これはすごい。LDHアーティスト計、実に96人(!)が大集合したスポーツ大会『LDH CLUB CHAMPIONSHIP ~PLAY 4 VICTORY~』が、8月14日に開催された。4時間超の長丁場だというのに、体感としてはほんとにあっという間に感じてしまった。
DEEPや三代目 J SOUL BROTHERS(以下、三代目JSB)からJr.EXILE、NEO EXILEなどの新世代で編成された4チームが集結すれば、LDH全体の層の厚みを感じもする。もっと言うと、LDHの歴史を可視化し、その地質学的な断層を眺めているような大会というのかな。4時間のどこをどう切り取ってもすべてがハイライトになってしまうが、でもやっぱり最終種目の選抜リレーが一番盛り上がった。
中でも目頭を熱くさせたのは、三代目JSBのツインボーカル今市隆二その人。チームのリーダーとしてアンカーで走る姿が、ただただカッコいいばかりか、ワン・アンド・オンリーな感動をもたらしてくれた。今市隆二とは、デビュー以来変わらないカッコよさと感動が不思議と共存する存在なのだ。
イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、スポーツ大会からソロ作品まで連想を広げながら、なぜだか理由を考える前から人を感動させてしまう今市隆二の才能を解説する。
◆デビュー以来変わらないカッコよさ
今市隆二とは、デビュー以来変わらないカッコよさがある人だ。彼がライフワークとして身を置くR&B世界には、「変わりゆく変わらないもの」(changing same)という最強の標語的フレーズがある。
三代目 J SOUL BROTHERSのツインボーカルとしてデビューしたのは2010年。すでに14年近い時が経過している。その間、彼の唯一無二の存在感、その佇まいのかっこよさは、(時間経過とともに滋味深さを増しつつ)持続的にチャージされてきた。デビュー当初の短髪、近年の長髪など、単純なビジュアルの変遷のグラデーションだけ見ても、カッコよさの年代記を記録してきたかのよう。
夏になると特に輝きを増すのが大きな特徴でもある。2022年6月から開催されたソロツアー『RYUJI IMAICHI CONCEPT LIVE 2022 “RILY’S NIGHT”』の京都公演の合間。今市のInstagramには「#夏男」のハッシュタグがついた投稿があり、白の甚平姿で路地に佇む姿だけでぼくらは劇的に涼を取ることができた。
TikTok上でも「RILY’S RUNNING」と題して三重県内の歩道を走っている動画が投稿され、汗をしたたらせながらランニングする今市にカメラが接写しようと思わず寄ってしまう。夏の人、今市隆二には毎年、毎夏変わらぬカッコよさの求心力みたいなものがある。
◆出身地川崎へ楽曲を贈呈
今市にとっての京都とは出生の地なのだが、生まれ育ったのは神奈川県の川崎である。ちょうどホットなトピックとしては、市政100周年の川崎市が催した『KAWASAKI・SENZOKU 100th FESTIVAL』に最新ナンバー「REALLY LOVE」を贈呈した。同曲は最新アルバム『R』の3rdトラックとして配され、リード曲「RED」では「誇り」という一語にこだわり、川崎にゆかりある筆者もまた誇りに思ったりする。
「REALLY LOVE」から「RIDE」までの曲順では、昼夜両用の集大成的なメロウネスを実現。古くはアイズレー・ブラザーズ的な色男の系譜に連なる今市隆二R&B世界の外連味をリレー方式で連ねてみせるなんてね。人も音楽もすべてがカッコよさによるカッコよさのためにある人なんだなぁ。
歌詞冒頭は「フロントロウでランウェイ 酔いしれるパリ」、続いて「ブライアンにコール」と交流のあるR&Bレジェンド、ブライアン・マックナイトの名前が歌われ、もうこの人のカッコよさは無尽蔵。ミュージックビデオを見ると、艶やかな黒の衣装を纏って、両腕がニョキッとどころの騒ぎじゃない(「#夏男」の白甚平からは両脚がニョキッ!)。
◆なぜだか理由を考える前から人を感動させる才能
あぁ、そうだ、「フロントロウ」といえば、2023年の新年にフェンディのショールームで開催されたミラノコレクションに今市が出席したときだった。黒のショートパンツの裾からニョキッと伸びる両脚の美麗っぷりが、当時のTwitter上ですごく話題になっていたっけ。袖だけじゃなく裾も美しさの接点にしてしまう。それが今市隆二という人だ。
今市隆二とは、なぜだか理由を考える前から人を感動させてしまう才能の持ち主でもある。それが「変わりゆく変わらないもの」としてのカッコよさそのものに起因するのは言うまでもないが、より具体的なイメージを記憶から探るなら、根っからの歌い手である今市にとっては唯一の主演映画『その瞬間、僕は泣きたくなった-CINEMA FIGHTERS project-』(2019年)の一篇、『On The Way』での一コマ。
同作中盤、メキシコに半ば嫌々で移民の支援にきた健太(今市隆二)が走行中の車内の助手席に座っている。ここではシートベルトを肩から腰へかけている。
このシートベルトを閉める以前以後で、健太の嫌々が自発的な気持ちに変化する過程が描かれる。シートベルトで安定した上体をちょっとそらせて、目尻に時折かかる髪を上に結び、車窓風景とコミットする今市がすごくいい。これだけで人を感動させる。その才能の証明になるような一コマだった。
◆袖まくりがカッコよ過ぎ
『On The Way』主演後、三代目JSBメンバーが本人役で出演した『三代目 J SOUL BROTHERS マーダーミステリー ライブリハ殺人事件』(ABEMA、2021年)で演技的なことを再度経験した今市は、つい最近また演技に挑戦する機会を得た。
夏の季節恒例の三代目JSBによるバラエティ企画『三代目 J SOUL BROTHERS 絶対に負けられない!7番勝負』がCL(LDHが独自の動画コンテンツを配信するサブスクリプション)で配信され、メンバー7人それぞれが持ちよった7番勝負で真剣勝負した。これまでに40作品以上に出演してきた岩田剛典が持ち込んだのが、セリフ早覚え対決。3チームが渡された台本をその場でおぼえて芝居する。
今市は岩田とリーダーNAOKIとチームを組み、取り調べされる犯人を演じる。取り調べ側の刑事を演じる岩田と国際的にも演技経験豊かなNAOKIがまさかの敗退。ニュアンスでカバーしながら好戦を続ける今市が、首や手を微動させることでうまく意識を散らしながら台詞をひねり出していた。
このセリフ対決だけでなく、三代目JSB版スポーツ対決として、リーダーNAOTOが自信たっぷりに用意した段々パターゴルフ対決が最初のコーナーだった。ここでも発案者のNAOTOが最初に負け、ゴルフをかじったくらいの今市がぶっちぎりで勝利するという展開。清々しい番狂わせの人でもある今市がパターを握るとき、ソフトワイルドなアメカジスタイルのTシャツの袖をまくっているのが確認できる。この袖まくりの今市が、とにかくカッコよ過ぎやしませんか?
◆LDHの歴史を可視化する大会で輝く
もう少し作品間の自由な連想を続けてみる。そうそう、『On The Way』のシートベルトで思い出したことがあったんだ。肩から腰にかけられるあのシートベルトがタスキ的に思いを次へつなぐバトンみたいな役割を果たしているんじゃないかと。そう、バトン……。
4時間超の長丁場のLDHによるスポーツ大会『LDH CLUB CHAMPIONSHIP ~PLAY 4 VICTORY~』の最終種目の選抜リレーで、「中目黒リュージーズ」を率いる今市がアンカーとして走った。他チームが首位争いを繰り広げる中、「中目黒リュージーズ」は出遅れてしまったが、それでもバトンはしっかり渡される。
前走者がこちらに向かってくるのを眼差しながら、ユニフォームの肩のフィット感を調整したりしながら気長に待つアンカー今市。いざバトンが渡されると、目力スイッチオン。トップ走者に追い付けないことはわかっていながら、ゴールを目指す。
パリオリンピックが閉幕したとはいえ、まだスポーツ熱気が身体中を駆け回っていたこともあるのか、走るという行為に徹する今市に何だかやけに胸が熱くなってしまった。バトンを渡され、走り始めた瞬間、ユニフォームの下に着た黒のタンクトップが一瞬のぞく。総勢96人のLDHアーティストが集結し、LDHの歴史を可視化する大会で、一枚のタンクトップを黒真珠色の輝きに変えてしまう隆二さん……。
8月31日と9月1日に放送された『24時間テレビ47』(日本テレビ)でも岩田剛典のライブペイントを見守り、歌唱するときの袖まくりと短髪がやっぱり「変わりゆく変わらないもの」だった。今市隆二とともに平成を生きてきた人たちなら、そこに臆面もなく懐かしさを感じ、そしてその理由を考える前から、ただカッコいいと連呼していたくなる。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu
DEEPや三代目 J SOUL BROTHERS(以下、三代目JSB)からJr.EXILE、NEO EXILEなどの新世代で編成された4チームが集結すれば、LDH全体の層の厚みを感じもする。もっと言うと、LDHの歴史を可視化し、その地質学的な断層を眺めているような大会というのかな。4時間のどこをどう切り取ってもすべてがハイライトになってしまうが、でもやっぱり最終種目の選抜リレーが一番盛り上がった。
中でも目頭を熱くさせたのは、三代目JSBのツインボーカル今市隆二その人。チームのリーダーとしてアンカーで走る姿が、ただただカッコいいばかりか、ワン・アンド・オンリーな感動をもたらしてくれた。今市隆二とは、デビュー以来変わらないカッコよさと感動が不思議と共存する存在なのだ。
イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、スポーツ大会からソロ作品まで連想を広げながら、なぜだか理由を考える前から人を感動させてしまう今市隆二の才能を解説する。
◆デビュー以来変わらないカッコよさ
今市隆二とは、デビュー以来変わらないカッコよさがある人だ。彼がライフワークとして身を置くR&B世界には、「変わりゆく変わらないもの」(changing same)という最強の標語的フレーズがある。
三代目 J SOUL BROTHERSのツインボーカルとしてデビューしたのは2010年。すでに14年近い時が経過している。その間、彼の唯一無二の存在感、その佇まいのかっこよさは、(時間経過とともに滋味深さを増しつつ)持続的にチャージされてきた。デビュー当初の短髪、近年の長髪など、単純なビジュアルの変遷のグラデーションだけ見ても、カッコよさの年代記を記録してきたかのよう。
夏になると特に輝きを増すのが大きな特徴でもある。2022年6月から開催されたソロツアー『RYUJI IMAICHI CONCEPT LIVE 2022 “RILY’S NIGHT”』の京都公演の合間。今市のInstagramには「#夏男」のハッシュタグがついた投稿があり、白の甚平姿で路地に佇む姿だけでぼくらは劇的に涼を取ることができた。
TikTok上でも「RILY’S RUNNING」と題して三重県内の歩道を走っている動画が投稿され、汗をしたたらせながらランニングする今市にカメラが接写しようと思わず寄ってしまう。夏の人、今市隆二には毎年、毎夏変わらぬカッコよさの求心力みたいなものがある。
◆出身地川崎へ楽曲を贈呈
今市にとっての京都とは出生の地なのだが、生まれ育ったのは神奈川県の川崎である。ちょうどホットなトピックとしては、市政100周年の川崎市が催した『KAWASAKI・SENZOKU 100th FESTIVAL』に最新ナンバー「REALLY LOVE」を贈呈した。同曲は最新アルバム『R』の3rdトラックとして配され、リード曲「RED」では「誇り」という一語にこだわり、川崎にゆかりある筆者もまた誇りに思ったりする。
「REALLY LOVE」から「RIDE」までの曲順では、昼夜両用の集大成的なメロウネスを実現。古くはアイズレー・ブラザーズ的な色男の系譜に連なる今市隆二R&B世界の外連味をリレー方式で連ねてみせるなんてね。人も音楽もすべてがカッコよさによるカッコよさのためにある人なんだなぁ。
歌詞冒頭は「フロントロウでランウェイ 酔いしれるパリ」、続いて「ブライアンにコール」と交流のあるR&Bレジェンド、ブライアン・マックナイトの名前が歌われ、もうこの人のカッコよさは無尽蔵。ミュージックビデオを見ると、艶やかな黒の衣装を纏って、両腕がニョキッとどころの騒ぎじゃない(「#夏男」の白甚平からは両脚がニョキッ!)。
◆なぜだか理由を考える前から人を感動させる才能
あぁ、そうだ、「フロントロウ」といえば、2023年の新年にフェンディのショールームで開催されたミラノコレクションに今市が出席したときだった。黒のショートパンツの裾からニョキッと伸びる両脚の美麗っぷりが、当時のTwitter上ですごく話題になっていたっけ。袖だけじゃなく裾も美しさの接点にしてしまう。それが今市隆二という人だ。
今市隆二とは、なぜだか理由を考える前から人を感動させてしまう才能の持ち主でもある。それが「変わりゆく変わらないもの」としてのカッコよさそのものに起因するのは言うまでもないが、より具体的なイメージを記憶から探るなら、根っからの歌い手である今市にとっては唯一の主演映画『その瞬間、僕は泣きたくなった-CINEMA FIGHTERS project-』(2019年)の一篇、『On The Way』での一コマ。
同作中盤、メキシコに半ば嫌々で移民の支援にきた健太(今市隆二)が走行中の車内の助手席に座っている。ここではシートベルトを肩から腰へかけている。
このシートベルトを閉める以前以後で、健太の嫌々が自発的な気持ちに変化する過程が描かれる。シートベルトで安定した上体をちょっとそらせて、目尻に時折かかる髪を上に結び、車窓風景とコミットする今市がすごくいい。これだけで人を感動させる。その才能の証明になるような一コマだった。
◆袖まくりがカッコよ過ぎ
『On The Way』主演後、三代目JSBメンバーが本人役で出演した『三代目 J SOUL BROTHERS マーダーミステリー ライブリハ殺人事件』(ABEMA、2021年)で演技的なことを再度経験した今市は、つい最近また演技に挑戦する機会を得た。
夏の季節恒例の三代目JSBによるバラエティ企画『三代目 J SOUL BROTHERS 絶対に負けられない!7番勝負』がCL(LDHが独自の動画コンテンツを配信するサブスクリプション)で配信され、メンバー7人それぞれが持ちよった7番勝負で真剣勝負した。これまでに40作品以上に出演してきた岩田剛典が持ち込んだのが、セリフ早覚え対決。3チームが渡された台本をその場でおぼえて芝居する。
今市は岩田とリーダーNAOKIとチームを組み、取り調べされる犯人を演じる。取り調べ側の刑事を演じる岩田と国際的にも演技経験豊かなNAOKIがまさかの敗退。ニュアンスでカバーしながら好戦を続ける今市が、首や手を微動させることでうまく意識を散らしながら台詞をひねり出していた。
このセリフ対決だけでなく、三代目JSB版スポーツ対決として、リーダーNAOTOが自信たっぷりに用意した段々パターゴルフ対決が最初のコーナーだった。ここでも発案者のNAOTOが最初に負け、ゴルフをかじったくらいの今市がぶっちぎりで勝利するという展開。清々しい番狂わせの人でもある今市がパターを握るとき、ソフトワイルドなアメカジスタイルのTシャツの袖をまくっているのが確認できる。この袖まくりの今市が、とにかくカッコよ過ぎやしませんか?
◆LDHの歴史を可視化する大会で輝く
もう少し作品間の自由な連想を続けてみる。そうそう、『On The Way』のシートベルトで思い出したことがあったんだ。肩から腰にかけられるあのシートベルトがタスキ的に思いを次へつなぐバトンみたいな役割を果たしているんじゃないかと。そう、バトン……。
4時間超の長丁場のLDHによるスポーツ大会『LDH CLUB CHAMPIONSHIP ~PLAY 4 VICTORY~』の最終種目の選抜リレーで、「中目黒リュージーズ」を率いる今市がアンカーとして走った。他チームが首位争いを繰り広げる中、「中目黒リュージーズ」は出遅れてしまったが、それでもバトンはしっかり渡される。
前走者がこちらに向かってくるのを眼差しながら、ユニフォームの肩のフィット感を調整したりしながら気長に待つアンカー今市。いざバトンが渡されると、目力スイッチオン。トップ走者に追い付けないことはわかっていながら、ゴールを目指す。
パリオリンピックが閉幕したとはいえ、まだスポーツ熱気が身体中を駆け回っていたこともあるのか、走るという行為に徹する今市に何だかやけに胸が熱くなってしまった。バトンを渡され、走り始めた瞬間、ユニフォームの下に着た黒のタンクトップが一瞬のぞく。総勢96人のLDHアーティストが集結し、LDHの歴史を可視化する大会で、一枚のタンクトップを黒真珠色の輝きに変えてしまう隆二さん……。
8月31日と9月1日に放送された『24時間テレビ47』(日本テレビ)でも岩田剛典のライブペイントを見守り、歌唱するときの袖まくりと短髪がやっぱり「変わりゆく変わらないもの」だった。今市隆二とともに平成を生きてきた人たちなら、そこに臆面もなく懐かしさを感じ、そしてその理由を考える前から、ただカッコいいと連呼していたくなる。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu