猫は四足歩行の動物です。でも、一瞬を切り取るとこんな写真も撮れちゃう!
風船を持ってこちらを見つめるアンニュイな猫の写真を撮影したのは、この猫の飼い主である小野一俊さん(@kazutoshi_ono_)。今まで数多くの猫写真をSNSにアップし、そのたびに大きな話題を巻き起こしてきました。
なぜ、このような写真を撮るようになったのか? 直接、ご本人に聞いてみました!
◆わんぱくな猫を撮っていると自然とユニークな写真に
――もともと、猫はお好きだったんですか?
小野:嫌いでもないですけど、そこまで好きというわけでもなくて。普通だったと思います。ただ、2020年に宮城県の田代島に行ってから変わりました。歩けば猫がいるような“猫島”と呼ばれる場所で、そこにいたらだんだん猫が好きになっていったんです。
以来、田代島へ通うようになったのですが、2021年に島の猫の面倒を見ている施設が閉鎖することになったんです。そこで生まれたばかりの子猫のもらい手を探していると聞き、「通わせてくれてありがとう」という恩返しの意味で2匹を引き取りました。
その子たちは島の猫なので野生児で、運動するのが大好きです。走り回って遊んだり、いろんなものに飛びついたり。だから、必然的にこんな写真が撮れるようになったのだと思います。
◆最初の作品では“狩り遊び”の様子を捉えた
――このような独特の猫写真は、いつから撮り始めるようになったのですか?
小野:2021年10月からです。最初に撮ったのは、決定的瞬間を捉えた一枚です。
――うわーっ!
小野:遊んでいる姿を撮ろうとしていただけで、本当に偶然でした。ライオンって逃げる獲物を襲うのではなく、後ろからそ~っと近づいたり、草むらに隠れながら襲うじゃないですか? 猫も同じです。
右にいるジン君(3歳)がカーテンに隠れながらお姉ちゃん猫のウミちゃん(3歳)に飛びかかろうとしている。猫ってこういう“狩り遊び”を通じ、「どれだけ力を入れていいか?」「ここまで力を入れちゃダメだ」とシミュレーションをするんです。
一方、撮る側からすると「こうなるだろう」と予測ができない。襲うなら床を這いながらスッと突進したほうが距離も短いし、相手にもバレないはずです。だから、まさか上から飛びつくとは思わなかった。ただ、ジン君も「無駄な動きをしているな」と気づいたのか、今は下から突進するようになりました(笑)。
――猫は頭がいいので、やっぱり学んだんですね!
◆特にお気に入りの1枚は……
――小野さんが特にお気に入りの1枚はどれですか?
小野:僕がXの固定ポストにしている『曲線美』という写真です。これはウミちゃんを撮った1枚で、11万いいねをもらいました。ちょうど尻尾がSカーブを描いています。
尻尾が長い子じゃないと、絶対にこうはならないと思います。今でも「すごく綺麗な写真が撮れたなあ」と思いますね。もう1回やってほしいのですが、たぶんもう無理かなあ(笑)。ウミちゃんも昔はよく遊んでくれたのですが、もう3歳なのですっかりお姉さんになって。猫の3歳って人間でいうと30歳ぐらいなので、達観してきました。それに比べて同じ3歳のジン君はまだ僕と遊んでくれて、やんちゃさを残しています。
――そのへんは女の子と男の子の違いですかね(笑)。
小野:あと、僕が好きなのはウミちゃんがウルトラマンみたいに飛び出てきた写真です。
――あーっ、シュワッチだ!
小野:なおかつ、口も「シュワッチ!」と言っているように開いてます(笑)。ウミちゃんを上から撮ろうとしていたら、床から立ち上がってくれた状態ですね。ウミちゃんはなかなか写真を撮らせてくれない子なので、撮れたときの感動は半端じゃないです。
◆撮られ慣れているから“いつもカメラ目線”
――このような写真を撮れる確率は、ジン君とウミちゃんではどのくらい違いますか?
小野:ジン君とウミちゃんで8:2ぐらいの割合じゃないかなあ? 1歳半ぐらいまではほぼ一緒だったんですが、最近はお姉ちゃんのほうが全然つれないので(笑)。
――ほかにおすすめの写真はありますか?
小野:ジン君のこういう写真もあります。僕は『にゃんこ体操』って呼んでるんですけど。
――たしかに、ラジオ体操の「体を横に曲げる運動」だ!
小野:向かって左から右に動こうと体をひねった瞬間です。でも、まさかこういう感じの写真になるとは思わなかった(笑)。あと、うちの子たちは小さい頃からカメラを向けて慣れているのでいつもカメラ目線です。
――本当だ、しっかりカメラ目線になってますね(笑)。
小野:ジン君もウミちゃんもそうです。『シュワッチ!』もカメラ目線だったし。
◆あえて生活感を残した仕上がりに
――ジン君のポーズとうしろの白い壁紙も、雰囲気がバッチリ合っています。
小野:うしろのコンセントも消そうと思えばフォトショップで消せるのですが、生活感があったほうがいいと思ってあえて残しています。よく「スタジオで撮影しているんですか?」と聞かれるのですが、自宅です(笑)。
――スタジオで撮影はしない?
小野:うちの子たちはビビリで人とあまり会ったことがないので、スタジオ撮影は無理だと思います。
――いつもの場所だから、これだけの動きを見せてくれるのかもしれないですね。
◆猫写真を撮るコツは?
――小野さんの写真を見た人たちからは、今までにどんな反響がありましたか?
小野:「猫ってこんな動きをするんだ!」という声が一番多いです。主に猫が好きな人たち、猫を飼っている人たちからの反応だと思います。
――「うちの猫ちゃんはこんなことしない!」というリアクションなんでしょうね。
小野:ただ、私の持論なんですが、こういう写真はどんな猫でも撮れると思うんです。猫の習性は個体差がそんなに大きくないし、興味があるものにはやっぱり興味を示すので。
たとえば、『シュワッチ!』は紐で遊んでいるときに撮った写真です。田代島で猫の世話を20年以上やっている方に聞いたのですが、その人は「猫は紐に飽きない」と言っていました。紐はまっすぐ垂らすと蛇みたいに見えるし、ちょろちょろっとすればミミズみたいになるし、跳ねさせると虫みたいになる。操り方次第では、いろんな形でアピールできます。
あと、猫それぞれに好きなおもちゃがあるのでそれを知っておくのも重要ですね。そのためには常に猫とコミュニケーションを取り、どんなおもちゃが好きなのかを把握してあげる。だから、猫とよく遊んであげるのが1番のコツかなと思います。そして、なによりも猫の習性を知っておくこと。この写真を見てください。
――かわいい!
小野:この写真は猫の習性を利用しました。猫って穴に入りたい動物なんですね。どんなに小さい穴でも、自分が入れないような穴でも、覗いてみたい気持ちがある。例えば、トイレットペーパーの芯をポンって置いておくと、気になって見ようとするんです。
この写真は、左側のウミちゃんがファインダーのちっちゃい穴を、右側のジン君がレンズフードの大きい穴を覗こうとする瞬間を捉えました。最初は「どちらかがファインダーを覗いてくれたら、猫が猫を撮っている写真になるな」と考えていたんです。でも、たまたま2匹同時に覗く場面を撮ることができた。奇跡だったと思います。
◆まるでバレリーナ!
小野:そして、ウミちゃんがバレリーナになっている写真。彼女は紐が大好きなので、頭上に紐を垂らしてあげました。それを掴もうと飛び上がっている瞬間です。つま先立ちの体勢になっているのか、いないのか。それがバレリーナに見えるか否かのポイントです。実際につま先立ちはしていませんよ。猫は絶対につま先立ちができません。ジャンプする瞬間を捉えているだけで、立ったわけじゃないです(笑)。
この写真を見た人からはよく「着地する瞬間ですか?」と聞かれるのですが、猫は後ろ足から着地することもほとんどないです。着地するときは、前足の肉球を床に向けて着地します。前傾姿勢か横の体勢になり、手のひらから着地する。バレリーナみたいに二足歩行で爪先からの着地は絶対にしません。
シャッターを切るタイミングがあとコンマ何秒ずれていたら、この足のラインにはならなかったでしょうね。足も接地していなかったはずです。奇跡に近い写真だと思います。
◆ほかにも躍動感たっぷりの写真がたくさん
小野:オリンピックっぽいジン君の写真も人気がありました。この作品を、僕は『ブレイキン』と呼んでいます。
これも、横からピュっとジャンプして着地した瞬間です。先ほども言ったように、やっぱり着地するときは絶対に手のひらからです。あと、『ロックスター』というタイトルをつけた写真もおもしろいですよ。
――おぉーっ、これはすごい!
小野:ジン君が歯磨き用のおもちゃを持っている写真です。噛むと歯垢が取れるロープのおもちゃで、彼はこれを振り回して遊ぶのが大得意。このおもちゃをぶん投げて遊んでいる瞬間ですね。
――顔もいい表情をしていますね。
小野:“猫界のフレディ・マーキュリー”と僕は呼んでいます。
――たしかに、フレディみたいに右腕を突き上げていますね(笑)。
◆本職は写真家ではなかった!
――ところで、小野さんはもともと写真がお好きだったのですか? それとも、猫を飼うようになってから写真活動を始めた?
小野:写真を見るのは好きでしたが、撮るようになったのは田代島に通い始めてからです。
――本職は写真家ではない?
小野:あ、全然違います(笑)。
――ただ、小野さんには「アドビ猫フォトコンテスト2021」最優秀賞や「Sony World Photography Awards 2023」Japan National Awardsなど多くの受賞歴があります。これらの賞はすべて、猫の写真で獲得したのでしょうか?
小野:基本的に国際フォトコンテストで入賞したのは、すべてうちの子たちを撮った写真です。あと、僕が撮った猫写真を使用した2025年カレンダーが今、100円ショップのキャンドゥさんで販売されています。
賞を取ることができたのも、こんな活動をさせてもらえるのも、すべては猫がきっかけですね。
==========
小野さんと話していると、猫に対する愛情が十二分に伝わってきます。きっと、この気持ちこそ素晴らしい猫写真が撮れる一番の秘訣なのではないでしょうか?
そんな気持ちを受け止め、被写体として十二分に期待に応え続ける2匹の猫ちゃんにも感謝。どうか、これからもフォトジェニックでいてください!
<取材・文/寺西ジャジューカ>
風船を持ってこちらを見つめるアンニュイな猫の写真を撮影したのは、この猫の飼い主である小野一俊さん(@kazutoshi_ono_)。今まで数多くの猫写真をSNSにアップし、そのたびに大きな話題を巻き起こしてきました。
なぜ、このような写真を撮るようになったのか? 直接、ご本人に聞いてみました!
◆わんぱくな猫を撮っていると自然とユニークな写真に
――もともと、猫はお好きだったんですか?
小野:嫌いでもないですけど、そこまで好きというわけでもなくて。普通だったと思います。ただ、2020年に宮城県の田代島に行ってから変わりました。歩けば猫がいるような“猫島”と呼ばれる場所で、そこにいたらだんだん猫が好きになっていったんです。
以来、田代島へ通うようになったのですが、2021年に島の猫の面倒を見ている施設が閉鎖することになったんです。そこで生まれたばかりの子猫のもらい手を探していると聞き、「通わせてくれてありがとう」という恩返しの意味で2匹を引き取りました。
その子たちは島の猫なので野生児で、運動するのが大好きです。走り回って遊んだり、いろんなものに飛びついたり。だから、必然的にこんな写真が撮れるようになったのだと思います。
◆最初の作品では“狩り遊び”の様子を捉えた
――このような独特の猫写真は、いつから撮り始めるようになったのですか?
小野:2021年10月からです。最初に撮ったのは、決定的瞬間を捉えた一枚です。
――うわーっ!
小野:遊んでいる姿を撮ろうとしていただけで、本当に偶然でした。ライオンって逃げる獲物を襲うのではなく、後ろからそ~っと近づいたり、草むらに隠れながら襲うじゃないですか? 猫も同じです。
右にいるジン君(3歳)がカーテンに隠れながらお姉ちゃん猫のウミちゃん(3歳)に飛びかかろうとしている。猫ってこういう“狩り遊び”を通じ、「どれだけ力を入れていいか?」「ここまで力を入れちゃダメだ」とシミュレーションをするんです。
一方、撮る側からすると「こうなるだろう」と予測ができない。襲うなら床を這いながらスッと突進したほうが距離も短いし、相手にもバレないはずです。だから、まさか上から飛びつくとは思わなかった。ただ、ジン君も「無駄な動きをしているな」と気づいたのか、今は下から突進するようになりました(笑)。
――猫は頭がいいので、やっぱり学んだんですね!
◆特にお気に入りの1枚は……
――小野さんが特にお気に入りの1枚はどれですか?
小野:僕がXの固定ポストにしている『曲線美』という写真です。これはウミちゃんを撮った1枚で、11万いいねをもらいました。ちょうど尻尾がSカーブを描いています。
尻尾が長い子じゃないと、絶対にこうはならないと思います。今でも「すごく綺麗な写真が撮れたなあ」と思いますね。もう1回やってほしいのですが、たぶんもう無理かなあ(笑)。ウミちゃんも昔はよく遊んでくれたのですが、もう3歳なのですっかりお姉さんになって。猫の3歳って人間でいうと30歳ぐらいなので、達観してきました。それに比べて同じ3歳のジン君はまだ僕と遊んでくれて、やんちゃさを残しています。
――そのへんは女の子と男の子の違いですかね(笑)。
小野:あと、僕が好きなのはウミちゃんがウルトラマンみたいに飛び出てきた写真です。
――あーっ、シュワッチだ!
小野:なおかつ、口も「シュワッチ!」と言っているように開いてます(笑)。ウミちゃんを上から撮ろうとしていたら、床から立ち上がってくれた状態ですね。ウミちゃんはなかなか写真を撮らせてくれない子なので、撮れたときの感動は半端じゃないです。
◆撮られ慣れているから“いつもカメラ目線”
――このような写真を撮れる確率は、ジン君とウミちゃんではどのくらい違いますか?
小野:ジン君とウミちゃんで8:2ぐらいの割合じゃないかなあ? 1歳半ぐらいまではほぼ一緒だったんですが、最近はお姉ちゃんのほうが全然つれないので(笑)。
――ほかにおすすめの写真はありますか?
小野:ジン君のこういう写真もあります。僕は『にゃんこ体操』って呼んでるんですけど。
――たしかに、ラジオ体操の「体を横に曲げる運動」だ!
小野:向かって左から右に動こうと体をひねった瞬間です。でも、まさかこういう感じの写真になるとは思わなかった(笑)。あと、うちの子たちは小さい頃からカメラを向けて慣れているのでいつもカメラ目線です。
――本当だ、しっかりカメラ目線になってますね(笑)。
小野:ジン君もウミちゃんもそうです。『シュワッチ!』もカメラ目線だったし。
◆あえて生活感を残した仕上がりに
――ジン君のポーズとうしろの白い壁紙も、雰囲気がバッチリ合っています。
小野:うしろのコンセントも消そうと思えばフォトショップで消せるのですが、生活感があったほうがいいと思ってあえて残しています。よく「スタジオで撮影しているんですか?」と聞かれるのですが、自宅です(笑)。
――スタジオで撮影はしない?
小野:うちの子たちはビビリで人とあまり会ったことがないので、スタジオ撮影は無理だと思います。
――いつもの場所だから、これだけの動きを見せてくれるのかもしれないですね。
◆猫写真を撮るコツは?
――小野さんの写真を見た人たちからは、今までにどんな反響がありましたか?
小野:「猫ってこんな動きをするんだ!」という声が一番多いです。主に猫が好きな人たち、猫を飼っている人たちからの反応だと思います。
――「うちの猫ちゃんはこんなことしない!」というリアクションなんでしょうね。
小野:ただ、私の持論なんですが、こういう写真はどんな猫でも撮れると思うんです。猫の習性は個体差がそんなに大きくないし、興味があるものにはやっぱり興味を示すので。
たとえば、『シュワッチ!』は紐で遊んでいるときに撮った写真です。田代島で猫の世話を20年以上やっている方に聞いたのですが、その人は「猫は紐に飽きない」と言っていました。紐はまっすぐ垂らすと蛇みたいに見えるし、ちょろちょろっとすればミミズみたいになるし、跳ねさせると虫みたいになる。操り方次第では、いろんな形でアピールできます。
あと、猫それぞれに好きなおもちゃがあるのでそれを知っておくのも重要ですね。そのためには常に猫とコミュニケーションを取り、どんなおもちゃが好きなのかを把握してあげる。だから、猫とよく遊んであげるのが1番のコツかなと思います。そして、なによりも猫の習性を知っておくこと。この写真を見てください。
――かわいい!
小野:この写真は猫の習性を利用しました。猫って穴に入りたい動物なんですね。どんなに小さい穴でも、自分が入れないような穴でも、覗いてみたい気持ちがある。例えば、トイレットペーパーの芯をポンって置いておくと、気になって見ようとするんです。
この写真は、左側のウミちゃんがファインダーのちっちゃい穴を、右側のジン君がレンズフードの大きい穴を覗こうとする瞬間を捉えました。最初は「どちらかがファインダーを覗いてくれたら、猫が猫を撮っている写真になるな」と考えていたんです。でも、たまたま2匹同時に覗く場面を撮ることができた。奇跡だったと思います。
◆まるでバレリーナ!
小野:そして、ウミちゃんがバレリーナになっている写真。彼女は紐が大好きなので、頭上に紐を垂らしてあげました。それを掴もうと飛び上がっている瞬間です。つま先立ちの体勢になっているのか、いないのか。それがバレリーナに見えるか否かのポイントです。実際につま先立ちはしていませんよ。猫は絶対につま先立ちができません。ジャンプする瞬間を捉えているだけで、立ったわけじゃないです(笑)。
この写真を見た人からはよく「着地する瞬間ですか?」と聞かれるのですが、猫は後ろ足から着地することもほとんどないです。着地するときは、前足の肉球を床に向けて着地します。前傾姿勢か横の体勢になり、手のひらから着地する。バレリーナみたいに二足歩行で爪先からの着地は絶対にしません。
シャッターを切るタイミングがあとコンマ何秒ずれていたら、この足のラインにはならなかったでしょうね。足も接地していなかったはずです。奇跡に近い写真だと思います。
◆ほかにも躍動感たっぷりの写真がたくさん
小野:オリンピックっぽいジン君の写真も人気がありました。この作品を、僕は『ブレイキン』と呼んでいます。
これも、横からピュっとジャンプして着地した瞬間です。先ほども言ったように、やっぱり着地するときは絶対に手のひらからです。あと、『ロックスター』というタイトルをつけた写真もおもしろいですよ。
――おぉーっ、これはすごい!
小野:ジン君が歯磨き用のおもちゃを持っている写真です。噛むと歯垢が取れるロープのおもちゃで、彼はこれを振り回して遊ぶのが大得意。このおもちゃをぶん投げて遊んでいる瞬間ですね。
――顔もいい表情をしていますね。
小野:“猫界のフレディ・マーキュリー”と僕は呼んでいます。
――たしかに、フレディみたいに右腕を突き上げていますね(笑)。
◆本職は写真家ではなかった!
――ところで、小野さんはもともと写真がお好きだったのですか? それとも、猫を飼うようになってから写真活動を始めた?
小野:写真を見るのは好きでしたが、撮るようになったのは田代島に通い始めてからです。
――本職は写真家ではない?
小野:あ、全然違います(笑)。
――ただ、小野さんには「アドビ猫フォトコンテスト2021」最優秀賞や「Sony World Photography Awards 2023」Japan National Awardsなど多くの受賞歴があります。これらの賞はすべて、猫の写真で獲得したのでしょうか?
小野:基本的に国際フォトコンテストで入賞したのは、すべてうちの子たちを撮った写真です。あと、僕が撮った猫写真を使用した2025年カレンダーが今、100円ショップのキャンドゥさんで販売されています。
賞を取ることができたのも、こんな活動をさせてもらえるのも、すべては猫がきっかけですね。
==========
小野さんと話していると、猫に対する愛情が十二分に伝わってきます。きっと、この気持ちこそ素晴らしい猫写真が撮れる一番の秘訣なのではないでしょうか?
そんな気持ちを受け止め、被写体として十二分に期待に応え続ける2匹の猫ちゃんにも感謝。どうか、これからもフォトジェニックでいてください!
<取材・文/寺西ジャジューカ>