Infoseek 楽天

42歳で子宮全摘をして1年、生理用品も一斉処分!全摘を後悔しなかった理由とは

女子SPA! 2024年8月19日 8時45分

 2023年3月、筆者は子宮筋腫のため、子宮を全摘する手術を受けました。その経緯は、以前、「42歳で子宮全摘を決意。葛藤の中で気づいた『産みたくない』という気持ち」でもつづっています。

 現在、摘出してから1年以上が経過。今ではすっかり子宮がないことが当たり前の生活になりましたが、手術以前からさまざまな心境の変化がありました。

 そこで、子宮を摘出してから実際に感じたことや気持ちの変化について、まとめてみました。今、子宮の全摘を検討、もしくはやむを得ない状況にある方も、考えの一つとして、参考になれば幸いです。

◆子宮がないという物理的な実感は?

 筋腫の数が増え、巨大化した筆者の子宮。腰痛や月経過多など、日常生活にも支障が出るようになり、43歳の春に子宮全摘をしました。

 とはいえ、実は今も自分の体の中に子宮がないという感覚はほぼありません。もちろん、開腹術だったこともあり、お腹にがっつり手術のキズは残っていますし、下腹部の巨大な物体がなくなり、触れればなんとなく「なくなったな」と分かります。

 でも、それ以外に物理的な実感は特になく、生理がこないことで「あぁ子宮がないんだな」と時々ふと思い出すくらいの感覚。むしろ「あれだけ大きい子宮がなくなるんだから少し体重が減るのでは!?」と期待しましたが、入院生活の規則正しい生活と食事で一瞬痩せたものの、現在はほぼ変わりありません……。

 この実感に関しては個人差があるかもしれませんが、筆者としてはあまり違和感がありませんでした。

◆生理用品を一気に処分し、メンタルもスッキリ!

 子宮を摘出して最も感じたのは、体が楽になって、気持ちもポジティブになれたこと。今までは、生理がくるたびに調子が悪くなり、経血のことを考えて行動するのが本当にストレスだったのですが、今後もう二度と生理がこないのだと思ったら、とてつもない開放感を覚えました。

 退院してからしばらくは、まだ出血する可能性も考えて生理用品を残していましたが、数か月経って落ち着いたころ、一気に生理用ショーツを処分。

 そして余っていた生理用品も知人に譲り、家の中に「生理」と関わるものを一切なくした時、なんだかとても感慨深いものを感じました。それはさながら、腐れ縁で長く連れ添った相手とついに別れたような開放感。「卒業」なんていう爽やかな気分ではなく「せいせいした」に近い感覚でした。

 もう生理にスケジュールを振り回されることもなく、いつでも好きな服や下着を選べる環境になると、思いのほかメンタルもポジティブに。

 手術前は、「もしかしたら子宮を失った自分に劣等感を抱くこともあるのかな」と不安になっていましたが、全くそんな感情はなく、むしろ以前より自分らしく生きられている、と実感。QOLを優先した自分の選択に、間違いはなかったと確信しました。

◆「産まない自分」の呪縛が消え「次世代への貢献」へと思考がチェンジ

 もう一つの大きな心境の変化は、他人の妊娠や出産に全く揺さぶられなくなったこと。

 子宮を摘出する前は、妊娠のための臓器があるのに、産まないことに罪悪感があり、それは年齢を重ねるごとに強く感じていました。さらに、知人や有名人の妊娠のニュースには、子どもを望んでいないと思ってはいても、自分が得られなかった幸せを手に入れているうらやましさと、それでも産まない後ろめたさで胸がチクッ……。そんな自分に嫌気がさしたこともあります。

 でも今、物理的にも“産まない人生”を踏み出したことで、新しい命の話題を聞いても、自分の世界とは完全に別のトピックの話と捉え、意外なほど素直に受け止められるように。「あきらめ」という言葉にしてしまうとちょっぴり悲しい部分もあるのですが、「産まない自分」に対する呪縛は、術後すっかり消えていたのです。

 そしてさらに、「子どもを産んで子孫を残すということはできなくても、今の子どもたちが生きやすい社会作りに貢献することはできるのでは」という考えができるようになりました。今回の手術は、自分の中で新しいフェーズへと進むきっかけにもなったように思います。

◆後悔しなかったのは、手術前に自身がしっかり納得していたから

 もちろん、子宮を失った方全員がポジティブに受け止められるとは考えていませんし、ましてや、手術を推奨しているわけでもありません。手術は体力も時間もお金も必要ですし、合併症などのリスクだってあります。人によっては、想像よりもネガティブな気持ちになり、心に傷を負うこともあるかもしれません。

 ただ、今筆者がポジティブでいられるのは、やはり手術前にしっかり納得できていたからではないかと考えています。少しでも迷いがあったり、自分の人生にマッチしていないと感じたりする状態で手術を受けてしまったら、何かしらの後悔が残ったかもしれません。

 何事も、人生での大きな決断をする時は、自分が納得しているか、ということを最も大切にしています。家族や友人、医師などの専門家の意見を参考にはしても、自分が決めるからこそ、後に何があってもブレずにいられるのではないでしょうか。

 とはいえ長い人生、また気持ちが変わることもあるかもしれません。その時に気づいたことがあれば、またつづってみたいと思います。

<文/関由佳>

【関由佳】
筆跡アナリストで心理カウンセラー、カラーセラピストの資格も持つ。芸能人の筆跡分析のコラムを執筆し、『村上マヨネーズのツッコませて頂きます!』(関西テレビ)などのテレビ出演も。夫との死別経験から、現在グリーフ専門士の資格を習得中。Twitterブログ

この記事の関連ニュース