女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「義実家・家族」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2021年9月6日 記事は取材時の状況)
==========
故郷の友情は一生物といいますが、その分イザコザが起これば一生ついてくるともいえます。今回は、心安らげるはずの地元で少々揉めてしまった女性のお話です。
都内在住の羽田茉里さん(仮名・31歳)に話を聞いてみました。
◆帰省のついでに友達と集まることに
「今から5年ほど前のことですが、お盆に実家の関西に帰省したんです。地元に帰るのは大学卒業以来で、SNSで帰ることを報告したら同級生からたくさん『遊ぼう!』というコメントが来ました」
地元に滞在する期間が短かったので、仲の良かった同級生5人と集まることになりました。
「数年ぶりに再開した友達は結婚した子もいたけれど皆、変わってなくて安心しました。懐かしい話をたくさんして、『次は年末年始に集まろうね!』と約束して解散しました」
◆友達の1人から「相談がある」とLINEが…
茉里さんとしては、友人と会うのはその日のみで、あとは実家でゆっくりしようと思っていました。しかし……。
「家に帰ってくつろいでいると、その日参加していた同級生のカナ(仮名)から、LINEが来たんです。『今日は楽しかったね!』というもので、私も普通に返信していました。
しばらくすると、カナから『茉里、明日会える? 実は相談したいことがあって……』と言われたんです。特に予定もなかったし、深刻な相談かもしれないし、『いいよ』と言いました。まさか、このやりとりが後にあんなことになるとは思ってもいませんでした……」
翌日、カナさんが指定したカフェに向かった茉里さん。カフェに入ろうとすると、カナさんはふいにこんなことを言い出したといいます。
◆第一声は「これからセミナーがあって」
「『実は、これからセミナーがあって1人で行くのは少し緊張するから茉里を誘ったんだよね』と言うんです。その時点で『アレ?』と思ったんですよね。
なぜ、そう思ったのかというと、その2か月前くらいに東京の友達から『ネットワークビジネスの勧誘をされて困ったよ~』という話を聞いていたんです。それで少し気になっていろいろ調べていたことがあって、セミナーに誘うというのはお約束の勧誘方法だったんです」
しかし、話を聞いてみないことには分からないかも……と思った茉里さん。そこで、「それって怪しい話じゃないよね? 実は私の友達が最近、そういう勧誘にあって……」とカナさんが何か言う前に仕掛けました。
「すると、急にカナが焦りだして『そんなんじゃないよ! 収入も増えるし、やりがいもあるし……』『今の収入だけじゃ不安じゃない? 将来への投資にもなるよ!』と、矢継ぎ早にお約束のセリフを並べてきたんです。これは相当ハマってるなと思いましたね。
そのあとも、『絶対に儲かる』とか、お決まりのようなセリフを並べてきて、あまりにもしつこいので、つい『カナのことは友達だと思っているけれど、これ以上しつこいならマルチ商法の勧誘とみなして通報も考えるから』と言ってしまいました。ちなみにこれもネットで調べたときに覚えた断り文句です。その一言でさすがのカナも大人しくなり、『わかった、もう誘わない』と逃げるように帰っていきましたね……」
◆妹に話すと「地元で揉めないでよ!」
実家に帰ったとき、どっと疲れた……という茉里さん。カナさんからの勧誘よりも友情が切れてしまうかもしれないことにショックを受けていると、茉里さんの妹が帰ってきました。妹さんは歳が離れていて、当時は実家から地元の大学に通っていました。
「あまりにも落ち込んでいる私を見て、妹が『何かあった?』と聞いてきたんです。そういえば、妹もカナとは顔見知りだったなと思い、その日起きた話をしました。すると妹は急に鬼の形相になり、『地元で揉めないでよ!』と大激怒したんです。
まさかの反応に話を聞いてみると、カナには妹がいて、その妹が中学~高校の先輩とのこと。カナの妹も結構面倒臭い性格だそうで、『その妹に私が何か言われたらどうするの?』『お姉ちゃんはたまにしか帰ってこないから分からないと思うけれど、狭い地元で揉めるとめちゃくちゃ面倒なんだよ!』と、なぜか私が説教されたんです……」
◆勧誘してきた友人のその後
結局、妹はそれから口を聞いてくれず、東京に戻る日に。何となく地元の友達にも気まずさを感じ、年末年始は結局帰らなかったといいます。その後、茉里さんはどうなったのでしょうか?
「あれから5年も経ち、今は普通に地元に帰れるようになりました。あの日、飲み会に来ていたメンバーにカナのことを聞くと、みんなカナのネットワークビジネスについては知っていたと言っていました。みんな適当にかわしていたそうですが、その後もカナは地元の友達を勧誘しまくっていたそうです。
結局、カナの周りからは人がどんどん離れていき、今は違う街に引っ越したそうです。ちなみにあれだけ怒っていた妹は、しばらくカナの妹と会わないように地元を歩くときも気をつけていたみたいで。結局、カナの妹から何かされたりはなかったそうですが、妹には悪いことしたな……と思いますね」
現在は妹ともすっかり仲直りしたといいいます。断るときはきっぱりと断る。地元の狭い人間関係をこじらせたくないという気持ちもありますが、今回の茉里さんの対応は正しかったのではないでしょうか。
<取材・文/結城 イラスト/とあるアラ子>
【結城】
男女観察ライター。鋭い視点で世の男女を観察し、 夫婦問題からイタい火遊びまで、幅広いエピソードを華麗に紡いでいく。Twitter:@yuki55writer
==========
故郷の友情は一生物といいますが、その分イザコザが起これば一生ついてくるともいえます。今回は、心安らげるはずの地元で少々揉めてしまった女性のお話です。
都内在住の羽田茉里さん(仮名・31歳)に話を聞いてみました。
◆帰省のついでに友達と集まることに
「今から5年ほど前のことですが、お盆に実家の関西に帰省したんです。地元に帰るのは大学卒業以来で、SNSで帰ることを報告したら同級生からたくさん『遊ぼう!』というコメントが来ました」
地元に滞在する期間が短かったので、仲の良かった同級生5人と集まることになりました。
「数年ぶりに再開した友達は結婚した子もいたけれど皆、変わってなくて安心しました。懐かしい話をたくさんして、『次は年末年始に集まろうね!』と約束して解散しました」
◆友達の1人から「相談がある」とLINEが…
茉里さんとしては、友人と会うのはその日のみで、あとは実家でゆっくりしようと思っていました。しかし……。
「家に帰ってくつろいでいると、その日参加していた同級生のカナ(仮名)から、LINEが来たんです。『今日は楽しかったね!』というもので、私も普通に返信していました。
しばらくすると、カナから『茉里、明日会える? 実は相談したいことがあって……』と言われたんです。特に予定もなかったし、深刻な相談かもしれないし、『いいよ』と言いました。まさか、このやりとりが後にあんなことになるとは思ってもいませんでした……」
翌日、カナさんが指定したカフェに向かった茉里さん。カフェに入ろうとすると、カナさんはふいにこんなことを言い出したといいます。
◆第一声は「これからセミナーがあって」
「『実は、これからセミナーがあって1人で行くのは少し緊張するから茉里を誘ったんだよね』と言うんです。その時点で『アレ?』と思ったんですよね。
なぜ、そう思ったのかというと、その2か月前くらいに東京の友達から『ネットワークビジネスの勧誘をされて困ったよ~』という話を聞いていたんです。それで少し気になっていろいろ調べていたことがあって、セミナーに誘うというのはお約束の勧誘方法だったんです」
しかし、話を聞いてみないことには分からないかも……と思った茉里さん。そこで、「それって怪しい話じゃないよね? 実は私の友達が最近、そういう勧誘にあって……」とカナさんが何か言う前に仕掛けました。
「すると、急にカナが焦りだして『そんなんじゃないよ! 収入も増えるし、やりがいもあるし……』『今の収入だけじゃ不安じゃない? 将来への投資にもなるよ!』と、矢継ぎ早にお約束のセリフを並べてきたんです。これは相当ハマってるなと思いましたね。
そのあとも、『絶対に儲かる』とか、お決まりのようなセリフを並べてきて、あまりにもしつこいので、つい『カナのことは友達だと思っているけれど、これ以上しつこいならマルチ商法の勧誘とみなして通報も考えるから』と言ってしまいました。ちなみにこれもネットで調べたときに覚えた断り文句です。その一言でさすがのカナも大人しくなり、『わかった、もう誘わない』と逃げるように帰っていきましたね……」
◆妹に話すと「地元で揉めないでよ!」
実家に帰ったとき、どっと疲れた……という茉里さん。カナさんからの勧誘よりも友情が切れてしまうかもしれないことにショックを受けていると、茉里さんの妹が帰ってきました。妹さんは歳が離れていて、当時は実家から地元の大学に通っていました。
「あまりにも落ち込んでいる私を見て、妹が『何かあった?』と聞いてきたんです。そういえば、妹もカナとは顔見知りだったなと思い、その日起きた話をしました。すると妹は急に鬼の形相になり、『地元で揉めないでよ!』と大激怒したんです。
まさかの反応に話を聞いてみると、カナには妹がいて、その妹が中学~高校の先輩とのこと。カナの妹も結構面倒臭い性格だそうで、『その妹に私が何か言われたらどうするの?』『お姉ちゃんはたまにしか帰ってこないから分からないと思うけれど、狭い地元で揉めるとめちゃくちゃ面倒なんだよ!』と、なぜか私が説教されたんです……」
◆勧誘してきた友人のその後
結局、妹はそれから口を聞いてくれず、東京に戻る日に。何となく地元の友達にも気まずさを感じ、年末年始は結局帰らなかったといいます。その後、茉里さんはどうなったのでしょうか?
「あれから5年も経ち、今は普通に地元に帰れるようになりました。あの日、飲み会に来ていたメンバーにカナのことを聞くと、みんなカナのネットワークビジネスについては知っていたと言っていました。みんな適当にかわしていたそうですが、その後もカナは地元の友達を勧誘しまくっていたそうです。
結局、カナの周りからは人がどんどん離れていき、今は違う街に引っ越したそうです。ちなみにあれだけ怒っていた妹は、しばらくカナの妹と会わないように地元を歩くときも気をつけていたみたいで。結局、カナの妹から何かされたりはなかったそうですが、妹には悪いことしたな……と思いますね」
現在は妹ともすっかり仲直りしたといいいます。断るときはきっぱりと断る。地元の狭い人間関係をこじらせたくないという気持ちもありますが、今回の茉里さんの対応は正しかったのではないでしょうか。
<取材・文/結城 イラスト/とあるアラ子>
【結城】
男女観察ライター。鋭い視点で世の男女を観察し、 夫婦問題からイタい火遊びまで、幅広いエピソードを華麗に紡いでいく。Twitter:@yuki55writer