子育てに悩みはつきものですが、「トイレトレーニングがうまくいかない」は幼児期の子どもを育てるママ・パパたちにとって代表的な悩みの一つではないでしょうか?
「トイレにはいるまえにズボンをおろしちゃ…ダメー!!」
「おしりをふいたかみに(うんちのマーク)がついてたらしっかりふこうね」
「しっかりてをあらってね」
……といったトイレマナーをイラスト付きで教えてくれるのは、漫画家・イラストレーターの志士ノ まるさん(@shishishishimr)が6歳の息子さんのために制作した豆本『ひとりでトイレにいくときは』。男の子がトイレをするときの注意点や正しいやり方を教えてくれる一冊です。
同書の制作のきっかけや子育てにおける悩みなどを、志士ノ まるさんご本人に聞いてみました!
◆ひとり親で男子トイレにはついていけず、心配だった
――『ひとりでトイレにいくときは』を制作したきっかけを教えてください。
志士ノまる:うちの子には自閉スペクトラム症と軽度の知的障がいがあるんですが、身長が120cmを超えていて結構大きいんですね。私はひとり親なんですけど、一緒に女性用トイレへ入ると周囲の目がそろそろ気になってきて……。
――身長が大きいから余計に気になるかもしれませんね。
志士ノまる:ただ、2人で外出したある日、まさか行くとは思わないで「男の子トイレに行っておいでよ」と言ってみたら、本当に1人でサッとトイレに入って行っちゃたんです。
今、息子を療育施設(障がいのある子どもに治療・教育を提供する機関)に通わせているんですが、そこではトイレに入る練習もしていて、いつの間にか行けるようになっていたんです。でも、中に入っちゃうと私から見えないので「大丈夫かな!?」といろいろ心配で。
――それまでは一緒に女子トイレに入って、個室でお世話をしながらトイレをさせてあげてたんですか?
志士ノまる:多目的トイレに一緒に入ったりしていました。私が見てる分にはできているんですが、便座にたどり着く前にズボンを下ろし始めて「ダメだよ、まだ下ろしちゃ!」ということもあったので……。だから、「男子トイレで個室に入る前に脱いでないかな?」と不安で。
◆ウォシュレットのボタンを誤って押してしまったことも
――また、今の公共トイレって妙にボタンが多かったりハードルがすごく上がっていますよね。
志士ノまる:以前、ホテルに泊まったとき、息子がウォシュレットのボタンを押してしまってバスルームがびしょびしょになったことがあるんです。ホテルだったからまだ良かったけど、公共の施設であれをやられたら大変(苦笑)。
あと、1人でトイレに行かせると危険な場合もあると聞いています。小さい子どもが好きな人にいたずらされそうになったり。そういう性犯罪って、男の子相手にもあるんですね。だから、「ここは危ないだろうな」という公園のトイレには1人で行かせていません。あと、「怖いことがあったら逃げてくるんだよ」とも教えています
――豆本に「こわい!とおもったらすぐにでてきてね」というページがあったのは、そういうことなんですね。
志士ノまる:私もひとり親で男子トイレにはついていけないので「イラストでいろいろ教えておいたほうがいいかな」と思い、この豆本を作りました。
◆以前から何冊か絵本を作っていた
――豆本を読んだ後、お子様のトイレの仕方に変化や成長はありましたか?
志士ノまる:ぶっちゃけて言うと、彼はあまりハマらなかったみたいです(笑)。今まで息子のために何冊か本は作っていて、トイレに行ってくれなかった時期はどうにか行ってもらおうと『ちっちがでるぞ トイレにしゅっぱつ』という絵本を作りました。
息子は電車が大好きなんです。だから、今までの絵本には電車がモチーフの絵をどこかに必ず入れていました。『ちっちが~』には「トイレえきにとうちゃく!」という描写もあるし、すごく読んでくれましたね。今回の豆本には電車が出てこないので、空振りでした(苦笑)。
――息子さんのトイレが上達するように、今までいろいろな試みを行ってきていたんですね。
志士ノまる:それはもう、いろんなことをやってきました。おまるを買ったり、ご褒美シール制度にしたり、トレーニングパンツで濡れたら気づくようにしたり。でも、基本的には全部ダメでした。結局、知能が成長することによって理解ができ、トイレを成功するようになったみたいです。普通の子より理解に時間はかかるけれど、やっと去年ぐらいからわかってきました。
――ママの立場からすると、成長するまでの間はかなりヒヤヒヤされたでしょうね……。
志士ノまる:いや、もう本当に。「どうしたらいいんだろう?」と途方に暮れてしまうほどでした。
◆トイレ以外にも絵本で教えたいことはたくさんある
――息子さんが成長するにしたがって、トイレでできることは増えていくと思います。この先、本の内容を変えて改訂版を作る予定はありますか?
志士ノまる:どうしようかなとは思っているんですが、トイレ以外にも教えたいことはきっといろいろ出てくるので……。たとえば、お風呂での体の洗い方を教える絵本は作りたいと思っています。
――今、お風呂はどういうふうに入っているんですか?
志士ノまる:まだ一緒に入っています。「自分でできるところはやってね」という感じでやらせているけど、まだそんなにうまくないのでその辺も教えなきゃと思っていて。そのうち、1人で銭湯や温泉にも行かないといけないだろうし。
――ところで『ひとりでトイレにいくときは』の動画をXにアップした後、どのような反響がありましたか?
志士ノまる:「欲しい」と言ってくれる人がいたり、うれしい反応ばかりでした。
――やはり、小さい子を育てるママさんからの反響が大きかったのでしょうか?
志士ノまる:私のフォロワーさんは発達障害の子を育てる親御さんが多いので、そういったママさんたちからの反響が大きかったと思います。
――この豆本を商品化する予定はありますか?
志士ノまる:数人の方から「商品化してほしい」とは言われています。ただ、どうやって売ったらいいかもわからないし……。なにかのイベントに出たとき販売しても、障害児の親御さんって子ども連れではイベント会場に来られないんですね。コメントで「イベントに行くのは厳しいから、ネットで売ってほしい」という声もいただいたんですけど……。
――ネットで販売したら、同じような悩みをお持ちのママさんは買うだろうなと思いました。
志士ノまる:みんな、欲しいかなあ? 私もまだ何も調べてないのでわからないですけど、ちょっと考えてはいます(笑)。
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志士ノまるさんのXには「めちゃくちゃ欲しい!」「商品化したら絶対買う」「めちゃくちゃ売って欲しいです!!」という声が相次いでおり、多くのママさんパパさんが我が子のトイレトレーニングに悩んでいることが伝わってきました。
豆本の商品化は未定ですが、この動画を我が子に見せてあげるというのもいいかもしれません。
<取材・文/寺西ジャジューカ>
「トイレにはいるまえにズボンをおろしちゃ…ダメー!!」
「おしりをふいたかみに(うんちのマーク)がついてたらしっかりふこうね」
「しっかりてをあらってね」
……といったトイレマナーをイラスト付きで教えてくれるのは、漫画家・イラストレーターの志士ノ まるさん(@shishishishimr)が6歳の息子さんのために制作した豆本『ひとりでトイレにいくときは』。男の子がトイレをするときの注意点や正しいやり方を教えてくれる一冊です。
同書の制作のきっかけや子育てにおける悩みなどを、志士ノ まるさんご本人に聞いてみました!
◆ひとり親で男子トイレにはついていけず、心配だった
――『ひとりでトイレにいくときは』を制作したきっかけを教えてください。
志士ノまる:うちの子には自閉スペクトラム症と軽度の知的障がいがあるんですが、身長が120cmを超えていて結構大きいんですね。私はひとり親なんですけど、一緒に女性用トイレへ入ると周囲の目がそろそろ気になってきて……。
――身長が大きいから余計に気になるかもしれませんね。
志士ノまる:ただ、2人で外出したある日、まさか行くとは思わないで「男の子トイレに行っておいでよ」と言ってみたら、本当に1人でサッとトイレに入って行っちゃたんです。
今、息子を療育施設(障がいのある子どもに治療・教育を提供する機関)に通わせているんですが、そこではトイレに入る練習もしていて、いつの間にか行けるようになっていたんです。でも、中に入っちゃうと私から見えないので「大丈夫かな!?」といろいろ心配で。
――それまでは一緒に女子トイレに入って、個室でお世話をしながらトイレをさせてあげてたんですか?
志士ノまる:多目的トイレに一緒に入ったりしていました。私が見てる分にはできているんですが、便座にたどり着く前にズボンを下ろし始めて「ダメだよ、まだ下ろしちゃ!」ということもあったので……。だから、「男子トイレで個室に入る前に脱いでないかな?」と不安で。
◆ウォシュレットのボタンを誤って押してしまったことも
――また、今の公共トイレって妙にボタンが多かったりハードルがすごく上がっていますよね。
志士ノまる:以前、ホテルに泊まったとき、息子がウォシュレットのボタンを押してしまってバスルームがびしょびしょになったことがあるんです。ホテルだったからまだ良かったけど、公共の施設であれをやられたら大変(苦笑)。
あと、1人でトイレに行かせると危険な場合もあると聞いています。小さい子どもが好きな人にいたずらされそうになったり。そういう性犯罪って、男の子相手にもあるんですね。だから、「ここは危ないだろうな」という公園のトイレには1人で行かせていません。あと、「怖いことがあったら逃げてくるんだよ」とも教えています
――豆本に「こわい!とおもったらすぐにでてきてね」というページがあったのは、そういうことなんですね。
志士ノまる:私もひとり親で男子トイレにはついていけないので「イラストでいろいろ教えておいたほうがいいかな」と思い、この豆本を作りました。
◆以前から何冊か絵本を作っていた
――豆本を読んだ後、お子様のトイレの仕方に変化や成長はありましたか?
志士ノまる:ぶっちゃけて言うと、彼はあまりハマらなかったみたいです(笑)。今まで息子のために何冊か本は作っていて、トイレに行ってくれなかった時期はどうにか行ってもらおうと『ちっちがでるぞ トイレにしゅっぱつ』という絵本を作りました。
息子は電車が大好きなんです。だから、今までの絵本には電車がモチーフの絵をどこかに必ず入れていました。『ちっちが~』には「トイレえきにとうちゃく!」という描写もあるし、すごく読んでくれましたね。今回の豆本には電車が出てこないので、空振りでした(苦笑)。
――息子さんのトイレが上達するように、今までいろいろな試みを行ってきていたんですね。
志士ノまる:それはもう、いろんなことをやってきました。おまるを買ったり、ご褒美シール制度にしたり、トレーニングパンツで濡れたら気づくようにしたり。でも、基本的には全部ダメでした。結局、知能が成長することによって理解ができ、トイレを成功するようになったみたいです。普通の子より理解に時間はかかるけれど、やっと去年ぐらいからわかってきました。
――ママの立場からすると、成長するまでの間はかなりヒヤヒヤされたでしょうね……。
志士ノまる:いや、もう本当に。「どうしたらいいんだろう?」と途方に暮れてしまうほどでした。
◆トイレ以外にも絵本で教えたいことはたくさんある
――息子さんが成長するにしたがって、トイレでできることは増えていくと思います。この先、本の内容を変えて改訂版を作る予定はありますか?
志士ノまる:どうしようかなとは思っているんですが、トイレ以外にも教えたいことはきっといろいろ出てくるので……。たとえば、お風呂での体の洗い方を教える絵本は作りたいと思っています。
――今、お風呂はどういうふうに入っているんですか?
志士ノまる:まだ一緒に入っています。「自分でできるところはやってね」という感じでやらせているけど、まだそんなにうまくないのでその辺も教えなきゃと思っていて。そのうち、1人で銭湯や温泉にも行かないといけないだろうし。
――ところで『ひとりでトイレにいくときは』の動画をXにアップした後、どのような反響がありましたか?
志士ノまる:「欲しい」と言ってくれる人がいたり、うれしい反応ばかりでした。
――やはり、小さい子を育てるママさんからの反響が大きかったのでしょうか?
志士ノまる:私のフォロワーさんは発達障害の子を育てる親御さんが多いので、そういったママさんたちからの反響が大きかったと思います。
――この豆本を商品化する予定はありますか?
志士ノまる:数人の方から「商品化してほしい」とは言われています。ただ、どうやって売ったらいいかもわからないし……。なにかのイベントに出たとき販売しても、障害児の親御さんって子ども連れではイベント会場に来られないんですね。コメントで「イベントに行くのは厳しいから、ネットで売ってほしい」という声もいただいたんですけど……。
――ネットで販売したら、同じような悩みをお持ちのママさんは買うだろうなと思いました。
志士ノまる:みんな、欲しいかなあ? 私もまだ何も調べてないのでわからないですけど、ちょっと考えてはいます(笑)。
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志士ノまるさんのXには「めちゃくちゃ欲しい!」「商品化したら絶対買う」「めちゃくちゃ売って欲しいです!!」という声が相次いでおり、多くのママさんパパさんが我が子のトイレトレーニングに悩んでいることが伝わってきました。
豆本の商品化は未定ですが、この動画を我が子に見せてあげるというのもいいかもしれません。
<取材・文/寺西ジャジューカ>