いつものスーパーにお米を買いに行ったら棚は空っぽ。あせって何件もハシゴしたけど結局見つけることができなかった…。そんな人も多いのではないでしょうか?
そんな令和の米騒動と言われている中で、ある女性に起こった悲劇をご紹介しましょう。
◆アルバイト先のカフェでご飯は自由に食べて良い
酒井佑香さん(仮名・43歳/主婦)は、都内にあるギャラリーに併設されたカフェでアルバイトをしています。
「主にギャラリーに来たお客さんがちょっと休憩するようなお店なので、さほど混雑することもなく、簡単な軽食と飲み物を出すだけの気楽なバイトなんですよ」
週2ペースでシフトに入っている佑香さんはこの職場で一番の歳下でした。
「ベテランの50~60代のお姉様ばかりで、長く働いている方ばかりなんです。なのでそれぞれにやり方が違くて主張の激しい人が多いのですが、私は新人顔して『はい、気をつけまーす』と言って適当にやり過ごしている感じですね」
そしてこの職場では、いわゆる“まかない”はありませんでしたが、その代わりご飯は好きなだけ食べてよかったそう。
「メニューにカレーがあるので毎日ご飯を炊きますし、残った分は冷凍してあるので、お昼は自分でおかずだけ持ってくればよかったんですよ」
◆米不足の影響
ですが昨今の米不足問題で、スーパーからお米が姿を消してからはその“お米食べ放題”制度がなくなってしまいました。
「私は『まぁ仕方ないかな』と思ったのですが、バイトのお姉様方は『オーナー一家は相当な家賃収入があり裕福なはずなのに、お米ぐらいでケチケチしてバイトに対する思いやりがない』とかなりご立腹でしたね」
そんなある日、佑香さんと一緒にバイトに入っていた佐藤さん(仮名・50代)が家にご飯を忘れてしまったので、以前のようにお店の冷凍ご飯をチンして食べたそう。
「佐藤さんは『オーナーに謝れば大目に見てくれるでしょ』と気楽に考えていたのですが、いざオーナーにそのことを話すと『なんで勝手に食べたの?次にシフトに入っている日に必ずお米一合持参して補充しておいて』と言われてしまい『はぁ?私は一合分も食べていませんけど』と2人が怒鳴り合いになってしまい、とても怖かったんですよね」
◆職場の雰囲気が悪化
結局「お店のご飯を食べた時は半合分のお米を持参して返す」ということに落ち着いたのですが、それ以来オーナーとバイトの仲はピリピリしだしました。
「オーナーはケチだし食にこだわりもないみたいで、お店で使っているお米はかなりお安めのものなんですよ。ですが佐藤さんをはじめとするバイトのお姉様達は、自宅では高級な美味しいお米を購入している方が多く『なんでこんな激安米とうちの高級米を対等にトレードしないといけないの?ていうかどれだけあさましいんだよ!』とブチ切れていたんですよ」
しかもその話の流れから、バイトのお姉様同士で誰が1番高級で美味しいお米を取り寄せているかでマウントの取り合いになってしまい、バイト同士の空気も悪くなっていったそう。
◆無実の罪を着せられ…
そしてついに佑香さんもそんな負の連鎖に巻き込まれてしまい…。
「多分、新人の私があまり言う事を聞かなかったことが面白くなかったみたいで…、よく一緒にシフトに入っていた菅原さん(仮名・40代後半)に『佑香さんがいつも人の目を盗んでご飯を持ち帰っている』とデマを流されてしまったんですよ。
もちろん私はそんなこと1度もしていないので完全な嫌がらせなんです。でもそのデマを信じてか便乗して楽しんでいるのか分かりませんが、嫌味を言われたり無視されることが増えましたね」
ついには噂を聞きつけたオーナーに呼び出されて、佑香さんはお説教をされ問い詰められてしまいました。
「私は無実だし、しかもそんなちょっとのお米のことで何人もの人が揉めるなんて…、いったいいつの時代なんだよ?と馬鹿馬鹿しくなってしまい、私はその場でバイトを辞めてしまいました。もうクソドケチオーナーにも、この騒動に乗っかって嬉々として意地悪してくるババァ達にもうんざりって感じでしたね」
◆オーナーに送りつけたものとは?
そして佑香さんは、近所のスーパーで最近見かけるようになった少しお高めな新米を購入してオーナー宛に送りつけたんだそう。
「私は米泥棒なんてしていませんが、汚名を着せられたままでは気分が悪いので当てつけのつもりで送りました。でもドケチオーナーは単純に得をしたと喜ぶだけだろうし、バイトのババァ達も『やっぱりご飯を盗んでいたから罪滅ぼしの意味で送ってきたんだ!』と大喜びで噂話をしているに違いないと思いますが」とため息をつく佑香さんなのでした。
<イラスト・文/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
そんな令和の米騒動と言われている中で、ある女性に起こった悲劇をご紹介しましょう。
◆アルバイト先のカフェでご飯は自由に食べて良い
酒井佑香さん(仮名・43歳/主婦)は、都内にあるギャラリーに併設されたカフェでアルバイトをしています。
「主にギャラリーに来たお客さんがちょっと休憩するようなお店なので、さほど混雑することもなく、簡単な軽食と飲み物を出すだけの気楽なバイトなんですよ」
週2ペースでシフトに入っている佑香さんはこの職場で一番の歳下でした。
「ベテランの50~60代のお姉様ばかりで、長く働いている方ばかりなんです。なのでそれぞれにやり方が違くて主張の激しい人が多いのですが、私は新人顔して『はい、気をつけまーす』と言って適当にやり過ごしている感じですね」
そしてこの職場では、いわゆる“まかない”はありませんでしたが、その代わりご飯は好きなだけ食べてよかったそう。
「メニューにカレーがあるので毎日ご飯を炊きますし、残った分は冷凍してあるので、お昼は自分でおかずだけ持ってくればよかったんですよ」
◆米不足の影響
ですが昨今の米不足問題で、スーパーからお米が姿を消してからはその“お米食べ放題”制度がなくなってしまいました。
「私は『まぁ仕方ないかな』と思ったのですが、バイトのお姉様方は『オーナー一家は相当な家賃収入があり裕福なはずなのに、お米ぐらいでケチケチしてバイトに対する思いやりがない』とかなりご立腹でしたね」
そんなある日、佑香さんと一緒にバイトに入っていた佐藤さん(仮名・50代)が家にご飯を忘れてしまったので、以前のようにお店の冷凍ご飯をチンして食べたそう。
「佐藤さんは『オーナーに謝れば大目に見てくれるでしょ』と気楽に考えていたのですが、いざオーナーにそのことを話すと『なんで勝手に食べたの?次にシフトに入っている日に必ずお米一合持参して補充しておいて』と言われてしまい『はぁ?私は一合分も食べていませんけど』と2人が怒鳴り合いになってしまい、とても怖かったんですよね」
◆職場の雰囲気が悪化
結局「お店のご飯を食べた時は半合分のお米を持参して返す」ということに落ち着いたのですが、それ以来オーナーとバイトの仲はピリピリしだしました。
「オーナーはケチだし食にこだわりもないみたいで、お店で使っているお米はかなりお安めのものなんですよ。ですが佐藤さんをはじめとするバイトのお姉様達は、自宅では高級な美味しいお米を購入している方が多く『なんでこんな激安米とうちの高級米を対等にトレードしないといけないの?ていうかどれだけあさましいんだよ!』とブチ切れていたんですよ」
しかもその話の流れから、バイトのお姉様同士で誰が1番高級で美味しいお米を取り寄せているかでマウントの取り合いになってしまい、バイト同士の空気も悪くなっていったそう。
◆無実の罪を着せられ…
そしてついに佑香さんもそんな負の連鎖に巻き込まれてしまい…。
「多分、新人の私があまり言う事を聞かなかったことが面白くなかったみたいで…、よく一緒にシフトに入っていた菅原さん(仮名・40代後半)に『佑香さんがいつも人の目を盗んでご飯を持ち帰っている』とデマを流されてしまったんですよ。
もちろん私はそんなこと1度もしていないので完全な嫌がらせなんです。でもそのデマを信じてか便乗して楽しんでいるのか分かりませんが、嫌味を言われたり無視されることが増えましたね」
ついには噂を聞きつけたオーナーに呼び出されて、佑香さんはお説教をされ問い詰められてしまいました。
「私は無実だし、しかもそんなちょっとのお米のことで何人もの人が揉めるなんて…、いったいいつの時代なんだよ?と馬鹿馬鹿しくなってしまい、私はその場でバイトを辞めてしまいました。もうクソドケチオーナーにも、この騒動に乗っかって嬉々として意地悪してくるババァ達にもうんざりって感じでしたね」
◆オーナーに送りつけたものとは?
そして佑香さんは、近所のスーパーで最近見かけるようになった少しお高めな新米を購入してオーナー宛に送りつけたんだそう。
「私は米泥棒なんてしていませんが、汚名を着せられたままでは気分が悪いので当てつけのつもりで送りました。でもドケチオーナーは単純に得をしたと喜ぶだけだろうし、バイトのババァ達も『やっぱりご飯を盗んでいたから罪滅ぼしの意味で送ってきたんだ!』と大喜びで噂話をしているに違いないと思いますが」とため息をつく佑香さんなのでした。
<イラスト・文/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop