのが「たこ焼き」でした。

 確かに大阪に行くと多くの海外観光客が集まっていますよね。日本とちょっと違うのが、マヨネーズ。ピリ辛のスパイスを効かせた「チリマヨネーズ」がたっぷりかかっているんです。

 これがとってもよく合う!このマヨネーズはイギリスのスーパーでは定番になっていて、日本ではなかなか見かけないアイテム。酸味と辛みがバランスよく加わったマヨネーズは、粉もの以外にも肉料理に最高ですから、気軽なイギリス土産としてもオススメです。

◆②SUSHI(寿司)がますます進化を遂げている

 和食の定番SUSHI(寿司)にも変化が見られました。お店の個性をアピールするような創作寿司が多くそろい、日本で食べる寿司とは別次元で楽しむことができるように。

 人気だったのは、アボカドやサーモンを使ったカルフォルニアロール的なものではなく、WAGYU(和牛)を使ったにぎり寿司です。しかも牛たたきにトリュフを合わせていて、口に入れると華やかな旨味と香りが広がります。

 これは言葉を失うおいしさでした。この組み合わせは日本に帰っても参考になるアイディア。牛たたきを用意すれば、トリュフオイルやトリュフソルトで簡単に作ることができそうです。

◆③和食専門店のインテリアがおしゃれ

 3つ目は、日本や和食のイメージが進化しているということ。海外から見た日本と言えば、サムライ、城、相撲、富士山などのイメージが強く、タイムスリップしたような気分になりがちです。

 しかしながら最近の人気和食店を見てみると、大きな変化がありました。今回訪れたケンブリッジにある「KIBOU」の店内装飾は、日本らしさを感じながらも洋家具や照明、花などを駆使して新空間を演出。ハイセンスな雰囲気に驚きました。イギリスではすでに“ネオ和食”が広がりつつあります。

◆④手土産でふるまった素麺(そうめん)が大人気に

 イギリスではすでに多くの日本食材が出回っていますが、まだ一般的に浸透していないのが、素麺(そうめん)。

 今回の渡英にあたり、仕事相手や友人への手土産として揖保乃糸を用意してふるまったところ、子どもから大人まで大喜びされたのです。

「日本にはこんなにも繊細なヌードルがあったのか!」「夏の朝ごはんに毎日食べたい。」「インドカレーとも合うな!」などと大絶賛の様子。

 アメリカやカナダでは少しずつ知られるようになりつつありますが、イギリス人には新鮮だったのか、私にとっても大きな発見で、「そうめんは世界に通用する」ということを実感する機会になりました。海外への手土産の候補としてもオススメです。

◆⑤ミニオーブン「NINJA(ニンジャ)」がすごい

 最後に紹介するのは、和食ではないものの、イギリスで出会った和風なネーミングの調理家電。「NINJA(ニンジャ)」というブランドのミニオーブンで、日本ブランドかと思いきや、アメリカの小型キッチン家電ブランドなんだそう。見た目が忍者みたいで愛嬌があります。

 実際に使わせてもらったのですが、シンプルな操作性で、おいしいグリル料理が短時間に作れてしまうことに衝撃を受けました。

 焼き野菜やBBQチキンを食べてみましたが、どれも焼き加減が最高。NINJAは日本にもミキサーが発売されているようですが、オーブンは未上陸。今一番欲しい家電になりました。

 以上、話はまだまだつきませんが、イギリスの中の日本・和食は確実に進歩を遂げていました。ヒトや文化の多様性を強く実感できるイギリス、次の海外旅行先の候補にいかがでしょうか?

<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>

【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12

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