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ライバルの戦慄した表情が圧巻!ついに動いた恋の影には欲望が…|NHK『光る君へ』第36回

女子SPA! 2024年9月29日 15時45分

ついに動いた一条天皇と彰子の関係。

彰子の淡い想いが実った形となるが、それは新たな政争の火種ともなりかねない。

恋の影には欲望があった。

◆彰子の変化

彰子(見上愛)が懐妊した。その知らせを届けるため、倫子(黒木華)のもとに走る道長(柄本佑)。待ちに待った瞬間だ。言葉を発せずとも倫子と道長の間には喜びがあふれているのが分かる。

子どもを身籠った彰子の表情は少しずつ豊かになっていく。子ができたこと、一条天皇(塩野瑛久)から愛されるようになったのだということ。環境の変化が彰子を変えた……いや、きっと、まひろ(吉高由里子)との出会いが彰子の心を変えたのだろう。周りに多くの女房がいるにも関わらず、彰子が一番信頼しているのはまひろのように思える。

出産を控えて、土御門邸に里帰りした彰子だが、そこにまひろも付き添う。倫子と道長の計らいで、執筆をする部屋も用意されていた。

まひろの物語が帝の心を変え、彰子を変えたと道長が聞いている、と言う倫子。まひろが彰子を救った、これからも彰子を頼む、と。こう言えてしまう倫子が、さすがである。自分が倫子の立場だったとしたら、ちょっとイラッとしてしまいそう……と思うが、娘を想う気持ちがあればそんなことは些細なことなのかもしれない。

◆想像を絶する出産

彰子は、にわかに出産に不安を抱いていた。定子は出産がきっかけでこの世を去った。自分もそうなるのではないか、と思っていたのだ。

どこぞの兄や父は「皇子を産め」コールをさんざんしたものだが、子どもを生むということは今も昔も変わらず命がけである。

さらに彰子の出産の際には伊周(三浦翔平)は呪詛をしていた。最近の伊周は見るたびに呪詛しているような……。その割にあまり効果を発していないように思うのだけれど、どうなのだろう。しかし、今回はかなり強烈らしく、寄坐の寄坐の女たちの喚き声も加わり、出産の場は阿鼻叫喚。もはやいろんな意味で命がけだ。

そして彰子が命がけで産んだのは皇子。道長の地位を盤石にする存在となる。彰子を取り巻く人たちとしては、「でかした」という心持ちだろう。笑顔がこぼれる。

その中で、道長だけは複雑な表情を浮かべていた。皇子が生まれれば、今の力関係が変化する、争いが生まれる、と思ったのか。道長のその胸中を察したのは、まひろだけだったかもしれない。

◆想いを隠せない道長の人間臭さ

彰子に慕われ、信頼されているまひろもまた、その地位は確固たるものになろうとしているように見える。まわりからの妬みは日に日に大きくなっていくばかりだろうが……。

道長もしばしば、まひろのもとを訪れる。いろんな女房が見ているとも知らずに。もちろん、おおっぴらにイチャつくわけではないけれど、どう見ても思いを隠しきれていないのですが……。

となると、道長とまひろの関係を怪しむ左衛門の内侍(菅野莉央)が赤染衛門(凰稀かなめ)に告げ口したり。不穏である。

しかし、道長はそんなことは気にしない。まひろに会いに行くし、仕事を頼むし、一緒に月を眺めちゃったりする。

極めつけは若宮誕生50日の祝いの席。無礼講だということで、酔っぱらう男たち。女房たちはみな迷惑そうな表情を浮かべている。そんな中、まひろに絡む公任(町田啓太)。ここに若紫はおらんのか、と言う公任にまひろは「ここには、光る君のような殿はおりませぬ。故に若紫もおりませぬ」と返すまひろ。全く甘くないやりとりなのだが、その様子を遠目に見た道長はまひろに声をかけ、歌を詠めと言う。その歌に気をよくしたのか、道長はすぐに返歌を贈る。ちなみにこの場には彰子も倫子もいる。

夫婦になる前に、歌を贈り合うこともしなかった道長が、こんな振る舞いをすること自体、倫子からしてみれば信じられないのでは……。

どうにもまひろが関わると冷静でいられない道長である。そんなところが人間らしいが、火種を作りかねない。

◆いつの間にか敵を作っていくことに

倫子としては当然おもしろくはないだろう。その場を中座する。倫子ほどの人が、道長とまひろの関係に全く気付いていないわけがないのだ。多分。

赤染衛門がこっそりとまひろに道長との関係を問う、というシーンで終わったが、うーん、穏やかではない。

また、一方で清少納言(ファーストサマーウイカ)が「源氏物語」を書いたのがまひろだと知る。彰子と一条天皇の心を近づけるきっかけとなった物語を、友だと思っていたまひろが。清少納言からすれば、愛する定子から帝を奪った、と思っても仕方がない。わなわなと震える清少納言の頬。その表情に込められた思いは想像に難くない。

気づけば、いろんな人から良くない感情を向けられつつあるまひろ。おおよそは道長のせいのようにも思うが……。

<文/ふくだりょうこ>

【ふくだりょうこ】
大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ

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