【今日のにゃんこタイム~○○さん家の猫がかわいすぎる Vol.52】
この10年間には、どれほどの笑顔が溢れていたのだろう。ピョンタ・フロスキーくん(@pyonta_F)の記念日ツイートを見ると、そんな気持ちで胸がいっぱいになります。
元野良猫だったピョンタくんは家族から愛され、温かい日常を謳歌。今回は、その幸せなニャン生を取材しました。(初公開日は2022年9月22日 記事は取材時の状況)
◆台風が接近する秋、息子が見つけた小さな猫
出会いは、2011年9月11日。台風が近づき、雨が降っていたこの日、飼い主さんは息子さんを習い事へ連れていこうと、親子で土手を歩いていました。
すると、突然「ママー!猫ちゃん!」と叫ぶ息子さんの声が。振り返ると、息子さんの足元で1匹の子猫が震えていました。
「近くに親猫がいる様子もなく、どこから現れたのかまったくわかりませんでした」
突然の出会いに戸惑ったものの、台風が接近していたため保護することにしました。この光景を納めたのが、今回バズった10年前の写真です。飼い主さんは、猫風邪と真菌による皮膚病を患っていたピョンタくんの手当てをしました。
「草むらなどにいたから、保護直後は顔中に変な黒いものがびっしりついていたので、ひとつひとつ取り除きました」
きちんと育つのか、心配……。小さくて食が細いピョンタくんに対し、飼い主さんはそんな不安を抱きましたが、実家にいた猫が子育てしていた様子を思い出し、懸命にお世話します。すると……。
◆品種は謎だけど、かなりの大型猫に成長!
なんと、ピョンタくんは予想をはるかに超える大型猫に成長したのです。
獣医師さんに「保護猫は品種が特定できないからミックス」と言われたため、品種は謎のまま。しかし、不明であるからこそ、飼い主さんの妄想は膨らみます。
「親はもしかしてメインクーンやサイベリアン、ノルウェージャンフォレストキャットかな。それとも、ライオンかなと想像して楽しんでいます」
◆MAXで7kgあった体重
ピョンタくんは現在約6kgと、見た目よりもスリムです。
「5歳のころがMAXで7kgありましたが、その後、少しずつ減り、昨年あたりからこのくらいの体重になりました」
飼い主さんはこの10年間、体重もしっかりと記録しています。
健康に気を遣いながら、思い出を増やし続けています。
◆賢くて、ちょっぴりビビリなピョンタくん
ピョンタくんは保護後、すぐにトイレを覚えてくれたおりこうさん。イタズラをしてもダメなことや危険なことを話すと、すぐに理解します。遊ぶときは自分専用のおもちゃ入れから、おもちゃを持ち出してもいました。
「手のひらサイズのぬいぐるみが好きで、噛んでボロボロにすることはありましたが、自分用のぬいぐるみ以外はかじりませんでした」
そして成長するにつれて、さらに賢くなり、人の言葉を理解しているような素振りを見せます。食事中にはテーブルに乗らない、人間用のご飯を盗まないといったマナーを自主的に守っています。
「私が家族に『ご飯よ』と声をかけると一番に来て、昔、息子が使っていた子ども用のイスに座っていることもあります」
◆人間のような仕草が愛らしい
また、時間が分かるのか、在宅勤務中の旦那さんが就業時間を過ぎてもパソコンの前に座っていると鳴いてお知らせします。
「話もちゃんと覚えています。前に、約束した食べ物を食卓に出すのを忘れてしまったことがありました。そしたら他の好物が並んでいても、一口も食べてくれなくて(笑)」
そんな賢さを持つピョンタくんには、「実はビビリ」というかわいいギャップがあります。
「花火や雷の音がすると、クローゼットに隠れます。あと、セミが苦手。網戸にくっついていると遠巻きに見ますが、近づいてちょっかいを出すことはありません」
日常の中で見られる、ピョンタくんのさまざまな顔。それは家族にとって、元気の源になっています。
◆息子さんとの間には「兄弟の絆」が
「私たちにとってピョンタは家族なので、猫扱いはできるだけせず、何でも話して聞かせます。でも、傷つくようなこと……特に捨て猫だった話はピョンタの前ではしません」
そう語る飼い主さんの愛を受けながら、ピョンタくんはこの10年間で息子さんと兄弟の絆を深めてもきました。息子さんが小さなころには音読を見守ったり、一緒に寝たりと四六時中ベッタリ。たくさんの思い出を作ってきました。
なかでも、飼い主さんの胸に印象深く残っているのが、ピョンタくんが息子さんの身代わりになろうとした日の出来事。その日、飼い主さん家族は家にやってきたおじいさん、おばあさんと一緒に食事をしていました。最中、息子さんは悪いことをし、全員から注意を受けてしまいました。
すると、普段は悪さなどしないピョンタくんが急に花瓶を倒し、イタズラをしたのです。
「さらに悪いことをすれば自分が叱られるから、気をそらして息子を助けたかったのだと思います」
◆一家に豊かな時間をくれたピョンタくん
ピョンタくんにとって息子さんは、今でも特別な存在。例えば、息子さんと口喧嘩をしていると、飼い主さんの足をかじってくることもありました。
「昔、投薬していた時は息子でないと飲んでくれませんでした。最近は息子の抱っこを拒否することもありますが、大事なときは団結します」
飼い主さんは今回、写真を見ながら微笑ましい思い出がたくさん詰まったこの10年の尊さを改めて実感し、ピョンタくんがそばにいてくれていることの幸せを噛みしめました。
「これまで撮影した家族写真すべてにエピソードがあって、ピョンタは私たち家族に豊かな時間をくれたのだと改めて感じました」
◆厳しい環境に置かれる猫たちへの思い
そして、愛猫との出会いに感謝しているからこそ、小さな命がツラい思いをしやすい今の社会に悲しみを感じてもいます。
「実は、ピョンタの尻尾の先は出会ったときから鍵尻尾のように折れ曲がり、取れてしまいそうなブラブラ状態。もしかして、これが原因で捨てられたのかなと、ずっと考えています。このような悲しいことがなくなってほしいです」
手のひらサイズだった命が、ずっしりと重みを感じるほど大きくなってくれた――。その喜びを噛みしめながら、一家はこれからもピョンタくんと生きていきます。
<取材・文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291
この10年間には、どれほどの笑顔が溢れていたのだろう。ピョンタ・フロスキーくん(@pyonta_F)の記念日ツイートを見ると、そんな気持ちで胸がいっぱいになります。
元野良猫だったピョンタくんは家族から愛され、温かい日常を謳歌。今回は、その幸せなニャン生を取材しました。(初公開日は2022年9月22日 記事は取材時の状況)
◆台風が接近する秋、息子が見つけた小さな猫
出会いは、2011年9月11日。台風が近づき、雨が降っていたこの日、飼い主さんは息子さんを習い事へ連れていこうと、親子で土手を歩いていました。
すると、突然「ママー!猫ちゃん!」と叫ぶ息子さんの声が。振り返ると、息子さんの足元で1匹の子猫が震えていました。
「近くに親猫がいる様子もなく、どこから現れたのかまったくわかりませんでした」
突然の出会いに戸惑ったものの、台風が接近していたため保護することにしました。この光景を納めたのが、今回バズった10年前の写真です。飼い主さんは、猫風邪と真菌による皮膚病を患っていたピョンタくんの手当てをしました。
「草むらなどにいたから、保護直後は顔中に変な黒いものがびっしりついていたので、ひとつひとつ取り除きました」
きちんと育つのか、心配……。小さくて食が細いピョンタくんに対し、飼い主さんはそんな不安を抱きましたが、実家にいた猫が子育てしていた様子を思い出し、懸命にお世話します。すると……。
◆品種は謎だけど、かなりの大型猫に成長!
なんと、ピョンタくんは予想をはるかに超える大型猫に成長したのです。
獣医師さんに「保護猫は品種が特定できないからミックス」と言われたため、品種は謎のまま。しかし、不明であるからこそ、飼い主さんの妄想は膨らみます。
「親はもしかしてメインクーンやサイベリアン、ノルウェージャンフォレストキャットかな。それとも、ライオンかなと想像して楽しんでいます」
◆MAXで7kgあった体重
ピョンタくんは現在約6kgと、見た目よりもスリムです。
「5歳のころがMAXで7kgありましたが、その後、少しずつ減り、昨年あたりからこのくらいの体重になりました」
飼い主さんはこの10年間、体重もしっかりと記録しています。
健康に気を遣いながら、思い出を増やし続けています。
◆賢くて、ちょっぴりビビリなピョンタくん
ピョンタくんは保護後、すぐにトイレを覚えてくれたおりこうさん。イタズラをしてもダメなことや危険なことを話すと、すぐに理解します。遊ぶときは自分専用のおもちゃ入れから、おもちゃを持ち出してもいました。
「手のひらサイズのぬいぐるみが好きで、噛んでボロボロにすることはありましたが、自分用のぬいぐるみ以外はかじりませんでした」
そして成長するにつれて、さらに賢くなり、人の言葉を理解しているような素振りを見せます。食事中にはテーブルに乗らない、人間用のご飯を盗まないといったマナーを自主的に守っています。
「私が家族に『ご飯よ』と声をかけると一番に来て、昔、息子が使っていた子ども用のイスに座っていることもあります」
◆人間のような仕草が愛らしい
また、時間が分かるのか、在宅勤務中の旦那さんが就業時間を過ぎてもパソコンの前に座っていると鳴いてお知らせします。
「話もちゃんと覚えています。前に、約束した食べ物を食卓に出すのを忘れてしまったことがありました。そしたら他の好物が並んでいても、一口も食べてくれなくて(笑)」
そんな賢さを持つピョンタくんには、「実はビビリ」というかわいいギャップがあります。
「花火や雷の音がすると、クローゼットに隠れます。あと、セミが苦手。網戸にくっついていると遠巻きに見ますが、近づいてちょっかいを出すことはありません」
日常の中で見られる、ピョンタくんのさまざまな顔。それは家族にとって、元気の源になっています。
◆息子さんとの間には「兄弟の絆」が
「私たちにとってピョンタは家族なので、猫扱いはできるだけせず、何でも話して聞かせます。でも、傷つくようなこと……特に捨て猫だった話はピョンタの前ではしません」
そう語る飼い主さんの愛を受けながら、ピョンタくんはこの10年間で息子さんと兄弟の絆を深めてもきました。息子さんが小さなころには音読を見守ったり、一緒に寝たりと四六時中ベッタリ。たくさんの思い出を作ってきました。
なかでも、飼い主さんの胸に印象深く残っているのが、ピョンタくんが息子さんの身代わりになろうとした日の出来事。その日、飼い主さん家族は家にやってきたおじいさん、おばあさんと一緒に食事をしていました。最中、息子さんは悪いことをし、全員から注意を受けてしまいました。
すると、普段は悪さなどしないピョンタくんが急に花瓶を倒し、イタズラをしたのです。
「さらに悪いことをすれば自分が叱られるから、気をそらして息子を助けたかったのだと思います」
◆一家に豊かな時間をくれたピョンタくん
ピョンタくんにとって息子さんは、今でも特別な存在。例えば、息子さんと口喧嘩をしていると、飼い主さんの足をかじってくることもありました。
「昔、投薬していた時は息子でないと飲んでくれませんでした。最近は息子の抱っこを拒否することもありますが、大事なときは団結します」
飼い主さんは今回、写真を見ながら微笑ましい思い出がたくさん詰まったこの10年の尊さを改めて実感し、ピョンタくんがそばにいてくれていることの幸せを噛みしめました。
「これまで撮影した家族写真すべてにエピソードがあって、ピョンタは私たち家族に豊かな時間をくれたのだと改めて感じました」
◆厳しい環境に置かれる猫たちへの思い
そして、愛猫との出会いに感謝しているからこそ、小さな命がツラい思いをしやすい今の社会に悲しみを感じてもいます。
「実は、ピョンタの尻尾の先は出会ったときから鍵尻尾のように折れ曲がり、取れてしまいそうなブラブラ状態。もしかして、これが原因で捨てられたのかなと、ずっと考えています。このような悲しいことがなくなってほしいです」
手のひらサイズだった命が、ずっしりと重みを感じるほど大きくなってくれた――。その喜びを噛みしめながら、一家はこれからもピョンタくんと生きていきます。
<取材・文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291