自民党の今井絵理子参院議員が炎上しています。
◆グラビアと勘違いしていないか?批判殺到
衆議院が解散した10月9日に自身のXに自身のスナップ写真をアップ。窓の外を見つめるポージングで、<皆さんの一票が未来をつくります。>と呼びかけたところ、“グラビアと勘違いしていないか?”とか“そんな写真撮ってる暇あったら仕事をしろ”と批判の声が殺到したのです。
自民党の裏金や旧統一教会の疑惑に加えて、今井議員にもフランス研修旅行の問題がくすぶっていたことから、再び有権者の怒りに火が点いてしまいました。
いまや政治家にとってSNSはなくてはならないツールです。しかし、これまでを振り返ると、残念ながら今井議員はそれを使いこなすスキルに欠けているのではないかと思われます。
一体何が問題なのか、考えてみたいと思います。
◆逆風でキラキラ感を押し出す写真は政治家として致命的なミス
まず、写真がかっこよすぎること。これはマズかった。国会議員、特に自民党の人たちは、有権者からすると特権階級に属するとみなされます。すなわち、ただでさえ厳しい目にさらされる危険性があるところに、ファッション誌みたいな服装とスタイリングでポーズをとってしまう無自覚さがあらわになっているからです。
ここに自らが置かれた状況を正しく理解できていない認識の甘さが凝縮されている。政治家として致命的なミスを犯しているのです。
2016年と2022年に当選を果たした今井議員ですが、当時といまとでは自民党への評価は大きく異なっています。大きな逆風が吹くなかで、キラキラ感を全面に押し出した写真がどのような意味を持つのか想像できなかったのか。
嫌われているかもしれないことをもっとわかっていなければいけないのです。いまは、有権者の気分を害さない、守りの方向性をより真剣に考えるべきタイミングなのです。
◆SPEED時代の自意識の強さが悪い意味で残ってしまった
しかしながら、またしても今井議員は攻めの姿勢でセルフイメージを打ち出してしまいました。フランス研修旅行のときといっしょで、見る人が“かっこいい”とか“すてき”と思ってくれるだろうという希望的観測をもとにしているからです。
なぜ同じ過ちを繰り返してしまったのでしょうか?
筆者は、SPEED時代の自意識の強さが悪い意味で残ってしまっているからなのではないかと考えます。
つまり、ステージの上に立ってファンから憧れられるために心がけてきた取り組みのまま、政治家になってしまった。このギャップを、今井議員自身が埋めきれていないように感じるのです。
政治家はアイドルと違って、愛される存在ではありません。むしろ監視され、ときには嫌われ、叩かれなければならない。にもかかわらず、あらゆる発信がいまだキラキラしているので、有権者との意識の間に大きなズレが生じているのです。
◆選挙管理委員会がアイドルを起用ポスターみたいな写真と言葉
今回の投票を呼びかける写真だって、まるで選挙管理委員会がアイドルを起用して作成したポスターみたいです。<一票が未来をつくります。>という表現も、当事者が言うにはあまりにも軽すぎる。
<地球は今日も回っている この瞬間を胸に刻もう! 生きてるって感じたい!>(「Wake me up!」 詞 伊秩弘将)
その程度のノリなのですね。
今井絵理子議員の張りぼてのイメージ写真と借り物の言葉だけでつぎはぎされたポエムは、国会のJ-POP化が定着したことを如実に表わしていると痛感しました。
<文/石黒隆之>
【石黒隆之】
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4
◆グラビアと勘違いしていないか?批判殺到
衆議院が解散した10月9日に自身のXに自身のスナップ写真をアップ。窓の外を見つめるポージングで、<皆さんの一票が未来をつくります。>と呼びかけたところ、“グラビアと勘違いしていないか?”とか“そんな写真撮ってる暇あったら仕事をしろ”と批判の声が殺到したのです。
自民党の裏金や旧統一教会の疑惑に加えて、今井議員にもフランス研修旅行の問題がくすぶっていたことから、再び有権者の怒りに火が点いてしまいました。
いまや政治家にとってSNSはなくてはならないツールです。しかし、これまでを振り返ると、残念ながら今井議員はそれを使いこなすスキルに欠けているのではないかと思われます。
一体何が問題なのか、考えてみたいと思います。
◆逆風でキラキラ感を押し出す写真は政治家として致命的なミス
まず、写真がかっこよすぎること。これはマズかった。国会議員、特に自民党の人たちは、有権者からすると特権階級に属するとみなされます。すなわち、ただでさえ厳しい目にさらされる危険性があるところに、ファッション誌みたいな服装とスタイリングでポーズをとってしまう無自覚さがあらわになっているからです。
ここに自らが置かれた状況を正しく理解できていない認識の甘さが凝縮されている。政治家として致命的なミスを犯しているのです。
2016年と2022年に当選を果たした今井議員ですが、当時といまとでは自民党への評価は大きく異なっています。大きな逆風が吹くなかで、キラキラ感を全面に押し出した写真がどのような意味を持つのか想像できなかったのか。
嫌われているかもしれないことをもっとわかっていなければいけないのです。いまは、有権者の気分を害さない、守りの方向性をより真剣に考えるべきタイミングなのです。
◆SPEED時代の自意識の強さが悪い意味で残ってしまった
しかしながら、またしても今井議員は攻めの姿勢でセルフイメージを打ち出してしまいました。フランス研修旅行のときといっしょで、見る人が“かっこいい”とか“すてき”と思ってくれるだろうという希望的観測をもとにしているからです。
なぜ同じ過ちを繰り返してしまったのでしょうか?
筆者は、SPEED時代の自意識の強さが悪い意味で残ってしまっているからなのではないかと考えます。
つまり、ステージの上に立ってファンから憧れられるために心がけてきた取り組みのまま、政治家になってしまった。このギャップを、今井議員自身が埋めきれていないように感じるのです。
政治家はアイドルと違って、愛される存在ではありません。むしろ監視され、ときには嫌われ、叩かれなければならない。にもかかわらず、あらゆる発信がいまだキラキラしているので、有権者との意識の間に大きなズレが生じているのです。
◆選挙管理委員会がアイドルを起用ポスターみたいな写真と言葉
今回の投票を呼びかける写真だって、まるで選挙管理委員会がアイドルを起用して作成したポスターみたいです。<一票が未来をつくります。>という表現も、当事者が言うにはあまりにも軽すぎる。
<地球は今日も回っている この瞬間を胸に刻もう! 生きてるって感じたい!>(「Wake me up!」 詞 伊秩弘将)
その程度のノリなのですね。
今井絵理子議員の張りぼてのイメージ写真と借り物の言葉だけでつぎはぎされたポエムは、国会のJ-POP化が定着したことを如実に表わしていると痛感しました。
<文/石黒隆之>
【石黒隆之】
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4