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渋い居酒屋デートで「僕、ウィンナー」「ワサビ食べて」。“子供舌”男になっちゃった怖い過去

女子SPA! 2024年8月26日 8時47分

独身生活大謳歌中のアラサー、七尾紫と申します。フリーの編集者として活動しながら、彼氏は作らず、結婚願望も持たず、日々楽しく過ごしています。

というのも、私は「元カレ全員ダメ男です」と胸を張って言えるほど男運がない。付き合うに至らなかった人も含めると数十人にのぼるダメ男体験の中から、今回は“末っ子長男”のエピソードをご紹介します。これから母になる人、すでに子どもがいる人にも読んでいただけるとうれしいです。

◆末っ子のハイスペ君と居酒屋に行ったら…

誰かとお付き合いするうえで、ちょっとだけ気になるのが兄弟構成。私はそこまで重視していませんが、出会う男性の数が増えると、なんとなく自分との相性の傾向がわかってきますよね。私の場合ですが、“妹がいる長男”と相性がいいなぁと思ったり…。

でもそのことに気づいたのは、数々の“末っ子”との出会いがあったからでした。

私が28歳のころ、居酒屋で一人の男性と出会いました。そこそこ大きな企業に勤めているという彼は、背が高くてきれいなお顔をした、まだ24歳なのに役職ありという、なかなかハイスペックな若者。“シュッとしてる”を体現したような男の子です。

ご近所さんだったこともあり、その日は連絡先を交換して、「次は2人で飲みに行こう」と約束して別れました。

約束の日。ラフな私服姿で現れた彼を見てシンプルに「かっこいい!」と思いましたね。徒歩で店に向かう時間も、お互い緊張することなく友達のようにわいわいと話せて楽しかったです。この時点では、「どうにかなっちゃったらうれし~!」と思っていました。

◆焼き魚もワサビもダメな、“子ども舌”の男

席についてメニューを見ていると「俺、レモンサワー。紫は?」と聞かれたので、「私、生中」と答えると、「俺、ビール飲めないんだよね」とポツリ。まだ25歳ですから、ビールのおいしさがわかるまでもう少しかかるわけです。かわいー!と思いながら、「ホッケ食べたいな」と言うと、「俺、焼き魚苦手なんだ」と返ってきました。なので、「焼き魚が苦手って珍しいね。じゃあお刺身にしよっか」と代替案と出すと、「いいけど、ワサビ全部食べてくれる?」と言います。

…嫌な予感がしました。でも、ビールも焼き魚もワサビも、苦手な人はいるっちゃいるか…などと考えつつ、メニュー表にチャンジャを見つけたので、「私チャンジャ好きだから頼んでいい?」と聞きました。すると彼は、「チャンジャって何?」と言うのです。

まあ、知らない人もいるだろうし、好き嫌いが分かれる食べ物です。とりあえずチャンジャの説明をして、「一度食べてみたら?おいしいよ」と言ってみました。でも彼は「俺、辛いもの食べられないから」とひと言。もう我慢できなかったので、「じゃあ任せるよ。何が食べたい?」と聞くと、「唐揚げとウインナー」と…。

はい、“子ども舌”確定のお知らせです。私は人の食の好みをあまり気にしません。ですが、彼の場合はちょっと偏食が過ぎるような…。思い切って「お母さん、ご飯作るの大変そうだったでしょ(笑)」と探りを入れてみると、彼から返ってきたのは、「ううん、お母さんが食べさせてくれなかった」という、衝撃的なひと言でした。

◆クセが強い食べ物は、全部ママが排除していた!

そのあと詳しく聞いたのですが、彼は母と姉3人という家族構成らしく、姉は3人とも私より年上でした。つまり、待望の男の子。かわいがられるのもわかります。

お母様は、彼が大学生になるころまで、いわゆる“大人が好きな食べ物”を一切食べさせなかったそうです。ワサビをはじめとした薬味類、納豆などのクセが強いもの、苦いもの、辛いものを、「これはやめておこうね」と、彼の前から排除していたのだとか。

さらに、姉たちは好きなものを食べていましたが、彼に対してはお母様と同じようにしていたそうです。こうして、唐揚げやオムライス、カレー、ハンバーグといった、子どもが好きなものしか食べられない成人男性が爆誕。ちなみに、焼き魚が苦手なのは自分で魚をほぐしたことがないからでした。

正直、「哀れ」だと思いました。救いだったのは、彼自身もその環境が異常だと気づき始めていたこと。「それは“苦手”とか“嫌い”とは違うよ。食べたことないだけじゃない?」と説教めいたことを言ってしまったのですが、「やっぱりそうだよね。チャンジャ、食べてみようかな」と言ってひと口食べていました。結局、口に合わなかったんですが。チャンジャを口に運ぶ彼を見て、なんだかすごく感動したのを覚えています。

◆母に愛されすぎた“末っ子長男”の不幸

好き嫌いは仕方のないことです。でも、もし自分の弟が同じような人間になってしまって、恋愛がうまくいかなかったり、飲み会で上司にドン引かれたりする姿を想像したら…私は母を恨むでしょう。もちろん、そうなる前に止めます。

彼は、その後も一緒にご飯を食べる際に「これ無理」「あれ嫌い」と言い、ちゃんと聞くと「食べたことがないだけ」ということが多々ありました。もう彼の中で成立しちゃってたんですね。“未知の食べ物=嫌い”という方程式が。

結果的に別の理由で彼とは会わなくなりましたが、私は、彼にひと言でも「俺、好き嫌い多いから食べたいもの先に言っておくね。紫は好きなもの頼んでね」と言ってほしかっただけ。好き嫌いを直せ!私に合わせろ!と言いたいのではなく、せめて自覚してほしかったなぁと思いました。もし今後彼のことを愛す女性がいたとしたら、「そのままでいいよ」とか、「ダメ!大人のくせに!」とか言うのでしょうか。それもまた、愛なんでしょうか。

この一件で、過去の苦すぎる思い出も踏まえて、私は“末っ子長男”がトラウマになってしまいました。もちろん出会ってすぐに「何人兄弟?」と聞くようなことはしませんが、「なんか合わないぞ…」と思ったら姉が2人いた、みたいなことは今でもあるので、単に相性が良くないのでしょう。

愛をたっぷり注いで育てるのはとてもよいこと。でも、行き過ぎた愛には要注意。恋愛だけでなく、親子や姉弟でも、ですね。

<文/七尾紫 イラスト/織田繭>

【七尾紫】
元・恋愛体質のフリー編集者。ダメ男に好かれてしまう特異体質を持つ。DVと不倫以外は大体やられている

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