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二階堂ふみがNHK『あさイチ』でキゼンと質問!動物ふれあいコーナーってストレス大丈夫なの?

女子SPA! 2024年8月29日 8時46分

女優の二階堂ふみさんが、8月26日に出演した『あさイチ』(NHK)にて、東京都内の屋内型ふれあい動物園での動物たちの様子に、きぜんと質問を投げかけ、ネットで称賛が集まっています。

◆「ストレスに弱い生き物だから…」動物の飼育環境を心配

NHKで放送中の情報番組『あさイチ』。26日放送回では、二階堂さんが故郷・沖縄を旅しながら、世界自然遺産・やんばるの森をはじめ野生動物、米軍基地、戦争について思いを巡らせていく様子が放送されました。

その後、東京都文京区の「ふれあい動物園」からの中継にうつり、アカハナグマの展示スペースで、ロケ担当キャスターの餌やりの様子が紹介されると、二階堂さんは動物園館長に展示時間や人数の制限はあるのか質問。

続いて、キャスターがハリネズミと触れ合う際には「ストレスに弱い生き物だから…」と不安そうな表情になるなど、動物ファーストな姿勢を貫きました。

犬や猫、フェレットなど7匹と暮らし、日頃から動物愛護のボランティアも行う二階堂さんならではの発言に、ネットでは賛同する声があがりました。加えて、番組前半で自然環境・動物保護を取り上げた直後に、動物展示を中継することに対して「安易な構成」だと批判する投稿もありました。

では、「触れ合える小動物」は人とのスキンシップがストレスになるのでしょうか?愛玩動物飼養管理士の資格を持つ古川諭香さん解説してもらいました。(以下、古川さんの寄稿です)

◆ハリネズミは触られることでストレスを感じるのか?

二階堂ふみさんが番組内で指摘したように、ハリネズミは本来警戒心が強く、臆病(おくびょう)な夜行性の生き物です。もちろん個体差はありますが、新しいものに慣れるまでに時間がかかりますし、優れた嗅覚を持つため、知らないにおいがすると、警戒心をより募らせる子もいます。

体を丸める姿は一見かわいく見えますが、実は強い不安や恐怖を感じているサイン。警戒レベルによって針の立て方も変わります。

苦手なのは大声や大きな音。一度怖い思いをすると、その出来事を忘れるまでに時間がかかると言われています。

こうした繊細さを持っているため、一緒に暮らす際は声かけをしながら、ゆっくりと信頼関係を育みます。

やりがちですが、後ろから突然触るのはNG。怖がらせないよう、正面に立って手のにおいを嗅がせ、下からお腹をすくいあげるようにして手に乗せましょう。

ハリネズミは触れ合いやすいサイズ感ではありますが、スキンシップを取るには正しい知識が必要なのです。

◆触られることがストレスになりやすい「ふれあい動物」は他にも…

ハリネズミだけではく、モルモットやウサギといった小動物も「ふれあい動物」にされやすいもの。しかし、そうした小動物も過度なスキンシップから体調を崩すことがあります。

例えば、ウサギは「寂しがり屋」というイメージが強いものですが、実は警戒心が強く、自己主張をしっかりとする生き物。個体によって性格や気質は違いますが、過度に構われることが強いストレスになる子もいます。

モルモットは最もポピュラーな「イングリッシュ」や縮れ毛が特徴的な「テディ」など、様々な品種がいますが、いずれも穏やかな性格である反面、警戒心は強め。モルモットは肉食動物から捕食される存在だったため、その名残りから警戒心が強く、臆病な子が多いのです。

捕食対象であったモルモットにとっては、自分より体が大きな人間も脅威の対象。もちろん個体差はありますが、自宅での飼育下では愛情を持ってお世話をしても懐かない子もいると言われています。

モルモットは聴覚が優れているため、大声や大きな物音が苦手。初めての人や環境に慣れるのに時間がかかりますし、環境の変化によってストレスを感じることもあります。ちなみに、突然のフリーズは、怖がっているサインです。

なお、モルモットは、ペットショップや動物園などでのふれあい体験では複数の個体がひとつのケージに入れられていることもありますが、1匹ずつケージを用意することが推奨されています。

なぜなら、群れる習性がある一方、集団の中で優劣をつけるという特徴があるから。弱い個体は攻撃の対象にされてしまうことがあるため、飼育環境にも配慮することが大切なのです。

◆動物の命を「エンタメ」として消費しない運営形態を

このように「ふれあい動物」とされている生き物は人間が思っているよりも、はるかに繊細。

ゼロ距離で動物の生態を学び、理解を深めるふれあい型の動物園はたしかに子どもにとってよい情操教育となることもありますが、一方で動物の命が“人を癒すエンタメ”として消費されていないか、社会全体で考えていく必要があります。

今回、話題になったふれあい動物園のホームページでは獣医師や動物飼育経験者のスタッフが募集されているなど、動物の命を気遣おうとする気持ちは垣間(かいま)見えますが、動物愛護の声が高まっている社会の現状を踏まえ、より動物ファーストな仕組みにしていていくことが求められます。

触れ合える時間に制限を設けて動物を十分に休ませる、些細な異変を感じた時にすぐ対処できるよう、獣医師を常勤させるなど、動物の心と体、両方の健康を守る対策は命をエンタメとして消費しないために大切なことです。

近年は、北海道にある「旭山動物園」のように人間が見たい行動を動物に押し付けるのではなく、本来の運動能力や行動を見せることで種の尊さを伝える「行動展示」が注目を集めるなど、一般的な動物園でも命の扱い方は変わってきています。

ふれあい型の動物園も在り方を見直す時期が来ているのかもしれません。

<文/古川諭香>

【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291

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