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2人だけが“知っている”プレゼントにキュン…!紫式部の物語はどこへゆく|NHK『光る君へ』第33回 

女子SPA! 2024年9月8日 15時46分

物語を書く力が認められて、仕事を得ることとなったまひろ。彰子の藤壺に上がることになる。

家柄などを吹っ飛ばし、自分の力だけで職を得られたのはこの時代において、とてつもないことだろう。

しかし、まひろに藤壺での生活が合うのかも気になるところだ。

◆宮中での生活

中宮・藤原彰子(見上愛)に仕えることとなったまひろ(吉高由里子)。物語を書くための部屋が用意され、必要なものも揃っている。藤原道長(柄本佑)と北の方である倫子(黒木華)が準備をした、と言うが、道長ではないだろうか。硯に月の模様があったりと、道長の気配をつい、感じてしまう。

準備は万端。早速、執筆に集中……といきたいところだが、うまくいかない。

彰子の身の回りの世話などで、女房たちが慌ただしく働いている中で、なかなか集中できるはずがないのだ。そしておそらく、女房たちからすると、「物語を書くだけのお役目ってなに……?」となるのではないだろうか。その視線も、痛い。

そうなると、まひろだって手伝うしかない。昼間に働けば、書くのは夜になる。深夜まで書いて、床につくが女房の局はほかの者たちの寝言などでなかなかに賑やかだ。これでは寝付けない、休めない。物語を書く場所としては、決していい環境ではない。

まひろは道長に、家に帰って書きたい、と申し出る。しかし、道長は断固としてそれを許さない。一条天皇(塩野瑛久)はまひろに興味を持ってくる。まひろと会うために中宮のもとを訪れるかもしれない、と希望を託しているのだ。いわゆるおとりなのだが、そのおとりが帰ってしまっては道長としてはどうしようもない。

しかし、まひろは頑なだ。物語の構想自体は、もう頭の中にある。が、環境のせいで捗らない。

「物語は書きたい気持ちの時に書かねば勢いを失います」

ごもっとも……とテレビの前でどれだけの人が頷いただろうか。

道長は必死でまひろを止めるが、きっとまひろが聞き入れないことも分かっていたのだろう。渋々、まひろが家に帰ることを許す。たった8日しかいることができなかった。

仕方ないよ、書けないって言っているんだから……とつい心の中で道長を慰めずにはいられない。

◆彰子の変化

一条天皇のお渡りがないことも悩みではあろうが、彰子の気持ちが見えないところも道長としては悩ましいだろう。何を欲していて、何が嫌なのかもわからない。ただ、最近、少しずつその心が垣間見えるようにはなっていた。

そんな彰子の本当の姿にまひろは気づき始める。こっそりと敦康親王(池田旭陽)にお菓子を渡してあげたり、まひろに「本当は空のような青色が好き」と言ってみたり。

大人になっていく中で、自我が大きくなっていったのか、ようやく彰子の中に何かしらの欲求が生まれたのか。

そのうちのひとつは間違いなく、一条天皇に対する思いだろう。一条天皇といるときや、話題が出ると少し表情が変わる。

まひろが物語のあらすじを話して聞かせると、主人公の「美しく賢く、笛の名手である皇子」のことを「帝みたい」とどこか嬉しそうに言う。何かに触れたときに思い出す人がいるのだとしたら、その人は自分にとって大事な人であることは間違いない。そのことに、彰子は気がついているのだろうか。

◆檜扇に込められた道長の熱い思い

まひろが書いた物語の続きは一条天皇の心を動かした。もっと多くの者に読ませたい、と言う帝に、まひろも表情を柔らかくした。昔から物語には人の心を動かす。損得だけではなく、シンプルに心が動く何かがある、というのは素晴らしいことだ。

一条天皇の心を物語で掴んだまひろには道長から、褒美が贈られた。

箱の中身は檜扇。するすると開いていくと、そこには幼い男女が描かれていた。それは、子どものころのまひろと道長……いや、三郎だ。

何も知らなかったころのふたり。その檜扇をまひろがそっと胸に抱く。道長はまひろとの思い出をひとつずつ、こうやって心に記憶してきたのだろう。まひろの着物の柄まで覚えてるのはちょっと驚いてしまったが……。

いや、でもキュンとしたものの、現代だったら何になるんだろう、と考えたのも事実である。

◆物語の始まり、まひろの物語のこれから

まひろが藤式部と呼ばれるようになり、「源氏物語」が広まっていく気配が感じられた今回。

まひろが「源氏物語」をどのようにして書くことになるのか、彼女のベースにあったものはなんなのか、ということが「光る君へ」のひとつのテーマだと思っていたが、書き始めた先にはどのような物語が展開するのかも興味深いところだ。

道長とまひろの関係性を注視してしまいがちだったが、ある意味、ひとつの形に落ち着いたとも言える。

もしくは、まひろが「作家」としての苦悩が描かれるのだとしたら、それはそれで目が離せない。

<文/ふくだりょうこ>

【ふくだりょうこ】
大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ

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