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手越祐也が『イッテQ!』復活で「やっぱりテレビの人」と印象付けたワケ。ネット世界では失速気味だったが

女子SPA! 2024年10月20日 15時46分

 10月13日に放送された『謎とき冒険バラエティー 世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)で、2020年までレギュラー出演していた手越祐也が、4年ぶりに出演した。やっぱり彼はこの番組の花形だと思った、

 スタジオには登場しなかったものの、レギュラーメンバーから盛んに「あの男」や「やつ」と呼ばれる。手越復帰に対する番組全体のいじりがほんといい。面白い。これは、愛だな。

 イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、2007年放送開始から番組を見続けてきたひとりとして、手越祐也の番組復帰までのドラマを読み解く。

◆『世界の果てまでイッテQ!』の落下の名手たち

「日本からはるか……」の冒頭ナレーションでおなじみ、世界各地へ足を運んで冒険的ロケを敢行する『世界の果てまでイッテQ!』には、落下の名手たちがいる。2015年に初登場した堀田茜は、出川哲朗が帯同するうちにリアクション芸をめきめき上達させたひとり。

 出川との絶対的なコンビネーションのデヴィ夫人の帯企画「デヴィ探検隊with出川ガールズinパラオ」が神回として記憶されている。いわゆる出川ガールズのひとりとして同行した堀田が、ジャングルの川を渡る「激ムズ川渡り」場面。「平均台作戦」と銘打ち、向こう岸へ渡した丸太上を渡ろうとしてきれいに落下する。堀田茜が『世界の果てまでイッテQ!』を代表する落下の名手となった瞬間である。

 堀田より前の2007年、番組開始からレギュラー出演していた手越祐也の落下の歴史は長い。番組では二枚目役を一手に引き受ける手越が、得意になっているロケ中、泥沼や濁ったドブ川にズドンと落下する。するとスタジオの男性メンバーを中心に、それ見たことかと盛んに反応する様子が、ほんとうにおかしかった。

◆お祭り参加企画が復帰回として実現

 2020年5月24日放送以来4年ぶり、手越の復帰回が実現した。MCの内村光良、お祭り男こと宮川大輔と3人で世界のお祭りに参加する「男3人祭り」企画への出演としては、実に6年ぶり。

 訪れたのはイタリア。ボートを漕いで競争する「金のパラデッロレース」に参加する。序盤から涙もろく手越の復帰出演を祝福する宮川だが、対する手越祐也はカメラを指差して「イッテQ!出れんの?」と、あの得意気な感じは残しつつ、どこか毒のある牙を抜かれたようにおとなしい気もする。

 ひとまず練習を開始する3人だが、例のごとく最初は漕ぐことすらままならない。バラエティ的にはそろそろ誰かが川に落下してもいい頃合い。するとボート上でバランスを崩した手越が落下。

 見事な落下ぶりは、ブランクを感じさせず、名手の実力をとどめている。画面上には「イエーーイ」とナレーションの字幕がでかでかと。手越の失敗をいじる番組全体の反応がほほえましくもなつかしい。

◆活動休止後はネット世界へ

「これがイッテQ!か」

 全身ずぶ濡れの手越が言う。よっ、名人(!)。あなたの復帰とこの落下を待ってたんだよ。2020年5月、新型コロナによって不要不急の外出が控えられ、緊急事態宣言が発令されていた中、複数回の酒席への参加をすっぱぬかれた手越が活動休止を余儀なくされた。

 その後、事務所との契約は解除。所属グループであるNEWSからも脱退。MCの内村以外はスタジオ収録からリモートに切り替わっていた『世界の果てまでイッテQ!』レギュラーも降板することになった。芸能人の不祥事というのはあっという間である。上から下へ瞬時に垂直移動する落下の名手を演じてきたことが皮肉でもある。

 活動自粛を余儀なくされた手越が活路を見いだしたのがネット世界だった。2020年6月。YouTubeチャンネル「手越祐也チャンネル」を開設した。「手越祐也 記者会見 舞台裏 BACKSTAGE」と題された初回動画は、現在までに240万回以上の再生回数。その後の数字は失速ぎみであったことを各メディアのネット記事が伝えている。やっぱり彼はテレビの人というか、復帰のチャンスをもうけ、与えてくれた『イッテQ!』の根っからの申し子なのだろう。

◆第2弾で訪れていたタイ

 復帰までには実はちょっとしたドラマがあったようである。オーストリアの「池ポチャ祭り」(2008年5月18日放送回)を初回とする男3人祭り企画では、前日練習後、必ず決起会を兼ねた夕食場面がある。ここで誰がどの順番でいくかなど、出場本番への作戦を練るのだ。

 でもなにせ復帰回だから、話題は今まさに復帰回に出演する手越の胸中にフォーカスされる。すると手越がプライベートでタイを訪れたエピソードを明かす。祭りに参加するためにきていた宮川とたまたま会ったのだという。これは「ここだけの秘密にしよう」と約束したようなのだが、ちょっといい話じゃないか。

 内村も「縁でしょうね」とコメントする。そうか、タイである。タイといえば、お祭り企画第2弾で訪れていた場所。参加したのは、これも神回として記憶されている「耕運機祭り」。

 高速の耕運機で畑を爆走するレースなのだが、本番前日の作戦会議が最高だった。手越が第1走者のことを「安牌」と言い放ち、内村と宮川をどきりとさせた。結果的にその第1走者になった手越が、決勝戦で転んでしまう。それを見たあとの走者の内村と宮川が思わずニヤリとしてしまった、あの表情が忘れがたい。落下の名手である手越祐也は転倒によっても名場面を生み出してしまう。申し子の才能をさえまくらせていた時代の話だ。

◆今後のスタジオ出演回が楽しみに

 タイが復帰までの所縁の場所になっていたわけだから、復帰回はできたらタイの祭りがよかったのだが、まぁでもイタリアでも見事な落下の洗礼があったし、ヨーロッパはヨーロッパで相性がとてもいい。

 第4弾で訪れたのが、ドイツの「橋の向こうに行く祭り」(2011年1月2日放送回)だった。ここでもやっぱり最大の見どころが決起の夕食場面に用意されていた。内村から「優勝したらさ、コメント求められたら何て言う?」と聞かれた手越が「I am Champion」ともうとにかく自分自分のアピール。それに対して静かに右手拳でテーブルを打った内村がこう語った。

「モントリオール国際映画祭。最優秀主演女優賞。深津絵里さん。こう言いました。私の力ではありません。みんなで勝ち取った賞なのです。果たしてこれが言えるかな? 小僧」

 この結びの「小僧」にはリアルタイムで当時放送を見ていたときに笑った笑った。最高ですよ、内村さん。さすがに手越くんもぐうの音もでないかなと思ったら、ニヤニヤあっけらかんとしていて。ヨーロッパ最高の一夜だった。

 こうして3人組による名場面をふりかえるごとに、手越復帰の重みが伝わってくる。やっぱり彼がいないとね。『世界の果てまでイッテQ!』の花形ですよ。復帰回冒頭のスタジオではレギュラーメンバーから「あの男」や「やつ」とさかんにいじられていた手越だが、これは俄然今後のスタジオ出演回が楽しみになる。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu

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