女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「びっくり体験」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2021年8月8日 記事は取材時の状況)
==========
「まだ20代のころの話ですが、仲の良かった会社の先輩女性社員の結婚披露宴に出席した際、当時恋人だった今のダンナが新郎の友人として出席していたんです」
結婚式会場で彼氏を見かけた時のことをそう振り返るのは高山怜美さん(仮名・34歳)。当日、現在の夫も結婚式に出席することは聞いていたそうですが、まさか同じ式に呼ばれているとはお互い想像もしていなかったといいます。
◆彼氏は新郎側のゲストだった
「住んでいたのは地方都市とはいえ、それなりに人口がいたので式場は何か所もありましたし、まさか同じ披露宴だったとは……。
早めに着いたのでロビーで会社の人と話をしていたら少し離れた場所にスーツ姿のダンナが友達らしき同年代の男性数人と一緒にいたんです。すると、向こうもすぐ私のことに気づいたのですが、身体を一瞬のけぞらせてものすごく驚いた顔をしていました」
もともと2人とも相手の交友関係にあまり干渉するタイプではなかったため、詳しいことはまったく聞いていなかったとのこと。彼は新郎の大学時代のサークル仲間だったそうですが、自分の友人に彼女を紹介するようなタイプではなく、面識もありませんでした。
◆職場のメンバーに彼氏を紹介することに
彼は彼女のもとに歩み寄り、「まさか同じ結婚式なんて知らなかったよ」と話しかけ、怜美さんも「私もだよ……」と返答。ただし、周りは2人が突然親し気に話し始めたことに状況が理解できなかったらしく、みんなキョトンとした様子だったそうです。
「隣にいた会社の同期の子は私たちのやりとりからどういう関係かは察していたみたいですが、『どちら様?』って言われたので彼氏だとみんなに紹介しました。
会社でも年の近い女子社員には付き合っている人がいることを以前から話していましたが、あの場には同じ部署の男性社員だけではなく社長や専務のおエラいさんも来ていたので。まさかこんな形で恋人を紹介するとは思っていなかったので、あれが一番あせりました(笑)」
◆新郎新婦がこの偶然をすごく喜んでくれた
2人は結婚前提の交際でこの時点は正式に婚約はしていなかったものの、実家には双方挨拶済み。結婚に向けた話し合いも始まっていたのでよかったですが、「もし別れていたらかなり気まずいことになっていた」と言います。
「ダンナも一緒にいるのが私の会社の人間だと知って、急に緊張した様子で『怜美さんとお付き合いさせていただいている……』って社長に挨拶するし、ヘンな空気になっていました。社長が『私は高山さんの父親じゃないんだし、かしこまって挨拶しないでくれよ~』っておどけた様子で返してくれたおかげで場が一気に和みましたけどね」
気がつけば彼の友人たちも輪に加わり、同僚女性社員たちと親し気に会話をしていたそうです。
披露宴の後、場所を移して行われた結婚式の二次会には、社長や専務など会社のおエラ方は参加しませんでしたが、女性社員たちや彼の友人たちは全員出席。そこで新郎新婦も2人の話を聞き、「そんな偶然ってあるんだ!」と食いついてきたそうです。
「この日の主役が私たちの話を知って、すごく喜んでくれました。特に先輩(新婦)はこういう偶然のシチュエーションに弱い人で『これは運命よね』って結婚をあおってくるし、ほかの人たちからも『次は君たちの番だ!』ってはやし立てられたのは少し面倒でしたけど(苦笑)。でも、こういうおめでたい席にふさわしいネタを提供できたので、ある意味一番の余興になったんじゃないかなと思います」
◆今では家族ぐるみの付き合い
この結婚式から1年半後に怜美さんも無事に挙式。自身の披露宴ではこのときのエピソードはもちろん紹介され、会場は大盛り上がりだったといいます。
「あの日の式をきっかけに先輩夫婦ともプライベートで頻繁に会うようになり、さらにあの結婚式がきっかけで仲良くなった同僚とダンナ友人もゴールイン。今ではこの3組で子供たちを交えて家族ぐるみの付き合いをしています」
こんな偶然、実際にはありそうでなかなかないものです。これは運命を感じるのも当然かもしれませんね。
<文/トシタカマサ イラスト/カツオ>
【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。
==========
「まだ20代のころの話ですが、仲の良かった会社の先輩女性社員の結婚披露宴に出席した際、当時恋人だった今のダンナが新郎の友人として出席していたんです」
結婚式会場で彼氏を見かけた時のことをそう振り返るのは高山怜美さん(仮名・34歳)。当日、現在の夫も結婚式に出席することは聞いていたそうですが、まさか同じ式に呼ばれているとはお互い想像もしていなかったといいます。
◆彼氏は新郎側のゲストだった
「住んでいたのは地方都市とはいえ、それなりに人口がいたので式場は何か所もありましたし、まさか同じ披露宴だったとは……。
早めに着いたのでロビーで会社の人と話をしていたら少し離れた場所にスーツ姿のダンナが友達らしき同年代の男性数人と一緒にいたんです。すると、向こうもすぐ私のことに気づいたのですが、身体を一瞬のけぞらせてものすごく驚いた顔をしていました」
もともと2人とも相手の交友関係にあまり干渉するタイプではなかったため、詳しいことはまったく聞いていなかったとのこと。彼は新郎の大学時代のサークル仲間だったそうですが、自分の友人に彼女を紹介するようなタイプではなく、面識もありませんでした。
◆職場のメンバーに彼氏を紹介することに
彼は彼女のもとに歩み寄り、「まさか同じ結婚式なんて知らなかったよ」と話しかけ、怜美さんも「私もだよ……」と返答。ただし、周りは2人が突然親し気に話し始めたことに状況が理解できなかったらしく、みんなキョトンとした様子だったそうです。
「隣にいた会社の同期の子は私たちのやりとりからどういう関係かは察していたみたいですが、『どちら様?』って言われたので彼氏だとみんなに紹介しました。
会社でも年の近い女子社員には付き合っている人がいることを以前から話していましたが、あの場には同じ部署の男性社員だけではなく社長や専務のおエラいさんも来ていたので。まさかこんな形で恋人を紹介するとは思っていなかったので、あれが一番あせりました(笑)」
◆新郎新婦がこの偶然をすごく喜んでくれた
2人は結婚前提の交際でこの時点は正式に婚約はしていなかったものの、実家には双方挨拶済み。結婚に向けた話し合いも始まっていたのでよかったですが、「もし別れていたらかなり気まずいことになっていた」と言います。
「ダンナも一緒にいるのが私の会社の人間だと知って、急に緊張した様子で『怜美さんとお付き合いさせていただいている……』って社長に挨拶するし、ヘンな空気になっていました。社長が『私は高山さんの父親じゃないんだし、かしこまって挨拶しないでくれよ~』っておどけた様子で返してくれたおかげで場が一気に和みましたけどね」
気がつけば彼の友人たちも輪に加わり、同僚女性社員たちと親し気に会話をしていたそうです。
披露宴の後、場所を移して行われた結婚式の二次会には、社長や専務など会社のおエラ方は参加しませんでしたが、女性社員たちや彼の友人たちは全員出席。そこで新郎新婦も2人の話を聞き、「そんな偶然ってあるんだ!」と食いついてきたそうです。
「この日の主役が私たちの話を知って、すごく喜んでくれました。特に先輩(新婦)はこういう偶然のシチュエーションに弱い人で『これは運命よね』って結婚をあおってくるし、ほかの人たちからも『次は君たちの番だ!』ってはやし立てられたのは少し面倒でしたけど(苦笑)。でも、こういうおめでたい席にふさわしいネタを提供できたので、ある意味一番の余興になったんじゃないかなと思います」
◆今では家族ぐるみの付き合い
この結婚式から1年半後に怜美さんも無事に挙式。自身の披露宴ではこのときのエピソードはもちろん紹介され、会場は大盛り上がりだったといいます。
「あの日の式をきっかけに先輩夫婦ともプライベートで頻繁に会うようになり、さらにあの結婚式がきっかけで仲良くなった同僚とダンナ友人もゴールイン。今ではこの3組で子供たちを交えて家族ぐるみの付き合いをしています」
こんな偶然、実際にはありそうでなかなかないものです。これは運命を感じるのも当然かもしれませんね。
<文/トシタカマサ イラスト/カツオ>
【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。