2010年にTBSに入社し、『朝ズバッ!』『報道特集』などを担当したのち、2016年に退社したアンヌ遙香さん(39歳・以前は小林悠として活動)。
TBS退社後は一般男性と結婚、アナウンサーとしての活動を休止し、表立った活動はほとんどありませんでした。2024年8月31日、自身のインスタグラムで婚姻関係の解消を報告。故郷である北海道に“出戻り”、38歳で再スタートを切ったアンヌさんが、北海道での生活のようすや心境をつづる連載をスタートしました。
第5回となる本記事では、北海道生活をスタートして間も無く直面した「実家の片付け問題」についておおくりします(以下、アンヌさんの寄稿)。
◆「もので家が潰れそう…」実家の片付け問題とは
不要なものを手放し自分の好きなものだけに囲まれようというライフスタイル。私も片付け本やテレビ番組が大好きでよく参考にさせていただいております。
生活感もりもりの、どこで食事してるの!? というくらいのダイニングテーブルが、片付けの末、ちりひとつない艶やかな平面へ! という写真を眺めるだけで、何もしていないのになんだか自分の部屋まで片付いたかのようなスッキリ感が。
そんな「片付け特集」界隈で最近よく目にするのが、実家問題。
「帰省するたび、もので潰れそうな実家を見て恐れおののいている」「想定外のタイミングで親族が他界した場合、全部自分が引き継ぐのだろうか……」などなど、なんとか自分の親が元気なうちに不要なものをある程度手放してもらうことはできないものかと、頭を悩ませている人が実は一定数いらっしゃるよう。
◆恐る恐る着手した、実家の片付け
かくいう私も実家片付けの経験者です。今年、愛犬であり我が子でもあるゴールデンレトリバーを連れて生活拠点を20年ぶりに東京から札幌に戻し、実家にて父との同居生活を始めた私。そんな“出戻り”から間も無くして、私は恐る恐る実家整理に着手したのでした。
私が個人的に幸運だったと思うのは、実家が二世帯住宅だったということ。
今は亡き祖母が長年生活空間として使っていた部屋が一画にあり、そのスペースをまるまる使わせてもらえているのは、申し訳なさと共に純粋にありがたい気持ちで一杯なのです。
水も出るしキッチンもあるし、冷蔵庫だって使える。ありがたくてありがたくて、どれだけほっとしたことか。
◆実家の物置き部屋で不安に襲われた夜
一方で、大きな問題も……。その空間が数年にわたって開かずの部屋化した倉庫になっていたのです。これ、あるあるだと思うんですが……、実家って、荷物置き場や不用品置き場と化した謎の部屋があったりしません?
わが家もご多分にもれず、サビサビ自転車やら巨大事務机、真っ黒焦げフライパン、そして私が小学校時代に使っていたスキー板……などが出てくる、出てくる。
タワーのように積み重なった段ボールを端に避けて、その真ん中に布団を敷き、愛犬と身を寄せながら朝を迎えた日は、この状態から私は今後、どうなっていくんだろう……? なんて、言いしれぬ不安に襲われたものです。
ただ、どんどん空間が整理され、人間らしい営みができるようになってくると、徐々に自分と愛犬の未来そのものにも薄日が差し込んでくるのような、そんな明るい感覚になっていくから不思議。空間が精神に及ぼす作用と言うのは大きいのですよね。
実家整理したい! と言う強い思いを持っている方に、私の培ったちょっとしたコツをお伝えいたします。
◆①あくまでも“親ファースト”。何をおいても本人の意思!
当たり前のようなのですが、実はこれ、なかなかできるようでできない。同居の父は元研究者と言うこともあり、家中に洋書が山積み。減る事はなく、むしろ現在でもアメリカのアマゾンなどから大量に届き続けています。
そして部屋中の至るところに書きかけのノートやらチラシ、レシートやら……メモ魔なので部屋中に暗号文がちらばっているのです。
当然ですが、本人にとっては必要なもの。いくら「ゴミでは?」と思っても、勝手に触っては父のペースを乱してしまいムードが険悪になるだけ。我慢して押し殺して、余計なことは言わない。
その分、父が家を不在にしている間に、さりげなくタオルを洗っておいたり、掃除機をかけたり、キッチンのぬめりを取っておいたり、周りから攻めていくのです。
◆②明らかにいらなそうなものは、クレクレ作戦
不思議なことに、何年も使っていなさそうで、埃をかぶっているようなものでも、これ捨てるよ!? という言い方をすれば、角がたつのは当たり前。
そりゃそうです。ずっと家の中にあり自分の生活の一部になっているのに、ポッと帰ってきた子どもにステルステル言われたらたまったもんじゃありません。私はそういうものは、もらっていい?と聞きます。
いいよ! と気前よく私に渡してくれるときもあれば、ちょっとこれはと言って躊躇するものの、忘れた頃にやっぱりこれあげると持ってきてくれることもあったり。
そういった作業の積み重ねで自然と不思議なことに片付いていく印象。長期戦で徐々に綺麗にしていくという気持ちが大切ですね。
とまあ偉そうに書いてみましたが、実は最初は、ものの処分や庭の扱いをめぐって父親とかなりバチバチになってしまった時期があったのも事実。
ぶつかってやり合った末に、親の「片付けのツボ」がこちらも見えてくるのです。あくまで「住まわせていただいている」私。お互いいい距離感で同居を続けるべく、「家とはこうあるべき」と言う自分だけのイメージを捨てることも大事なのかもしれません。
自分の生活空間は自分仕様にしますが、父の生活空間については口出しはしない。これが令和の同居スタイル、なんて感じています。
<文/アンヌ遙香>
【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道生まれ。お茶の水女子大学大学院修了。2010年、TBSに入社。情報番組『朝ズバッ!』、『報道特集』、『たまむすび』などを担当。2016年退社後、現在は故郷札幌を拠点に、MC、コメンテーター、モデルとして活動中。文筆業にも力を入れている。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中
TBS退社後は一般男性と結婚、アナウンサーとしての活動を休止し、表立った活動はほとんどありませんでした。2024年8月31日、自身のインスタグラムで婚姻関係の解消を報告。故郷である北海道に“出戻り”、38歳で再スタートを切ったアンヌさんが、北海道での生活のようすや心境をつづる連載をスタートしました。
第5回となる本記事では、北海道生活をスタートして間も無く直面した「実家の片付け問題」についておおくりします(以下、アンヌさんの寄稿)。
◆「もので家が潰れそう…」実家の片付け問題とは
不要なものを手放し自分の好きなものだけに囲まれようというライフスタイル。私も片付け本やテレビ番組が大好きでよく参考にさせていただいております。
生活感もりもりの、どこで食事してるの!? というくらいのダイニングテーブルが、片付けの末、ちりひとつない艶やかな平面へ! という写真を眺めるだけで、何もしていないのになんだか自分の部屋まで片付いたかのようなスッキリ感が。
そんな「片付け特集」界隈で最近よく目にするのが、実家問題。
「帰省するたび、もので潰れそうな実家を見て恐れおののいている」「想定外のタイミングで親族が他界した場合、全部自分が引き継ぐのだろうか……」などなど、なんとか自分の親が元気なうちに不要なものをある程度手放してもらうことはできないものかと、頭を悩ませている人が実は一定数いらっしゃるよう。
◆恐る恐る着手した、実家の片付け
かくいう私も実家片付けの経験者です。今年、愛犬であり我が子でもあるゴールデンレトリバーを連れて生活拠点を20年ぶりに東京から札幌に戻し、実家にて父との同居生活を始めた私。そんな“出戻り”から間も無くして、私は恐る恐る実家整理に着手したのでした。
私が個人的に幸運だったと思うのは、実家が二世帯住宅だったということ。
今は亡き祖母が長年生活空間として使っていた部屋が一画にあり、そのスペースをまるまる使わせてもらえているのは、申し訳なさと共に純粋にありがたい気持ちで一杯なのです。
水も出るしキッチンもあるし、冷蔵庫だって使える。ありがたくてありがたくて、どれだけほっとしたことか。
◆実家の物置き部屋で不安に襲われた夜
一方で、大きな問題も……。その空間が数年にわたって開かずの部屋化した倉庫になっていたのです。これ、あるあるだと思うんですが……、実家って、荷物置き場や不用品置き場と化した謎の部屋があったりしません?
わが家もご多分にもれず、サビサビ自転車やら巨大事務机、真っ黒焦げフライパン、そして私が小学校時代に使っていたスキー板……などが出てくる、出てくる。
タワーのように積み重なった段ボールを端に避けて、その真ん中に布団を敷き、愛犬と身を寄せながら朝を迎えた日は、この状態から私は今後、どうなっていくんだろう……? なんて、言いしれぬ不安に襲われたものです。
ただ、どんどん空間が整理され、人間らしい営みができるようになってくると、徐々に自分と愛犬の未来そのものにも薄日が差し込んでくるのような、そんな明るい感覚になっていくから不思議。空間が精神に及ぼす作用と言うのは大きいのですよね。
実家整理したい! と言う強い思いを持っている方に、私の培ったちょっとしたコツをお伝えいたします。
◆①あくまでも“親ファースト”。何をおいても本人の意思!
当たり前のようなのですが、実はこれ、なかなかできるようでできない。同居の父は元研究者と言うこともあり、家中に洋書が山積み。減る事はなく、むしろ現在でもアメリカのアマゾンなどから大量に届き続けています。
そして部屋中の至るところに書きかけのノートやらチラシ、レシートやら……メモ魔なので部屋中に暗号文がちらばっているのです。
当然ですが、本人にとっては必要なもの。いくら「ゴミでは?」と思っても、勝手に触っては父のペースを乱してしまいムードが険悪になるだけ。我慢して押し殺して、余計なことは言わない。
その分、父が家を不在にしている間に、さりげなくタオルを洗っておいたり、掃除機をかけたり、キッチンのぬめりを取っておいたり、周りから攻めていくのです。
◆②明らかにいらなそうなものは、クレクレ作戦
不思議なことに、何年も使っていなさそうで、埃をかぶっているようなものでも、これ捨てるよ!? という言い方をすれば、角がたつのは当たり前。
そりゃそうです。ずっと家の中にあり自分の生活の一部になっているのに、ポッと帰ってきた子どもにステルステル言われたらたまったもんじゃありません。私はそういうものは、もらっていい?と聞きます。
いいよ! と気前よく私に渡してくれるときもあれば、ちょっとこれはと言って躊躇するものの、忘れた頃にやっぱりこれあげると持ってきてくれることもあったり。
そういった作業の積み重ねで自然と不思議なことに片付いていく印象。長期戦で徐々に綺麗にしていくという気持ちが大切ですね。
とまあ偉そうに書いてみましたが、実は最初は、ものの処分や庭の扱いをめぐって父親とかなりバチバチになってしまった時期があったのも事実。
ぶつかってやり合った末に、親の「片付けのツボ」がこちらも見えてくるのです。あくまで「住まわせていただいている」私。お互いいい距離感で同居を続けるべく、「家とはこうあるべき」と言う自分だけのイメージを捨てることも大事なのかもしれません。
自分の生活空間は自分仕様にしますが、父の生活空間については口出しはしない。これが令和の同居スタイル、なんて感じています。
<文/アンヌ遙香>
【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道生まれ。お茶の水女子大学大学院修了。2010年、TBSに入社。情報番組『朝ズバッ!』、『報道特集』、『たまむすび』などを担当。2016年退社後、現在は故郷札幌を拠点に、MC、コメンテーター、モデルとして活動中。文筆業にも力を入れている。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中