2024年7月期の“月9ドラマ”『海のはじまり』(フジテレビ系)が今日9月23日、最終回を迎える。同作は、社会現象となった大ヒットドラマ『silent』(2022年10月期/フジテレビ系)の村瀬健プロデューサー、脚本家・生方美久、演出・風間太樹らが再タッグを組み、“親子の愛”をテーマにした完全オリジナル作品。
第1話の放送後8日間でのTVer配信数が『silent』を超えて歴代最多を記録し、見逃し配信の累計再生数が5040万再生突破(※2024年9月16日時点)。シナリオブック(上巻)も発売され(下巻は10月発売予定)、放送後にはSNSを中心に大きな反響を呼び、今夜放送の最終回がどんな結末を迎えるか、視聴者の期待が寄せられている。
そんな本作について、プロデューサーの村瀬健氏に単独インタビュー。本作の立ち上げ当時のエピソードや、クランクアップを迎えた今だから話せる現場の様子を余すことなく語ってもらった。
◆『silent』チームが“親子の愛”をテーマにした理由
――今作で“親子の愛”にフォーカスした経緯を教えてください。
村瀬健(以下、村瀬):『silent』『いちばんすきな花』に関しては、僕が「こういうテーマでいきたい」と提案したのですが、今回に関しては生方さんの発案でした。「目黒(蓮)さん主演でやろうと思う」と言ったら「こういうのはどうですか」と提案されたんです。
――生方さんからそのテーマについて聞いた時、率直にどのような感想を持ちましたか?
村瀬:正直、そう来たかと思いました(笑)。というのも、今、上り調子のSnow Manの一員である目黒さんが「父になる」役を演じるというのは、タイミング的にどうなんだろうって思いましたし、社内の上層部を説得できるかなとも思ったので。今だから言えますけど、会社からは「目黒さんでラブストーリーをやってほしい」とハッキリ言われてましたから。
◆企画にGOサインを出した2つの理由
――そんな中でGOサインを出したのは、なぜでしょう?
村瀬:今回の物語、単にシングルファザーの話ではないんですよね。自分に娘がいたことを知った主人公が父になると決断するまでを丁寧に描いた話なんです。生方さんからそう聞いたときに、それなら僕も興味があるし、生方さんと風間監督と一緒に描く意味があるなと思いました。
あと、これは僕の個人的な話なのですが、僕がかつてプロデュースした『14才の母』(日本テレビ系)の立ち上げと重なる部分があったんです。あのときも、単に中学生が妊娠して母になる話を描きたかったのではなくて、予期せぬ妊娠をした女の子が、産むかどうかを真剣に考え、母になるかどうかを決めるまでにどんな葛藤があるかを丁寧に描こうとしました。あのときも会社からは大反対されたのですが、そこを丁寧に説明して、なんとか通してもらいました。
――なるほど。
村瀬:あとは、何と言っても目黒さん本人がやりたいと言ってくれたこと。僕、目黒さんにはっきり言ったんです。「これは賭けだと思う。もしかしたら、ここまで頑張ってきたものを一気に失う危険性すらあると思うけど」って。でも、彼は「挑戦したいです」と言ってくれました。それを聞いた時に、企画を推進していく覚悟ができたんです。
◆「ここまで意見が割れることは珍しい」レベルでの賛否両論
――今作に関しては、過去2作品以上に賛否が分かれた作品だった印象です。
村瀬:本当ですよね。僕、すごく作品のエゴサをするんですね(笑)。できる限り全員の意見を読みたくて『海のはじまり』とか登場人物の名前で検索して……睡眠時間が足りないのって、それも理由なんじゃないかなってレベルで読んでいます(笑)。
その中には当然反対意見とか批判もあって、今回は本当に賛否両論だなと思いました。特に意見が分かれてると思ったのは「弥生と夏は、くっついて幸せになってください」っていう意見と「絶対にくっつけさせないで」という意見。もう、真っ二つです(笑)
もちろんそれだけでなく、夏、弥生、水季、朱音……登場人物一人一人の発言や行動に対しても見事に賛否両論があって。ここまで意見が割れることは珍しいと感じましたね。生方さんの脚本の真髄が、人間を多面的に書いているところにあるからこその賛否だと分かってはいるんですけど。
――そういった意見によって、物語の展開に変更が加えられたことはあったのでしょうか?
村瀬:それはありませんでした。というのも、今回、生方さんは初回放送が始まるよりも前に最終話の初稿まで書き上げていたんです。いろんな意見が出てくることを見越していたのかもしれないですね。
それに僕自身も、例えどんな反応があろうと、それによって物語の展開を変えるのは違うと思っています。もちろん、いろんな意見に耳を傾け、受け止めた上で、自分たちが正しいと思う道を進んでいきました。
◆「ついに言います!」経堂を舞台とした理由
――ところで『silent』では世田谷代田が、『いちばんすきな花』では桜新町が、そして『海のはじまり』では経堂と、再び小田急線が舞台でした。なぜ経堂に?
村瀬:皆さんから「なんで?」って言われるので、ついに言います。これはもう、僕が無類の世田谷好きだからですね。っていうか、僕自身が長く世田谷区に住んでるんです(笑)。あと、最終的には世田谷区長を狙っておりまして……というのは、冗談ですが。ちゃんとした理由もありますよ。
――(笑)。ぜひ教えてください。
村瀬:世田谷って、東京で一番人口が多い区だし、僕は愛知出身なんですけど、僕のような地方出身者にとって、世田谷区って東京のスタンダードがあるイメージなんですね。それに、土地勘があるからこそ、生方さんが描いた登場人物たちが「この街に住んでいそうだな」とイメージが浮かんでくるんですよね。
あとは『silent』で小田急さんにお力添えいただいて、それ以来、良い関係ができているというのも大きいです。今回もまた電車のシーンでお世話になっています。その最たるものが9話の夏と弥生の別れのシーン。あれは、絶対に実際の駅のホームで撮りたかったのですが、ご協力いただけて実現しました。あれは終電から始発までの時間で撮影させていただいたんです。
――そうなんですね。
村瀬:だから『silent』のときに世田谷代田駅のベンチに聖地巡礼に来てくれた方がいるように、今後は別れ話をするときはぜひ皆さん経堂駅のホームのベンチに座っていただけたらと思います(笑)。
さらに付け加えるなら、今回は、もともと「海」というのが1つキーワードである中で、海辺の町と東京を繋いでいるという意味でも小田急と親和性があるなと思いました。
◆目黒蓮の魅力は「嫌われることを恐れていないこと」
――あるインタビューで、目黒さんの印象を「どこにでもいる人になりきれる力がより強くなった」っておっしゃっていたのが、すごく印象的でした。どういうときに感じましたか?
村瀬:2年ぶりにご一緒して、役者としての成長はあらゆる面で感じたんですけど、演技力・表現力、感情を形にする力・伝える力がレベルアップしているなと感じました。夏って時としてみんなから「ダメじゃん!」って怒られるような不甲斐ないキャラクターでもあると思うんですけど、そう見せるために、どんな歩き方をしたらいいか、声の出し方をすべきか、すごく考えて表現してくれています。それこそ、背中の曲がり方まで含めて。そういう人を表現するための技術が、シンプルにうまくなっているなと思いました。
――撮影中に成長を感じたこともありましたか?
村瀬:1話で池松さん演じる津野から「この7年のこと、ほんとに、なんも知らないんですね」って言われたときの表情や、大竹さんに「想像はしてください。今日一日だけでも」と言われたシーンでの受け方など、撮影をするごとにどんどん良くなっていきました。日に日に変わっていきましたね。たくさんの役者さんと対峙することを繰り返して、どんどん彼の“受ける”芝居の技術が上がっていきました。技術というよりも心というのが正しいかな、相手のお芝居を受けて、どう防ぐかみたいなところがどんどん進化していました。
――そうなんですね。
村瀬:あと、もう一つ、目黒さんがすごいなと感じたのは、夏というキャラクターを通して、「嫌われる」ことを恐れていないということです。夏って、時にすごく嫌われかねないキャラクターなんですね。それって、目黒くん自身のタレントとしての好感度も下がりかねないのに、目黒くんはそういうことを一切気にしないんです。
さっき賛否両論の話をしたように、夏のこの行動は視聴者から怒られてしまうだろうな、というシーンがあっても、目黒さんは一切気にしない。このシーンでは嫌われちゃうようなことを言うことが大事だっていう、僕らの狙いをちゃんとわかってくれているからだと思います。生方さんや僕、そして監督を信じてくれていて、どんなラストになるのかまで見据えた上で、嫌われてくれてたと感じています。その姿勢には感謝しかないです。
◆スタッフをメロメロにした“海ちゃん”の存在
――現場では海を演じた泉谷星奈さんがムードメーカーだったそうですね。印象的な交流はありますか?
村瀬:海ちゃんを見ているだけでみんな顔がほころんじゃうんです。大変な中でも、彼女を見ていると「海ちゃんが頑張ってセリフを覚えているのなら、自分たちも頑張ろう!」って思える。天使のような、癒やしの存在でした。それはキャストにとっても、スタッフにとっても。
彼女がクランクアップした時は、スタッフがわんわん泣いていましたよ。みんな彼女の頑張りが糧になっていたんでしょうね。
――目黒さんとはどんな交流をしていましたか?
村瀬:クランクアップ間際「あと6カットで夏くんと別れちゃう」と言って、終わるたびに「夏くん」と抱きついているのが印象的でしたね。もう本当に親子のようでした。それはもちろん、目黒さんだけじゃなくて、池松さんも大竹さんも有村さんも。彼女とのシーンが長かった人はみんなそんな気持ちになっていましたね。
◆長い時間をかけた意味を見届けてほしい
――いよいよ今夜、最終回なわけですが、視聴者の方にメッセージをお願いします。
村瀬:このドラマの登場人物、特に夏、弥生、津野、朱音、水季……その一人一人の行動に対して皆さんはいろんな想いを感じてきたと思います。常に是非はあったものの、人間っていろんな面を持っていて、ただいい人というのもいなければ、ただ悪い人というのもいるわけじゃないと思っています。
そういう完璧じゃない登場人物たちを丁寧に、いいところも悪いところも全部描いてきたゴールが、そうやって生きてきたそれぞれがどういう未来へ向かうのか見てほしいです。
もちろん人生って終わりはないから、最終回がゴールというわけではないとは思うのですが、少なくともこの12話+1話(特別編「恋のおしまい」)で13週かけて丁寧に描いてきた、このドラマがどういうラストシーンに向かうかを見届けてほしいです。嫌な部分も見てきてよかった、と思って頂けると信じています。
==========
いよいよ今夜最終回。夏と海、そしてそれを支える人たちが辿り着く場所は……。今回のドラマのキャッチコピー「選べなかった“つながり”は、まだ途切れていない」、この言葉の意味を確かめたい。
【於ありさ】
テレビ・ラジオ・映画・アイドル・お笑い・恋愛番組・ガールズムービー…とにかくエンタメ好き!サウナと旅で体を癒しながら、マイメロディに囲まれた自宅でエンタメ漬けの毎日を送っている。
第1話の放送後8日間でのTVer配信数が『silent』を超えて歴代最多を記録し、見逃し配信の累計再生数が5040万再生突破(※2024年9月16日時点)。シナリオブック(上巻)も発売され(下巻は10月発売予定)、放送後にはSNSを中心に大きな反響を呼び、今夜放送の最終回がどんな結末を迎えるか、視聴者の期待が寄せられている。
そんな本作について、プロデューサーの村瀬健氏に単独インタビュー。本作の立ち上げ当時のエピソードや、クランクアップを迎えた今だから話せる現場の様子を余すことなく語ってもらった。
◆『silent』チームが“親子の愛”をテーマにした理由
――今作で“親子の愛”にフォーカスした経緯を教えてください。
村瀬健(以下、村瀬):『silent』『いちばんすきな花』に関しては、僕が「こういうテーマでいきたい」と提案したのですが、今回に関しては生方さんの発案でした。「目黒(蓮)さん主演でやろうと思う」と言ったら「こういうのはどうですか」と提案されたんです。
――生方さんからそのテーマについて聞いた時、率直にどのような感想を持ちましたか?
村瀬:正直、そう来たかと思いました(笑)。というのも、今、上り調子のSnow Manの一員である目黒さんが「父になる」役を演じるというのは、タイミング的にどうなんだろうって思いましたし、社内の上層部を説得できるかなとも思ったので。今だから言えますけど、会社からは「目黒さんでラブストーリーをやってほしい」とハッキリ言われてましたから。
◆企画にGOサインを出した2つの理由
――そんな中でGOサインを出したのは、なぜでしょう?
村瀬:今回の物語、単にシングルファザーの話ではないんですよね。自分に娘がいたことを知った主人公が父になると決断するまでを丁寧に描いた話なんです。生方さんからそう聞いたときに、それなら僕も興味があるし、生方さんと風間監督と一緒に描く意味があるなと思いました。
あと、これは僕の個人的な話なのですが、僕がかつてプロデュースした『14才の母』(日本テレビ系)の立ち上げと重なる部分があったんです。あのときも、単に中学生が妊娠して母になる話を描きたかったのではなくて、予期せぬ妊娠をした女の子が、産むかどうかを真剣に考え、母になるかどうかを決めるまでにどんな葛藤があるかを丁寧に描こうとしました。あのときも会社からは大反対されたのですが、そこを丁寧に説明して、なんとか通してもらいました。
――なるほど。
村瀬:あとは、何と言っても目黒さん本人がやりたいと言ってくれたこと。僕、目黒さんにはっきり言ったんです。「これは賭けだと思う。もしかしたら、ここまで頑張ってきたものを一気に失う危険性すらあると思うけど」って。でも、彼は「挑戦したいです」と言ってくれました。それを聞いた時に、企画を推進していく覚悟ができたんです。
◆「ここまで意見が割れることは珍しい」レベルでの賛否両論
――今作に関しては、過去2作品以上に賛否が分かれた作品だった印象です。
村瀬:本当ですよね。僕、すごく作品のエゴサをするんですね(笑)。できる限り全員の意見を読みたくて『海のはじまり』とか登場人物の名前で検索して……睡眠時間が足りないのって、それも理由なんじゃないかなってレベルで読んでいます(笑)。
その中には当然反対意見とか批判もあって、今回は本当に賛否両論だなと思いました。特に意見が分かれてると思ったのは「弥生と夏は、くっついて幸せになってください」っていう意見と「絶対にくっつけさせないで」という意見。もう、真っ二つです(笑)
もちろんそれだけでなく、夏、弥生、水季、朱音……登場人物一人一人の発言や行動に対しても見事に賛否両論があって。ここまで意見が割れることは珍しいと感じましたね。生方さんの脚本の真髄が、人間を多面的に書いているところにあるからこその賛否だと分かってはいるんですけど。
――そういった意見によって、物語の展開に変更が加えられたことはあったのでしょうか?
村瀬:それはありませんでした。というのも、今回、生方さんは初回放送が始まるよりも前に最終話の初稿まで書き上げていたんです。いろんな意見が出てくることを見越していたのかもしれないですね。
それに僕自身も、例えどんな反応があろうと、それによって物語の展開を変えるのは違うと思っています。もちろん、いろんな意見に耳を傾け、受け止めた上で、自分たちが正しいと思う道を進んでいきました。
◆「ついに言います!」経堂を舞台とした理由
――ところで『silent』では世田谷代田が、『いちばんすきな花』では桜新町が、そして『海のはじまり』では経堂と、再び小田急線が舞台でした。なぜ経堂に?
村瀬:皆さんから「なんで?」って言われるので、ついに言います。これはもう、僕が無類の世田谷好きだからですね。っていうか、僕自身が長く世田谷区に住んでるんです(笑)。あと、最終的には世田谷区長を狙っておりまして……というのは、冗談ですが。ちゃんとした理由もありますよ。
――(笑)。ぜひ教えてください。
村瀬:世田谷って、東京で一番人口が多い区だし、僕は愛知出身なんですけど、僕のような地方出身者にとって、世田谷区って東京のスタンダードがあるイメージなんですね。それに、土地勘があるからこそ、生方さんが描いた登場人物たちが「この街に住んでいそうだな」とイメージが浮かんでくるんですよね。
あとは『silent』で小田急さんにお力添えいただいて、それ以来、良い関係ができているというのも大きいです。今回もまた電車のシーンでお世話になっています。その最たるものが9話の夏と弥生の別れのシーン。あれは、絶対に実際の駅のホームで撮りたかったのですが、ご協力いただけて実現しました。あれは終電から始発までの時間で撮影させていただいたんです。
――そうなんですね。
村瀬:だから『silent』のときに世田谷代田駅のベンチに聖地巡礼に来てくれた方がいるように、今後は別れ話をするときはぜひ皆さん経堂駅のホームのベンチに座っていただけたらと思います(笑)。
さらに付け加えるなら、今回は、もともと「海」というのが1つキーワードである中で、海辺の町と東京を繋いでいるという意味でも小田急と親和性があるなと思いました。
◆目黒蓮の魅力は「嫌われることを恐れていないこと」
――あるインタビューで、目黒さんの印象を「どこにでもいる人になりきれる力がより強くなった」っておっしゃっていたのが、すごく印象的でした。どういうときに感じましたか?
村瀬:2年ぶりにご一緒して、役者としての成長はあらゆる面で感じたんですけど、演技力・表現力、感情を形にする力・伝える力がレベルアップしているなと感じました。夏って時としてみんなから「ダメじゃん!」って怒られるような不甲斐ないキャラクターでもあると思うんですけど、そう見せるために、どんな歩き方をしたらいいか、声の出し方をすべきか、すごく考えて表現してくれています。それこそ、背中の曲がり方まで含めて。そういう人を表現するための技術が、シンプルにうまくなっているなと思いました。
――撮影中に成長を感じたこともありましたか?
村瀬:1話で池松さん演じる津野から「この7年のこと、ほんとに、なんも知らないんですね」って言われたときの表情や、大竹さんに「想像はしてください。今日一日だけでも」と言われたシーンでの受け方など、撮影をするごとにどんどん良くなっていきました。日に日に変わっていきましたね。たくさんの役者さんと対峙することを繰り返して、どんどん彼の“受ける”芝居の技術が上がっていきました。技術というよりも心というのが正しいかな、相手のお芝居を受けて、どう防ぐかみたいなところがどんどん進化していました。
――そうなんですね。
村瀬:あと、もう一つ、目黒さんがすごいなと感じたのは、夏というキャラクターを通して、「嫌われる」ことを恐れていないということです。夏って、時にすごく嫌われかねないキャラクターなんですね。それって、目黒くん自身のタレントとしての好感度も下がりかねないのに、目黒くんはそういうことを一切気にしないんです。
さっき賛否両論の話をしたように、夏のこの行動は視聴者から怒られてしまうだろうな、というシーンがあっても、目黒さんは一切気にしない。このシーンでは嫌われちゃうようなことを言うことが大事だっていう、僕らの狙いをちゃんとわかってくれているからだと思います。生方さんや僕、そして監督を信じてくれていて、どんなラストになるのかまで見据えた上で、嫌われてくれてたと感じています。その姿勢には感謝しかないです。
◆スタッフをメロメロにした“海ちゃん”の存在
――現場では海を演じた泉谷星奈さんがムードメーカーだったそうですね。印象的な交流はありますか?
村瀬:海ちゃんを見ているだけでみんな顔がほころんじゃうんです。大変な中でも、彼女を見ていると「海ちゃんが頑張ってセリフを覚えているのなら、自分たちも頑張ろう!」って思える。天使のような、癒やしの存在でした。それはキャストにとっても、スタッフにとっても。
彼女がクランクアップした時は、スタッフがわんわん泣いていましたよ。みんな彼女の頑張りが糧になっていたんでしょうね。
――目黒さんとはどんな交流をしていましたか?
村瀬:クランクアップ間際「あと6カットで夏くんと別れちゃう」と言って、終わるたびに「夏くん」と抱きついているのが印象的でしたね。もう本当に親子のようでした。それはもちろん、目黒さんだけじゃなくて、池松さんも大竹さんも有村さんも。彼女とのシーンが長かった人はみんなそんな気持ちになっていましたね。
◆長い時間をかけた意味を見届けてほしい
――いよいよ今夜、最終回なわけですが、視聴者の方にメッセージをお願いします。
村瀬:このドラマの登場人物、特に夏、弥生、津野、朱音、水季……その一人一人の行動に対して皆さんはいろんな想いを感じてきたと思います。常に是非はあったものの、人間っていろんな面を持っていて、ただいい人というのもいなければ、ただ悪い人というのもいるわけじゃないと思っています。
そういう完璧じゃない登場人物たちを丁寧に、いいところも悪いところも全部描いてきたゴールが、そうやって生きてきたそれぞれがどういう未来へ向かうのか見てほしいです。
もちろん人生って終わりはないから、最終回がゴールというわけではないとは思うのですが、少なくともこの12話+1話(特別編「恋のおしまい」)で13週かけて丁寧に描いてきた、このドラマがどういうラストシーンに向かうかを見届けてほしいです。嫌な部分も見てきてよかった、と思って頂けると信じています。
==========
いよいよ今夜最終回。夏と海、そしてそれを支える人たちが辿り着く場所は……。今回のドラマのキャッチコピー「選べなかった“つながり”は、まだ途切れていない」、この言葉の意味を確かめたい。
【於ありさ】
テレビ・ラジオ・映画・アイドル・お笑い・恋愛番組・ガールズムービー…とにかくエンタメ好き!サウナと旅で体を癒しながら、マイメロディに囲まれた自宅でエンタメ漬けの毎日を送っている。