少し前にXで無印良品の「不揃いバウム」について、「揃ったバウムはどこで売っているのか……」という投稿が話題になっていました。
たしかに近年フードロスが問題になっていることもあり、「訳あり商品」として「割れてしまったおかき」「ロールケーキ切り落とし部分」などが少し安価に販売されていることがあります。
「不揃い」と記載があることもあり、「揃っているバージョンも存在する」と思い込んでいた方も多いのではないでしょうか。
◆「揃ったバウムは存在しない」
無印良品の担当者に聞いてみると、
「『不揃い』の意味としては、焦げ目や丸みの違いのことを指しております。不揃いのものも余さずに商品化しているという意味で、『揃ったバウム』という商品はございません。
現在、バウムの製法は筒状に焼いたバウムを等分して棒状にした後、7等分してスティック状に切っています。ただ、その過程で焼き色や焦げ目、丸みの形や崩れてしまう部分など『不揃い』になってしまう部分もあります。
捨てられることもありましたが、商品の質は変わらないこともあり売ることになったのです。廃棄が減ったことでコストダウンが実現し、価格を抑えて提供できるようになりました」(無印良品担当者)
そして2017年11月の発売以降、累計で約1億4000万本も売れたヒット商品に!あえて商品名に「不揃い」をつけたのも良かったのかもしれません。
◆「無選別 クランベリーヨーグルトチョコ」の「無選別」とは?
同じ系統だと、「無選別 クランベリーヨーグルトチョコ」の「無選別」も気になります。
「無選別とは、クランベリーの粒の大きさを揃えるための選別はしていないということです。サイズの選別をしないことで無駄が少なくなるように原料を使うことになるので、廃棄の削減につながっています」(無印良品担当者)
この商品は消費者としても特に「サイズが同じであってほしい」とは思わないもの。むしろ、大きいものや小さいものなどバリエーションがあったほうが楽しいかもしれませんね。
◆「フリーカット するめシート」が「フリーカット」であるワケとは
ほかにも気になったのは「フリーカット するめシート」。するめはカットされていた方が食べやすそうだなと思ってしまうのですが、なぜフリーカットにしたのでしょうか。
「食べやすさだけでいうとカットの方が良い部分かもしれませんが、カットしないままにすることでお客さまが自由に選べるような余白をつくりました。
たとえば、大判の状態でマヨネーズを挟んだり、頬張って引きちぎって食べたり、自分で好きなサイズにカットしたり……。あとはインパクト重視でベルトみたいな見た目が楽しいのではないか?という遊び心もありました」(無印良品担当者)
◆「甘くないカフェインレスカフェオレ」は、カフェオレなのか?
ほかにも、無印良品には「甘くないカフェインレスカフェオレ」という商品もあります。カフェインレスで甘くない……それはカフェオレなのでしょうか?
「無印良品では以前よりカフェインレスコーヒーの需要が非常に高く、豆粉では通常のオリジナルコーヒーよりも人気でした。一方でカフェインレスの飲料が以前はブラックコーヒーしか品揃えがなく、支持率が低いことが課題でした。
調べたところ、カフェインレス購入層は30~40代女性が多かったことから、その層の嗜好に合わせたオレ(ラテ)に再設計しました。
健康需要の高まりから市場でも砂糖抜きのカフェオレの需要が高まっていること、さらにカフェなどでも砂糖を入れずに飲まれる方が多いことから甘くない設計になりました」(無印良品担当者)
「甘くないカフェインレスカフェオレ」なんておかしくない? と思っていたのは思い込みで、むしろニーズがあったということ!
そしてそのニーズを持った方に訴求すべく、わかりやすくダイレクトに商品名にその製品特徴を記しているのも無印良品らしさ。
無印良品は誕生当初より商品のワケを伝える商品名を採用しており、たとえば1982年に発売された「板なしかまぼこ」はその名の通り板を外し化粧包装も省いた商品でした。そんな昔からこのスタイルを貫いていたのですね。
お店を訪れた際は「商品名」に着目してみることで、これまでになかった「そうそう、これが欲しかった!」という商品に出会えるかもしれません。
<文/松本果歩>
【松本果歩】
インタビュー記事から食レポ記事までジャンル問わず執筆するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり、店長を務めた経験あり。Twitter:@KA_HO_MA
たしかに近年フードロスが問題になっていることもあり、「訳あり商品」として「割れてしまったおかき」「ロールケーキ切り落とし部分」などが少し安価に販売されていることがあります。
「不揃い」と記載があることもあり、「揃っているバージョンも存在する」と思い込んでいた方も多いのではないでしょうか。
◆「揃ったバウムは存在しない」
無印良品の担当者に聞いてみると、
「『不揃い』の意味としては、焦げ目や丸みの違いのことを指しております。不揃いのものも余さずに商品化しているという意味で、『揃ったバウム』という商品はございません。
現在、バウムの製法は筒状に焼いたバウムを等分して棒状にした後、7等分してスティック状に切っています。ただ、その過程で焼き色や焦げ目、丸みの形や崩れてしまう部分など『不揃い』になってしまう部分もあります。
捨てられることもありましたが、商品の質は変わらないこともあり売ることになったのです。廃棄が減ったことでコストダウンが実現し、価格を抑えて提供できるようになりました」(無印良品担当者)
そして2017年11月の発売以降、累計で約1億4000万本も売れたヒット商品に!あえて商品名に「不揃い」をつけたのも良かったのかもしれません。
◆「無選別 クランベリーヨーグルトチョコ」の「無選別」とは?
同じ系統だと、「無選別 クランベリーヨーグルトチョコ」の「無選別」も気になります。
「無選別とは、クランベリーの粒の大きさを揃えるための選別はしていないということです。サイズの選別をしないことで無駄が少なくなるように原料を使うことになるので、廃棄の削減につながっています」(無印良品担当者)
この商品は消費者としても特に「サイズが同じであってほしい」とは思わないもの。むしろ、大きいものや小さいものなどバリエーションがあったほうが楽しいかもしれませんね。
◆「フリーカット するめシート」が「フリーカット」であるワケとは
ほかにも気になったのは「フリーカット するめシート」。するめはカットされていた方が食べやすそうだなと思ってしまうのですが、なぜフリーカットにしたのでしょうか。
「食べやすさだけでいうとカットの方が良い部分かもしれませんが、カットしないままにすることでお客さまが自由に選べるような余白をつくりました。
たとえば、大判の状態でマヨネーズを挟んだり、頬張って引きちぎって食べたり、自分で好きなサイズにカットしたり……。あとはインパクト重視でベルトみたいな見た目が楽しいのではないか?という遊び心もありました」(無印良品担当者)
◆「甘くないカフェインレスカフェオレ」は、カフェオレなのか?
ほかにも、無印良品には「甘くないカフェインレスカフェオレ」という商品もあります。カフェインレスで甘くない……それはカフェオレなのでしょうか?
「無印良品では以前よりカフェインレスコーヒーの需要が非常に高く、豆粉では通常のオリジナルコーヒーよりも人気でした。一方でカフェインレスの飲料が以前はブラックコーヒーしか品揃えがなく、支持率が低いことが課題でした。
調べたところ、カフェインレス購入層は30~40代女性が多かったことから、その層の嗜好に合わせたオレ(ラテ)に再設計しました。
健康需要の高まりから市場でも砂糖抜きのカフェオレの需要が高まっていること、さらにカフェなどでも砂糖を入れずに飲まれる方が多いことから甘くない設計になりました」(無印良品担当者)
「甘くないカフェインレスカフェオレ」なんておかしくない? と思っていたのは思い込みで、むしろニーズがあったということ!
そしてそのニーズを持った方に訴求すべく、わかりやすくダイレクトに商品名にその製品特徴を記しているのも無印良品らしさ。
無印良品は誕生当初より商品のワケを伝える商品名を採用しており、たとえば1982年に発売された「板なしかまぼこ」はその名の通り板を外し化粧包装も省いた商品でした。そんな昔からこのスタイルを貫いていたのですね。
お店を訪れた際は「商品名」に着目してみることで、これまでになかった「そうそう、これが欲しかった!」という商品に出会えるかもしれません。
<文/松本果歩>
【松本果歩】
インタビュー記事から食レポ記事までジャンル問わず執筆するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり、店長を務めた経験あり。Twitter:@KA_HO_MA