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“禁断の愛”を育む2人のラブロマンス、再び!? 源氏物語への道も見えてきた|大河ドラマ「光る君へ」第30回

女子SPA! 2024年8月11日 15時45分

清少納言が書いた『枕草子』が宮中で評判となる。一条天皇も心を癒されていた。

しかし、このことによって「物語」に力があることが証明されたわけだ。

まひろがその力を発揮するときが近づいている。

◆「この夏……我らの命も持たぬやもしれぬ……」

為時(岸谷五朗)のセリフにここまで共感したことはない。2024年の夏、我々も「この夏、命持たぬやもしれぬ」と思っていたが、1004年も人々は同じことを思っていたらしい。都を干ばつが襲っていたのだ(当時の気温は何度ぐらいだったのだろう……)。

為時の屋敷でも井戸が涸れてしまい、まひろ(吉高由里子)たちは命の危機を感じていた。

一条天皇(塩野瑛久)が雨乞いをしたものの効果はない。帝が雨乞いをするのは200年ぶりだったというのに。

そこで道長(柄本佑)は隠居していた安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)に頭を下げた。晴明が雨乞いする以外に手立てはない、と。道長が自分の寿命を10年差し出したのを引き換えに雨乞いをした晴明。見事、恵みの雨が降り出した。晴明って本当にとんでもない人なのだ。そうなると、本当に道長の寿命も10年奪っているのだろうな……。

◆広まる、『枕草子』

伊周(三浦翔平)の尽力もあり、清少納言(ファーストサマーウイカ)の書いた『枕草子』が宮中に広まっていた。一条天皇も『枕草子』を読んでおり、亡き定子(高畑充希)に想いを馳せていた。

「生まれ変わってまた定子に会い、心から定子のために生きたい」と言う一条天皇に「どうぞ華やかで楽しかった日々のことだけをお思いください」と伊周が言う。

でも、帝たるものそれだけではいけないのだけれど……ふたりのやりとりを聞いていた隆家(竜星涼)はなんとなく腑に落ちない表情をしている。彼としては、過去ばかりを考えている一条天皇が理解できないらしい。

帝というのは、人々のこれからを考える立場。そんな方が自分の過去ばかりを思っていることは良いとは決して言えない。それを勧める伊周もいかがなものか。伊周は国のことはどうでもよいのだろうな、と思わずにはいられない。

◆才を垣間見せ始めるまひろ

一方、まひろは藤原公任(町田啓太)の屋敷で月に一度、和歌を学ぶ会で指導を行っていた。そこではまひろは自分が書いた「カササギが人間の世界で見聞きしたできごとを語る」という『カササギ語り』を披露していた。女房たちからも評判で早く続きが読みたいとせがまれるほど。

のちの和泉式部であるあかね(泉里香)は『枕草子』よりも『カササギ語り』のほうがおもしろいと言う。そんな女房たちの言葉にまひろは喜びを感じていた。

『枕草子』もそうだけれど、物語やエッセイが人の心を動かすという様子は観ていて嬉しくなる。書いている本人はもっと、だろうけれど、清少納言はどうだろうか……と今回は出番がなかった彼女に想いを馳せる。まひろは書くのが楽しい様子だけれど、清少納言は定子を助けたいという必死な想いが原動力につながったから……。

しかし、そんなまひろの物語を娘の賢子(福元愛悠)が燃やしてしまう。文字の読み書きを厳しく教えているまひろ。それが彼女のためだと信じて疑わない。一方で物語も書いているときは、賢子の相手をしてやれない。為時がたっぷりと賢子を甘やかしているようだけれど、賢子が求めているのはまひろだ。

自分の思い通りにならないからと言って、燃やすだなんて危険なことをしてはいけない、とまひろは叱る。泣きじゃくる賢子だけれど、言葉で伝わる年齢ではないような。

お互いに思い通りにならない部分があり、すれ違いもあるのだろうな、と想像。そんな母との関係性が賢子の人生にも影響を与えそうだ。

◆物語が政治を動かす?

倫子(黒木華)もまた、やるせない思いを抱えていた。一条天皇が彰子(見上愛)に見向きもしないのだ。娘を哀れに思った倫子は一条天皇に直談判。しかし、一条天皇は彰子が自分を受け入れていない、と言う。ふたりが一緒にいるシーンは少ないが、どうもコミュニケーションが少ないようだ。彰子は自分から積極的に話をするほうではないことも影響しているのだろう。

どうしたら、一条天皇の目を彰子に向けられるのか。道長は公任、斉信(金田哲)、行成(渡辺大知)と食事をしながら話し合う。雉のお肉を使った焼き鳥も出てきて、まるで居酒屋で飲むような……。BGMも大河っぽくなくて逆にいい。

そこで行成が、書物が好きな一条天皇のために『枕草子』を越えるおもしろい読み物を用意してはどうか、と提案する。簡単に言うが、難しいことである。そこで公任が言い出したのは、和歌を学ぶ会におもしろい物語を書く者がいる、と言い出す。

その者について公任が「前の越前守、藤原為時の娘だ」と言ったときの道長の顔よ……。「ふーん」じゃないのよ、「ふーん」じゃ。

◆道長とまひろ、再び

賢子が『カササギ物語』を燃やしてしまった翌日。まひろが存分に書けるようにと為時は賢子らを連れて賀茂の社へと出かけた。為時おじいちゃんは賢子にメロメロだし、まひろと仲良くしてもらいたいし、まひろにも好きなように生きてほしい、という気持ちがあるのだ。

しかし、ひとりになると筆が進まない。気分転換に外に出ると、そこに来客が。

道長である。

視線を合わせるふたり……というところで今回はおしまい。

が、次回は放送休止である。どうしてまひろと道長が再会した翌週に焦らされてしまうのか……ッ。ふたりが今度はどのようなやりとりをするのか楽しみにしながら待ちたい。

<文/ふくだりょうこ>

【ふくだりょうこ】
大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ

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