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幼い娘と3年間、車中泊生活をした家族が遭遇した“トラブル”。妻が「もう嫌だ!」と極寒の屋外に

女子SPA! 2024年9月6日 8時44分

 こんにちは、コラムニストのおおしまりえです。

 キャンピングカーを購入して2020年から約3年間、日本全国を旅して生活した西川こみあげさん一家。その様子は、自身のYouTubeチャンネル「ビビりの家族が行くキャンピングカー生活」で発信されています。

 娘のことちゃんは当時2歳だったため、育児や教育の面ではどうしていたのか、夫でこの旅を発案した西川こみあげさん(44歳)に3回にわたって話を聞いてきました。

 今回は、旅に欠かせないお金の話を含め、車中泊生活のリズムなど、実生活について聞いていきます。

◆普段の生活スタイルや、意外な不便さ

 車中泊生活における最大のタスクは「1日1日を生きること」だといいます。日々、どのような生活リズムを送っていたのでしょうか。

「リズムは、僕が朝4時に起床し、家族が寝ている間にYouTube更新など仕事を済ませます。そこから家族が起床後に朝食を済ませ、娘と散歩などに出掛けます。

これが朝のルーティンとして決まっているもので、それ以降はフレキシブルに予定が決まる感じです。訪問美容、撮影仕事の他に旅の最中は極力会いたい人に会いにいくようにしていましたが、本当にたくさんのお誘いをDMでいただき、いろんな土地に出向きました。家族共々、本当に多くの方々にお会いさせて頂き学びが多かったです。それが大きな財産になっています」

 そんな日々のなかでも、やはり困り事はあったといいます。

「一番の困り事としては、水がすぐになくなることです。車には100リットルの清水タンクと、110リットルの排水タンクがついています。これを使い、料理を作ったり洗い物をしますが、思った以上に排水タンクがすぐに溜まります。この水はその辺に捨てることはできないので、最初の頃は処理に苦労しました。

 試行錯誤する中で、洗車場に言えば捨てさせてもらえることもわかり、事なきを得ましたが、『日常生活の中で当たり前にできることが意外と苦労する』といった場面は多く、旅の醍醐味とはいえ困りました。ただ、旅をすると幸せのコスパが上がります。平らな場所で寝れる、水を自由に使える、日常では当たり前のことが当たり前ではなくなります。モノにあふれた昨今にモノのありがたみがわかる。この感覚は今の娘にも残っているので、良い影響を与えられたかなと考えています」

◆キャンピングカーが坂を転落寸前に…あわや大事故!

 旅の最中は、本当に”意外な問題”の連続だったそうですが、それを笑って話せるのも、大事になるほどのトラブルがなかったからと言えます。では、道中最大のトラブルは何だったのか聞きました。

「一番怖かったのは、長野で大事故になりかけたことです。その時は、急な坂から車ごと転落しかけました。当時長野市を走っていたら、知らないうちに行ってはいけない場所に迷い込んでいました。そこは傾斜がキツく、気づいたら車体の重さで坂を登りきれなくなり、ブレーキをかけても車が落ち続けていきました。最終的に強引に停車させましたが、あの時は本当に怖かったです。

キャンピングカーは大きいので、想像するよりもずっと運転が難しいです。風にも煽られるし、狭いところに入ると抜けられないです。壊れるたびに修理が必要です。家族を危険に晒してしまったこの一件があって旅を一時中断した経緯があります」

 聞いているだけでドキドキしてしまうような恐怖体験です。一方、車中泊生活は狭い空間にずっと家族が一緒にいることになるため、信頼関係が欠かせません。とはいえ、喧嘩もあることでしょう。夫婦関係の面では、大きなトラブルはなかったのでしょうか。

「もちろん、夫婦喧嘩はたくさんしました。我が家では喧嘩は徹底的に話し合うことを意識していますが、もちろんすぐ実行できないくらいの大喧嘩もありましたね。例えば、真冬に夫婦で喧嘩したときは、妻が『もう嫌だ!』って、真夜中に出ていったことがありました。当時の気温はマイナス20度ですから、死の危険性があります。すぐに探しにいきましたが見つからなくて、どこかで倒れているんじゃないかと焦りましたね」

 YouTubeチャンネルでは、奥さんとの仲睦まじいやり取りが印象的ですが、まさかそんな場面もあったとは。こうしたやり取りも経て、夫婦の絆もより深まったということでしょう。

◆車中泊生活中の、生活費と収入のリアルは?

 キャンピングカーで日本横断中は、当然働き方や稼ぎ方には制限が生まれます。こみあげさん夫婦は、もともとフリーランス美容師として働いていましたから、車中泊生活中は同じような働き方は不可能です。

 夫のこみあげさんはそれを見越して、訪問美容室やYouTubeチャンネルを立ち上げていましたが、実際のお財布事情は、どうなっていたのでしょう。

「我が家の生活費は多くて月約30万円くらい(税金と保険料は含まない)で、車中泊生活に家賃はかかりませんから、安く済ませようと思ったらもっと下げることはでき、10万円台でも成り立ちます。

支出のメインは電気代と食事です。夏場はソーラーでは回せないので、電気は毎日キャンプ場に取りに行くため、その分の費用が発生します。食費はほぼ自炊になりますが、費用が6万円くらいで、ここに外食費が乗っていきます。

旅のスタート時には、当時自分のお店を持つための準備資金としての貯金がありましたが、YouTubeチャンネルの収益化も安定しておらず、訪問美容室もまだまだ始めたばかりでしたから、収入はほぼゼロからスタートでした。子どもの教育費については、当時は旅自体が教育と考えていたのでお金をかけるという概念はあまりありませんでした」

◆家族で車中泊生活を始めるなら「貯金をしてから」

 教育にかかったお金としては、当時は一時保育の料金くらいだったと話すこみあげさん。確かに、車中泊生活そのものが子どもへの自然の中で行う教育だと思えば、教育費を別途かけるというのも、おかしな話かもしれません。

 かかっても月30万円という金額感を聞くと、意外と安く実行できるんだなと筆者は感じました。こみあげさんは、もし周りに自分と同じような生活にチャレンジしたいと考える人がいた場合、応援したいと話すものの「お金の心配はしない環境を用意したほうがいい」と力説します。

「同じような生活を希望する人がいたら、大変さはありますが今は「やって本当によかった」と思えているのでおすすめします。だけど、お金のことを心配しながら実行するのはあまりおすすめは出来ません。できれば貯金をしっかりしてからスタートするか、リモートで続けられる仕事を持ちながら旅に出るか、場所を選ばず業をこなせるスキルをつけるか……自分の旅は大きなリスクがあるように見えるかもしれませんが、僕自身は、賭けのような旅のやり方はストレスになるので、おすすめはできません。

ぜひそれを踏まえて、検討してみてください。ちなみに我が家の旅の糧となった映像の勉強を始めたのは僕が39歳の頃からです。なので、よく言いますが挑戦に年齢は本当に関係ないと思っています」

【西川こみあげ】

旅生活の後は北海道に移住し美容室を経営。映像作家として「こみあげ映写」を設立。YouTube登録者5万人、総再生数1040万回、主要メディアにも取り上げられた実績を持つ。動画制作講座では大手企業と提携し個人のメディア運営術を指導。生徒にプロの実戦経験を提供し新時代の生き方をレクチャーしている

<取材・文/おおしまりえ>

【おおしまりえ】
コラムニスト・恋愛ジャーナリスト・キャリアコンサルタント。「働き方と愛し方を知る者は豊かな人生を送ることができる」をモットーに、女性の働き方と幸せな恋愛を主なテーマに発信を行う。2024年からオンラインの恋愛コーチングサービスも展開中。X:@utena0518

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