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Snow Man渡辺翔太がバラエティMCに圧倒的に向いているワケ。過去にも見せていた“振る舞い”とは

女子SPA! 2024年10月28日 8時46分

 中村アンとSnow Man渡辺翔太がW主演したドラマ『青島くんはいじわる』(テレビ朝日・2024年9月14日最終話)の放送時、これはきっととんでもない放送後のロスになるなと想像していた。

 主題歌と俳優と画面の三拍子がきれいに揃い、近年まれにみる“はまり方”だった。すべては渡辺翔太の魔力。渡辺翔太のなんという美しさ。なんという魅力。10月17日から放送が開始された初MC番組『この世界は1ダフル』(フジテレビ)でも彼独自のポテンシャルを示している。彼の才能はなぜMCに向いているのか?

 イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、初MCから演技まですべてが地続きである渡辺翔太について、しょっぴー(渡辺翔太の愛称)愛を炸裂させながら解説する。

◆“しょっぴー沼”の恐ろしいところ

 あぁ、青島くんに会いたいな……。青島くんとは、中村アンと渡辺翔太の名共演ドラマ『青島くんはいじわる』のタイトルロールである青島瑞樹のことである。演じるのは、我らがしょっぴーだ。

 35歳の会社員・葛木雪乃(中村アン)が、社内で女性社員たちの注目を集めるシステム部の青島と偽装恋人協定を結び、いつしかほんとうの恋人関係になる。純ラブコメ作品の王道設定でありながら、青島役に渡辺が配役されることで劇薬レベルになる。

 青島くんを通じて彼の魅力にはまりこんだら戻ってこられないからだ。あのクリアな低音を少しでも耳にしただけで、とてつもない求心力と魔力でぼくらを誘惑してくる。“しょっぴー沼”の恐ろしいところは、沼るなんて行為がいかにもありきたりに感じられること。どこか別の世界に連れていって、とこちらから願ってしまう。戻りたくない。こりゃ重症である。

 放送後には間違いなく立ち直れなくなるくらいのロスになるなと思った。第1話ではさっそく「青島さんロスで……」なんて台詞がある。だから筆者の場合は、折り返しを過ぎた第6話でリアタイするのをやめた。なかば本能的にロスを回避したのだ。

◆渡辺翔太はなぜMCに向いているのか?

 でもぼくらはもう放送後ロスなんて気にしなくていいんだ。初のMC番組『この世界は1ダフル』の放送が始まった。あぁ、これからは毎週見られるんだからなぁ……。『青島くんはいじわる』第6話の青島は雪乃宅に一週間毎日通った。これは“しょっぴーの百夜通い”だなと名付けたくなった。対するぼくらは1週間を楽しみにこれから毎週、画面越しのMC渡辺翔太と会える。

 各界のレジェンドが人生一の話を紹介するVTR前、カメラ目線で右手人差し指でジェスチャーしながら「この世界は1ダフル」とあざやかなVふりをする。俳優、歌手(アイドル)だけではなく、バラエティ番組でもポテンシャルを発揮する渡辺翔太はなぜMCに向いているのか?

 Snow Manの公式YouTubeチャンネル動画を見ていてもそうなのだが、渡辺はMC担当ではないときでもその場をコントロールし、MC的な役回りを自然と演じてしまう。そうして自分のペースを保つ天才。グループ初の冠番組『それSnow Manにやらせて下さい』(TBS)でも実に顕著だ。

 8月9日放送回では、TBSで2011年まで放送されていた『東京フレンドパーク』が一晩限定で復活した。ゲストが身体をはってゲームに挑戦する。第1アトラクション「ウォールクラッシュ」で上方に高得点が配置された壁めがけてダッシュする渡辺が素晴らしかった。両手それぞれ50点に手を付けて、着実に高得点を狙う。身体的なポテンシャルをあえて温存することで、むしろ番組序盤の空気を完璧に整えていた。

◆主題歌とトップバッターが完璧に同期

 まるで構成作家の役割も引き受けるかのように、スタジオで実践的にさらっと振る舞ってしまえる。単なる進行役ではなく、番組全体をコントールする役目であるMCに向いていないはずがない。『この世界は1ダフル』自体が彼のMC的才能を引き出してもいる。記念すべき最初のVTRはオグシオこと小椋久美子と潮田玲子が選ぶリオ五輪バドミントン女子決勝だった。

 大逆転を決定づけたワンショットなど、注目ポイントが細かい。続く大林素子セレクションに対してダブルMCの東野幸治が「渋いなぁ、この番組」と鋭いコメントをしている。

 そう、この番組の視点は細かく「渋い」のである。ちょうどぼくらが渡辺の演技を語るときもどれだけ渋いと言われようが徹底的に細かいところに着目してしまう。ワンショットごとに苦しいくらいいちいち心ときめく『青島くんはいじわる』では、演出と呼応する渡辺の細やかな演技が実際の画面上にいくらでも確認できる。

 特に各話のクライマックス。エンディングのクレジットが表示される直前だ。雪乃にしろ青島にしろ、どちらかが相手への強い気持ちを行動に移すとき、あまりに絶妙なタイミングでSnow Manによる主題歌「君は僕のもの」が画面を満たす。きたきた。思わずはしゃぎたくなる。この一瞬のときめき。視聴者は魔法にかけられる。同ナンバーを歌うトップバッターである渡辺の歌いだしを待ちながら、マジカルなイントロのコーラスに耳が喜ぶ。

 テレビドラマの主題歌としてアーティストが単に楽曲提供したんじゃない。タイトルロールを演じる俳優が主題歌を歌い、その上で主題歌とトップバッターが完璧に同期する。第3話で雪乃を試した青島が風邪をひいたふりをする。呆れて帰っていく雪乃を追いかけるクライマックスでは、渡辺の歌いだしを待てずにぼくらが画面めがけて走りたくなった。

◆令和最強の“萌え”として認定されるべき

 出演俳優と主題歌がここまで見事にはまるのは、たぶん山下智久主演の『ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー~』(フジテレビ、2009年)以来じゃないかなぁ(主題歌はB’zの「イチブトゼンブ」)。ベタな音楽演出ではあるものの、クライマックスから次話へと経過するワクワク感としてこれ以上効果的な運び方はないだろう。

 映画でもそうだけど、どうして最近のドラマは単なるタイアップ楽曲ばかりで、こういうベタな演出をやらなくなったのかね。かつての日本映画では、主演俳優が主題歌を歌うことが当たり前のようにあった。ちょっと古いが例えば、鶴田浩二。代表作『傷だらけの人生』(1971年)の同名主題歌を鶴田さんが歌ってる。それだけでカッコいい。商業的な映像の美学とはそういう単純さに凝縮されるものだ。

 いきなり話題がえらく遠くなったと思われるかもしれないが、ここでわざわざ昭和の名優の名をだしたのにはちゃんと理由がある。筆者が偏愛する鶴田主演作『明治侠客伝 三代目襲名』(1965年)冒頭近くで主人公が緑色の暖簾からちょこっと顔をだして人探しをする場面がある。これが昭和最大の激萌え仕草だと思っているのだが、『青島くんはいじわる』第4話で温泉宿に泊まった青島が男湯のうす青色の暖簾をくぐる場面は、令和最強の美しさを誇る萌えとして認定されるべきだと思ったからだ。

◆初MC番組から演技まですべてが地続き

 あぁそうだ、連ドラ初単独主演作『先生さようなら』(日本テレビ、2024年)でも主題歌が絶妙なタイミングでぴたりと画面にはまっていた。第1話、渡辺演じる美術教師・田邑拓郎(めがねをかけたしょっぴーもいい!)が、好きなことが特にないと決め込んで、漠然と学校生活を送っている城嶋弥生(林芽亜里)にデッサンの手ほどきをする場面。ふたりだけの教室内。外はすでに暗い。窓際の渡辺が立ち上がった瞬間にSnow Manの主題歌「We’ll go together」が画面とぴったりはまる。

 トップバッターはもちろん渡辺。『青島くんはいじわる』では、主題歌が大抵屋外シーンでかかるのに対してこちらは、『先輩と彼女』(2015年)などでも知られ、特に教室の窓際あたりに情感を作る才人、池田千尋監督が演出する密室的屋内。両作それぞれの空間で微妙に色気の漂わせ方が変わるのだが、『先生さようなら』第2話で主題歌がかかる直前、夜の室内で「だって俺、先生にとって、特別っしょ?」と台詞を発する渡辺の色っぽさはただ事ではないと思った。

 アイドルの資質と俳優の才能が見事にオーバーラップする。この色っぽさをいつまでも画面上にとどめていようとする意志でもあるかのようなタイミングで「We’ll go together」がかかる。同曲のミュージックビデオがもっとすごい。冒頭、渡辺本人に導かれてエレベーターを降りるとそこはレストラン。シャンパングラスを傾けるショットにもう完全にとろけてしまう。

 あるいは、主題歌の同期だけでなく、時折挿入される高校時代の回想で自室ベッドからガバッと起き上がる場面があり、池田監督のカットつなぎによって、たかだかベッドから起き上がるだけなのに、俊敏なアクション俳優のポテンシャルを渡辺から引き出しているように感じる。あぁ、細かい細かい。しょっぴーについて語るとき、細かすぎて伝わらないこともあるかもしれないが、でも初MC番組から演技まですべてが地続きではある。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu

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