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パリマダム中村江里子さん、52歳で「1500年代に建てられた南仏の家」を購入したワケ

女子SPA! 2024年9月17日 8時46分

 日本での活躍後、現在は生活の拠点をパリに置くフリーアナウンサーの中村江里子さん、55歳。ラテン民族のDNAなのか(笑)、陽気でエネルギッシュな夫のバルトさんと20歳、17歳、14歳の一男二女の子どもたちとの明るくにぎやかな暮らしぶりが共感を呼んでいます。

 新刊のムックでは、南仏のコート・ダジュールに52歳のときに購入した家のことが紹介されています。

 パリでは長らく賃貸のアパルトマンに暮らす中村さん一家が、なぜこの地に家を求めることになったのか、家との出合いから、現在までを中村さんにうかがってみました。

◆運命的な出合いを感じた500年前の家

──そもそも、どうして南仏に家を持とうと思ったのでしょうか?

中村江里子さん(以下、中村):2020年のコロナ禍にフランスでは外出規制が始まりました。南仏は夫のバルトさんの生まれ故郷で、当時健康状態に不安があった義父母に、なにかあったときにはサポートできる距離にいようということで、着のみ着のままに近い状態で南仏に移動しました。

 外出規制の間、住める当座の家探しをしていて見つけたのがこの家です。そして規制中のおよそ2か月を過ごし、またその年の夏の2か月間もこちらを借りて過ごし、いつの日かこの場所が家族の大切な場所になったらよいなと思うようになったのです。

──中心の建物は1500年代に建てられた家だとうかがいました。暮らせる状態にするまではかなり大変だったのでは?

中村:しばらく放置されていた家は、庭には鬱蒼と木々が茂り、建物は古くて薄暗くどんよりしていて。蚊の大群にも悩まされました。

 けれども、パリのわが家の天井に描いてもらった大好きなジャン・コクトーの絵と同じデッサンを庭のプールの底に発見したときに、家族みんなが運命的なものを感じて、ここは手を入れれば、きっと快適な住まいになるに違いないと確信したんです。

◆おいしく食べて、おいしく飲んで…という幸せ

──南仏のおうちでは何をして過ごすのでしょうか?

中村:とくにな~んにも(笑)。娘のバースデーを祝ったり、義父母と食事を楽しんだり、美術館を訪れたり。時にレストランやカフェに足を伸ばすことも。でも、基本は本を読んだり、朝寝坊をしたり、のんびりゆっくりヴァカンスを過ごしています。

──大勢のお客様を迎えることもあるようですが、気疲れしませんか?

中村:いえいえ。そこは「気を使わない、使わせない」で(笑)。みんなでいっしょにテラスやサロンでおしゃべりを楽しむこともあれば、一人静かに自分の部屋でくつろぐこともできます。

 みなさん、気楽に自然体で過ごしていただいています。ルールは一つだけ! 朝食はテラスに8時ぐらいに用意して、「それぞれ好きな時間にどうぞ」としていますが、「10時半には片づけちゃうから、それまでに食べてね」と言っています(笑)。あとはおいしく食べて、おいしく飲む!

──とはいえ、食事やベッドの用意だけでもひと苦労では?

中村:私たち家族と親しい友人ファミリー数人くらいなら、掃除も買い出しも食事の用意も片付けも、もちろん自分たちでします。もちろん、子どもたちも手伝いますよ。でも、それ以上の人数になると、割り切ってプロのシェフの方やハウスキーピングの方の力を借ります。

 私たち夫婦だけでは食事の用意や片付けだけで1日追われてしまいますし、フランスはヴァカンスが長く、またわが家は大勢宿泊することがあるので、家族や友人たちとの時間を心から楽しむためにもサポートしていただくことは必須。実際に最初のころは疲れ果ててしまい…大変でした。

 また、ゲストの方々にも、私がキッチンにこもりきりというのは失礼だったり、かえって気を使わせてしまったりするので。

◆古き佳きものに家族の好みやアイデアを

──3年以上を費やしての改装。どのように進んだのでしょう?

中村:建物自体は古いのですが、逆に至るところに、いまではもう作ることができないような細工や意匠が施されていて。

 また、アンティークの家具や特注の調理レンジなど、先々代の持ち主の方のこだわりもたくさん残っていました。それらを活かしつつ、家族が心地よく過ごせるようにしたいと考えました。

──具体的に手を加えたところは?

中村:まず空調や水回りの設備を整えて、室内は壁の色や照明のかさの色を明るく塗り替えました。モダンなカーペットを敷いた部屋もあれば、木組みのよさを活かした場所もあり、友人のインテリアデザイナーの方の力を借りて一部屋ずつ進めました。

 3人の子どもたちの部屋はそれぞれ南仏ゆかりの3人の画家の壁紙を貼りました。ザラホームのシンプルなアイテムやパリの自宅で使わなくなったものも、うまくマッチしたように思います。

 元々ここにあった古い椅子も、造りはとてもしっかりとしていたので、好みの布地に張り替えてもらいました。南仏の昔ながらの職人さんたちの知恵や技術にずいぶん助けられたと思います。

◆いま55歳。これからの願いは……

──改装や修理は、もう終わったのでしょうか?

中村:夫は時間があると、というよりは用事を見つけてはこの家に通い、思いついては手を入れていて、まだまだ現在進行形です。もっとラグジュアリーだったり、現代的だったりするものがお好きな方もいらっしゃると思います。

 でも、代々の持ち主が愛してきたこの家に、わが家ならではのアイデアを加えて心地よく温かい空間にしたいと思っています。家族にとって、そして訪れてくださる友人たちにとって、唯一無二の魅力がある場所にできればと…。

──いま55歳の江里子さん。この家での将来の夢は?

中村:まだまだ先でしょうが、やがて3人の子どもたちが独立して、それぞれに新しい家庭を築く日も来るでしょう。どこの国にいるのか、どんな仕事をしているのか、どんなパートナーを選ぶのか…まるでわかりません。

 でも、いつもは離れていても、ヴァカンスには家族を連れて、ここでいっしょに過ごせたなら、それはとても楽しそうです。

 この家だったら、それぞれの家族の生活リズムを維持しながら気を使うことなくみんなでいっしょにいられる……。そして、そのとき孫と元気に走り回れるように私はしっかり身体を鍛えておこう! そんなことを思っています(笑)。

【中村江里子】
本名:エリコ・バルト/1969年東京生まれ。フジテレビのアナウンサーを経て、フリーに。2001年にバルト氏(化粧品会社経営)と結婚、パリに暮らす。現在は3児の母で、パリと東京を往復しながら各メディアで活躍中。ライフスタイルブック「セゾン・ド・エリコ」シリーズ、近著『パリのおうち時間』 Instagram:eriko.nakamuraofficial、オンラインショップ「中村江里子セレクション Avenue du KIKI

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