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盲点だった…!即席みそ汁だけじゃない「未開封でも冷蔵・冷凍保存すべき食品」5つ

女子SPA! 2024年8月25日 8時44分

 未開封でも常温NG!?

 食文化研究家のスギアカツキです。『食は人生を幸せにする』をモットーに、食トレンド、スーパーマーケットやスタバ、ダイエットフード、食育などの情報を“食の専門家”として日々発信しています。

 記録的な猛暑が続く今年。気象庁は8月22日にこの先の1か月予報を発表しましたが、今後も全国的に厳しい残暑が続き、9月異例の猛暑となる恐れ……。

 また降水量は広範囲で平年より多く、高温多湿は避けられない状況のようです。夏バテ対策をして自分の心身を守るのはもちろんのこと、“食品の保存”にも気を配りたいところです。

 先日、味噌を中心とする食品メーカーのマルコメの投稿が大きな話題になりました。それは、「みそがお家にある皆さまへ 大切なお知らせです。」というメッセージに続く、味噌の保存に関する注意喚起でした。

 主旨は、残暑において「未開封の味噌および即席みそ汁を冷蔵庫や冷凍庫に移動してほしい」という“みその夏バテ対策”を知らせる内容。これに対して、「即席はスルーしてた! 知らなかった!」という声が多く集まったのです。確かに盲点だったと感じた人は少なくないでしょう。

 今回は、これをきっかけに、食品の夏バテ対策について確認してみたいと考えました。確かに他にも常温保存が心配な食品が……。さっそく確認していくことにしましょう。

◆未開封でも常温保存を避けるべき食品①塩麹

 これは、味噌の冷蔵・冷凍保存を推奨される理由と同じです。

 味噌や塩麴は、原料に含まれる糖分とたんぱく質、アミノ酸が反応することで変色してしまう化学反応(メイラード反応)が起こります。これは夏場などの高温多湿で起こりやすい現象で、健康面では問題ないものの、風味の劣化が起こることが指摘されています。

 確かに未開封の塩麴を2か月常温保存してみたところ、黄色味がかった変色を確認しました。

◆未開封でも常温保存を避けるべき食品②米

 米は生ものの農産物であり、25度以上の室温に置くと風味の劣化だけでなく、虫が発生してしまいます。

 特に心配なのは、白米よりも玄米や胚芽米。脱酸素処理を施された商品を除き、トラブルを回避するために細やかな対策(例:クール便での流通や配送)が行われているケースはごく一部というのが現状でしょう。

 対策として、信頼できる店で購入すること、なるべく新しい精米日を選ぶこと、炊く分量ごとに密閉袋に小分けして冷蔵庫および野菜室に保存することなどを覚えておきましょう。

◆未開封でも常温保存を避けるべき食品③いちごジャム

 いちごジャムも注意が必要です。購入当初は鮮やかな赤色をしているものの、イチゴに含まれる赤い色素であるアントシアニンは熱や光に弱い特性があり、日が経つにつれて茶色っぽくなることが分かっています。

 これは品質上や風味への問題はないようですが、食は視覚の影響も強く受けますから、茶色いジャムで味わうのはなるべく避けたいところ。退色スピードを緩やかにするために、冷蔵庫保存が賢明です。

◆未開封でも常温保存を避けるべき食品④コーヒー豆

 コーヒー豆の鮮度が落ちる原因となるのは4つ。水分、酸素、光、温度です。

 温度は水分や酸素よりも影響が小さいとは言われているものの、気温の高い夏場は酸化スピードが早まることが指摘されています。

 豆の状態であるか、挽いた状態であるかに限らず、温度差の激しい場所や高温での保存は避けるべき。未開封の場合であっても、数日で飲み切れる量に限り、直射日光や高温多湿の場所を避けて、風通しが良い15℃以下の場所に置くことが推奨されています。

◆未開封でも常温保存を避けるべき食品⑤ワイン

 最後は、ダメだとは分かっていてもついつい常温ストックしてしまいがちなワインについて。

 実はワインの保存において最も大事だと言われるのが、温度。未開封のワインは、温度変化の少ない13~15度の涼しい環境で保存する必要があります。特に30℃を超えてしまうような夏場においては、ワインにとって厳しい環境。

 購入したら早めに飲むようにすること、長期保存はできるだけ避けること、保管する場合は冷蔵室よりも温度と湿度が高い野菜室での保存が推奨されています。

 食品は夏場であってもおいしく味わいたいのは当たり前のこと。一つでも該当するものがあれば、ただちに保存場所のお引越しを実行するようにしてみてくださいね!

<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>

【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12

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