夫婦間に金銭感覚のズレがあると、大きな溝が生まれてしまうこともあるもの。
坂口直美さん(仮名・42歳)はケチすぎる夫に日頃から辟易していましたが、自宅のボイラーが故障したときに言われた“ある言葉”に激しい憤りを感じ、離婚を決意しました。
◆3000万円の老後資金を貯めるために節約を強いる夫
直美さんは知り合いの紹介を通じて13年前、夫の雅人さん(仮名・48歳)と結婚。結婚後はアパート暮らしをしていましたが、30代後半に自身の父親が亡くなり、母親が施設に入所したため、雅人さんと共に実家へ引っ越しました。
「夫はケチなので、毎月の家賃支払いがなくなり、ローンを払い終えている実家に住めることを喜んでいました」
雅人さんの口癖は、「3000万円の老後資金を貯める」。買い物時には直美さんの行動を監視し、必要な食材以外の購入を許しません。美容品も「どうせ、年を取ったらみんな同じ」と言われ、スーパーで売っている1000円未満の商品しか購入を許してもらえなかったそう。
◆デパコスを購入すると激昂され……
一度デパートで化粧品を購入したときには「いくらしたんだ!」と問い詰められ、金額を言うと「それだけのお金があったら、これだけのものが買える」と、普段スーパーで買う食品をリストアップして渡されたことがあったとか……。
自分の給料や貯金でこっそり娯楽品や美容品を購入しようと思っても雅人さんは毎月、銀行口座のチェックを要求。断ると怒鳴り散らし、1週間ほど無視してくるため、穏便に日常を終えたい直美さんは文句を言わず、従うようになりました。
「付き合っているときは、どちらかというと気前が良く、何でも買ってくれる人だったので結婚後、ギャップに驚きました。最初の頃は何度か離婚が頭に浮かびましたが、いつの間にか夫が強いる生活に慣れ、そんなことを考えなくなっていました」
◆ボイラーが故障。銭湯へ行くことを提案してみると
そんなある日、長年使っていた実家のボイラーが故障。お湯が出なくなってしまったため、知り合いの電気屋に見てもらうと、新品のボイラーへの交換を勧められました。
交換工事は、5日後に決定。その間は近くのスーパー銭湯にでも行こうかと、直美さんは考えていました。
ところが、ケチな雅人さんは銭湯へ行くことを許さず。なんと、「タオルを水で浸して体を拭けばいい」と言ってきたのです。
「夏でしたが、さすがにそれは我慢できなくて……。髪も水で洗えばいいと言われましたが、短髪のあなたとロングヘアーの私では感じる寒さが違うよ……と思いました」
◆友人に数日間だけお風呂を貸してもらうことに
とはいえ、直美さんは収支をチェックされているため、ひとりで銭湯へ行くことは困難。そこで近所に住む友人に連絡をし、事情を説明。数日間だけ、お風呂を貸してもらえることになりました。
「友人は『モラハラすぎない? そんな人といたら、直美が苦しいだけだよ。自分を大事にしてほしい』とも言ってくれました。夫から過度な節約を強いられる生活に慣れていた私は、その言葉で自分の暮らしは異常なのかもしれないと、少し思えたんです」
◆友人の厚意に甘えようとする夫の厚かましさに激怒
友人への連絡後、直美さんは雅人さんに「数日間、お風呂を貸してくれる子がいたから行ってくる」と告げました。
すると、雅人さんの口から信じられない言葉が……。「それなら、俺も一緒に行こうかな! ひとりもふたりも、そんなに変わらないだろうし」と、自分も友人の厚意に甘えようとしてきたのです。
この言葉を聞き、さすがに怒りを我慢できなくなった直美さんは「調子よすぎない? 水で濡らしたタオルで体を拭けばいいって言ったのは誰? 私は嫌だったから方法を考えたの! あなたも自分の脳みそを少し働かせたら?」と激怒。
雅人さんは反論をしてきましたが、耳を傾けず、友人宅へ向かいました。
◆ボイラーの故障をきっかけに調停離婚へ
「友人はお風呂を貸してくれるだけじゃなくて、私のこれまでを聞いてくれました。その中で夫がいかに理不尽な要求をし、私を管理しようとしていたのかに気づいたんです」
この気付きを得たことで、直美さんは離婚に向けて動き始めたそう。当事者間の話し合いによる協議離婚が成立しなかったため、現在は調停離婚の真っ最中です。
ボイラーが壊れたことで夫婦の関係を見つめ直すことになるとは……。そう笑う直美さんの未来が明るいものでありますように。
<取材・文/古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291
坂口直美さん(仮名・42歳)はケチすぎる夫に日頃から辟易していましたが、自宅のボイラーが故障したときに言われた“ある言葉”に激しい憤りを感じ、離婚を決意しました。
◆3000万円の老後資金を貯めるために節約を強いる夫
直美さんは知り合いの紹介を通じて13年前、夫の雅人さん(仮名・48歳)と結婚。結婚後はアパート暮らしをしていましたが、30代後半に自身の父親が亡くなり、母親が施設に入所したため、雅人さんと共に実家へ引っ越しました。
「夫はケチなので、毎月の家賃支払いがなくなり、ローンを払い終えている実家に住めることを喜んでいました」
雅人さんの口癖は、「3000万円の老後資金を貯める」。買い物時には直美さんの行動を監視し、必要な食材以外の購入を許しません。美容品も「どうせ、年を取ったらみんな同じ」と言われ、スーパーで売っている1000円未満の商品しか購入を許してもらえなかったそう。
◆デパコスを購入すると激昂され……
一度デパートで化粧品を購入したときには「いくらしたんだ!」と問い詰められ、金額を言うと「それだけのお金があったら、これだけのものが買える」と、普段スーパーで買う食品をリストアップして渡されたことがあったとか……。
自分の給料や貯金でこっそり娯楽品や美容品を購入しようと思っても雅人さんは毎月、銀行口座のチェックを要求。断ると怒鳴り散らし、1週間ほど無視してくるため、穏便に日常を終えたい直美さんは文句を言わず、従うようになりました。
「付き合っているときは、どちらかというと気前が良く、何でも買ってくれる人だったので結婚後、ギャップに驚きました。最初の頃は何度か離婚が頭に浮かびましたが、いつの間にか夫が強いる生活に慣れ、そんなことを考えなくなっていました」
◆ボイラーが故障。銭湯へ行くことを提案してみると
そんなある日、長年使っていた実家のボイラーが故障。お湯が出なくなってしまったため、知り合いの電気屋に見てもらうと、新品のボイラーへの交換を勧められました。
交換工事は、5日後に決定。その間は近くのスーパー銭湯にでも行こうかと、直美さんは考えていました。
ところが、ケチな雅人さんは銭湯へ行くことを許さず。なんと、「タオルを水で浸して体を拭けばいい」と言ってきたのです。
「夏でしたが、さすがにそれは我慢できなくて……。髪も水で洗えばいいと言われましたが、短髪のあなたとロングヘアーの私では感じる寒さが違うよ……と思いました」
◆友人に数日間だけお風呂を貸してもらうことに
とはいえ、直美さんは収支をチェックされているため、ひとりで銭湯へ行くことは困難。そこで近所に住む友人に連絡をし、事情を説明。数日間だけ、お風呂を貸してもらえることになりました。
「友人は『モラハラすぎない? そんな人といたら、直美が苦しいだけだよ。自分を大事にしてほしい』とも言ってくれました。夫から過度な節約を強いられる生活に慣れていた私は、その言葉で自分の暮らしは異常なのかもしれないと、少し思えたんです」
◆友人の厚意に甘えようとする夫の厚かましさに激怒
友人への連絡後、直美さんは雅人さんに「数日間、お風呂を貸してくれる子がいたから行ってくる」と告げました。
すると、雅人さんの口から信じられない言葉が……。「それなら、俺も一緒に行こうかな! ひとりもふたりも、そんなに変わらないだろうし」と、自分も友人の厚意に甘えようとしてきたのです。
この言葉を聞き、さすがに怒りを我慢できなくなった直美さんは「調子よすぎない? 水で濡らしたタオルで体を拭けばいいって言ったのは誰? 私は嫌だったから方法を考えたの! あなたも自分の脳みそを少し働かせたら?」と激怒。
雅人さんは反論をしてきましたが、耳を傾けず、友人宅へ向かいました。
◆ボイラーの故障をきっかけに調停離婚へ
「友人はお風呂を貸してくれるだけじゃなくて、私のこれまでを聞いてくれました。その中で夫がいかに理不尽な要求をし、私を管理しようとしていたのかに気づいたんです」
この気付きを得たことで、直美さんは離婚に向けて動き始めたそう。当事者間の話し合いによる協議離婚が成立しなかったため、現在は調停離婚の真っ最中です。
ボイラーが壊れたことで夫婦の関係を見つめ直すことになるとは……。そう笑う直美さんの未来が明るいものでありますように。
<取材・文/古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291