2024年9月9日、元フリーアナウンサーで、高橋茉莉さんの急死が報じられました。
高橋さんは今年4月の衆議院議員・東京15区補欠選挙で国民民主党の公認候補に内定していました。しかしラウンジ勤務の過去についてネット上でバッシングが起き、また「ラウンジ勤務と同時期に生活保護受給をしていた」などといった投稿が広がり批判が殺到。
国民民主党は「法令違反の可能性がある行為があった」として、内定は取り消されました。
その後、誹謗中傷による悩みをSNSで明かすなどしていた中での逝去でした。
◆百田尚樹氏、立花孝志氏もやゆ
高橋さんは今年2月、国民民主党の公認候補が内定取り消しになった経緯について、ラウンジ勤務の過去に触れながら「お金に困っていた時期で、生活保護を受けながらラウンジで働いていた」と涙ながらの自身のインスタグラムの動画で説明。しかしその後、生活保護受給は、父親の会社が倒産するなどして困窮した家族が受給していたと事実内容を訂正。出馬断念も発表し、政界を諦めたことも綴っていました。
それでもなお、ラウンジ勤務と同時期の生活保護として「不正受給だ!」という誤解からくる誹謗中傷がおさまることはありませんでした。
日本保守党の百田尚樹党代表やNHKから国民を守る党の立花孝志代表など、影響力のある著名人までもが高橋さんの涙ながらの釈明をバカにしたり、ラウンジ勤務を売春と結びつけて語る始末。
こうした状況から、高橋さんは今年4月に「誹謗中傷に悩んでいる」という心境も自身のXで吐露していました。そこにきて先日の急死報道。
報道を受けて、ネットには高橋さんの冥福を祈るポストだけででなく、“誹謗中傷は人の命に関わることを自覚すべきだ”と、彼女を叩いていた人たちへの厳しい批判は今なお止みません。
◆働きながら生活保護を受けるのは不正受給ではない
高橋さんが「誤解だ」と説明していたラウンジ勤務と同時期の生活保護ですが、そもそも、働きながら生活保護を受給することは不正受給にはあたりません。
生活保護は、厚生労働省の定める最低生活費よりも収入が少ないことが受給の条件です。そのため、働いても収入が最低生活費に満たなければ、生活保護の受給で補うことはまったく不正受給には当たらないのです。
生活保護というものが、そうしたルールのもと運用されており、また高橋さんがそれに該当するかもしれないにも関わらず、「生活保護を受給しながらラウンジで働いていた」と鬼の首を取ったかのように誹謗中傷を繰り返していた人は少なくありませんでした。
それだけでなく、誹謗中傷は彼女のセクシャリティや容姿など、関係のないことにまで及んでいたことから、高橋さんが深く傷つき、心を悩ませていたことは想像に難くありません。
◆生活保護叩き、激化のワケ
昨今、生活保護受給者に対する「働いていないのにずるい」という国民感情が大きくなっているのは、日本全体が貧しくなっているあらわれかもしれません。
「自分はいくら働いても賃金が上がらないのに、生活保護受給者たちは働かずにお金をもらっている!許すな!」そんな負の感情が大きなエネルギーとなって生活保護者叩きは以前より激しくなっているようにも思えます。
貧困問題を解決するため、政治の世界に若さとやる気を持って名乗りを上げたのが高橋さんだったと、残念な気持ちを抱かずにはいられません。日本の未来を明るくしたかもしれない一人の女性を、誤解やくだらない誹謗中傷で追い込んだ人たちは、いま何を思うのでしょうか。
<文/エタノール純子>
【エタノール純子】
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中
高橋さんは今年4月の衆議院議員・東京15区補欠選挙で国民民主党の公認候補に内定していました。しかしラウンジ勤務の過去についてネット上でバッシングが起き、また「ラウンジ勤務と同時期に生活保護受給をしていた」などといった投稿が広がり批判が殺到。
国民民主党は「法令違反の可能性がある行為があった」として、内定は取り消されました。
その後、誹謗中傷による悩みをSNSで明かすなどしていた中での逝去でした。
◆百田尚樹氏、立花孝志氏もやゆ
高橋さんは今年2月、国民民主党の公認候補が内定取り消しになった経緯について、ラウンジ勤務の過去に触れながら「お金に困っていた時期で、生活保護を受けながらラウンジで働いていた」と涙ながらの自身のインスタグラムの動画で説明。しかしその後、生活保護受給は、父親の会社が倒産するなどして困窮した家族が受給していたと事実内容を訂正。出馬断念も発表し、政界を諦めたことも綴っていました。
それでもなお、ラウンジ勤務と同時期の生活保護として「不正受給だ!」という誤解からくる誹謗中傷がおさまることはありませんでした。
日本保守党の百田尚樹党代表やNHKから国民を守る党の立花孝志代表など、影響力のある著名人までもが高橋さんの涙ながらの釈明をバカにしたり、ラウンジ勤務を売春と結びつけて語る始末。
こうした状況から、高橋さんは今年4月に「誹謗中傷に悩んでいる」という心境も自身のXで吐露していました。そこにきて先日の急死報道。
報道を受けて、ネットには高橋さんの冥福を祈るポストだけででなく、“誹謗中傷は人の命に関わることを自覚すべきだ”と、彼女を叩いていた人たちへの厳しい批判は今なお止みません。
◆働きながら生活保護を受けるのは不正受給ではない
高橋さんが「誤解だ」と説明していたラウンジ勤務と同時期の生活保護ですが、そもそも、働きながら生活保護を受給することは不正受給にはあたりません。
生活保護は、厚生労働省の定める最低生活費よりも収入が少ないことが受給の条件です。そのため、働いても収入が最低生活費に満たなければ、生活保護の受給で補うことはまったく不正受給には当たらないのです。
生活保護というものが、そうしたルールのもと運用されており、また高橋さんがそれに該当するかもしれないにも関わらず、「生活保護を受給しながらラウンジで働いていた」と鬼の首を取ったかのように誹謗中傷を繰り返していた人は少なくありませんでした。
それだけでなく、誹謗中傷は彼女のセクシャリティや容姿など、関係のないことにまで及んでいたことから、高橋さんが深く傷つき、心を悩ませていたことは想像に難くありません。
◆生活保護叩き、激化のワケ
昨今、生活保護受給者に対する「働いていないのにずるい」という国民感情が大きくなっているのは、日本全体が貧しくなっているあらわれかもしれません。
「自分はいくら働いても賃金が上がらないのに、生活保護受給者たちは働かずにお金をもらっている!許すな!」そんな負の感情が大きなエネルギーとなって生活保護者叩きは以前より激しくなっているようにも思えます。
貧困問題を解決するため、政治の世界に若さとやる気を持って名乗りを上げたのが高橋さんだったと、残念な気持ちを抱かずにはいられません。日本の未来を明るくしたかもしれない一人の女性を、誤解やくだらない誹謗中傷で追い込んだ人たちは、いま何を思うのでしょうか。
<文/エタノール純子>
【エタノール純子】
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中