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「M-1出ない」発言の準優勝コンビは第2の千鳥になれるか?東京進出成功のカギは意外と“コンビ仲の悪さ”

女子SPA! 2024年9月12日 15時46分

お笑いコンビ・さや香が、「M-1グランプリ」に今年は出場しないと宣言してから、各テレビ番組で引っ張りだこになっている。

◆さや香、東京進出で月収125万円突破。全国区でブレイクなるか?

さや香は、「M-1グランプリ」で一昨年に準優勝、昨年は3位という好成績をマークしている実力派コンビ。今年こそは優勝を狙っていると思われていただけに、ファンだけでなくマスコミも驚き、大きなニュースとなった。

そんなさや香だが、今年4月から東京進出を果たし本格的に全国区での売り込みをかけている。9月に入ってから、新山を中心として『ゴッドタン』(テレビ東京系)、『ワイドナショー』(フジテレビ系)、『酒のツマミになる話』(フジテレビ系)と人気番組に軒並み出演。『ゴッドタン』では、若手芸人が大阪で頑張っても125万円の月収が限界だと暴露したうえで、自分たちは東京進出してすぐに突破したと話し大きく話題になった。

現在、若手芸人ではもっとも注目度の高いさや香だが、果たして東京進出で大ブレイクできるのか? その魅力と可能性に迫っていきたいと思う。

◆ロケもトークもおもしろい芸人、待望の東京進出

まず、さや香のプロフィールを簡単に紹介する。ネタ作りを行う新山と、ボケもツッコミも行える石井が2014年にコンビを結成。2017年にはじめて「M-1グランプリ」で決勝進出を果たして注目を浴び、準優勝と3位を経験する。

また、2019年に「NHK上方漫才コンテスト」、2020年には毎日放送が開催していた「歌ネタ王決定戦」で優勝するなど、ネタに定評があるコンビとして活躍。劇場では大阪の「よしもと漫才劇場」(マンゲキ)を拠点に、客を呼べる漫才師として確固たる地位を築き上げていく。

テレビでは、『せやねん!』(毎日放送)や『newsおかえり』(ABCテレビ)など、関西の番組で活躍。ロケもトークもおもしろい芸人として関西ではブレイクしているものの、全国区のテレビ番組ではまだ活躍できていなかった。それだけに、ファンからしたら待望の東京進出となり、今後の動き次第では大ブレイクの可能性を秘めているコンビになる。

◆千鳥もかつて東京進出のち人気低迷した時期も

ここ最近、特に吉本興業に所属する芸人を中心に東京進出が加速し、さや香と同時期にはビスケットブラザーズ、ヘンダーソン、滝音、シモリュウなどが東京に拠点を移した。

そんな東京進出の成功例で言えば、千鳥のブレイクへの経緯が分かりやすい。

千鳥は大阪で絶大な人気を誇り、2012年ころから東京進出を決意。鳴り物入りで東京に来た千鳥は、『THE MANZAI』(フジテレビ系)で結果を出し、若者に人気だった『ピカルの定理』(フジテレビ系)で新レギュラーを獲得した。

しかし、『ピカルの定理』が2013年に終了すると、千鳥は勢いを失い人気が低迷。2014年に東野幸治の発案で、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)にて「帰ろか…千鳥」という東京進出の失敗をネタにした企画ができたほどだ。

ただ、この『アメトーーク!』への出演をキッカケにテレビ関係者から知名度が上がり、さらに変わったロケを行う『いろはに千鳥』(テレビ埼玉)が話題に。ロケの達人として知れ渡り、次々とレギュラー番組が立ち上げられ大ブレイクした。

千鳥の後は、2018年に東京へ活動拠点を移したかまいたちや、2人とも40歳をこえて東京で人気が出たダイアンがブレイク。さらに、さや香とも年齢が近い霜降り明星などが、東京進出で成功しているコンビだ。しかし、どの芸人も東京進出はスムーズにいったわけではなく、紆余曲折ありながらそれぞれのコンビが基盤を作った。

さや香もこの流れに乗っているコンビであり、新山は今年5月に放送した『あちこちオードリー』(テレビ東京系)で「令和の視聴率男になりたい」と真面目に発言。テレビ出演を重視する方向性を示し、第二の千鳥を狙っていることは明らかだ。そんなさや香は、スムーズに東京進出を成功させることができるのか?

◆さや香は第2の千鳥になれるのか?

さや香の魅力は、何と言っても千鳥と同じくオールマイティーにお笑いができるところだ。

『せやねん!』ではさまざまなロケに挑戦し、大自然で新鮮な天然食材を0円でゲットする「スーパー新鮮」でも実力を発揮。ワードセンスが良い新山と、臨機応変に進行できる石井のコンビネーションは抜群だった。ネタは当然おもしろく劇場での仕事は東京でも多く、基盤はすでに切り開いている。

トークに関しても、特に新山は東京進出してからの短い期間で、ネットニュースになるようなパンチラインを次々と番組で披露している。

現状レギュラー番組は、『さや香の違和館ヤバない?』(テレビ大阪)位しかないが、東京でも実績を上げているだけに、早々に深夜番組を受け持つ可能性が大。

また、9月6日放送の『酒のツマミになる話』では、先輩であるダイアン・津田篤宏が楽屋で態度がでかいことを暴露し、千鳥とともに爆笑に変えた。東京で活躍する先輩とのコンビネーションも良く、今後は千鳥を東野がフックアップしたように先輩たちからの援護射撃もあるだろう。

とはいえ、現時点では新山が孤軍奮闘している印象で、石井はかなり影が薄い。千鳥と同じく東京進出のスタートダッシュはうまくいったものの、今後はコンビでの仕事や、石井の活躍がなければ勢いが失速する可能性もある。実力があるだけに、どれだけ巡ってきたチャンスを掴めるかに注目だ。

◆東京でブレイクするには石井の展開次第

では、そんなさや香が東京でブレイクするには何が必要なのか?

前述した通り、現在はトーク力が高い新山がピックアップされ、番組でキャッチーな話題を連発し名前を売っている。そこで、石井がどこまでテレビ番組で跳ねるかが問題になってくる。

石井も新山に負けずトーク力が高く、番組では周りを見ながら話題を展開できる能力を持っている。そのうえで、ダンスとバスケが得意で運動神経が抜群。ダンスを中心とした「このダンス、この曲の方がしっくりくるでSHOW」というネタは番組受けも良さそうで、人気番組で紹介されれば一気に注目される可能性が高い。

過去には、『霜降りバラエティX』(テレビ朝日系)などで「包茎」をネタに大暴れしたこともあり体を張った笑いも取れるだけに、石井が今後はどう展開してくのかがさや香の東京でのブレイクの鍵を握っている。

◆「仲が悪い」のがブレイクの鍵になる可能性が大

そして、何と言ってもさや香は「見せ算」に代表されるように、笑いのルールを作ることに長けている。新山はほんの些細なことからネタを作るのがうまく、その実力はバラエティ番組で新たな企画を生み出すことに活かせる。

チャレンジ精神があるコンビには、テレビ制作スタッフはさまざまな企画をやらせたいと声を掛けるもの。新山は、大阪時代から劇場の客の恋愛相談にのり「恋愛マスター」というキャラもあるので、いくらでも番組で使いやすく、あとはどれだけ東京のテレビ制作スタッフに知られるかがポイントになりそうだ。

また、2人の「仲が悪い」というのもブレイクの鍵になる可能性が大。現在はお笑いコンビが仲良しというのがトレンドだが、さや香は「仲が悪い」ことを売りにしている。自由な発想な新山に石井が不満顔で従うという構図も随所で見られる。

この「バランスの良い不仲」は、現在のお笑い業界では異端児として面白がられる可能性を秘めている。千鳥、ダイアン、かまいたちと先行く先輩たちはみなコンビ仲が良い。ということは、今後はその先輩たちを抜き去るには違った魅力がほしいところ。何が起きるかわからない予測不能な雰囲気を感じさせることで、そういった先輩たちにない輝きを魅せることができる。

◆勝負をかけるポイントを見極めチャンスを活かせそう

さて、ここまでさや香のブレイクの可能性を追ってきたが、2人のポテンシャルが高いことがよく分かるだろう。

あとはチャンスを活かせるかだが、新山も石井もトークやロケでの立ち振舞を見ても、非常に頭が良い印象だ。間違いなく、勝負をかけるポイントをしっかりと見極めて来るだろう。

もしかしたら、東京進出で足踏みをした千鳥よりも、早くにチャンスを掴むかもしれない、そんな才能をヒシヒシと2人からは感じられる。

<文/ゆるま小林>

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