俳優の伊藤健太郎さん(27歳)が主演を務める人気シリーズの続編、『静かなるドン2』が現在公開中(後編)です。
累計発行部数4600万部を超えるヤクザ漫画の金字塔を令和の時代にパワーアップして映画化した本作は、前作がネットフリックスで第1位を獲得するなど、伊藤さんの新たな代表作として高い支持を得ています。
その『静ドン』の魅力、そして20代後半になり変化し始めた意識、あこがれの大御所俳優とのエピソードなど、伊藤さんに話を聞きました。
◆やくざモノだけど、やくざモノっぽくない『静ドン』
――『静かなるドン』、前作はネットフリックスで配信第1位を獲るなど、大人気ですよね。
伊藤健太郎(以下、伊藤):本当にうれしいですね。『静ドン』が超大作と並んでいるのを画面で観たときに驚きましたし、とてもうれしかったです。主人公の近藤静也は昼と夜の顔が違う二面性があるので、そこが一番楽しめたという声をいただいて本当にうれしかったです。
共演者のみなさんの力があってです。コメディの部分とシリアスな部分の緩急があるので、あっという間に1時間が終わってしまったという感想は、作る上でも意識していたことで、届けたいなと思っていたものが観てくださった方々に届いてうれしかったです。
――2023年の前作のインタビューの時も『静ドン』愛を語られていましたが、また出演したいと思う魅力は何でしょうか?
伊藤:世界観ですね。やくざモノですが、やくざモノっぽくないというか。流血もあるので一概にそうとは言い切れないのですが、僕が勝手に目指していたものは、“ちびっ子でも観られるヤクザ映画”なんです。実際、観る観ないの問題は置いておいて、そう意識して取り組むことで観やすくなるとは思うんです。特に今の時代、こういう世界観への視線が厳しかったりもするので、大人でも苦手な方はいるでしょうし。『静ドン』の世界観が面白いので、やくざモノという印象だけで敬遠してほしくないじゃないですか。
静也について「スパイダーマンみたい」という感想をいただいたのですが、それがすごくうれしかったんですよ。その方にはやくざモノとして捉えられていないんですよね。あとは『静ドン』を観て僕のファンになりましたって言ってくれた小学生くらいの子もいて、そういう年代の子も観るのかと思ったことも大きいですよね。
◆ダンスシーンには「びっくり」
――確かに死闘などの激しいバイオレンス描写もありますが、特に今回は冒頭から突然、映画『ラ・ラ・ランド』のように伊藤さんが踊り出すなど、コメディ要素も強まってましたよね。
伊藤:あれはびっくりしました(笑)。撮影日当日に振り付けを覚えて踊ったんです。あんなに踊ると思っていないから、ここまでしっかり振り付けがあるのかとびっくりしました。でも、面白かったです(笑)。
――若くして代表作と言ってもいいシリーズに出会えていることは、心境としてはどうですか?
伊藤:宝物がどんどん増えていっている感じでしょうか。自分の中で胸を張って代表作と言える作品があるのですが、『静かなるドン』も自分の中では代表作と言える作品ですし、素直にうれしく思います。役者としても、伊藤健太郎個人としても、そういうものをどんどん増やしていきたい。それが目標でもあるし、どんどん更新していかないといけないことでもあると思うんです。
◆アラサー突入したどり着いたのは「俺は俺でいいや」
――6月に誕生日を迎えられ27歳になりましたが、20代後半になって意識の変化などありましたか?
伊藤:全然そういう感じがしないんです。同級生と話していて、自分たちそろそろアラサーだねと。四捨五入をすると世間的にはそうなのかと(笑)。精神年齢が17、18歳くらいで止まっていて。そのときに自分が見ていた30歳の方たちって、確かに大人に見えたんですよ。
20歳くらいの子たちと現場やプライベートで会うと、自分がそう見えているのか不安で。いざ自分がその年齢になってみると、そうでもないなって思ってしまう部分があって、どうしてもまだまだ拭えない。大人にならなきゃなと思うと同時に、大人になりたくないという間で戦っていますね(笑)。
――また、自分の伸ばしたい点と言いますか、今課題に感じていることはありますか?
伊藤:自分のスタイルですかね。確立しないといけないと思っているんです。今「伊藤健太郎って何?」と聞かれたとき、「これです」と自信を持って言えるものがないなと。そろそろ伊藤健太郎を確立していく年齢に入ってきたんだと思う。自分の曲げないスタイルを作りたいです。
ただ、自分の中ではスタイルを確立したいと同時に、柔軟にいろいろなことにも対応したいんです。ということは、そういうスタイルでいいのかななどといろいろと考えていくと、ドツボにハマッてしまう。だから最終的にたどり着いたのは、俺は俺でいいや、と。そういう感じで今はいます(笑)。だから40代、50代になったとき、どうなっているか楽しみですし、あんまり考えて目指すものでもないのかなと。
◆年を重ねても夢を追いかける“大先輩”の存在
――お手本があるとよいですね。
伊藤:最近映画でご一緒して以来、かわいがっていただいている大先輩で、岩城滉一さんはカッコいいなと思う方ですね。
――どんな感じなのでしょうか?
伊藤:他人に興味がなさそうに見えながら、マメに連絡をいただいたり、ギャップがあるんです。あとは会うたびに「とにかくお前、カッコよくいろよ」と言ってくださる。でも意味が分からないから「カッコいいって何だろう?」と聞くと、「お前が考えることだから」と教えてくれないんですよ(笑)。
――きっとご自身の中には、確固たる答えはお持ちなんでしょうね。
伊藤:あとは年を重ねても夢を追いかけていらっしゃるんです。バイクのレースに出て優勝しちゃうんですよ。若い子も出ている中で。もちろん練習もしていらっしゃる。自分の知っている70代、80代は落ち着きに入るけれど、岩城さんはまったく落ち着かない。ずっと少年のような感じで、本当にカッコいいんです。自分もそんなイケオジになれるように、いい歳の取り方をしていきたいですね。
<取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃>
【トキタタカシ】
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。
累計発行部数4600万部を超えるヤクザ漫画の金字塔を令和の時代にパワーアップして映画化した本作は、前作がネットフリックスで第1位を獲得するなど、伊藤さんの新たな代表作として高い支持を得ています。
その『静ドン』の魅力、そして20代後半になり変化し始めた意識、あこがれの大御所俳優とのエピソードなど、伊藤さんに話を聞きました。
◆やくざモノだけど、やくざモノっぽくない『静ドン』
――『静かなるドン』、前作はネットフリックスで配信第1位を獲るなど、大人気ですよね。
伊藤健太郎(以下、伊藤):本当にうれしいですね。『静ドン』が超大作と並んでいるのを画面で観たときに驚きましたし、とてもうれしかったです。主人公の近藤静也は昼と夜の顔が違う二面性があるので、そこが一番楽しめたという声をいただいて本当にうれしかったです。
共演者のみなさんの力があってです。コメディの部分とシリアスな部分の緩急があるので、あっという間に1時間が終わってしまったという感想は、作る上でも意識していたことで、届けたいなと思っていたものが観てくださった方々に届いてうれしかったです。
――2023年の前作のインタビューの時も『静ドン』愛を語られていましたが、また出演したいと思う魅力は何でしょうか?
伊藤:世界観ですね。やくざモノですが、やくざモノっぽくないというか。流血もあるので一概にそうとは言い切れないのですが、僕が勝手に目指していたものは、“ちびっ子でも観られるヤクザ映画”なんです。実際、観る観ないの問題は置いておいて、そう意識して取り組むことで観やすくなるとは思うんです。特に今の時代、こういう世界観への視線が厳しかったりもするので、大人でも苦手な方はいるでしょうし。『静ドン』の世界観が面白いので、やくざモノという印象だけで敬遠してほしくないじゃないですか。
静也について「スパイダーマンみたい」という感想をいただいたのですが、それがすごくうれしかったんですよ。その方にはやくざモノとして捉えられていないんですよね。あとは『静ドン』を観て僕のファンになりましたって言ってくれた小学生くらいの子もいて、そういう年代の子も観るのかと思ったことも大きいですよね。
◆ダンスシーンには「びっくり」
――確かに死闘などの激しいバイオレンス描写もありますが、特に今回は冒頭から突然、映画『ラ・ラ・ランド』のように伊藤さんが踊り出すなど、コメディ要素も強まってましたよね。
伊藤:あれはびっくりしました(笑)。撮影日当日に振り付けを覚えて踊ったんです。あんなに踊ると思っていないから、ここまでしっかり振り付けがあるのかとびっくりしました。でも、面白かったです(笑)。
――若くして代表作と言ってもいいシリーズに出会えていることは、心境としてはどうですか?
伊藤:宝物がどんどん増えていっている感じでしょうか。自分の中で胸を張って代表作と言える作品があるのですが、『静かなるドン』も自分の中では代表作と言える作品ですし、素直にうれしく思います。役者としても、伊藤健太郎個人としても、そういうものをどんどん増やしていきたい。それが目標でもあるし、どんどん更新していかないといけないことでもあると思うんです。
◆アラサー突入したどり着いたのは「俺は俺でいいや」
――6月に誕生日を迎えられ27歳になりましたが、20代後半になって意識の変化などありましたか?
伊藤:全然そういう感じがしないんです。同級生と話していて、自分たちそろそろアラサーだねと。四捨五入をすると世間的にはそうなのかと(笑)。精神年齢が17、18歳くらいで止まっていて。そのときに自分が見ていた30歳の方たちって、確かに大人に見えたんですよ。
20歳くらいの子たちと現場やプライベートで会うと、自分がそう見えているのか不安で。いざ自分がその年齢になってみると、そうでもないなって思ってしまう部分があって、どうしてもまだまだ拭えない。大人にならなきゃなと思うと同時に、大人になりたくないという間で戦っていますね(笑)。
――また、自分の伸ばしたい点と言いますか、今課題に感じていることはありますか?
伊藤:自分のスタイルですかね。確立しないといけないと思っているんです。今「伊藤健太郎って何?」と聞かれたとき、「これです」と自信を持って言えるものがないなと。そろそろ伊藤健太郎を確立していく年齢に入ってきたんだと思う。自分の曲げないスタイルを作りたいです。
ただ、自分の中ではスタイルを確立したいと同時に、柔軟にいろいろなことにも対応したいんです。ということは、そういうスタイルでいいのかななどといろいろと考えていくと、ドツボにハマッてしまう。だから最終的にたどり着いたのは、俺は俺でいいや、と。そういう感じで今はいます(笑)。だから40代、50代になったとき、どうなっているか楽しみですし、あんまり考えて目指すものでもないのかなと。
◆年を重ねても夢を追いかける“大先輩”の存在
――お手本があるとよいですね。
伊藤:最近映画でご一緒して以来、かわいがっていただいている大先輩で、岩城滉一さんはカッコいいなと思う方ですね。
――どんな感じなのでしょうか?
伊藤:他人に興味がなさそうに見えながら、マメに連絡をいただいたり、ギャップがあるんです。あとは会うたびに「とにかくお前、カッコよくいろよ」と言ってくださる。でも意味が分からないから「カッコいいって何だろう?」と聞くと、「お前が考えることだから」と教えてくれないんですよ(笑)。
――きっとご自身の中には、確固たる答えはお持ちなんでしょうね。
伊藤:あとは年を重ねても夢を追いかけていらっしゃるんです。バイクのレースに出て優勝しちゃうんですよ。若い子も出ている中で。もちろん練習もしていらっしゃる。自分の知っている70代、80代は落ち着きに入るけれど、岩城さんはまったく落ち着かない。ずっと少年のような感じで、本当にカッコいいんです。自分もそんなイケオジになれるように、いい歳の取り方をしていきたいですね。
<取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃>
【トキタタカシ】
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。