ポテトチップスの「プリングルズ」が先月、SNS上で大きな話題となりました。
その理由は、「新しいパッケージに『コンパクトになって内容量そのまま』と記載されているが、そもそも、まず内容量を減らし、その後にパッケージサイズを小さく変更したのに開き直っている」といった内容の投稿から。「先に中身を小さくしておいて!」と批判をする人から「これを書ける胆力嫌いじゃない」と評価する人まで賛否両論の事態に。
プリングルズの発売元である日本ケロッグ合同会社に実際のところを聞いてみました!
◆あえて段階を踏んだのか?直撃してみた
「あえて段階を踏んで消費者を騙(だま)そうとしたのか……?」と失礼ながら聞いてみると、
「プリングルズはもともとアメリカの工場から輸入しておりましたが、2015年8月よりマレーシアの工場へ移管し、そのタイミングで戦略的に日本の方が美味しく食べ切れるサイズ感にしました。アメリカのものはどうしてもサイズが大きいのですが、日本の方にも手に取りやすいような価格にする意図もありました。
その後、原料のポテトフレークやパッケージ資材及びエネルギーなどの高騰により、何度も厳しい状況を迎えましたが、美味しさを損なうことなくお客様にプリングルズを味わっていただきたく、2022年に味の品質を担保するために『サワークリーム&オニオン 53g』と『うましお 53g』は内容量を変えずにパッケージの高さ変更を実施しました。
同時に『サワークリーム&オニオン 110g』と『うましお 110g』『CHEEEEEESE 110g』は内容量を110gから105gに変更し、パッケージの高さも214mmから206mmに変更しています」(日本ケロッグ合同会社担当者)
つまり、まずは2015年に従来より少ない日本サイズになり、2022年にパッケージのサイズを小さくしたのと一部商品の内容量変更が行われていたわけですね。
◆「意図的に二段階で実施したわけではない」
「しかしここ数年、原料価格や物価がめまぐるしく変化しており、2024年も原材料価格の大幅な上昇、並びに資材費やエネルギーコストなどの高騰の影響を受けております。自社の企業努力によるコスト削減だけでは、現状の内容量や価格の維持が極めて困難な状況に至りました。
さらに持ち運びやすさの向上、包材使用量の削減と缶の中の空間率減による配送時のチップスの欠損を軽減し品質改善を図るために、パッケージ変更をやむなく実施いたしました。
段階を踏んだ形になってしまいましたが、意図的に二段階で実施したわけではございません」(担当者)
2年前の時点では2024年のことまで見据えていたわけではなく、都度判断した結果、段階を踏んだように見えてしまったということのようです。
◆「コンパクトになって内容量そのまま」という記載は必要だったのか
原材料や輸送費の高騰や目まぐるしく変動する物価については、誰もが痛いほど理解しているはずです。それでも今回ネットで少し悪意を持って話題になってしまったのは、『コンパクトになって内容量そのまま』という記載でした。
ステルス値上げに消費者が敏感になっている今、「開き直っている」「潔い」など誰もがツッコミたくなるこの記載。何も触れずにいることもできたはずなのに、あえて記載したのはなぜなのでしょうか。
「2022年のパッケージ改定時に、内容量変更をせず高さのみを改定した商品に対し、お客様相談室に多くの『内容量も変更しているのか』という疑問のお声が届きました。今回も同じお声を頂くことがないよう、お客様によりわかりやすく理解していただくために社内で何度も何度も議論を重ねた結果、パッケージに記載する形を取らせていただきました」(担当者)
内容量やパッケージ、価格を都度変更したところ結果的に段階を踏んだように見えてしまう恐れも考慮し、できるだけ理解して手に取ってもらえるための試行錯誤だったということですね。
SNSで誰もが発信できるようになった今、企業が「こっそりやればバレないだろう」と何かをすればすぐに指摘されてしまいます。
今回のプリングルズも意図的なものではなく、「できるだけギリギリまで値上げをしないために」「できるだけお店で商品を手に取った方に誤解を生まないように」という検討の結果の文言でした。
物価高騰は私たち消費者にとってもダメージが大きいですが、企業も努力してくれていることに少しでも想いを馳せたいですね。
<文・写真/松本果歩>
【松本果歩】
インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。日本酒・焼酎・発酵食品が好き。X:@KA_HO_MA
その理由は、「新しいパッケージに『コンパクトになって内容量そのまま』と記載されているが、そもそも、まず内容量を減らし、その後にパッケージサイズを小さく変更したのに開き直っている」といった内容の投稿から。「先に中身を小さくしておいて!」と批判をする人から「これを書ける胆力嫌いじゃない」と評価する人まで賛否両論の事態に。
プリングルズの発売元である日本ケロッグ合同会社に実際のところを聞いてみました!
◆あえて段階を踏んだのか?直撃してみた
「あえて段階を踏んで消費者を騙(だま)そうとしたのか……?」と失礼ながら聞いてみると、
「プリングルズはもともとアメリカの工場から輸入しておりましたが、2015年8月よりマレーシアの工場へ移管し、そのタイミングで戦略的に日本の方が美味しく食べ切れるサイズ感にしました。アメリカのものはどうしてもサイズが大きいのですが、日本の方にも手に取りやすいような価格にする意図もありました。
その後、原料のポテトフレークやパッケージ資材及びエネルギーなどの高騰により、何度も厳しい状況を迎えましたが、美味しさを損なうことなくお客様にプリングルズを味わっていただきたく、2022年に味の品質を担保するために『サワークリーム&オニオン 53g』と『うましお 53g』は内容量を変えずにパッケージの高さ変更を実施しました。
同時に『サワークリーム&オニオン 110g』と『うましお 110g』『CHEEEEEESE 110g』は内容量を110gから105gに変更し、パッケージの高さも214mmから206mmに変更しています」(日本ケロッグ合同会社担当者)
つまり、まずは2015年に従来より少ない日本サイズになり、2022年にパッケージのサイズを小さくしたのと一部商品の内容量変更が行われていたわけですね。
◆「意図的に二段階で実施したわけではない」
「しかしここ数年、原料価格や物価がめまぐるしく変化しており、2024年も原材料価格の大幅な上昇、並びに資材費やエネルギーコストなどの高騰の影響を受けております。自社の企業努力によるコスト削減だけでは、現状の内容量や価格の維持が極めて困難な状況に至りました。
さらに持ち運びやすさの向上、包材使用量の削減と缶の中の空間率減による配送時のチップスの欠損を軽減し品質改善を図るために、パッケージ変更をやむなく実施いたしました。
段階を踏んだ形になってしまいましたが、意図的に二段階で実施したわけではございません」(担当者)
2年前の時点では2024年のことまで見据えていたわけではなく、都度判断した結果、段階を踏んだように見えてしまったということのようです。
◆「コンパクトになって内容量そのまま」という記載は必要だったのか
原材料や輸送費の高騰や目まぐるしく変動する物価については、誰もが痛いほど理解しているはずです。それでも今回ネットで少し悪意を持って話題になってしまったのは、『コンパクトになって内容量そのまま』という記載でした。
ステルス値上げに消費者が敏感になっている今、「開き直っている」「潔い」など誰もがツッコミたくなるこの記載。何も触れずにいることもできたはずなのに、あえて記載したのはなぜなのでしょうか。
「2022年のパッケージ改定時に、内容量変更をせず高さのみを改定した商品に対し、お客様相談室に多くの『内容量も変更しているのか』という疑問のお声が届きました。今回も同じお声を頂くことがないよう、お客様によりわかりやすく理解していただくために社内で何度も何度も議論を重ねた結果、パッケージに記載する形を取らせていただきました」(担当者)
内容量やパッケージ、価格を都度変更したところ結果的に段階を踏んだように見えてしまう恐れも考慮し、できるだけ理解して手に取ってもらえるための試行錯誤だったということですね。
SNSで誰もが発信できるようになった今、企業が「こっそりやればバレないだろう」と何かをすればすぐに指摘されてしまいます。
今回のプリングルズも意図的なものではなく、「できるだけギリギリまで値上げをしないために」「できるだけお店で商品を手に取った方に誤解を生まないように」という検討の結果の文言でした。
物価高騰は私たち消費者にとってもダメージが大きいですが、企業も努力してくれていることに少しでも想いを馳せたいですね。
<文・写真/松本果歩>
【松本果歩】
インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。日本酒・焼酎・発酵食品が好き。X:@KA_HO_MA