8月8日に宮崎県で震度6弱の揺れを観測したマグニチュード7.1の地震を受け、気象庁は「南海トラフ地震臨時情報」(巨大地震注意)を発表。呼びかけは1週間後に終了したものの、人々の間で不安と緊張、そして防災への意識は高まっています。
「もし地震で停電したら」「断水してしまったら」と思っていても、なかなか起きてみなければ備えられないもの。今回取材したのは、東京都内でひとり暮らしをする女性・日立ありささん(仮名・32歳)。数年前に地震で停電に見まわれた経験から、災害時に活躍するアイテムを備えておくことの大切さを学んだと話してくれました。
◆お風呂でスマホを使っていたら、突然の地震と停電に
日立さんは地震発生当日、夜遅くまで遠方に住む友達とビデオ通話を楽しんでいたそうです。
「近況を話そうと言っていた友人と、久しぶりの会話にずいぶんと花が咲き、2時間近くスマホで話していました。時間も遅くなったので切り上げて、そのままスマホで映画を観ながらお風呂に浸かっていた夜の23時過ぎ、地震が発生しました」
その時の地震では、大きく揺れたと思うと急に家中の照明が消え、直後に揺れはさらに大きくなりました。日立さんの体感では15秒ほど揺れが続いたようです。
「一瞬、お風呂に浸かっていてのぼせたのかな? と思いました。でも地震だと気づくと、とにかくパニックで、スマホを片手に裸のままお風呂から出て、体も拭かずに水浸しのまま急いで机の下に避難しました。怖くて怖くて、服を着るのも忘れて怯えていたのを今でもよく覚えています」
東京都の震度は3~4ほどでしたが、日立さんの住んでいる区内一帯は停電したようで、あたりは真っ暗な闇に包まれたと話します。
◆命づなのスマートフォンが、充電残りわずかに
地震が落ち着き、服を着て、まずはニュースで状況を確認しようとスマートフォンを開くと、
「充電が残り10%を切っていたんです。ビデオ電話と映画鑑賞で長時間使っていた上に、停電になって足元を照らすのにスマホのライトもしばらくつけたままだったので、かなり電池を消耗してしまったみたいで……」
日頃からスマートフォンにおんぶにだっこだった日立さんは、スマートフォンの大切さを身に染みて感じたと当時を振り返ります。
「友人や家族と連絡を取り合うのも、状況を確認するのも、とっさの事態に周りを照らすのも、全てスマホ頼りだったんです。スマホがないと何もできないんだなと、このままスマホの充電が切れてしまったらどうしようと、不安な気持ちになりました」
◆大切なスマートフォンを蘇らせた“救世主”は
そんな時、日立さんの頭に「あるアイテム」の存在が思い浮かびました。
「かなり昔に父からもらった、手回し充電ラジオのことを思い出したんです。たまたま取り出しやすい場所にあったので見てみると、充電用のケーブル差し込み口があったんです! 必死で手回しして発電したおかげで、スマホを充電しながら、ニュースを確認したり、友人や家族と連絡を取り合ったりすることができました」
さらに日立さんの持っていた手回し充電ラジオは、本来の機能であるラジオ以外に、懐中電灯として使うことも可能。「スマートフォンの充電がある程度回復した後は、懐中電灯として活用して、真っ暗になった部屋の中に落下物がないかを確認したり、出口を確保したりするために活用しました」
地震発生から3時間ほどして、無事に停電から回復。日立さんは手回し充電ラジオに助けられたと話します。
◆今や「家族の防災必需品」
「あの地震の日以降、手回し充電ラジオは、すぐに取り出せる分かりやすい場所に常備しています。今は結婚して家族も増えたので、しまい場所と使い方はきちんと家族で共有し、いつでも誰でもすぐに使えるようにしています」
手回し充電ラジオにはさまざまな種類のものがありますが、日立さんの持っているものは細長くコンパクトにおさまるタイプのアイテム。
かさばらず、スキマに備えられるのも魅力的なポイントだと話してくれました。
今後、いつどこで起こるか分からない災害。手回し充電器以外にも、災害時に役立つアイテムはたくさんあります。いざという時に困らないように、必需品はしっかりと備えておきたいですね。
<文/萩ゆう>
【萩ゆう】
住むところは中国地方や関西など、全国各地を転々と暮らすWebライター。温泉メディア、女性メディアなどで執筆中。特技はマラソンでフルマラソン3時間ギリの記録をもつ。
「もし地震で停電したら」「断水してしまったら」と思っていても、なかなか起きてみなければ備えられないもの。今回取材したのは、東京都内でひとり暮らしをする女性・日立ありささん(仮名・32歳)。数年前に地震で停電に見まわれた経験から、災害時に活躍するアイテムを備えておくことの大切さを学んだと話してくれました。
◆お風呂でスマホを使っていたら、突然の地震と停電に
日立さんは地震発生当日、夜遅くまで遠方に住む友達とビデオ通話を楽しんでいたそうです。
「近況を話そうと言っていた友人と、久しぶりの会話にずいぶんと花が咲き、2時間近くスマホで話していました。時間も遅くなったので切り上げて、そのままスマホで映画を観ながらお風呂に浸かっていた夜の23時過ぎ、地震が発生しました」
その時の地震では、大きく揺れたと思うと急に家中の照明が消え、直後に揺れはさらに大きくなりました。日立さんの体感では15秒ほど揺れが続いたようです。
「一瞬、お風呂に浸かっていてのぼせたのかな? と思いました。でも地震だと気づくと、とにかくパニックで、スマホを片手に裸のままお風呂から出て、体も拭かずに水浸しのまま急いで机の下に避難しました。怖くて怖くて、服を着るのも忘れて怯えていたのを今でもよく覚えています」
東京都の震度は3~4ほどでしたが、日立さんの住んでいる区内一帯は停電したようで、あたりは真っ暗な闇に包まれたと話します。
◆命づなのスマートフォンが、充電残りわずかに
地震が落ち着き、服を着て、まずはニュースで状況を確認しようとスマートフォンを開くと、
「充電が残り10%を切っていたんです。ビデオ電話と映画鑑賞で長時間使っていた上に、停電になって足元を照らすのにスマホのライトもしばらくつけたままだったので、かなり電池を消耗してしまったみたいで……」
日頃からスマートフォンにおんぶにだっこだった日立さんは、スマートフォンの大切さを身に染みて感じたと当時を振り返ります。
「友人や家族と連絡を取り合うのも、状況を確認するのも、とっさの事態に周りを照らすのも、全てスマホ頼りだったんです。スマホがないと何もできないんだなと、このままスマホの充電が切れてしまったらどうしようと、不安な気持ちになりました」
◆大切なスマートフォンを蘇らせた“救世主”は
そんな時、日立さんの頭に「あるアイテム」の存在が思い浮かびました。
「かなり昔に父からもらった、手回し充電ラジオのことを思い出したんです。たまたま取り出しやすい場所にあったので見てみると、充電用のケーブル差し込み口があったんです! 必死で手回しして発電したおかげで、スマホを充電しながら、ニュースを確認したり、友人や家族と連絡を取り合ったりすることができました」
さらに日立さんの持っていた手回し充電ラジオは、本来の機能であるラジオ以外に、懐中電灯として使うことも可能。「スマートフォンの充電がある程度回復した後は、懐中電灯として活用して、真っ暗になった部屋の中に落下物がないかを確認したり、出口を確保したりするために活用しました」
地震発生から3時間ほどして、無事に停電から回復。日立さんは手回し充電ラジオに助けられたと話します。
◆今や「家族の防災必需品」
「あの地震の日以降、手回し充電ラジオは、すぐに取り出せる分かりやすい場所に常備しています。今は結婚して家族も増えたので、しまい場所と使い方はきちんと家族で共有し、いつでも誰でもすぐに使えるようにしています」
手回し充電ラジオにはさまざまな種類のものがありますが、日立さんの持っているものは細長くコンパクトにおさまるタイプのアイテム。
かさばらず、スキマに備えられるのも魅力的なポイントだと話してくれました。
今後、いつどこで起こるか分からない災害。手回し充電器以外にも、災害時に役立つアイテムはたくさんあります。いざという時に困らないように、必需品はしっかりと備えておきたいですね。
<文/萩ゆう>
【萩ゆう】
住むところは中国地方や関西など、全国各地を転々と暮らすWebライター。温泉メディア、女性メディアなどで執筆中。特技はマラソンでフルマラソン3時間ギリの記録をもつ。