登録者数10.5万人(2024年9月現在)を誇るYouTubeチャンネル「若埜ん家(わかのんち)」で笑顔を見せるのは、“21歳差”の夫婦YouTuberであるえみさん(52歳)とかいさん(31歳)。
人生の多様な選択肢も注目される現代で、2人の日常に関心を寄せる人たちは少なくありません。
ただ、精力的にアップする動画に対して、ときには「若い芽を摘むようなことを、いい年した大人がするべきではない」などといった、えみさんへ対する辛らつな意見も……。それでも「同じ悩みを抱える人たちのために」と発信を続ける2人に、チャンネルにかける思いを聞きました。
◆年の差を「誰にも相談できひん」と悩む人たちのために
――2020年8月の結婚後、YouTubeチャンネル「若埜ん家(わかのんち)」を開設したいきさつは?
えみ:かいちゃんが「YouTubeやってみいひん?」と、言ってくれたんです。
かい:シンプルに「世間は広いやろな」って(笑)。僕らみたいな年の差があるカップルや夫婦はたくさんいるだろうし、類は友を呼ぶで、関心を持ってくれる人たちがいると思ったんです。見られても見られなくても続けようと勢いではじめたら、思いのほか、反響がありました。
えみ:私はネガティブな性格なので、最初は嫌だったんですよ。交際中からよく、ネットで年の差があるカップルや夫婦の悩みを調べていたんですけど、「女性が年上なら必ず浮気される」とか「出産ができない」とか、後ろ向きな意見を多く見かけていたし、乗り気ではなかったです。
でも、かいちゃんが「えみが『誰にも相談できひん。別れよう……』と言っていたように、同じ環境で悩んでいる人は今も絶対いるはずやし、みんなが相談しあえるコミュニティを作ろう」と説得してくれて、私も受け入れました。
――夫婦YouTuberとしての活動をはじめてから、心境の変化もあったのでしょうか?
えみ:私に対する誹謗中傷もありますけど、応援してくださる人たちもたくさんいます。同じ気持ちを分かち合える人が必ず集まってくると伝えてくれたかいちゃんの思いは「ほんまやったな」って。年の差があっても、いわゆる「普通の夫婦」と同じように過ごせますよと、メッセージを発信できていて充実しています。
◆長文のアンチコメントも…
――実際、YouTubeチャンネルにはどのような反響がありますか?
えみ:私たちに対してはもちろん、コメントを通した視聴者のみなさんの交流もありますね。年の差があるカップルや夫婦が語り合えるコミュニティとなっているのはうれしいし、みなさんのためになればと思い、頑張っています。
――ただ、アップされた動画「【年の差夫婦】抱えきれなくなったので公開します」にあったように、アンチコメントも寄せられているそうですね。
えみ:何度「辞めようか」と思ったか分からないほど、私に対するアンチコメントやヘイトが来るんです。「おばさんで草」のようにライトな誹謗中傷はヘッチャラなんですけど、なかには長文で、グサッと来るコメントを書かれる方もいます。おそらく私と同世代の女性から「あなたは結婚もされて、お子さんも育てて、すべてを手に入れたかもしれないけど、旦那さんは自分のお子さんを育てられないし、子育てを知らないまま、若い芽を摘むようなことをいい年した大人がするべきではない」というコメントをいただいたこともあります。
◆「1つのアンチコメントよりも…」
――説教臭いというか、おせっかいというか……。
えみ:おっしゃる意味はわかるんです。でも、私たちは何度も夫婦で話し合って乗り越えてきたし、それでも時間を巻き戻すかのような、後ろ向きなコメントにはやはり心がやられますね。メンタルが弱いので、じっくり読んでいると心が折れてしまうし、かいちゃんから「1つのアンチコメントより、100の応援コメントを見たほうがいい」と励まされるうちに、少しずつ受け流せるようにはなってきました。
かい:コメントは公開される前にいったん僕らが確認できるようになっているので、基本は僕がすべてチェックして、ひどいコメントは非公開にしています。僕自身は気にしないし、鋼のメンタルですから(笑)。でも、InstergramのDMは振り分けするのが難しいので、えみの目にも入ってしまうみたいです。YouTubeの話に戻るんですけど、21歳差で人を好きになるのが「障害」だというひどいコメントもありました。
えみ:めちゃくちゃ腹が立って、初めてYouTubeに報告したんです。動画「【年の差夫婦】抱えきれなくなったので公開します」でも紹介したら、反響がたくさんありました。私たちに対する誹謗中傷ならまだしも、障害を持っている方々に対して、失礼すぎるじゃないですか。
動画のコメント欄では、障害を持つの当事者の方からの賛同や、年の差婚をされている方から「代わりに言ってくださり、ありがとうございました」というコメントもありましたし、たくさんの方が支持してくださっているんだと改めて思いました。
◆年の差にとらわれず「普通の夫婦」と思われるように
――さまざまな反響も集まるYouTubeチャンネルですが、今後の展望はありますか?
えみ:チャンネル名は「若埜ん家(わかのんち)」で、じつは、いつか「年の差」を意識せずに見られたいという思いから、表向きに年の差夫婦をうたっていないんです。動画のサムネイルでも最近は上にちょこっと「21歳差夫婦」と添える程度で。いずれは「年の差があったんや」と、自然と気づいてもらえるのが理想です。チャンネルをはじめてから、自分たちを知ってもらうために年の差があるカップルや夫婦としての体験を発信し続けてきましたけど、素直に普通の夫婦として、みなさんに周知していただけるならうれしいです。
かい:年の差があっても「夫婦として、何も変わったところはないでしょ」と思われたいのは一緒ですね。今の時代は、昔の常識みたいなものはなくなりつつあるでしょうけど、完璧ではないし、夫婦としてどうあるべきかの概念を、僕らのチャンネルを通して覆したいと思っています。
えみ:最近では、年の差があるカップルや夫婦だけではなく、その親御さんからも相談をいただくようになったんです。実際「息子が20歳も年の離れた女性と付き合っていて、賛成できない私は心が狭いのでしょうか」という悩みもありました。
その方には「息子さんの相手の方とお会いしてみるのはどうでしょう」とアドバイスして、「幸せな息子さんを応援していただけるなら、私もうれしいです」と一言添えたんです。当事者だけではなく、周囲のみなさんにも「こんな家庭があるのなら、応援できるかも」となってくれるならうれしいですね。
かい:女性が年齢が上の年の差恋愛って、僕みたいに男性側から好きになるパターンが多いみたいなんですよね。でも、いざ恋愛に発展しても不安になってしまうのは女性で、その理由は、男性が愛情を伝えきれていないからだと思うんです。だから、男性側の立場としては人並み以上に、相手への愛情を思いっきり伝えてほしいです。
<取材・文/カネコシュウヘイ>
人生の多様な選択肢も注目される現代で、2人の日常に関心を寄せる人たちは少なくありません。
ただ、精力的にアップする動画に対して、ときには「若い芽を摘むようなことを、いい年した大人がするべきではない」などといった、えみさんへ対する辛らつな意見も……。それでも「同じ悩みを抱える人たちのために」と発信を続ける2人に、チャンネルにかける思いを聞きました。
◆年の差を「誰にも相談できひん」と悩む人たちのために
――2020年8月の結婚後、YouTubeチャンネル「若埜ん家(わかのんち)」を開設したいきさつは?
えみ:かいちゃんが「YouTubeやってみいひん?」と、言ってくれたんです。
かい:シンプルに「世間は広いやろな」って(笑)。僕らみたいな年の差があるカップルや夫婦はたくさんいるだろうし、類は友を呼ぶで、関心を持ってくれる人たちがいると思ったんです。見られても見られなくても続けようと勢いではじめたら、思いのほか、反響がありました。
えみ:私はネガティブな性格なので、最初は嫌だったんですよ。交際中からよく、ネットで年の差があるカップルや夫婦の悩みを調べていたんですけど、「女性が年上なら必ず浮気される」とか「出産ができない」とか、後ろ向きな意見を多く見かけていたし、乗り気ではなかったです。
でも、かいちゃんが「えみが『誰にも相談できひん。別れよう……』と言っていたように、同じ環境で悩んでいる人は今も絶対いるはずやし、みんなが相談しあえるコミュニティを作ろう」と説得してくれて、私も受け入れました。
――夫婦YouTuberとしての活動をはじめてから、心境の変化もあったのでしょうか?
えみ:私に対する誹謗中傷もありますけど、応援してくださる人たちもたくさんいます。同じ気持ちを分かち合える人が必ず集まってくると伝えてくれたかいちゃんの思いは「ほんまやったな」って。年の差があっても、いわゆる「普通の夫婦」と同じように過ごせますよと、メッセージを発信できていて充実しています。
◆長文のアンチコメントも…
――実際、YouTubeチャンネルにはどのような反響がありますか?
えみ:私たちに対してはもちろん、コメントを通した視聴者のみなさんの交流もありますね。年の差があるカップルや夫婦が語り合えるコミュニティとなっているのはうれしいし、みなさんのためになればと思い、頑張っています。
――ただ、アップされた動画「【年の差夫婦】抱えきれなくなったので公開します」にあったように、アンチコメントも寄せられているそうですね。
えみ:何度「辞めようか」と思ったか分からないほど、私に対するアンチコメントやヘイトが来るんです。「おばさんで草」のようにライトな誹謗中傷はヘッチャラなんですけど、なかには長文で、グサッと来るコメントを書かれる方もいます。おそらく私と同世代の女性から「あなたは結婚もされて、お子さんも育てて、すべてを手に入れたかもしれないけど、旦那さんは自分のお子さんを育てられないし、子育てを知らないまま、若い芽を摘むようなことをいい年した大人がするべきではない」というコメントをいただいたこともあります。
◆「1つのアンチコメントよりも…」
――説教臭いというか、おせっかいというか……。
えみ:おっしゃる意味はわかるんです。でも、私たちは何度も夫婦で話し合って乗り越えてきたし、それでも時間を巻き戻すかのような、後ろ向きなコメントにはやはり心がやられますね。メンタルが弱いので、じっくり読んでいると心が折れてしまうし、かいちゃんから「1つのアンチコメントより、100の応援コメントを見たほうがいい」と励まされるうちに、少しずつ受け流せるようにはなってきました。
かい:コメントは公開される前にいったん僕らが確認できるようになっているので、基本は僕がすべてチェックして、ひどいコメントは非公開にしています。僕自身は気にしないし、鋼のメンタルですから(笑)。でも、InstergramのDMは振り分けするのが難しいので、えみの目にも入ってしまうみたいです。YouTubeの話に戻るんですけど、21歳差で人を好きになるのが「障害」だというひどいコメントもありました。
えみ:めちゃくちゃ腹が立って、初めてYouTubeに報告したんです。動画「【年の差夫婦】抱えきれなくなったので公開します」でも紹介したら、反響がたくさんありました。私たちに対する誹謗中傷ならまだしも、障害を持っている方々に対して、失礼すぎるじゃないですか。
動画のコメント欄では、障害を持つの当事者の方からの賛同や、年の差婚をされている方から「代わりに言ってくださり、ありがとうございました」というコメントもありましたし、たくさんの方が支持してくださっているんだと改めて思いました。
◆年の差にとらわれず「普通の夫婦」と思われるように
――さまざまな反響も集まるYouTubeチャンネルですが、今後の展望はありますか?
えみ:チャンネル名は「若埜ん家(わかのんち)」で、じつは、いつか「年の差」を意識せずに見られたいという思いから、表向きに年の差夫婦をうたっていないんです。動画のサムネイルでも最近は上にちょこっと「21歳差夫婦」と添える程度で。いずれは「年の差があったんや」と、自然と気づいてもらえるのが理想です。チャンネルをはじめてから、自分たちを知ってもらうために年の差があるカップルや夫婦としての体験を発信し続けてきましたけど、素直に普通の夫婦として、みなさんに周知していただけるならうれしいです。
かい:年の差があっても「夫婦として、何も変わったところはないでしょ」と思われたいのは一緒ですね。今の時代は、昔の常識みたいなものはなくなりつつあるでしょうけど、完璧ではないし、夫婦としてどうあるべきかの概念を、僕らのチャンネルを通して覆したいと思っています。
えみ:最近では、年の差があるカップルや夫婦だけではなく、その親御さんからも相談をいただくようになったんです。実際「息子が20歳も年の離れた女性と付き合っていて、賛成できない私は心が狭いのでしょうか」という悩みもありました。
その方には「息子さんの相手の方とお会いしてみるのはどうでしょう」とアドバイスして、「幸せな息子さんを応援していただけるなら、私もうれしいです」と一言添えたんです。当事者だけではなく、周囲のみなさんにも「こんな家庭があるのなら、応援できるかも」となってくれるならうれしいですね。
かい:女性が年齢が上の年の差恋愛って、僕みたいに男性側から好きになるパターンが多いみたいなんですよね。でも、いざ恋愛に発展しても不安になってしまうのは女性で、その理由は、男性が愛情を伝えきれていないからだと思うんです。だから、男性側の立場としては人並み以上に、相手への愛情を思いっきり伝えてほしいです。
<取材・文/カネコシュウヘイ>