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専門家が解説する「脳を発達させる授乳のコツ」…哺乳瓶の“意外なメリット”もうれしい

女子SPA! 2024年10月18日 8時45分

 母乳で育てるか、はたまたミルク授乳にするのか。このテーマは、子育て中のお母さんの間で、何かと悩みの種になりがちです。これに対して、脳科学者の黒川伊保子さんは「哺乳瓶育児は、やり方次第で脳の認知バリエーションが増える」と語ります。

 そこで、黒川さんの新刊『孫のトリセツ』より、哺乳瓶で母乳をあげることによるメリットやポイントをご紹介します。

◆ミルク授乳だって、母子連携を生み出している

 母乳には成分だけでは言い尽くせないいいところがあるのだろう。母子が親密に過ごす時間の効用とか。

 まぁでも、ミルクをあげるときも、赤ちゃんと顔を合わせて、表情を交換し合える。実は、授乳時に顔を見合わせることは、脳にとって、とても大事なのである。赤ちゃんの脳の中では、ミラーニューロンという細胞が生涯で一番、活性化している。

 ミラーニューロンは、鏡の脳細胞という意味。その名の通り、目の前の人の表情筋を、まるで鏡に映すように、まるっと神経系に取り込んでいく役割をしている。このミラーニューロンを使って、赤ちゃんは表情を学んだり、発話をしていくのである。

◆舌を出し入れする「共鳴実験」

 新生児の共鳴実験というのがある。生まれて3時間の赤ちゃんでも、その目の前で、舌を出したり入れたりすると真似するのである。

 ということは、とりもなおさず、生まれて3時間の赤ちゃんでも、目の前のピンクの物体が、自分の身体のどこに当たり、どうすれば同じことができるか知っているということ。この奇跡を作り出すのがミラーニューロンってわけ。

 ちなみに、ご自身の孫でこの実験をするときは、孫が目を開けているときに、彼(彼女)の目から15センチくらいの場所に口元を持っていって、最初は、舌を出したままゆっくり揺らす。

 やがて、出したり入れたりを繰り返す。我が家の息子も、この実験に応えてくれた。ただし、「気が向かない赤ちゃん」もけっこういる。この実験が成功しないからといって、心配しないでね。

◆授乳時の笑いかけや語りかけはことばの能力の発現に大きく寄与

 授乳時には、口角筋を3次元に動かしているので、このとき笑いかけたり、ことばをかけたりするのは、それ以外の時より神経系が連携しやすいのである。授乳時の笑いかけや語りかけは、コミュニケーションやことばの能力の発現に大きく寄与すると言っていい。

 その観点からすると、哺乳瓶の授乳は気が抜けないから、案外、顔を見合わせている時間が母乳育児より長いのである。

 我が家の2歳児は、今も夜中に哺乳瓶でフォローアップ・ミルクを飲む。彼は自分でしっかり持つのだけど、それでも寝落ちしたとき顔に倒れてくるので、添い寝している私は手を添えている。だから、どうしたって、顔を見ることになる。

◆哺乳瓶授乳で、顔と顔のコミュニケーションが増える

 息子は4歳まで夜中に母乳を吸っていたけど、2歳過ぎたら、私も寝たまま、彼も寝たまま吸っていた気がする。経験上、孫の哺乳瓶授乳は、息子の母乳授乳よりずっとフェイスtoフェイスのコミュニケーションは多いと実感している。

 それと、哺乳瓶なら、母親以外の人の表情にも出逢えるので、脳的には認知のバリエーションが増えて、悪いことじゃないと思う。

 ね? 母乳じゃなかったとしても、けっして悪いことばかりじゃない。ミルクに頼ったからといって、落ち込む必要はまったくない。

<文/黒川伊保子 構成/女子SPA!編集部>

【黒川伊保子】
(株)感性リサーチ代表取締役社長。1959年生まれ、奈良女子大学理学部物理学科卒業。コンピューターメーカーでAI(人工知能)開発に従事、2003年現職。『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』がベストセラーに。近著に『息子のトリセツ』『母のトリセツ

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