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突然の指摘に背筋凍る……隠すはずの恋だったのに|大河ドラマ『光る君へ』第37回

女子SPA! 2024年10月6日 15時46分

周りからの厳しい目はありつつも、仕事は絶好調のように見えるまひろ。道長や彰子からの信頼感は抜群だ。

しかし、久しぶりに実家へと帰るとあまり良い反応とは言えない家族たち。絶好調のはずなのに、まひろのそばに見え隠れする影とは。

◆隠す恋のはずだったのに

スッと背筋が冷えるとはこのことだ。

まひろ(吉高由里子)に道長(柄本佑)の関係を問うた赤染衛門(凰稀かなめ)。まひろがはっきりと答えるシーンはなかかったが、「倫子(黒木華)を悲しませないように」という言葉があったところを見ると、赤染衛門は全てを察し、確信を持っているのだろう。

まひろが主人公の物語だから良いけれど、倫子が主人公の物語だとしたら、まひろはとんだ悪役となるのではないか。昔、仲良くしてあげていた友人が実は夫の初恋の相手で人生でたったひとりの本命で、不倫の関係にあり、いまはひとつ屋根の下にいる。そして自分の娘がもっとも信頼している相手……ということが分かっているのに、落ち着いていようと務める倫子。自分だったとしたら、と考えると発狂してしまいそうだが、さすが左大臣の正妻、というところだろうか。

それにしても、振り返ってみると、平安の世の話ながら、「自分だったら」と考えてしまう機会が多いのはそれだけ感情が生々しく描かれているからこそ、と言えるのかもしれない。

◆中宮による同人誌!?制作

出産を終え、内裏へ帰る時を待つ彰子(見上愛)。そんな彰子が、まひろが書いた物語を冊子にして一条天皇(塩野瑛久)への土産にしたいと言い出す。

早速、冊子作りのスタートだ。と言っても、当然、印刷所があるわけではない。全て手作りである。文字を印刷することなんてできないので、手書きで書き写す。装丁も本を閉じるのも、人間の手でやる。この章にはこの色の紙がいいかしら、などと作業をする姿、楽し気である。

内裏に帰り、献上すると、興味深げな表情を浮かべる一条天皇。一条天皇はまひろの提案か、と尋ねるが、彰子のアイディアで、彰子自身も作業に加わっていたと聞くと顔をほころばせた。

さらに一条天皇はこの物語を読み聞かせの会を行うことに。ある意味、朗読会か、読書会か。一条天皇がまひろが書いた物語を気に入っていることがわかる。作者冥利に尽きると言ったところだろうか。ただ、第三者の手によって製本され、朗読会も行われるときは一体どういう心持なのだろう……とどうしても気になってしまう、

◆家族との団らんを楽しみたかっただけのはずなのに

冊子が出来上がったタイミングで、彰子に「里に下がりたい」と申し出るまひろ。驚きの表情を浮かべる彰子だが、娘にも会いたいし、父の顔も見たいとまひろがいうとハッとした表情を浮かべる。自分がまひろにそばにいてほしくて、そこまで考えが至らなかった、と言う彰子。

必要最低限のことしか話そうとしなかった彰子が、こんなにもはっきりと自分の思いを伝えるだなんて……と少し感動してしまう。表情もすっかり豊かなものとなっており、その変化は著しい。

内裏に戻る前には帰ってきてほしい、という彰子。まひろもその言葉にうなずいて、実家へと帰る。職場で惜しまれ、必要とされているということがよく分かる。

が、実家に帰って同じ対応をされるかというと……そんなことはない。どちらかというと、逆だ。

特に、まひろの娘・賢子の態度は頑なだ。最初からまひろに対して線を引いている印象があるし、まひろの話もあまり響いていない。

しかし、酔ったまひろは気分よく、内裏での生活を話す。職場で自分ががんばった話、周りの人から高い評価をもらったら、そりゃあ話もしたくなる。「がんばったね!」と言ってもらいたくなる。みんなに内裏での様子を知ってほしい、という気持ちと同時に、こんなに認められているのだ、と言いたかったのかもしれない。しかし、聞いているみんなの表情が冴えない。

挙句、賢子には、「内裏にいるほうが楽しいんでしょ」と言い放たれてしまう。さすがにこれにはショックを受けるまひろ。

とはいえ、こういう反応になってしまうのは仕方がないのかもしれない。家族のために働いているが、まひろは物語を書くことを楽しんでいる。そして、少しの期間で、内裏の生活にも慣れてしまった。だから、久しぶりに帰ってきた生家も少しみすぼらしく思えてしまう。それを自身の成長と捉えるか、よくない方向へと意識が変わってしまったのか。難しいところである。

◆清少納言とご対面……!?

自分が書いた物語が評価され、仕事で一定以上の成果を出し、彰子には頼られ、初恋の人はすぐそばにいる。まひろの絶好調ぶりが伺えたが、少しずつ雲行きが怪しくなってきているように感じる。

そんなまひろのもとに清少納言(ファーストサマーウイカ)が尋ねてきた。まひろが書いたものを読んだ、という清少納言。一体、どのような言葉をまひろに投げかけるのか。友人同士だったふたりの関係は、どのように変化していくのか。悪い方向に向かわなければいい、と願わずにはいられないが……。

<文/ふくだりょうこ>

【ふくだりょうこ】
大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ

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